採用前に知っておきたい「ブラック企業を見抜く方法」:面接・採用試験編

シリーズ第3弾!面接や採用試験においてブラック企業を見抜くための5つのポイントをご紹介します。

このシリーズでは、ブラック企業への就職を回避するために、企業の求人へ応募する際の様々な過程において注意していただきたいことについて解説しています。

シリーズ第3弾は、求人へ応募した後の選考についてです。

採用試験や面接の過程では、企業と密に連絡を取り合ったり、直接言葉を交わしたりする機会が多くなります。

多少踏み込んだ関係性になるからこそ、ここまでの過程では見抜けなかった領域について知ることが可能です。

最後まで注意を怠らずに細部までチェックすることで、応募先の企業がどのような会社なのかをしっかり見極めましょう。

①求人に採用試験や面接の情報がない場合は注意

前回の内容に続きますが、求人に応募する際、実際にどのような選考手法を採っているのか明記されていないために分からない、などということはありませんか?

選考に関する記載のない企業には、主に3つのタイプがあります。

  1. 面接のみで合否を判断する中小企業や零細企業
  2. あまり積極的に人材を募集していない企業
  3. とにかく人手が欲しいので採用がほぼ確定しているブラック企業

1については、地方の企業などでよく見られるスタイルですから、特に問題はないと言っていいでしょう。

気をつけるべきは、2と3についてです。

2のタイプは、所謂「空求人」と呼ばれる求人を掲載している企業です。

空求人とは、そもそも人材を採用するつもりがないのに掲載されている求人を指す言葉です。

この空求人を掲載している明確な理由は明らかになっていませんが、おそらくインターネット上の求人広告を消し忘れていたり、大量に募集をかけた後で応募者の多くを篩にかけるためにそのようなことをしていると思われます。

中には、何か別の目的のために応募者を募っている疑いのある不審な企業もあります。

応募の段階で空求人を見抜くのはかなり難しいですが、インターネット上の求人に関しては、

・掲載期間が長い

・選考に関する詳細が記載されていない

・大量募集をアピールしているor応募者数が極端に多い

などの特徴があります。

応募者に色々と手間を取らせた上で都度後出しの情報を提示されたり、連絡が途絶えたりなど、不誠実さを感じる企業も多いです。

実際の労働環境にはそれほど問題がない場合もありますが、採用される可能性が通常よりもかなり低い上に、採用までの過程に想像以上の時間がかかる可能性が高いため、あまりオススメはできません。

そして、言うまでもありませんが、3の企業については細心の注意が必要です。

これに当てはまる場合、形だけの面接が終わると即日採用となり、即刻労働力とみなされてしまうこともあります。

非常に判断が難しいところではありますが、あまりにもトントン拍子で話が進んでいると感じた場合は、以降ご紹介するポイントと照らし合わせながら、冷静に判断してください。

インターネット上に掲載されている求人では、ほとんどの企業が選考過程や必要事項についての説明を記しています。

その記載がない場合は一旦時間を置いて企業をリサーチしてみたり、周囲へ相談したりするなどして、対象の企業についてよく調べるようにしましょう。

②テストに取り組む前にその意義や目的を考える

選考において、実務に関するテストが実施されることがあります。

最近では、インターネット上で応募や採用試験が可能になったこともあり、そういったワークサンプル・テストを用いる企業が多いようです。

応募先の企業から「簡単なテスト」と言われると、あまり警戒せずに挑む方も多いかと思いますが。実際に受験するテストが、

  1. あまりにも作業量が多く、ほぼタダ働き
  2. 内容が薄く、情報を抜き取られているだけの疑いがある 
  3. 目的や意図があまりにも不明瞭

という場合もあります。

1については、明らかにおかしいので判断がしやすいでしょう。

最近では、ワークサンプル・テストに報酬を支払う企業も稀にありますが、そうではないのにあまりに本格的な業務を指示されたり、作業量があまりにも多かったりするような企業は、都合よく使われるだけで終わってしまう恐れがあります。

採用試験の域を超えているのではないかと感じた場合は、試験内容についての説明があった時点で辞退することをオススメします。

2は、応募者に対して企業の立場を利用し、情報を抜き取ろうとしているケースです。

先述の空求人の一種であり、採用をするつもりはないにもかかわらず、何か別の目的のために人や情報を収集している可能性があります。

アンケートのような簡単な設問がいくつもあったり、一般的な履歴書以上の個人情報を複数問われたりする場合は、安易に提出しない方が良いでしょう。

3については言うまでもないのですが、あまりにも実務との関連性が見えなかったり、まったく意味がないように見える作業を要求する企業が稀にあります。

「これ、何のためにやらされているんだ?」と感じてしまうようなテストの場合も、空求人である可能性があります。

もしくは、古い採用システムをそのまま使い続けていたり、職種に応じた採用プロセスが用意されておらず、流れ作業で処理されているだけという可能性もあるでしょう。

こういったテストは各企業が自由に設定するものですから、かなり会社の「色」が示されます。

実際の仕事内容について知ることができる大切な機会ですが、あまりにも常識はずれであったり、目的が分からず怪しげな雰囲気が感じられたりする場合は、安易に進まないように気をつけましょう。

③面接時間は30分~1時間が平均

一昔前までは、面接の際は企業を訪問し、担当者や役員と直接対話をするものでした。

最近ではリモートによる面接がすっかり当たり前のものとなり、実際のオフィスの様子や働いている人の姿を見る機会は少なくなっているかもしれません。

そこで、応募先の企業についてよく知るために、面接の際に是非注目してほしいことがあります。

それが、面接にかける時間です。

一般的な面接は30分~1時間程度とされています。

経験者の方であれば、どのような流れでどれくらい時間をかけて進んでいくのかは、イメージがしやすいでしょう。

この数字からかけ離れ、面接時間が極端に短いor長い場合は、あまり良くない企業である可能性が高くなります。

実際に私が体験したケースでは、

最短時間:9分(オンライン)

最長時間:1時間45分(オフライン)

という記録が出ています。

前者は面接後に連絡が途絶え、後者ではうっかり採用されてしまい、ブラック企業に勤務する羽目になってしまいました。

おそらく9分という最短時間を叩き出したこの企業は、何か採用以外の意図があった空求人だったのではないかと思われます。

業務に関することを一方的に説明され、それだけで面接が終了してしまいました。

連絡が来なくなったのは、正直ラッキーだったと言っていいでしょう。

もしくは、最初からそのつもりであったのかもしれません。

逆に、最長記録を叩き出したブラック企業では、自分のパーソナリティや経歴、家庭の事情など、かなり踏み込んだことを聞かれました。

やわらかい口調ではありましたが、自分のメンタルに土足で踏み入られたようで、とても不快な思いをしたことをよく覚えています。

一般的に設定される時間からあまりにもかけ離れているのは、企業自体がどれだけ常識から逸脱しているかという指標になるかもしれませんね。

④対話をした際に感じた違和感は絶対に無視しない

面接では、オンライン・オフラインを問わず、応募先の社員・役員と対話をすることになります。

また、そこに至るまでの過程では、メールやチャット、文書などでのやり取りが必要となるでしょう。

そういったシーンは、自分自身が企業に審査されていると同時に、こちらも企業を判断できる大切なチャンスです。

そのため、その際に感じてしまった違和感は絶対に無視してはいけません。

あなたが実際に感じたことを「まあそれくらいはいいか」と、受け流さないようにしてください。

実際のやり取りであなたが感動を覚えたり、安心感を得たりできたことは、もちろん企業の良いところとして捉えることができます。

反対に、嫌悪感を覚えたり、これは普通ではないと感じたりした場合も、それらは企業を査定するための貴重なヒントになります。

「どうしてこんなことを聞いてきたのだろう」

「何て失礼な言い方をするのだろう」

「何故そんなことを言われなければいけないのだろう」

などといった不信感や違和感は、忘れずに覚えておきましょう。

応募の段階で、企業と応募者は未だ他人でしかありません。

顧客や消費者、取引先となる可能性があるにもかかわらず、自社に応募してきたというだけで高圧的な言い方をしたり、不躾に内面へ踏み込んでくるような企業の内部がどうなっているかを想像すると、労働環境の良い会社をイメージできる方はほぼいないはずです。

先述した、私が応募し採用されてしまったブラック企業はまさにこれに当てはまり、自分が確かに感じていた違和感を無視してしまったばかりにそのようなことになってしまいました。

やはり、応募者目線で何かしらの不審点や不安点が多い企業は、おかしな会社である可能性が高いと思います。

企業との面接では、多少のことは我慢し、つい相手企業の顔色を伺ってしまうという方もいるでしょう。

しかし、必要以上に遠慮して考える必要はありません。

面接が終わると、企業は応募者を審査し、採用をするか否かの判断に入ります。

同時に応募者も、この企業で働きたいと思うかどうかについて考えるべき大切な時間です。

採用されるか否かを不安な気持ちで待っているだけでは、時間はすぐに過ぎ去ってしまいます。

自分の進む道に迷いが生じた場合は、その企業で実際に仕事をするイメージをしながら結果を待つことで、自分が取るべき行動を取りやすくなるでしょう。

そのため、ここに至るまでに違和感を覚えたポイントは、是非自分の進退を決めるための参考材料としてください。

その時の違和感は、そのまま企業内で常識として蔓延している可能性もあるのです。

⑤超高速で選考結果が出た場合は一旦時間を置く

一般的に、応募をした企業の選考が始まってから採用が決定するまで、1週間から1か月程度かかるといわれています。

最終選考が終了してから内定が出るまでにも、1週間前後の期間を要する場合が多いでしょう。

ブラック企業というのは、基本的に人材不足の状況が続いています。

そのため、応募してきた人材はなんとかすべて囲い込もうという執念があるのです。

田舎の小さな会社へ行って昔気質な社長にいたく気に入られ、

「君、明日からすぐ来れる?」

と言われるようなケースとはまったく違います。

ブラック企業の特徴として非常に面白いのが、面接中に合否が明らかにされることはなく、あくまで応募者が帰路についてから形式ばって採用を知らせるのです。

これに関するエピソードはインターネット上に様々ありますが、特に早いケースでは面接を終え、企業の敷地を出た瞬間に電話が鳴ったという方もいます。

そのような状況になってしまった場合、つい勢いに流され二つ返事で同意してしまう方もいるでしょう。

しかし、あまりにもリスクが大きすぎます。

可能であれば、「申し訳ないが少し検討させてほしい」と正直に伝えるか、「先ほど他社に採用が決まってしまった」と嘘をついてでも、辞退を申し出たほうが賢明です。

普通の会社であれば、どんなに早くても翌日以降の連絡になるでしょう。

ブラック企業のスピード感に流されないように注意してください。

選考期間中は企業の特徴を最も見抜きやすい時間

インターネット社会となった今では、企業と応募者が密に連絡を取り合う機会は減ってきています。

郵送の手間や電話連絡はメールやチャットに変わり、そこで使用される文章も定型文やテンプレートが使用されていることが多いです。

形式的なやり取りはあっても、その中で何かしらの気づきが生まれることはあまりないでしょう。

ですから、これまでの過程で魅力的だと思っていた企業に対して、採用試験や面接に入った途端に「…ん?」と思ってしまうことは決して珍しくありません。

そして、そういった違和感に気づくためには、やはり自らが意識して様々な点に注目し、積極的にコミュニケーションをとっていく事が大切になります。

そうした行いは企業の選別に役立つだけでなく、企業側にあなたの仕事に対する熱意やモチベーションの高さを伝えることにもなるでしょう。

よく、「面接で質問をしてこない求職者はやる気がないように見える」といったようなことが言われますが、これはそういった理由にもよるものだと思われます。

これまでに使用してきた「企業を見抜く」「判断する」という言葉から、応募している側のくせにずいぶん偉そうだと感じた方もいるかもしれません。

しかし、そのような気持ちをもって採用試験や面接へ挑むことによって、結果的に企業について知りたいと思うことがたくさん思い浮かぶでしょう。

選考中は、どのような人がどのような仕事をしているのか、その環境で自分がどのように活躍できるのかを知るための大切な時間です。

試験やテストはただ回答をするだけでなく、その意図を考えながら丁寧に。

そして、対話中は相手の話をよく聞き、気になったことを解決できるように質問をする。

当たり前のようなことですが、これはブラック企業を見抜くためだけでなく、あなたが働くことになるかもしれない企業に対してあなた自身の良さをアピールすることにも繋がります。

せっかく与えられる機会ですから、流れ作業のように進めてしまわないよう、企業と、自分自身と、じっくり向き合いましょう。

その中でもし、これまでに解説したようなポイントに当てはまる場面があれば、勇気を持って立ち止まる事も忘れないでください。

Who is writing

日本橋学館大学リベラルアーツ学部卒業。
学生時代を関東で過ごした後、東北の田舎に帰郷。嫌々地元で就職を決めたら、うっかりとんでもないブラック企業に入ってしまった!
絶望的な環境からなんとか抜け出し、個人事業主として働き始めて早5年。現在は、ブラック企業撲滅を目標にライターとして活動中。
本当はお芝居や音楽、歴史が好き。