就活生や社会人の皆さん、「GMA」というものを聞いたことはあるでしょうか?
これは、人事選考の際に用いられる新しい能力値です。
海外の研究者の間では、人事選考において重要な要素の一つになると考えられています。
GMAテストはMicrosoftなどの大手企業でも採用されており、かなり信頼されている選考手法の一つであるといえるでしょう。
日本においてもこれを採用する企業は少しずつ増えてきているようですが、残念ながらまだまだ一般的ではありません。
しかし、もしかしたら今後の日本においても、就職活動や転職活動の際にGMAテストの受験が求められるようになるかもしれません。
今回は、このGMAについて解説していきます。
「GMAテストなんて初めて聞いた!」
「採用試験でGMAテストが出されるらしいけど、何をするのか分からなくて不安…」
そのような方々のために、その意義や仕組み、そこから何が分かるのか等、求職者の皆さんに知っていただきたい情報についてまとめました。
GMAテストを受ける前の対策や、必要な準備などについても紹介します。
是非最後までご覧ください!
「GMA」って何︖
GMA(General Mental Ability)とは、一般的な認知能力や精神能力を意味します。
具体的には、理解力や論理的思考力、判断力などの知性を表す数値です。
その数値を測るための問題がGMAテスト、その結果により示される数値がGMAスコアとなります。
長年にわたる人事心理学の研究により、あらゆる業界や業種において、職務パフォーマンスに最も影響を与える要因は認知能力であることが明らかになりました。
アメリカでは、GMAテストは既に様々な業界において採用ツールとして定着しています。
もしこれが日本国内でもそうなれば、今まで長年当たり前のものとなっていた人事選考や採用試験の手法は大きく変化するでしょう。
初めての方はこれらの聞き慣れないテストに身構えてしまうかもしれませんが、この手法は応募者にとっても大きなメリットがあります。
企業が採用基準を切り替えれば、今まで行われていた選抜方法とはまったく異なる線引きが生まれます。
もし今後GMAテストが各企業において選考方法として採用された場合、自分の経歴やスキルに見合っていないという理由から応募をあきらめてしまったり、書類選考で不合格となってしまったようなハイレベルな企業にも、積極的に挑戦できる可能性があるのです。
また、自分ではあまり意識していない自身の能力レベルについて知る機会にもなります。
GMAテストによって、あなたの可能性が大きく広がっていくかもしれません。
GMAスコアから分かることは?
先述の通り、GMAスコアとは認知能力を測った数値のことです。
「それって学歴や成績で判断できるのでは?」と思う方のために、少し解説させてください。
日本では、応募者の能力を判断するために学歴を重視する傾向が強く、中には、一定の学歴以上でなければその時点で選考から除外するという企業も珍しくありません。
実際の就職活動や転職活動でそれを実感した方もいるでしょう。
しかし、学歴は個人の能力を判断する一つの要素に過ぎず、学歴が高いほど会社にとって有益な人材であるという保証はないのです。
その人物の本質や仕事における能力を知ろうとする場合は、残念ながら不十分であると言えるでしょう。
日本において一般的な選考方法では、高い学歴を持たずとも優秀な人材や、職務経験がなくとも業務における理解力や判断力を持つ人材を見逃している可能性が高くなります。
対して、GMAスコアによる選考では、その人材が仕事においてどの程度の学習能力や理解力を発揮するのかを予測することができます。
もちろん、学歴が高い複数名の応募者の中から、特に優秀な人材を見つけ出すこともできるでしょう。
GMAを測定することで、仕事の知識を速く習得する能力がある人を見極めることができ、高いパフォーマンスを発揮できる人材を選ぶことが可能になります。
GMAスコアが高い人材に期待できることは、例えば以下のようなことです。
・的確な判断と意思決定
・正確かつ効率的なタスクの処理
・新たなタスクや課題の迅速な対処
・理論に基づいた合理的な問題解決
更にかみ砕いてお伝えすると、
・仕事の説明を理解するのが早い
・仕事内容を覚えるのが早い
・仕事が正確である
・記憶力が高い
・自ら考えて判断し、行動できる
・自ら課題を見つけ、解決を目指して取り組むことができる
といったようなことです。
これらの能力を学歴や成績から判断するのは、やはり難しいことですよね。
人間の認知能力は、仕事に関する情報の取得や適用などの基礎的なタスクに反映されると考えられています。
したがって、GMAスコアが高い候補者は低い候補者よりも生産性が高く、トレーニングに要する時間が少ないということです。
GMAテストによる選考では、入社後にどの程度の指導コストを要するか、マニュアルや知識を習得するまでにどのくらいの時間を要するかを判断することができます。
その結果、
・育成コストの削減・育成期間の短縮
・リーダー候補の育成がスムーズに
・業務の効率化によるビジネスの活性化
といったことが期待できるようになり、会社にとって大きな利益をもたらす可能性が高まります。
こういった理由から、GMAテストを行うことにより、会社に大きく貢献してくれるであろう人材を選びやすくなるということです。
これは、現状の採用手法とは大きく異なる点だといえるでしょう。
また、アメリカで発表された論文によると、
・GMAテスト+職務シミュレーションテスト
・GMAテスト+誠実性テスト
・GMAテスト+構造化面接
など、GMAテストとその他の選考手法を組み合わせることによって、より職務遂行能力の予測に役立つといわれています。
テストの有効性やそれに関する論文の詳細については、当メディアにて小川正賢さんが執筆された記事がありますので、是非併せてご覧ください!
【What Research Says Vol.1】 できる人材、のびる人材を効率よく選考する手法とは?
GMAテストの問題は何が出題される?
さて、そんなGMAテストですが、多くの求職者の方は「結局どんなテストをするの?」というのが最も気になることかと思います。
採用試験に備えて、是非知っておきたいことですよね。
では、早速見てみましょう。
GMAテストで出題されるのはこのような問題です。
子どもの頃や学生時代にこういったテストを受けた覚えがある方も多いかと思います。
GMAテストの問題は、こういったIQテストや知能テストのようなものを思い浮かべていただくのが良いでしょう。
日本においてGMAテストはまだまだ一般に浸透していません。
そのため、国内のインターネット記事や書籍で得られる情報には限りがあります。
また、本物のGMAテストは人事選考のためのツールとして販売されているものが多いので、なかなかお目にかかれないのです。
インターネットで「IQテスト」「知能テスト」等を検索すると、同様の問題集やWeb上で受験できるテストなどをたくさん見ることができます。
そういったものを代わりに参考にしてみてください。
こういったテストは受験する機会がなかなかないので、実際に目の前に出された瞬間こそ戸惑ってしまうかもしれません。
しかし、問題は通常数十問から100問程度。
短時間で考える小さな問題を連続して解いていきます。
一般的な試験のように落ち着いた時間を設けて行われますので、じっくり確実に取り組めばきっと大丈夫です。
GMAテストの対策は可能︖
ここまで書いてきた通り、GMAテストは応募者の認知能力を評価するために行われます。
応募者としては、より良い結果を出して高評価を得たいところですが、そのための対策は出来るのでしょうか?
先ほどご覧いただいた通り、一般的な学力検査や資格試験などとは異なり、GMAテストでは専門的な知識がほとんど必要とされません。
そのため対策がなかなか難しいGMAテストですが、問題の傾向に慣れておくことは可能です。
事前に調べていくつか問題を解いておけば、本番で慌てることなくテストに取り組むことができるかもしれません。
その際は先述したようなIQテストや知能テストを参考にするのが良いでしょう。
実際に、こういったテスト問題を繰り返し解くことで正答率を上げることはできます。
ただ、これはおそらく問題の反復練習により慣れているだけで、本質的なGMAスコアを上昇できているのかとなると、かなり疑問があります。
同じIQテストを短時間で何度も繰り返し解いて高得点を取ったとしても、すぐにIQ200の人間になれるわけではありませんよね。
そう考えると、慌てて積極的な対策に取り組む必要性はあまり無いとも言えます。
測られるのは知識の数や質ではなく、知性や知能です。
どちらかというと、あなたの今までの経験や教養、能力そのものを試されていると考えたほうが良いでしょう。
とはいえ、やはりまだ不安が拭いきれない方もいると思います。
そこで、学力や知識量ではなく、知性や知能はどうしたら上げられるのかということについても考えてみました。
知性を身につけようとして、歴史の年号を暗記したり、元素記号を覚えたりというような勉強をする方はあまりいないと思います。
しかし、実際にそういった勉強を重ねて多くの知識を持っている方々は、やはり知性的なイメージがありますよね。
おそらく、知性は知識を身に付ける過程で身につくものです。
そのため知性や知能を上げたいと思った際は、やはり何かを学習するという工程が避けられないということになります。
以前私の恩師から、
「いくら勉強しても、苦労して覚えた知識はいつか忘れてしまう。しかし、それらを忘れた後には知性や教養が残っている。」
と、教えて頂いたことがあります。
勉強して得た知識が消えてしまったとしても、勉強したことで知識を得た経験は消えないということなのでしょう。
50メートル走で今以上の好タイムを記録するためには練習の繰り返しが必要であるのと同様に、脳の使い方や考え方に対してもそういったトレーニングが必要なのです。
やはり何かを経験し学ぼうとする意欲がなければ、知性や知能を身につけることはできないということですね。
そして運動と同様、人によって得意不得意があったり、個々に合ったペースや学び方があるはずです。
では、具体的に何をするのが効果的なのでしょうか。
知性や知能を上げる方法として有効だと言われているものを調べてみました。
・習慣的に読書をする
・定期的に脳トレを行う
・過度のストレスを避ける
・適度に運動をする
・睡眠をしっかりとる
意外と当たり前のことが多いと言いますか、とても健康的で充実した生活のような印象です。
運動や睡眠の話まで出てくるのは意外ではありますが、脳の働きを活性化させることで良い結果に繋がりやすいようですね。
一朝一夕で対策をするものではなく、地道に継続することが大切だということが分かります。
これらの取り組みはGMAスコアの上昇に限らず、仕事におけるパフォーマンスやプライベートでの生活でも役立つでしょう。
知的な大人や社会人を目指して、まずはこういったことから取り組んでみるのも良いかもしれません。
まとめ
最後に、GMAテストについてのおさらいです。
・GMA(General Mental Ability)とは、認知能力や精神能力のこと
・GMAテストとは、GMAスコアを計測するために行う知能テストのようなもの
・GMAの高い人材は、仕事における高パフォーマンスが期待できる
・GMAテストの対策は、IQテストや知能テストの問題に慣れておけば十分
・実際に知性や知能を身につけるためには、継続的な取り組みが必要
日本国内ではまだ珍しいGMAテストについて解説しました。
もし採用試験でテストを受けることになった際は、是非これらを参考にしてください。
また、GMAスコアを上げるために必要な知性や知能は、日常的な取り組みが重要になるということも分かりました。
「持って生まれた賢さは変えられない」なんて諦めてしまっていませんか?
まだまだ伸びる可能性のあるあなたの能力をそのままにしてしまうのは、とてももったいないことです!
大人になってからも継続した取り組みを行うことで、十分向上が期待できます。
今後のスキルアップやキャリアアップのためにも、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
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