福利厚生にマッサージは必要?導入メリットやデメリットを徹底解説!
福利厚生としてマッサージを導入することで、健康増進や業務効率の改善、就職希望者へのアピールに繋がるため、導入する企業が増えています。
はじめに
昨今では、コロナウイルスの影響もあり、リモートワークやフレックス制度の導入など、ワークライフバランスを重視した働き方が徐々に定着しつつあります。
働き方改革が始まったのは2019年の4月。
今から約4年前のことです。
4年の月日が経ち、社会は大きく変化しましたが、あなたの周りの労働環境はいかがでしょうか?
- 出社時間や退勤時間が自由になり働きやすくなった
- 有給が取りやすくなり、プライベートの時間が確保できるようになった
- 残業時間が減り、体調を崩すことが少なくなった
このように、働きやすい環境へと変化している人も多いでしょう。
しかし、勤務時間や残業時間が長く、 仕事に追われている人もまだまだ多い印象です。
特に、人手不足が叫ばれている「医療・福祉」「建設業」「運送業・郵便業」では、一人ひとりにかかる身体的負担も大きいと考えられます。
人口が減少し続けている今の日本では働き手を増やすことは難しいため、システムの導入や自動化により業務効率化を図るなど、様々な取り組みを行う必要があります。
そこで、注目されているのが福利厚生としてマッサージを導入し、社員の健康を守るという取り組みです。
マッサージにはリラクゼーション効果があるため、身体のケアに有効的であると言えます。
今回は、そんなマッサージの導入が企業や社員にとってどのようなメリットがあるのか?はたまたデメリットはあるのか?それぞれ詳しく解説していきます。
福利厚生におけるマッサージとは
ここでは、福利厚生におけるマッサージがどういうものなのか、詳細を解説していきます。
マッサージの定義
マッサージは、医療類似行為に分類され、法律で定められたものと、そうでないものの2つに分かれます。
具体的には、以下のような内容が当てはまります。
- 法律で定められたもの:鍼・灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復
- 法律で定められていないもの:カイロプラクティック・リラクゼーション・エステティック・美容施術など
法律で定められた4種類のマッサージは、それぞれ国家資格を必要としますが、カイロプラクティックやリラクゼーションは、民間資格、もしくは無資格でも可能となります。
福利厚生サービスとしてマッサージを導入する際は、これらの法律で定められていないものも含めて、全て取り入れることが可能です。
福利厚生でマッサージを導入する企業は増えている
近年では、社員の健康増進や働きやすい環境づくりなどの目的で、福利厚生サービスとしてマッサージを導入する企業が増えています。
なぜ、そのような企業が増えているかというと、働き方改革の推進が背景にあります。
2019年に行われた働き方改革の推進により、残業時間の短縮や有給休暇の取得など、ライフスタイルに合った働き方が可能となったため、社員側は柔軟な働き方ができる会社を求めるようになりました。
今までは「会社が人を選べる時代」でしたが、人手不足が叫ばれている昨今では「会社は選ばれる側の立場」となったため、企業側は、より一層労働環境の改善を意識するようになりました。
そこで、少しずつ増えているのが、福利厚生としてマッサージを受けられるようにすることです。
LINEやWiz(ワイズ)といった大手企業も福利厚生として導入しているため、今後も導入する企業が増えていくと考えられます。
マッサージ代は福利厚生費で計上できる
マッサージを福利厚生で導入する場合、費用補助は以下の2つの条件で福利厚生費として経費に計上することができます。
- 均等待遇に従っている
- 社会通念上相当と思われる費用補助である
「均等待遇に従う」ということは、全ての社員が同じメニューのマッサージを受けられるようにするということを意味します。
そして、「社会通念上相当」は”相場を超えない・妥当な”という意味なので、あまりに高額なものでなければ問題ないということになります。
- 役員だけが受けられる
- 高額である
このように、条件を満たしていない場合は経費として計上できない可能性があるので要注意です。
福利厚生でマッサージを導入する3つのメリット
福利厚生でマッサージを導入するメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 社員の健康増進
- 業務効率の改善
- 就職希望者へのアピール
社員はもちろん、就職希望者にもプラスに働くため導入する価値は高いでしょう。
それでは、一つひとつ解説していきます。
①社員の健康増進
マッサージにはリラクゼーション効果があるため、疲労回復やストレス軽減が期待できます。
例えば、デスクワークの人であれば、座っている時間が長いことから肩こり・首こりが起きやすく、立ち仕事の人は足腰に負担がかかるため、腰痛や足の疲労、むくみが出やすいです。
あなたの周りでも、身体の不調を訴えている人が多いのではないでしょうか?
実際に、日本人の3人に2人が肩こりを持っている、2人に1人が腰痛持ちとも言われています。
働き方改革が進んでいるとはいえ、仕事による身体的負担は避けられないので、早めに対処することが必要です。
- 帰宅時間が遅い
- 帰っても家事をしなければならない
- 運動やストレッチをするのが面倒くさい
上記のような理由で身体のケアができない人も多いので、マッサージの導入は利用価値が高いと言えます。
②業務効率の改善
身体的負担が減ることで集中力が向上し、結果的に業務効率の改善につながります。
肩首や腰に痛みが出てくると、同じ姿勢をとっているのが辛くなったりと、徐々に仕事に集中できなくなります。
- 資料作りをしたいのに目が疲れて画面を見ていられない
- 腕や肩が疲れてしまい、うまく文字が打てない
- 腰が痛くて、長時間立っているのが辛い
このような経験をしたことがある人も多いでしょう。
スポーツ選手がより良いパフォーマンスを発揮するのに毎日メンテナンスしているのと同じで、我々も日々のケアが重要です。
社員が健康で常に高いパフォーマンスを発揮できる状態であれば、会社の利益向上も期待できるため、双方にメリットがあると言えます。
③就職希望者へのアピール
福利厚生にマッサージを導入することで、就職希望者へ良い印象を与えることができます。
なぜかというと、福利厚生の充実度は、その企業での働きやすさをイメージする要素の一つだからです。
- 交通費が出ない
- 家賃補助がない
- 昼食補助がない
上記のように福利厚生が整っていないと、”自己負担が大きくなりそう”というネガティブな印象を受けるでしょう。
しかし、マッサージが受けられるとなれば、”社員の健康をサポートしてくれる良い企業”というイメージに繋がります。
近年では、自分のライフスタイルに合わせた働き方が自由に選択できるようにもなっているため、働きやすい環境づくりは大切だと言えます。
福利厚生でマッサージを導入する3つのデメリット
マッサージを導入することで疲労やストレス軽減を図ることができ、業務効率や満足度が向上することは事実ですが、メリットばかりではありません。
福利厚生でマッサージを導入するデメリットとして挙げられるのが、以下の3つです。
- 勤務形態によっては利用しづらい人がいる
- 社内リソースのひっ迫が起こる
- 健康被害につながる可能性がある
デメリットを把握していないと正しく導入できず、返ってマイナスの結果になる可能性があります。
一つひとつ詳しく解説するので、導入を検討している方は、きちんと押さえておきましょう。
①勤務形態によっては利用しづらい
後述する「マッサージの運用方法」にもよりますが、社内にブースを設置して行うマッサージを行う場合、勤務形態によっては受けられない人がでてきます。
というのも、コロナ禍で加速したリモートワークの推進により、出社しない人の割合が増えているからです。
提携先のマッサージ店で受ける形であれば、リモートワークの人でも好きな時間に受けに行くことができるでしょう。
しかし、社内でマッサージを受ける形にした場合、出社しなければならなくなるので、社員の中で利用しやすい人とそうでない人に分かれてしまいます。
福利厚生として、このような差が生まれてしまうのは良い状態とは言えません。
したがって、導入する際は、どのような形で利用できるようにするのか、運用方法の選択が重要となります。
②社内リソースのひっ迫
福利厚生費として計上できるとはいえ、社内リソースを割くことに変わりはありません。
例えば、マッサージ師を会社に呼ぶのであれば、施術費用や移動費に加え、設置費用や設備費用などがかかりますし、場所も確保しなければなりません。
また、マッサージ1回にかかる料金は5,000円前後が一般的ですので、費用負担の割合によっては会社側の負担が大きくなります。
- 1人あたりの利用頻度
- 社員負担の割合
- どの店舗やセラピストと契約するか
- ベッドやフェイスペイパーなどの備品購入はどうするかなど
これらを慎重に決めなければ、社内リソースをひっ迫することとなってしまうため要注意です。
③健康被害につながる可能性がある
マッサージはリラクゼーションに分類されるため、基本的にどなたでも受けられるものです。
しかし、中にはマッサージを行うことで身体の状態が悪化してしまうケースもあります。
マッサージで悪化する人の特徴は以下の通りです。
- 患部が腫れていたり、熱をもっている
- 急な痛み
- 感染症や悪性疾患を患っている
- 予防接種を受けたばかりの状態
- 血栓症がある
- 外傷がある
マッサージを受けることで循環が良くなり、返って状態を悪くしてしまうことがあるため、怪我をして炎症が起きている方や病気を患っている方は要注意です。
このように、誰にでも同じように行っていいものではないので専門的な判断が必要となります。
マッサージは民間資格を持っている方、もしくは無資格の方でも行えるため、判断能力は人それぞれです。
不利益を被らないようにするためには施術者の見極めが重要ですので、契約料金だけで決めない方がよいと言えます。
福利厚生でマッサージを導入する方法
福利厚生でマッサージを導入する際は、以下の4ステップで進めていきます。
- 施術者の種類を決める
- 福利厚生サービスの運用方法を決める
- 福利厚生サービスとして契約する
- 社員負担の割合を決める
それでは、一つひとつ解説していきます。
①施術者の種類を決める
マッサージは医療類似行為であり、健康を害するリスクを伴うため、”誰が行うか”がとても重要です。
そこで、まず初めにマッサージを行う施術者の種類を決めます。
マッサージを行える人は、以下の4種類に分かれます。
- 国家資格保持者
- 民間資格保持者
- 国家資格と民間資格の両方を持っている者
- 無資格者
安全第一で考えるのであれば、国家資格を必要とする「鍼灸師」や「柔道整復師」「あん摩マッサージ指圧師」が推奨されます。
専門知識が豊富で、マッサージの有効性や危険性を的確に判断することができるので、一定のリスクヘッジが可能です。
一方、価格の安い民間療法のマッサージを検討する場合は、資格の有無は関係なくなります。
このように、施術者によって安全性やコストなどが変わるため、契約前に資格の有無を確認しておくことが必要です。
②福利厚生サービスの運用方法を決める
次に、社員がマッサージをどのように受けるのか、運用方法を決めていきます。
主な運用方法は、以下の4種類です。
- 拠点出張型
- 社内常駐型
- 来院型
- 自宅出張型
拠点出張型
拠点出張型は、施術者がオフィスなどの拠点に来て、マッサージを提供する形となります。
特徴としては、以下の4つが挙げられます。
- 福利厚生費として経費にしやすい
- 利用したい日に呼んだりと、効率的に運用できる
- 社内にマッサージを行える環境を整える必要がある
- 在宅勤務の人は利用しづらい
必要な時にマッサージが受けられる拠点出張型は、最も効率的な方法です。
ただ、リモートワークがメインとなっている会社では利用者が少なくなることが懸念されるため、他の方法も検討すべきでしょう。
社内常駐型
社内常駐型は、文字通り、社内に施術者が常駐していて、いつでもマッサージを受けられる形です。
特徴としては、以下の4つが挙げられます。
- 福利厚生費として経費にしやすい
- 在宅勤務の人は利用しづらい
- 社内にマッサージを受けられる環境を整える必要がある
- 利用者が少ないと、サービス提供に無駄が発生する
拠点出張型と似ていますが、施術者が常駐していることで依頼する手間や時間が減り、すぐにマッサージを受けられるという点が異なります。
事前に予約する必要性がなくなるため、社員が最も利用しやすい方法と言えるでしょう。
ただ、逆を言えば、利用者がいてもいなくても常駐していることになるで、コストがかかったりと無駄が発生しやすい点がデメリットとして挙げられます。
したがって、社内常駐型もリモートワークが多い会社では、利用を検討すべきと言えます。
来院型
来院型は、社員が施術者のいる場所に直接行き、マッサージを受ける形です。
契約している近隣店舗に行き、割安でマッサージが受けられるというのが、来院型に当てはまります。
特徴としては、以下の4つが挙げられます。
- 福利厚生費として計上しづらい
- 業務時間が長い場合、利用者が少なくなる傾向がある
- 社内の環境整備が必要ない
- 休みの日でも利用しやすい
来院型は、社内の環境を変える必要がないため、会社としては負担が少ないのがメリットです。
また、プライベートでマッサージに行くような感覚で利用できるため、在宅ワークの方にも向いています。
福利厚生費として計上しづらい傾向にありますが、福利厚生の原則である均等待遇を協調する狙いで、特定のサービス内容を指定すると処理しやすくなります。
自宅出張型
自宅出張型は、社員の自宅に施術者が訪問し、マッサージを提供する形です。
特徴としては、以下の4つが挙げられます。
- 福利厚生費として経費にしづらい
- 出張費がかかり高額になる傾向がある
- 自宅で施術を受けるのに抵抗がある社員もいる
- 在宅勤務でも利用しやすい
施術者が自宅に来てくれるため、在宅勤務の方でも利用しやすく、テレワークがメインの会社にピッタリと言えます。
ただ、費用が高くなったり、そもそも経費にしづらかったりとデメリットも多いため、あまりオススメはされません。
利用のしやすさと費用面を考えると、
- 出社が多い会社→拠点出張型もしくは社内常駐型
- 在宅勤務が多い会社→来院型
上記のような組み合わせが最適かと考えられます。
③福利厚生サービスとして契約する
施術者の種類と運用方法が決まったら、福利厚生サービスとして契約します。
具体的な手順は以下の通りです。
- マッサージの方法やメニューを指定して全社員が同じサービスを受けられるようにする
- 提携先と契約を交わす
- 福利厚生制度として社内に通知し、就業規則の変更届を出す
経費として計上するには、福利厚生の原則として均等待遇である必要があるため、受けられるサービスを予め決めておかなければなりません。
もし、社員の希望でメニューを変更したり追加する場合は、費用補助の対象外となるような契約となります。
これらを踏まえた上で、提携先企業と契約を結び、社内通知と変更届を出すことで、福利厚生サービスとしてマッサージを導入することができます。
④負担の割合を決める
最後に、社員負担と会社負担の割合を決めます。
基本的には、予算の範囲内で制度が破綻しないような金額に設定し、利用回数の制限などを決めていきます。
「社員に利用してほしい」という思いから金額を安くしすぎると会社の負担が増えてしまうため、適切な割合に設定することが必要です。
まとめ
今回は、福利厚生としてマッサージを導入する必要はあるのか?について解説しました。
福利厚生制度の充実は、経営上の予算に余裕がないと難しいため、全ての企業に必要だと言い切ることはできません。
しかし、社員の健康を守り、業務効率の改善を図れることや、就職希望者へのアピールになることなどを考えるとメリットは多く、導入の価値は高いと言えます。
働き方改革が進んでいるとはいえ、業務量が多く、勤務時間が長くなってしまっている企業も多いかと思いますので、労働環境の改善のためにマッサージを導入するのも効果的でしょう。
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