【ChatGPT活用法】SlackアプリでChatGPTを共有しよう
この記事では、ChatGPTをSlackで共有し、チームでアイディア出しや書類作成、海外文献の共有を行う方法を紹介します。
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この記事では、ChatGPTをチームで活用して、アイディア出しや書類作成、海外文献の共有を行う方法を紹介します。
各チームメンバーのすき間時間などに行えることから、会議などを設定する必要もなく、いつでもどこでも気軽に実行できるのが強みです。
また、会議で発言しづらい方でもチャットなら、積極的に参加できるかもしれません。
議事録やメモを作成しなくても、討論の流れを全員が文字で共有できるのも魅力です。
是非、部署やチームでChatGPTを共有してみましょう。
では早速、使用するアプリを紹介します。
使用するアプリはSlackとAssort
この記事で紹介する方法では、メッセージアプリケーションのSlackとSlackの拡張機能であるAssortを使用します。
AssortをSlackにインストールして、簡単な設定をするだけでChatGPTをチームで共有できます。
ChatGPTでのユーザー登録も必要なく、簡単な設定だけで使用できますので、ご安心ください。
アプリについては、のちほど設定方法をそれぞれご案内いたします。
まず、この方法で業務をする上でのメリットや注意点について説明します。
Assortを使ってChatGPTを共有するメリット
- APIの取得や複雑な設定が必要ない
通常、ChatGPTと他のアプリケーションをつなげるためには、ユーザーがChatGPTにアカウント登録をして、API(異なるアプリを連携させるためのしくみ)を準備する必要があります。
しかし、Assortでは、運営をしている合同会社QinのAPIを使用していることから、ユーザー側でAPIの準備や設定をする必要は一切ありません。
複雑な設定もなく、技術的な知識も必要ありません。
- 100万トークン/月まで無料(23年7月1日時点)
通常、ChatGPT側のAPIの利用は有料ですが、Assortを使用すれば無料です(2023年7月1日時点)。
ただし、利用できるのは100万トークン/月までです。
(トークンとはテキストデータをAIが理解できるように分解した場合の単位。日本語より英語の方がトークン数が少なくなる傾向にあります。Open AI社の「Tokenizer」に入力すれば、該当の文章が何トークンなのか、計算してくれます。)
Assort公式サイトで「今後機能向上やサポート体制の強化のため、有料化を検討しています」との記載があるため、近いうちに有料化される可能性はあります。
ちなみに使用したトークン数はダッシュボードより確認できます。
- 情報漏洩のリスクが低い
Assortでは運営会社Qinのデータベースにチャットの履歴を保存せずに、APIを通してChatGPTに回答のリクエストを送っています。
Assort公式のホームページにも「私達はお客様の対話データを一切保持しません。データ漏洩を心配する必要はありません。」と記載があります。
ChatGPTを運営しているOpen AI社では、不正利用や乱用の監視を理由にAPIを介して得た情報を30日間保存した後、消去しています。
また、Open AI社のAPIデータ取り扱いポリシーでは、APIを介して入手した情報をモデルの学習データに利用しないとも明記されています。
そのため、情報漏洩のリスクはゼロではありませんが、低いと考えられます。
しかし、個人を特定できるような情報については、ChatGPTを直接、使用する場合と同じように慎重に取り扱うことをおすすめします。
- 使い勝手がほぼChatGPTと同じ
詳細はのちほど紹介しますが、Slackチャンネルのメッセージ入力欄に@assortと入力したあと、プロンプトを打つだけで、ChatGPTから回答が得られます。
すでにChatGPTを使用したことのあるユーザーにとっても、使用感に違和感が少ないでしょう。
- ChatGPTの回答をチームと共有するのに、他のアプリが必要ない
今までChatGPTの回答結果を共有するには、シェアリンク機能を使って作成したリンクを相手に連絡したり、テキストデータをコピー&ペーストしたファイルを共有したり、複数のアプリやソフトウェアを使用しなくてはなりませんでした。
しかし、Assortを使えば、ChatGPT上で、指示~回答に対する深掘りまで、全てSlack上で完結します。
- ChatGPTの回答について、メンション(特定のメンバーに直接、通知すること)をして、個別に意見を求めることができる
ChatGPTの回答について、チームメンバーを指名して意見を求めたり、別のチームメンバーがChatGPTの回答に対して深掘りするのをリアルタイムで共有できます。
- 事前にチャンネルごとの設定ができる
チャンネルごとにChatGPTの事前設定を加えることができます。また、近いうちに有料プランに使われているGPT4.0モデル(現在Assortが利用しているのはGPT3.5-turbo-6.13)も選択できるようになるそうです。のちほど「チャンネル毎の設定」で詳しく解説します。
Assort使用時の注意点
- スレッドごとにChatGPTとの対話に上限が設けられている
使用して初めて、スレッドでの対話に上限数があることが分かりました。
しかし、この上限数がトークン数によるものなのか、回数によるものなのか、具体的なことは分かりませんでした。
Slackの設定
まずはSlackの設定をします。1~3はSlackを過去に一度も使用したことがない方向けの設定方法です。
すでにSlackをご利用中の方は、4から設定を始めてください。
1. Slackのサイトにアクセス
Slackのサイトにアクセスして以下の画面が表示されたら、メールアドレスを入力してください。
2. 認証コードを入力
入力したメールアドレス宛にコードが届くので、入力します。
3. ワークスペースの設定
Slackの案内に従って、ワークスペースの作成またはワークスペースへの参加をします。
作成する場合、ワークスペースの名前は会社名など、Slackを利用する際の組織の名前にするのがいいでしょう。
既存のワークスペースへ参加する場合は、ワークスペースの管理者から招待リンクを送ってもらいましょう。
4. チャンネルの設定
ChatGPTを共有する「チャンネル」を作成します。画面左側にある「チャンネルを作成する」ボタンをクリックして作成できます。
5. チームメンバーの追加
このチャンネルにチームメンバーを招待します。
チャンネルに表示される「メンバーを追加する」をクリックし、相手が同じワークプレイスに登録されていれば名前を入力して、招待しましょう。
相手が同じワークプレイスに登録されていない場合は、まずはワークプレイスへ招待しましょう。
ワークプレイスのプルダウンメニューから、「メンバーを以下に招待:(チャンネル名)」から相手をワークプレイスに招待します。
詳しくはこちらを参考にしてください。
相手がワークプレイスに参加したことを確認できたら、チャンネルに招待します。
なお、Slackの有料プランをご利用の場合はゲストアカウントを利用する方法が使える可能性も。詳しくはこちらをご参考ください。
6. 設定完了
チームメンバーとして相手の参加を確認できたら、slack側の設定は完了です。
Assortの設定
次にAssortの設定をしましょう。
1. Assortのサイトにアクセス
Assortの公式サイトの「Slackに追加する」をクリックします。
2. Slackにインストール
表示された画面に沿って、Slackのワークスペースにサインインします。これでインストールが完了します。
3. コマンドを有効化
Slackにサインインすると表示される画面の左下にある「App」の「Assort」をクリック。
表示された画面のタブ「ワークスペース情報」の画面下部にある「コマンド」で「/chat」の「コマンドを有効化する」をクリックします。
4. チャンネルへの招待
Assortをチャンネルに招待します。チャンネルのメッセージ入力画面に/invite @Assortと入力し、送信しましょう。
5. 設定完了
チャンネルに「Assortが参加しました」と表示されたら、Assortの設定は完了です。
チャンネルごとの設定
次にChatGPTのチャンネルごとの設定をご紹介します。この設定は任意のため、実行しなくてもChatGPTの共有には問題ありません。
ChatGPTの出力に特別な設定をしたい方のみ、参考にしてください。
Assortを招待したチャンネルに入り、メッセージ入力欄に「/chat」と入力し、送信しましょう。
するとチャットの設定画面が表示されます。この画面でチャンネルごとの設定をします。
「コンテキスト(任意)」への入力で簡単な設定が可能です。
例えば「回答は必ず箇条書きで出力すること」と入力すると、ChatGPTからの回答は全て箇条書きで出力されます。
また、この画面では将来的にGPT4.0モデルを選択できるようになるそうです。
チャンネルからChatGPTに話しかけよう
Assortを招待したチャンネルのメッセージ入力欄に「@assort」とメンションし、プロンプトを入力するだけで、ChatGPTから回答をもらうことができます。
スレッド内でChatGPTの回答に返信をする場合も、必ず「@assort」を入力し、メンションしてください。
メンションを忘れて送信をしてしまうとChatGPTから回答は戻ってきません。
メッセージの編集で、あとから「@assort」を追加しても、回答は得られません。
メンションを忘れた場合は、メッセージを削除して、メンションとプロンプトを入力しなおしてください。
それでは、ChatGPTをチームで共有したら、どのようなことができるのでしょうか。
いくつか例をあげてみます。
利用例その1 チームでブレインストーミングをしよう
ChatGPTの活用法では以前、一人でブレインストーミングをする方法をご紹介しました。
今回の方法では、チームメンバーとChatGPTを利用して、チームメンバーとSlackのチャンネル上でブレインストーミングができます。
では、早速ブレインストーミングをしてみましょう。
「中核となる社員の退職が相次いでいる」という想定で、原因と対応策について、ChatGPTを使ってチームメンバーとブレインストーミングをします。
また、対応策については1~10の評価をしてもらいました。1が難易度低め&低コスト、5が難易度もコストも平均的で、10が難易度高め&高コストとしました。
上が筆者の入力したプロンプトで、下がAssortを介したChatGPTの回答です。
ChatGPTが提案してくれた対応策の中でも、至急、取り組むべき対応策はどれなのか、筆者がプロンプトを打って教えてもらいます。
その回答に対して、チームメンバーである「その2」さんが、さらにChatGPTに質問し、掘り下げていきます。
回答内にあるストレス管理の支援策について、具体的にどうやってプログラムを作成するのかを聞いてみたところ、プロに作ってもらう、という案が出てきました。
そこで、このサービスを提供できる企業が実際にあるのか聞いたところ、実際にある企業やプラットフォームをいくつか、あげてくれました。
さらに、名前のあがった企業やプラットフォームのうち、日本語でのサービスを提供しているのはどこか教えて欲しいとお願いしました。
しかし、筆者が確認したところ、ChatGPTからの回答には日本語でのサービス提供が現時点で、確認できないものも含まれていました。
くどいようですが、事実確認は忘れずに!
利用例その2 資料作成を効率化しよう
次は会議資料の作成について、チームメンバーからの意見をもらいながら仕上げていく、という方法を紹介します。
中途採用におけるリファレンスチェック導入を検討するため、会議資料を作成するという想定でプロンプトを打ちました。
まずは、リファレンスチェックのメリット、デメリット、法的リスクなどについて、ChatGPTに聞いてみます。
スライド用にドラフトを作成してもらいました。
できあがった資料について、チームメイトのその2さんにメンションして意見を求めてみましょう。
それでは、この内容についても、スライドのドラフトを作成してもらいましょう。
スライド1枚に収めたいので、簡潔に書き直してもらいました。
しかし、ここで「このスレッドでの対話の利用上限に達しました。ChatGPT APIの仕様上、対話機能に制限が設けられております。
また対話をする場合は、新たに開始してください。」とメッセージが表示されました。
別にスレッドを立てれば、対話は再開できますが、対話の内容を覚えているとは限りません。
この場合、前の対話から引用するといいかもしれません。
例えば、筆者は前のスレッドの一部をかぎかっこで引用し、新しいスレッドを立て、対話を再開しました。
利用例その3 海外の資料を日本語で共有しよう
プロジェクトなどで海外の記事や文献を参考にすることもあると思います。
チームに共有する際、ChatGPTに翻訳してもらえれば、共有と翻訳が一気にできるので便利です。
例えば、構造化面接についてのGoogleの記事を共有してみることにします。
@channelでチャンネル上の全メンバーにメンションしたあとに、@assortを入力し、ChatGPTに翻訳をお願いしました。
すでに日本語になっていれば、メンバーがそれぞれ翻訳機に書ける必要もありません。
もちろん、重要な点のみを抽出し、日本語で箇条書きにしてもらうことも可能です。
他にも活用方法はたくさん
ここに紹介した利用方法以外にもたくさんの活用法が考えられます。
IT関連のプロジェクトであれば、ChatGPTに指示して作成したコード、コードレビューやデバッグの履歴などを共有し、別の作業をするときの参考にできるかもしれません。
Assortのアンケート機能を利用し、集計結果をChatGPTに解析させて、その結果をチーム全員で共有や検討をする、という使い方などもできそうです。
まとめ
ここまで、SlackとAssortを使って、ChatGPTをチーム内で共有する方法をご紹介してきました。この記事でご紹介した方法を使用すれば、Slack上で完結するため、非常にシンプルです。
また、この方法を活用すれば、ブレインストーミングなどの会議設定に時間を取られることもありません。効率的に仕事を進めたい多忙な皆さんには、強い味方になってくれるでしょう。