【テクアシ日記 vol.31】豹変する飼い主と、言葉選びの大切さについて

コミュニケーションから理想的な結果を得るためには、発した言葉の意図や受け取られ方を考えて慎重に言葉選びをする必要がありそうです。

こんにちは。テクニカル・アシスタントの竹内です。

これまでのメルマガでも何度か話題にしておりますが、私は現在犬を飼育しています。

メスのボーダーコリーで現在5歳、17㎏です。

この犬をこれまで育ててくる中で、言葉の使い方について考えさせられる場面が何度かありました。

今回はその失敗例、使い方を間違えてしまったと後悔している言葉を紹介させて頂きたいと思います。

 

結論からお伝えすると、その言葉は「こら!」「だめ!」という言葉です。

叱る時にかける言葉ですが、私はこの言葉の意味づけを誤ったと感じています。

まず、引き取ってきたばかりの子犬には、人間社会の常識は備わっていません。

飼い主が責任を持ってそれを教えることにより、人間と犬とがお互いに快適に、一緒に暮らしていくことが可能になります。

「噛んではいけない」「トイレはここでする」「マテと言われたら待つ」。

いけないことをしたら、「それはしてはいけないことである」というこちらの考えを伝える手段が必要になります。

私が子供の頃には、犬に苦痛を与える躾(鼻先を指ではじく「鼻ピン」など)が一般的に用いられていましたが、現在は人の手を怖がるようになるリスクなどの面から、それらはあまり奨励されていません。

言葉と態度によりそれを十分に伝えることができるとされ、実際に私も痛みを与える方法を用いずに躾を行ってきました。

 

そんな中で使う言葉「こら!」「だめ!」ですが、私の失敗はこれを「気軽に使い過ぎてしまった」ということです。

遊びながらじゃれついてきたときや、ご飯を散らかしてしまったときなど、ちょっとしたときに笑いながら「こらこら」、「だめでしょ」などの声掛けをしていました。

結果、うちの犬にとって「こら」「だめ」は、「柔らかな否定」程度の意味になってしまったのです。

 

犬がある程度成長するとかなりの意思の疎通が可能になり、家の中で強く叱るような機会もなくなってきます。

強く叱るのは外出時、例えばドッグランで柵を飛び越えて遊ぶエリアを無視してしまった場合や、散歩中に鳥や猫を反射的に追いかけてしまった場合など、人に迷惑をかける行為や、危険な行為などに限られてきます。

そんな時に「こら!」と叱るのですが、これが通じません。

彼女の中では「柔らかな否定」と結びついているため、あまり「強く叱られている」と感じてもらえないのです。

結果、ちらっとこちらを見てその行為を続ける、止めたとしてもあまりいけないことだと認識をしておらず、また同じことをする…といった状況になってしまいました。

 

ここで私は新しい否定のサインを考える必要に迫られたのですが、これがなかなか難しいのです。

「イケナイ!」「No!」などがよく用いられる表現ですが、犬の行動・衝動は一瞬のことであり、そのタイミングに間髪入れずに声をかける必要があります。

「イケナイ!」「No!」は、慣れない私の口からはなかなか咄嗟に出てきませんでした。

 

執行錯誤を経て、最終的にたどり着いてしまったのは、「おい!」という声掛けでした。

犬をはっとさせるのに効果的な低い声で、瞬間的に発することができる言葉であり、我が家の犬はこの合図を「これは本当にまずいらしい」と判断する基準として認識しました。

しかし、問題が一つ。

あまりに、ガラが悪いのです。

 

ドッグランなどでは、飼い主同士で歓談をする機会がよくあります。

飼い主たちは、自分の犬がトラブルを起こしていないか、安全に遊んでいるかを横目でチラチラと見ながらお話に興じるわけですが…

私はそんなにこやかな会話の中で、突然それをぶった切って態度を豹変させ、低い声で「おい!」と怒鳴ることになります。

場が凍ります。

そこは飼い主同士のこと、すぐに「あっ、犬を叱ったのか」と理解してもらえるわけなのですが…恥ずかしい上、申し訳ないことこの上ありません。

せめて「こら!」「だめ!」に強い効果を持たせておけばと散々後悔したのでした。

犬に対してでさえも、それが結果に結びつく以上、言葉選びとは本当に大切な選択であり、慎重になるべきものであると考えさせられました。

 

その言葉は、どのような目的で発するものか。

その言葉を発したときに、相手がどのように受け取るか。

忙しい仕事の場で、これらをいちいち考える余裕のある人はなかなかいないのではないかと思います。

けれど、言葉を発することの意味や重要性を認識しておくだけでも、周囲との関係性はまた一歩前進するのかもしれません。

弊社のメンタル&ビジネスコーチの岩下知史さんは、豊富なコーチング経験から様々なコミュニケーションの極意を記事にして下さっています。

言葉の選び方でいえば、こちらの記事。

【自己肯定感の低い部下と向き合う方法】

https://blog.people-resource.jp/how-to-boosting-employee-self-esteem/

部下をのびのびと成長させられる上司は、どのような言葉がけをしているのか。

実際の言葉の使い方も含めて、そのヒントが紹介されています。

通勤、休憩などのすき間時間に、ぜひご覧ください。

竹内円

P.S.
私の野太い「おい!」は、仲の良い飼い主さんたちの間ではすぐに定着し、スルーしてもらえるようになりました。

「本当にすみません」と恐縮する私に対し、優しい皆さんは「あのくらいがっつり怖く叱らないと、躾にならないよねぇ」「迫力が凄いね!」と慰めて(?)下さるのですが、そのたびにやっぱり「おい!」はなかったなぁ…と反省するばかりです。

P.P.S.
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます!

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Who is writing

経営人事パートナーズ テクニカル・アシスタント。
東北大学文学部卒業。製鉄会社の人事、大学法人の福利厚生制度の企画運営担当者などを経て現職。
持病の悪化による退職や家族の転勤による退職などを経験する中で、社員と企業双方にとっての最適解とは?人事を研究し突き詰めることはできるのか?という疑問を感じており、経営人事パートナーズの考え方に強い共感を覚えて入社。
生き物とバイクが大好きで、ボーダーコリーの女の子を溺愛しているが、彼女は熱烈なお父さんっ子なので若干片想い。うすうす感づきつつも、めげずに毎日愛を伝えている。