【残念な求人票の直し方】vol.6 不動産営業職の場合

大きな収入を狙えるからこそ、魅力的な不動産営業。長く勤める人を採用したいのであればまずは求人票を見直してみませんか?詳しく解説します。

  

こんにちは、求人票調査員の原あずみです。

採用担当者のあなたは、日々こんな悩みを抱えていませんか?

  • 適性がある人材を見極めるための採用方法が確立できず、悩んでいる
  • 面接時に確認したはずなのに、「こんなに大変だとは思わなかった」と新人がすぐに辞めてしまう
  • 期待の新人として太鼓判を押して入社させたのに、思ったほど活躍してくれない・・・

不動産・車・保険の営業は、特別な資格が不要な仕事にも関わらず、大きな収入を狙える業界です。

しかし、実際には向き不向きがあり結果がすべての実力主義の世界ですよね。

夢や大きな志を持っているであろう応募者を採用したのにも関わらず、すぐに辞められてしまっては採用にかかるコストが膨らむばかりで会社も安定しません。

採用担当者が

  • 長年培った経験からくる直感
  • なんとなく雰囲気が社風に合うか
  • 前職での経験を自社でも発揮してくれそうか

だけで合否を決めるのではなく「応募者自身に適性があるか」を見極める採用プロセスにシフトチェンジしていきませんか?

ある求人票を見ていきましょう。

【残念な求人票】不動産営業の場合

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【仕事内容】

地域内エリアに特化した不動産売買仲介営業です。
完全反響制で、担当エリアを全てお任せします。

【営業の業務】

  • エリア内新着物件確認
  • 物件登録&写真撮影
  • チラシ作成
  • 営業企画会議
  • 接客&追客
  • 物件調査&査定
  • エスクロー業務

等々、エリアを絞っている分、業務範囲は明確になります。
また、エリア内の地理感にも早く馴染む事ができます。

【アピールポイント】

職場の特徴:男5名、女5名、平均年齢28歳のアットホームな職場です。
企業ビジョン:2030年までに10店舗展開!

【求める人材】

  • 宅地建物取引士
  • 不動産売買仲介営業経験2年以上

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この求人票の残念ポイントは、会社をアピールする部分に2つ。

①「アットホームな職場」を押し出している
②企業側の情報しか乗っていない

詳しく見ていきましょう。

残念ポイント①「アットホームな職場」を押し出している

実は「アットホーム」という言葉は求職者が一番警戒すると言ってもいい言葉です。

なぜなら、検証ができないから。

私自身も20代の頃、アットホームな会社という職場へ面接を受けるべく訪問させていただいた時のこと。

「ここでお待ちください。」

と椅子に座るや否や、男性の怒号が事務所に響き、叱咤激励(?)を社員が受けていました。

私が座っている席から見えた、社員2名はパソコンに向かったまま険しい顔。

私はびっくりする顔を隠しきれませんでした。

程なくして現れた面接官の方と、面接をする部屋へ移動中にこんな会話をしました。

「うちはアットホームで、社員一丸となって頑張っています。」
「社長も社員のことを家族同然で接します。家族には時には厳しく接し、たくましく成長して欲しいですよね。」

社長の怒号だったとは・・・

そうなんですね。という相槌しかできず・・・

その会社の内定は丁重に辞退させていただきました。

そうじゃない、ですよね。

これは極端な例かもしれません。

しかし、アットホームという言葉の裏に隠されたものが自分のイメージするものと同じかどうかは求人票からは読み取ることはできません。

確かに社長も陽気な方で、社員からすれば本当にアットホームな職場かもしれません。

しかし、それらを応募者へ伝える場合は、ただ「アットホームな職場です!」と簡単に書くのではなく言葉を尽くして伝えましょう。

いらぬ誤解や憶測を生むと、せっかく生まれた求職者からの「問い合わせというチャンス」を逃してしまいます。

残念ポイント②企業側の情報しか載っていない

会社の成長するスピードや事業拡大をアピールポイントにすることで、意欲があり仕事に対して積極的な姿勢の人材を獲得したいですよね。

しかし、「企業ビジョン:2030年までに10店舗展開!」だけだとこの企業ビジョンが今後どう自分の仕事に影響するのかを想像することができません。

  • 10店舗展開する予定なので店長候補を育成するため、経営や人材育成を経験できます
  • 急拡大のため、自分がより働きやすい会社へとするため、経営者とともに経営へ参画できます
  • 今後も人材を獲得するため、後輩を育成するマネジメントや、マーケティングも学べます

など、実際にどのようなキャリアを積めるかを書くことで、求職者は入社後の未来をより鮮明に想像することができます。

求人票の「疑問」を少しでも潰し、応募するハードルを下げていきましょう。

言いたいことではなく応募者が知りたいことを書こう

極端な話をすると求人票は「八百屋さん」です。

  • 今日の大根いいの入ってるよ!
  • このじゃがいも北海道産だよ!
  • 今日は魚も安いよ!

と八百屋さんの事情ばかり(会社の事実ばかり)書いていても「ふ〜ん」でスルーされてしまいます。

なぜなら、どこの八百屋さん(求人票)も「うちのものは最高だよ!」といい所ばかり書いているからです。

  • ちょっと形は悪いけど味は同じだし、曲がっている分煮込む時間が短縮になるよ!
  • 北海道のジャガイモは、じゃがバターで食べるのが一番!
  • この魚は季節ものだから栄養たっぷり!味噌汁に入れてもおいしいよ!

と、具体的な提案をされた方が納得もしやすいですよね。

  • どのようなキャリアが積める仕事なのか
  • どのような人が働いているのか
  • なぜ求人票を出しているのか
  • なぜこの給料なのか

求職者が知りたいことをより詳しく書いてみましょう。

求職者が常に知りたがっていることは

  • 給料
  • キャリア
  • 仕事内容
  • 人間関係

です。

正直、一般人が転職するのであれば、会社の成長速度や事業拡大に興味はありません。

経営者ではありませんから。

中には「事業拡大・・・?仕事が多い?残業が多い?」と思ってしまう人も。

そう、転職を希望するみなさんは「自分のこと」しか興味がないのです。

今一度あなたの求人票が「会社側が言いたい事だらけになっていないか」を見直してみませんか?

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Who is writing

株式会社経営人事パートナーズ求人票ナビゲーター
九州共立大学工学部環境サイエンス学科卒業。
高級外車ディーラ勤務時代、同じ顧客に4年間で3台購入してもらった経験を有する接客の達人。
パートナーのうつ病をきっかけに、手に職をつけるべく30歳から、兼業でWeb制作の仕事を開始。
仕事をこなす中で、商品・サービスを購入する側、販売する側それぞれを幸せにすることができる「セールスライター」という職業を知り、思い切ってセールスライターへ転身。
今は執筆することが、一番の楽しみ。
結果にこだわりながら、読者の琴線に触れる言葉を模索し、日々鍛錬中。
温泉が大好き。