リファレンスチェックとは?違法性・実施手順・拒否された際の対処法などをご紹介
リファレンスチェックとは何か・どんなメリットがあるかを解説します。適切な手順を把握し、ミスマッチやトラブルの回避にお役立てください。
Contents
「リファレンスチェックとは何かを把握して、採用活動に役立てたい」
「意味や目的だけでなく、リファレンスチェックの適切な実施方法を理解してベストな人材を採用したい」
そんな方のため当記事では、「リファレンスチェックとは」について解説します。リファレンスチェックのメリットや実施手順、注意点などもまとめました。
「違法なリファレンスチェックを避けつつ、ミスマッチなしの採用をしたい」「自社の魅力を候補者に正しく伝えて、内定辞退・早期離職を防止できれば…」など、より良い採用をするための情報をおさえていきましょう。
リファレンスチェックとは
リファレンスチェックとは、採用候補者と働いた経験がある上司・同僚などに調査することです。リファレンス(reference)とは「参照」「照合」「言及」などを意味します。
リファレンスチェックをする理由・目的は、以下のような質問を通して採用候補者の人物像・実際の働きぶりなどを詳しく知るためです。
- 「勤務態度はどうでしたか?」
- 「課題・トラブルへの取り組み方は?」など
基本的にリファレンスチェックは、中途採用フローで実施されるケースが多いです。「自社の発展に最も貢献してくれる人材を採用したい」「候補者をより深く知って採用のミスマッチを避けたい」などの目的を達成するため、リファレンスチェックは役立ちます。
このようにリファレンスチェックとは「採用候補者と働いた経験がある人に質問をして、より自社に合う人材を採用するための調査」を意味します。
メリット|リファレンスチェックの実施目的
リファレンスチェックをするメリットは、以下の4つです。
- トラブルのリスクを下げる
- 採用ミスマッチを避けやすくなる
- 入社後の適正な配置に役立てられる
- 効率良く選考を進められる
上記4点を把握しておけば、リファレンスチェックのメリットを最大限引き出しやすくなります。最適な候補者を採用するため、上記4つの「リファレンスチェックのメリット」を詳しく見ていきましょう。
トラブルのリスクを下げる
リファレンスチェックのメリット①「トラブルのリスクを下げる」の詳細は、以下をご覧ください。
【リファレンスチェックによるトラブルリスクの軽減効果】
- 採用後、不正・不祥事を起こすリスク
- 勤務開始後、人間関係などのトラブルを起こすリスク
- 採用過程において誇張・自己認知のズレがないかをチェックする
リファレンスチェックを実施すれば採用後のトラブル発生リスクを抑え、適切に運営できます。「こんなことなら他の候補者を選ぶべきだった…」と後悔したくない場合などに、リファレンスチェックが役立つことも。
このようにリファレンスチェックには、トラブルの発生リスクを抑えるメリットがあります。
採用ミスマッチを避けやすくなる
リファレンスチェックのメリット②は、採用のミスマッチを避けやすくなることです。現職・前職の関係者に質問することで以下のような「書類選考・面接では見えづらい、客観的に見た採用候補者」を把握しやすくなります。
採用候補者と一緒に働いたことがある人による客観的な評価情報を得られれば、自社の風土・職場環境にマッチするかどうかを見極めやすくなります。書類選考や面接では見えなかった強み・採用候補者本人が自覚していない良さなどを発見できることがある点がリファレンスチェックのメリットです。
またリファレンスチェックで採用候補者の価値観などを把握して自社の魅力を適切に伝えれば、内定辞退や早期離職の防止にも役立ちます。「この人はプライベートを大切にしたいタイプのようだから、当社の残業時間が短い点やメリハリをつけて働く人が多い点を伝えよう」など、各採用候補者に合ったアピールの仕方を見つけやすいです。
このようにリファレンスチェックにはお互いを正しく理解して採用ミスマッチを避けやすくなるメリットがあります。
入社後の配置に役立てられる
リファレンスチェックのメリット③は、採用候補者について正しく理解することで入社後の配置に役立てられることです。
採用候補者のスキルや働き方などを正しく理解すれば、以下のように「どの部署に配置すれば活躍してくれるか」を見極めやすくなります。
- 「PCスキルと対人能力が優れているから、組織体制を強化するため総務に配置しよう」
- 「人柄が良くリーダーシップがあるから、幹部候補として経営企画部で頑張ってもらおう」
- 「FPの資格を持っているけど実務ではあまり知識を使わなかったみたいだから、採用後は研修時間を多めに確保できる部署に配置しよう」など
リファレンスチェックをすれば、採用後の配置を最適化して事業の運営効率を上げられます。
このように採用候補者を深く理解して、入社後の配置に役立てられる点がリファレンスチェックのメリットです。
効率良く選考を進められる
リファレンスチェックのメリット④は、早さ・質を高めながら効率良く選考を進められることです。
例えば「スキル・経験が同等の候補者がいて迷ったけど、リファレンスチェックで人柄を把握できたから素早く良い人材を採用できた」と感じることもあるでしょう。
リファレンスチェックを実施すれば各候補者のスキル・価値観などを深く理解できるので、選考時の迷いを減らしながら自社に合う人材を見極めやすくなります。
このように選考のスピード・質を高めて効率良く採用できる点が、リファレンスチェックのメリットです。
手順|リファレンスチェックのやり方
リファレンスチェックの実施手順は、以下をご覧ください。
- 採用候補者にリファレンスチェックの説明をする
- リファレンスチェック回答者と日程などを調整する
- リファレンスチェックにおける質問内容を決める
- リファレンスチェックを実施する
- リファレンスチェックの結果をまとめる
上記5つの手順を把握しておけば、適切にリファレンスチェックを進められます。
「上手く知りたい情報を得られなかった」「せっかく協力してくれたのに、相手企業に迷惑をかけてしまった」などの失敗を避けるためにも、リファレンスチェックの実施手順を順番に見ていきましょう。
採用候補者にリファレンスチェックの説明をする
リファレンスチェックの手順①は「採用候補者にリファレンスチェックの実施について説明して同意を得ること」です。
具体的には以下の4点に注意し、採用候補者にリファレンスチェックの説明をしましょう。
上記4点に注意しながら状況に合わせて説明をすれば、適切にリファレンスチェックを実施できます。
「同意を得ないままリファレンスチェックを進めて裁判沙汰になってしまった…」と後悔しないよう、しっかりと事前説明をすることが重要です。
「どんな場合にリファレンスチェックが違法になるの?」と思った方は、後ほど解説する「リファレンスチェックの違法性」の項目をご覧ください。
リファレンスチェック回答者と日程などを調整する
リファレンスチェックの手順②「回答者との調整」に関する詳細は、以下をご覧ください。
リファレンスチェックの実施方法は上記以外に、電話・オンラインミーティングなどがあります。
またリファレンスチェック先に余計な負担をかけないよう、調査は相手の勤務時間内に実施し、所要時間は長くても30分程度に設定しましょう。
なお採用候補者からリファレンスチェック先を紹介してもらわない場合、回答者を選ぶところから始めます。適切かつスムーズにリファレンスチェックをしたい場合は、後ほど解説する「効率良くリファレンスチェックを進められるサービスは?」の項目をご覧ください。
リファレンスチェックにおける質問内容を決める
リファレンスチェックの手順③「質問内容を決める」際には、以下のように項目別に考えることをおすすめします。
項目ごとに聞くべき内容をまとめておけば、リファレンスチェック実施時に過不足なく質問できます。
「質問項目を決めていなかったから似たような質問をしてしまった」「人柄に関する質問ばかりして、成果や勤務状況の確認ができなかった」と後悔をしないよう、リファレンスチェックの質問を決める際には項目ごとに考えましょう。
なお質問内容を決めた後には、予めリファレンスチェック先に伝えておくと良いでしょう。
「事前に質問内容を伝えなかったから、思い出すまでに時間がかかると言われて充分に聞けなかった」「実績を調べてもらっている間に時間切れになってしまった」などの失敗を避けやすくなります。
リファレンスチェックを実施する
リファレンスチェックの手順④「調査の実施」では、所定の日時に滞りなくやりとりできるように注意しましょう。実際にリファレンスチェックをすると「思ったよりも詳しく答えてくれた分、時間がかかった」など、想定外の状況になることがあるからです。
できる限り有意義なリファレンスチェックにしたい場合には、以下をご参考ください。
「予想以上に時間がかかってしまって、一番聞きたいことをしっかり確認できなかった…」と後悔しないため、上記3つのコツを参考にリファレンスチェックを上手く進めましょう。
リファレンスチェックの結果をまとめる
リファレンスチェックの手順⑤「結果をまとめる」段階では、いつ・誰が見ても要点を正しく把握できる資料を作成しましょう。
企業規模が大きくなるほど採用担当者・面接官・役職者など、採用に関わる人は増えやすくなります。そのため誰が見ても素早く正確にリファレンスチェック結果を把握できる資料を作り、採用基準に合う候補者を適切に見極められる状況を整えることが重要です。
またリファレンスチェック結果は、次回以降の採用時にも役立つことがあります。「前回のリファレンスチェックより詳しく人柄を確認しておけば、もっと効率良く選考を進められそうだ」など、より良い採用活動につなげられるかもしれません。
このような点からリファレンスチェックの結果をまとめる際には、いつ誰が見ても正確に要点を把握できるよう心がけましょう。
リファレンスチェックをする際の注意点
リファレンスチェックを実施する際の注意点は、以下の3つです。
- 調査結果を鵜呑みにしない
- 英語力が必要になることがある
- リファレンスチェック関連の法律を確認する
上記3つの注意点をおさえておけば適切にリファレンスチェックを実施して、より自社に合う人材を採用しやすくなります。「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないよう、上記3つのリファレンスチェックに関する注意点を順に見ていきましょう。
調査結果を鵜呑みにしない
リファレンスチェックをする際の注意点①は、調査結果を鵜呑みにしないことです。採用候補者の働きぶりや周りとの人間関係など、リファレンスチェックで得られた情報は回答者の主観に過ぎません。
「回答者によって、候補者の評価が随分と違うんだな」と感じることもあるでしょう。こういった点からリファレンスチェックをする際には、調査結果を鵜呑みにしないようご注意ください。
例えば「リファレンスチェック先の上司と良い関係を構築していなかったみたいだから不採用にしよう」など、調査結果を鵜呑みにすると自社に合う人材を見落としてしまうかもしれません。「良い人材だから手放したくない」との思いから、候補者に不利な情報を提供する上司がいる可能性もあります。
相性の良し悪しや立場の違いによって候補者の評価が異なることは少なくありません。また働き方・仕事の進め方も個人の価値観によって異なるため、候補者の評価に影響することもあるでしょう。
このような点からリファレンスチェックをする際には調査結果を鵜呑みにせず、その他の判断材料をふまえて総合的に判断することをおすすめします。
英語力が必要になることがある
リファレンスチェックをする際の注意点②は、英語力が必要になる可能性があるところです。候補者の現職が外資系企業で日本語を話せる上司・部下がいない場合など、リファレンスチェック先によっては調査の際に英語力が求められることがあります。
もしあなたの会社に英語で上手くやりとりできる人がいない場合、以下のように感じるかもしれません。
- 「英語で上手く話を進められなかったから、相手に迷惑をかけてしまった」
- 「時間をかけて一生懸命調査した割に、役立つ情報を得られなかった」
このように英語力が不十分だと、上手くリファレンスチェックを進められない可能性があります。もしあなたの会社に英語でやりとりできる人がいない場合には、リファレンスチェックサービスを使うのもひとつの手です。
リファレンスチェックサービスは外資系企業を含め、様々な企業とやりとりしているケースが多いです。そのため英語力が求められるリファレンスチェック先への調査もスムーズに進めてくれると期待できます。
「どんなリファレンスチェックサービスがあるのか知りたい」という方は、後ほど解説する「効率良くリファレンスチェックを進められるサービスは?」の項目をご覧ください。
リファレンスチェック関連の法律を確認する
リファレンスチェックをする際の注意点③は、関連する法律を確認しておくことです。予め法律関連の基礎知識を把握しておかないと、違法なリファレンスチェックをしてしまうかもしれません。
「たまたま会った同業他社の知人に採用候補者のことを聞いたら個人情報保護法に抵触してしまった」といった状況にならないよう、事前にリファレンスチェック関連の法律を確認しておきましょう。
「そもそもリファレンスチェックに違法性はある?」「どんな風に調査をすると違法になる?」という方のため、次の項目ではリファレンスチェックの違法性について解説します。
リファレンスチェックの違法性
リファレンスチェック自体には違法性がありません。しかし適切にリファレンスチェックを実施しないと違法になる可能性があるため、注意が必要です。
ここではリファレンスチェックが違法になる状況として、以下の5点を解説します。
- 採用候補者に内緒でリファレンスチェックをする
- 本人の同意なくリファレンスチェックで個人情報を提供する
- 国家公務員がリファレンスチェックで個人情報を提供する
- リファレンスチェック結果をふまえて内定取り消しをする
- NG質問をする
基本的に採用候補者から同意を得ていれば違法なリファレンスチェックとはなりませんが、同意以外の項目で違法になる可能性ケースもあります。そこで次の項目から「リファレンスチェックの実施に際し、違法な調査をしないための基礎知識」を解説します。
なお、ここで紹介するリファレンスチェックの違法性は一般的な内容となるため、個別具体的な事例に当てはまるとは限りません。「今直面している状況だと違法になるのだろうか…」と思った場合には、リファレンスチェック関連の法律に詳しい専門家への相談をおすすめします。
採用候補者に内緒でリファレンスチェックをする
採用候補者に内緒でリファレンスチェックをすると、違法になる恐れがあるため注意が必要です。個人情報の保護に関する法律(以下、「個人情報保護法」)で「取得時に本人の同意が必要」と定められている情報を秘密裏に取得した場合、違法なリファレンスチェックになる恐れがあります。
例えば以下のように、採用候補者の同意なく「要配慮個人情報」を取得することは違法です。
この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。
(中略)
(適正な取得)
第二十条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。
上記の通り基本的に採用候補者の同意なく、個人情報を取得することは違法とされています。「同業他社に知人がいて、何気ない会話の中で採用候補者の個人情報を取得してしまった」という場合には、違法なリファレンスチェックとみなされないよう専門家に相談しましょう。
なお個人情報保護法には以下のように「事前に同意を得ていない場合に違法性を回避する方法」に関する記載があるため、あわせてご参考ください。
(取得に際しての利用目的の通知等)
第二十一条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
採用候補者の同意を得ないままリファレンスチェックをして違法とならないよう、事前に本人から了承を得るなど適切に調査を進めましょう。
本人の同意なくリファレンスチェックで個人情報を提供する
本人の同意なく個人情報を提供すると違法になるため、リファレンスチェックを頼まれた側(候補者の前職・現職の企業)も注意が必要です。個人情報保護法には個人データの提供について、以下のように記載されています。
(第三者提供の制限)
第二十七条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
トラブルを避けるため、予めリファレンスチェック先に違法性のない回答方法を伝えておくこともひとつの手です。リファレンスチェック先にしっかりと実施に関する目的・注意点などを説明することで、調査協力を得やすくなる点もメリットと言えます。
「リファレンスチェックについてしっかりと説明してくれる会社からの依頼だから、安心して快く協力できる」と思ってもらえれば、リファレンスチェック先に拒否されるリスクを減らせるはずです。本人の同意なく個人情報を提供すると違法になる点を把握して、リファレンスチェック先に快く協力してもらえるような対応を心がけましょう。
国家公務員がリファレンスチェックで個人情報を提供する
国家公務員はリファレンスチェックで個人情報を提供することが違法となる可能性があります。その理由は、離職した社員などに関する情報を他社に提供することを禁じる法律があるからです。
(他の役職員についての依頼等の規制)
第百六条の二 職員は、営利企業等(営利企業及び営利企業以外の法人(国、国際機関、地方公共団体、行政執行法人及び地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人を除く。)をいう。以下同じ。)に対し、他の職員若しくは行政執行法人の役員(以下「役職員」という。)をその離職後に、若しくは役職員であつた者を、当該営利企業等若しくはその子法人(当該営利企業等に財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。)を支配されている法人として政令で定めるものをいう。以下同じ。)の地位に就かせることを目的として、当該役職員若しくは役職員であつた者に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該役職員をその離職後に、若しくは役職員であつた者を、当該営利企業等若しくはその子法人の地位に就かせることを要求し、若しくは依頼してはならない。
上記の通り国家公務員出身の候補者に対するリファレンスチェックは、個人情報保護法に加えて国家公務員法への注意も必要になる点をおさえておきましょう。
リファレンスチェック結果をふまえて内定取り消しをする
リファレンスチェックで候補者に関する良くない情報が得られたことをふまえ、内定取り消しにすると違法になる可能性があります。内定取り消しは解雇に相当するため、簡単には認められないとされているからです。
どのような場合に解雇が認められるのかについては、労働契約法に記載されています。
(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
リファレンスチェックの結果をふまえて内定取り消しをした際に根拠が不十分とみなされれば、違法になると考えられます。そのためリファレンスチェック結果をふまえて内定取り消しをする場合、違法になるリスクを避けるため専門家に相談するなど、慎重に判断しましょう。
なお内定前にリファレンスチェックをしておけば、内定取り消しに関する違法性を排除できます。違法なリファレンスチェックをしないよう、実施のタイミングにも気を付けると良いでしょう。
NG質問をする
リファレンスチェックの際、採用候補者の適性や能力とは関係のない質問をすると違法になる恐れがあるため注意が必要です。例えばリファレンスチェック時に「採用候補者の家族がどんな仕事をしているか」「どんな家に住んでいるか」などの質問をすると、違法になる可能性があります。
リファレンスチェック時のNG質問で違法にならないためには、予め「公正な採用選考の基本」(厚生労働省)を確認しておきましょう。
(2) 公正な採用選考を行うためには・・・・
ア 公正な採用選考を行うことは、家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。
そのため、応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。これらの事項は採用基準としないつもりでも、把握すれば結果としてどうしても採否決定に影響を与えることになってしまい、就職差別につながるおそれがあります。
イ なお、個人情報保護の観点からも、職業安定法第5条の4及び平成11年告示第141号 [308KB] により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められません。(注:これらの法令中の「公共職業安定所等」「職業紹介事業者等」には、「労働者の募集を行う者」も含まれます。)
採用候補者の適性・能力と無関係の質問は、リファレンスチェック時だけでなく選考フロー全体で注意すべき内容です。求人応募~内定までを通して違法な採用活動をしないよう、事前に「公正な採用選考の基本」を確認しておきましょう。
「リファレンスチェックとは?」に関するよくある質問
「リファレンスチェックとは」に関するよくある質問は、以下の通りです。
- リファレンスチェックを拒否された際の対処法は?
- 効率良くリファレンスチェックを進められるサービスは?
- リファレンスチェックとバックグラウンドチェック(前職調査)の違いとは?
上記3点を見ておけば、リファレンスチェックに関する周辺知識を得られます。「リファレンスチェックとは」が気になる方によくある質問を確認することで、さらに役立つ情報を得られたり新しい気付きを得られたりするケースがあるので、順に見ていきましょう。
リファレンスチェックを拒否された際の対処法は?
リファレンスチェックを拒否された際の対処法については、以下をご覧ください。
全体的に見ると、リファレンスチェックを拒否する候補者はほとんどいません。その理由は「不信感を募らせて不採用になるかもしれない」と考える候補者が多いためだと考えられます。
採用候補者がリファレンスチェックを拒否する場合、「前職で大きな問題を起こした」「書類選考や面接で嘘をついていた」など、それなりの理由があると言えるでしょう。そのためリファレンスチェックを拒否する候補者には何らかの問題があると考え、不採用とするのが無難です。
リファレンスチェックを拒否する候補者が現れた場合、募集・選考の仕方に課題があると考えられるため、改善すべき点がないかどうかを検討しましょう。
一方、リファレンスチェック先から拒否される可能性としては、以下が考えられます。
- リファレンスチェックに慣れていない(基礎知識がなく、引き受けて良いのかわからないなど)
- 日本語でのやりとりに大きな負担を感じている(リファレンスチェック先が外資系企業で、日本語を話せる人がいないなど)
- 時間・人員が不足している
- 調査実施時期が繁忙期にあたる
上記のようにリファレンスチェック先から拒否された場合、「適切に説明すれば協力してもらえる」「状況が整えば拒否されない」というケースが多いです。このような点からリファレンスチェック先に拒否された際には、丁寧な説明・柔軟な対応を心がけることをおすすめします。
なおリファレンスチェックサービスを使うとリファレンスチェック先の負担を減らしたり違法性を排除できたりすることがあり、拒否されづらくなる点もおさえておきましょう。「リファレンスチェックを拒否されづらくなるサービスがあるなら、もう少し詳しく知りたい」という方のため、次は効率良くリファレンスチェックを進められるサービスをご紹介します。
効率良くリファレンスチェックを進められるサービスは?
リファレンスチェックを効率良く進めるためのサービスとしては「back check」が有名です。
出典:back check(バックチェック) | 実施数No.1のリファレンスチェックサービス
「back check」には以下の機能があり、リファレンスチェックの質・スピードアップに役立つと言われています。
- リファレンスチェックの依頼・回答・レポート回収をオンラインでできる
- レポート取得まで「平均日数4.5日」「回答率80%」の実績がある(※)
- 他社とリファレンスチェック結果のレポートを共有できるため、最短即日でリファレンスチェックが可能
- 法令遵守のための仕組みがサービス内に備えられている
(※)参考:【採用企業向け】リファレンスチェックとは?実施の概要や質問内容、事例を解説 (backcheck.jp)
効率良くリファレンスチェックを進められるサービスを使えば調査にかかる時間や労力を抑えられ、採用候補者の比較や選定に注力しやすくなります。「良い人材を採用するために集中したい」「できるだけ手間暇をかけずに良い情報を集めたい」という場合には、リファレンスチェックサービスの利用を検討するのもひとつの手です。
リファレンスチェックとバックグラウンドチェック(前職調査)の違いとは?
リファレンスチェックとバックグラウンドチェック(前職調査)の主な違いは、以下の比較表をご覧ください。
両者の大きな違いは調査目的です。
リファレンスチェックは候補者をより深く知り、自社に合った人材を見極めるために実施されます。「候補者の人柄や強みなどを把握し、採用後に適材適所の配置をしたい」とのポジティブな考えから行われる調査がリファレンスチェックです。
反対にバックグラウンドチェックは採用後のリスクを抑えるといった、ネガティブ要素を排除するために実施されます。例えば「入社後に不祥事やトラブルを起こす可能性が高い候補者をふるい落としたい」などの目的で行われる調査がバックグラウンドチェックです。
このようにリファレンスチェックとバックグラウンドチェックの大きな違いは、実施目的である点をおさえておきましょう。
「リファレンスチェックとは?」のまとめ
「リファレンスチェックとは何か」を正しく把握しておけば、より良い人材をスピーディーに見つけられます。「採用活動の工数を減らしながら、自社にフィットする人材を見極められた」「自社の魅力を適切に伝えられたから内定辞退や早期離職のリスクを減らせた」などが、リファレンスチェックの活用によって得られるメリットです。
内定取り消しや秘密裏の調査など、違法性を排除するコツをおさえておけばリファレンスチェックは怖くありません。外資系企業だけでなく国内でも実施する企業が増えているとされているリファレンスチェック。
適切に実施することで採用活動の効率化を図れるため、当記事で解説した内容を参考にリファレンスチェックを実施していきましょう。
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