突然ですが、ひとつクイズを出題させて頂きます。
Q:カーボンニュートラルが声高に叫ばれている今、「温室効果ガス」と呼ばれる気体の中で、最も地球温暖化係数が【低い】ものは何でしょうか?
温室効果ガスとは、大気中にあって熱を留め地球を温暖化する効果のある気体の総称で、二酸化炭素、フロン、メタンなどがそれにあたります。
地球温暖化係数とは、それぞれの気体の温暖化の能力を示したものです。
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A:答えは、「二酸化炭素(CO2)」です。
温暖化係数は、二酸化炭素を1として、メタンで25、燃料の燃焼等で発生する一酸化二窒素で298、フロンの一種では1,430以上にもなるそうです。
カーボンニュートラルと言えばCO2削減!と考えていた私には、少し意外な事実でした。
なぜこんなことを調べていたかというと、「12兆ドル」という数字に衝撃を受け、興味を持ったからです。
この数字は、2030年の「SDGs」に関連したビジネスによる世界的な市場機会の金額の予測です。(ハーバードビジネスレビューより)
2024年現在でも、製造現場から街角のカフェに至るまで、あらゆる場でSDGsが声高に叫ばれています。
若干食傷気味の方もいらっしゃるかと思いますが、市場機会として実際にそれだけの規模が見込まれていると考えると俄然興味が湧いてくるのはないでしょうか。
私の身の回りにも製造業の関係者が何名かいるのですが、カーボンニュートラルの実現に向けた水素やバイオマスなどの燃料の検討、エネルギー消費量削減に向けた工場の効率化などは開発段階から外せない時代になっていると聞きました。
「AIに仕事を奪われる」と言われている現在、まさにこのあたりに人間のチカラの見せどころがあるのかもしれません。
なお、今や生活に欠かせないものである世界のICT(情報通信)市場は、2023年には614.7兆円との予測が立てられていました。(支出額。総務省令和5年版情報通信白書より)
対して12兆ドルとは、4月半ば現在、153円ほどのドル相場をざっくり150円として1800兆円です。
時期や計算方法等の違いから一概に比較できるものではないと思うのですが、その高いポテンシャルは十分にイメージできるのではないかと思います。
そんな中で、冒頭話題にした温室効果ガスであるCO2を、地球温暖化防止策に活用すると聞くと、意外に感じられる方もいるのではないでしょうか。
CO2を使う製品とはつまり、時代に逆行しているのでは?
CO2は現在目の敵にされており、いかにして減らしていくかという検討が世界で行われているため、反射的にそのような疑問を抱いてしまいます。
ところが、実はこと「冷媒」としての役割においては、むしろ非常に地球に優しいものであり、SDGsへの取り組みとして奨励され、環境省による導入支援も行われているそうなのです。
「ものを冷やす」機構は私たちにとって欠かせないものであり、この機構に欠かせないのが冷媒ですが、かつて主流であったフロンは、オゾン層を破壊することから先進国では既に製造が禁止されています。
変わりにオゾン層を破壊しない「代替フロン」が用いられていますが、実はこの代替フロンも温室効果が非常に高いことが問題となり、削減が課題となっています。
一方で、自然界にもともと存在する物質であるCO2は、その温室効果が代替フロンの数百から数万分の1に抑えられるというのです。
その上、他の自然冷媒にあるような毒性、刺激臭、爆発性等といった問題もクリアしているとのこと。
さらに、冷媒として密閉回路の中に閉じ込めて利用されるために排出量として増えることはなく、むしろプラントなどの排出するCO2を有効活用する数少ない手段の一つであるそうです。
それなら冷媒は全てCO2に置き換えていけたらいいのに!とついつい安直に考えてしまったのですが、そこにはやはりいくつもの課題があり、高い技術が必要になるのだそうです。
そして、実は日本に、山積する課題を乗り越えてCO2を用いた冷凍機ユニットを開発し、SDGsの実現に向けて積極的に取り組んでいる企業があります。
フロン以上の冷蔵冷凍性能を誇り、なおかつ業界トップクラスの省エネ性能を備えた産業用“自然冷媒”冷凍機を苦労の末開発し、今やリーディングカンパニーとなっているとか…。
こういった事実を知ると、プロジェクトXを観て育ち、文系ながら製造業を志した私は、頭の中で「地上の星」が流れるのを止めることができません。
12兆ドル市場。
この一角に切り込んでいける日本企業とは、まさにこういった会社なのではないか?と、とてもワクワクします。
この会社、ビジネス拡張のため現在人材を積極的に採用中です。
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P.S.
カーボンニュートラルについて「二酸化炭素削減」というイメージを持っていた私ですが、きちんと調べてみると、ここでいう「カーボン」とはそのまま「炭素」であるとのこと。
排出量において、CO2が最も高い割合であるために槍玉にあげられていますが、CO2の数十倍~数万倍の温室効果を持つメタン(CH4)、フロン(フルオロ「カーボン」類。CFC、HCFCなど)も、その化学式通り、炭素の化合物だそうです。
正確な意味より先に印象的な用語を覚えてしまうことはよくありますが、きちんと調べることも大切だなと改めて感じました。