世界で評価される日本のゴルフコースとは・その1~世界ゴルフコースランキングに名を連ねる日本のゴルフコース~
世界から見た日本のゴルフコースについてのシリーズ。1回目は、世界ゴルフコースランキングに名を連ねる日本のゴルフコースをご紹介します。

Contents
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世界で評価されている日本のゴルフコースはどこなのか。
そもそも世界のゴルフコースランキングは、どのような評価基準なのか。
世界から見た日本のゴルフコースについて、シリーズで取り上げたいと思います。
1回目は、世界ゴルフコースランキングに名を連ねる日本のゴルフコースについてです。
世界で評価される日本のゴルフコースとは

2021年に世界のゴルフ統括団体の一つであるR&Aが発表したデータによれば、日本のゴルフ場の数は2,202か所、コースの数は3,140コースとなっています。
これは第1位のアメリカに次ぎ、イギリスやカナダと並ぶ多さです。
そしてその中には、世界的に著名なゴルフコースランキングにもランクインする名コースがあります。
どのようなゴルフコースがランクインしているのか紹介する前に、まず世界ゴルフコースランキングについて触れておきましょう。
代表的な世界ゴルフコースランキングの歴史と代表的なランキング
コースランキングが発表されるようになったのは、1970年代の事です。
ただし最初のゴルフランキングは、1939年にアメリカのゴルフ雑誌の企画で作られていました。
球聖ボビー・ジョーンズやウォルター・ヘーゲン、ジーン・サラゼンなどのプロゴルファー、C.H.アリソンやロバート・トレント・ジョーンズSrらの設計家を含む17名の有識者により世界TOP100コースが選ばれ、ランク付けが行われたのです。
しかしランクインしなかった名門クラブから多くのクレームが寄せられたことに加え、その後の第二次世界大戦が世界中のゴルフコースに大きな影響を及ぼしたため、コースランキングの作成は長らく行われませんでした。
ランキング復活のきっかけは1939年作成のランキングにも携わり、その後世界的コース設計家となったロバート・トレント・ジョーンズSrからの訴えでした。
彼は世界各地で新設コースが増え続ける状況を受け、「ランキングを通じて名コースのスタンダードを伝えることが、ゴルフ界の発展につながる」としてコースランキングの復活を訴えたのです。
この声を受け、アメリカのゴルフマガジン(Golf Magazine)誌とゴルフダイジェスト(Golf Digest)誌の2誌が、「ゴルフコースの選定だけ行い、順位付けは行わない」という形でゴルフコースの評価企画を復活させました。
今では日本をはじめとする世界中の様々な雑誌やサイトなどが、ゴルフコースランキングをまとめています。
しかし現在でも両誌で行っている次のランキングは、より一層権威あるものとしてゴルフ関係者の注目を集めているのです。
●アメリカのゴルフマガジン(Golf Magazine)誌とそのサイトであるゴルフドットコム(Golf.com)が選定する「Top 100 Courses in the World」
●アメリカのゴルフダイジェスト(Golf Digest)誌が選定する「World’s 100 Greatest Golf Courses」
それぞれについてもう少し詳しくご紹介しましょう。
【アメリカのゴルフマガジン(Golf Magazine)誌・ゴルフドットコム(Golf.com)選定の「Top 100 Courses in the World」】
ゴルフマガジン誌で名コース選定の企画が始まったのは、1979年のこと。
1985年に現在と同じく100のコースをランク付けする形式になりました。
ランキングの作成には、識者やゴルフコース設計家ら約110名のパネリストが携わり、隔年で発表しています。
【アメリカのゴルフダイジェスト(Golf Digest)誌が選定する「World’s 100 Greatest Golf Courses」】
ゴルフダイジェスト誌の企画は、まず1975年から全米のベストTOP100コースを選ぶという内容で始まりました。
現在は、こちらも全米TOP100コースランキングと世界TOP100コースランキングを隔年で交互に発表しています。
ゴルフマガジン誌の世界ランキングとの大きな違いは2点。一つは、世界ランキングにはアメリカのコースを含んでいないという点です。
もう一点は、ランキングに携わるパネリストの数。
いわば少数精鋭で選定にあたるゴルフマガジン誌に対し、ゴルフダイジェスト誌では世界各地の数千人のパネリストから意見を集めて、ランキングを作成しています。
ここからは両ランキングの最新版である「TOP100 Golf Courses in the World 2023−24」、「World’s Top 100 Golf Courses Outside US」にランクインしている日本のゴルフコースをご紹介しましょう。
世界で評価されるゴルフコース1・廣野ゴルフ俱楽部(GM誌・31位 GD誌・26位)

長らく日本のコースの最上位でランクインし続けているのが、兵庫県三木市にある1932年開場の廣野ゴルフ倶楽部です。
コースを設計したのは、当時世界的な設計家であったC.H.アリソン。
1930年に廣野の土地を見つけゴルフコースの建設を考えていたメンバーは、その年の12月から東京GC・朝霞Cの設計を主目的にアリソンが来日している事を知ります。
そこで中心メンバーの一人であり、商社マンとして英語も堪能だった高畑誠一が上京。
アリソン本人や関係者との交渉の末、アリソンを関西に招くことに成功しました。
アリソンは目の当たりにした適度な起伏の中に池や谷、林がある丘陵地というコースに適した立地に感銘し、3日間ホテルにこもってそれらを存分に活かしたコースを設計したと伝わっています。
その後、太平洋戦争時における農場への徴用、更には戦後の度重なる改修などによって、コースはアリソンが設計した開場当時のものから様相を変えていました。
そこで開場90周年を前に、倶楽部は全英オープン開催コースの改修を数多く手がけていたマーティン・イーバートに改修工事を依頼。
イーバートはアリソンが遺したコース設計図などを基に、アリソンの原設計を尊重しつつ当時からの飛距離の伸びも加味した改修設計を行いました。
そして2019年1月から9ヵ月かけて行った大規模工事により、コースはアリソン設計による開場当時の趣を取り戻します。
改修後にコースをプレーしたランキングのパネリストはコースを高く評価し、順位は改修前より大幅に上がる結果となりました。
世界で評価されるゴルフコース2・川奈ホテルゴルフコース・富士コース(GM誌・53位 GD誌・50位)

トーナメント中継によって全国に知られたシーサイドコース、川奈ホテルゴルフコース・富士コースもランクインし続けています。
こちらも来日していたC.H.アリソンが設計を手がけました。
前述した廣野ゴルフ俱楽部設計などのためにアリソンが関西へ向かう途中、彼は川奈に立ち寄ります。
案内役である設計家の大谷光明から依頼されていた、川奈に作る新設コースの設計修正をするためです。
川奈の風光明媚な風景を見たアリソンは「絶景に幻惑されて正しい設計ができない」として、到着から3日後まで作業ができなかったそうです。
そしてアリソンは設計を全面的に書き変え、自然の起伏を活かし美しい眺望を楽しませる一方で、砲台グリーンや深いバンカーによってプレーヤーの技量を試す新たな18ホールを描き上げたのです。
実際のコースの造成では、火山灰質で排水が悪いため芝が根付かないという課題がありました。
しかしその課題も、農学博士で後にコース設計も手掛ける丸毛信勝がとった、外部から客土を持ち込む手法で解決。
富士コースと名付けられた新コースは、ホテル施設の開業と同じ1936年に開場しました。
近年では、育ちすぎた木を伐採して海の眺望を改善する取り組みが進められ、ランクアップを続けています。
また川奈ホテル・富士Cはメンバーシップコースではなくホテル施設の一つであるため、HPなどを通じて予約すれば誰でもプレーできる点も嬉しい特長です。
※富士C・15番ホールのライブカメラ:
https://www.princehotels.co.jp/golf/kawana/fuji/informations/livecamera_fujicourse/
世界で評価されるゴルフコース3・鳴尾ゴルフ倶楽部(GD誌・83位)

関西に出向いたアリソンが廣野GCの設計と併せて行った仕事に、鳴尾ゴルフ俱楽部・猪名川コースの改善提案があります。
1920年に設立された鳴尾ゴルフ倶楽部は元々、鳴尾浜の土地を借りて18ホールのホームコースを持っていました。
しかし地主からコースの明け渡しを求められた倶楽部は、1930年にH.C.クレーンの設計により猪名川コースとも呼ばれる新たなホームコースを作ったばかりでした。
山あいの地形を上手く取り入れた新コースに対して、周囲からは高い評価が寄せられます。
それでも自身の設計に満足していなかったクレーンは、上京する高畑誠一を通じてアリソンにコースの視察と改善勧告書の提示を依頼したのです。
その求めに応えて、アリソンは現地を訪れ数日間にわたってコースを視察。
ティーやバンカーの新設、樹木の除去など各ホールの改善点を勧告書にまとめました。
勧告書に沿って改造が行われたコースは山の中にありながらリンクスの雰囲気を漂わせるものとなり、今では世界のゴルファーからも注目を集めているのです。
世界で評価されるゴルフコース4・東京ゴルフ倶楽部(GD誌・99位)

2024年の大会を始め過去に7回(現コースでは5回)の日本オープンを開催した東京ゴルフ俱楽部も、世界ランキングにランクインしています。
ただし、倶楽部の設立当初から現在地にホームコースがあった訳ではありません。
1913年の倶楽部設立翌年に、東京の駒沢(現在の駒沢オリンピック公園)へ作った駒沢コース。
そして、1932年にC.H.アリソン設計によって埼玉県膝折村(現・朝霞市)へ作った朝霞コースと2度の引越しを経ているのです。
特にアリソンが来日する主目的であり、現地を視察後の約10日間ホテルにこもってコースを設計した朝霞コースは、「東洋一美しいコース」とも呼ばれました。
現在のコースは、1940年に東京GCと合併した旧・秩父CCが作った大谷光明設計によるものです。
創立100周年を前にした2005年、倶楽部はコース全体を見直すマスタープランの策定を決め、アリソンの設計の師であるH・コルトを研究した経歴もある設計家ギル・ハンスに策定を依頼します。
そして、ハンスがまとめたマスタープランに基づいて2009年から改造に着手。
2つのグリーン、そしてコースレイアウトと全ての工事完了まで10年に及んだ大規模改造により、コースはアリソンにも学んだ大谷光明の原設計を尊重しつつも現代のゴルフにも対応したものに生まれ変わりました。
※東京GCのライブカメラ:https://www.tokyogolfclub.jp/today/
まとめ
今回は代表的な世界ゴルフコースランキングと、その中にランクインしている日本のゴルフコースについてご紹介しました。
では、世界に数多いゴルフコースの中からランクインするコースは、どのような基準により選ばれるのでしょうか。
次回は世界ゴルフコースランキングの選考基準についてご紹介していきます。
