はじめに
モチベーションが上がらなくてやる気が出ない・・・
このような経験をしたことはありませんか?
モチベーションが上がらないと、勉強や仕事、家事といった本来やるべきことが中々進められないですよね。
仕事において、モチベーションに行動が左右されるのは、あまり良いことではありませんが、世の中、モチベーションを基準に働いている人も少なくありません。
そこで重要となるのが、モチベーションの管理術です。
自分のモチベーションが下がった時の対処法はもちろん、上司であれば部下のモチベーションを上げる方法を知っておかなければなりません。
人の感情をコントロールするのは一筋縄ではいかないため、今回解説するモチベーションのあれこれについてしっかり理解しておくことが重要です。
今回解説していく内容は以下の通りです。
- モチベーションとは
- 外発的・内発的モチベーションとの違い
- 仕事のモチベーションが下がる原因
- 仕事のモチベーションを高めるには?
- 部下のモチベーションを上げる7つの方法
- モチベーションを高めやすい組織の特徴
本記事を読み終えれば、仕事に対する意識の向け方が180°変わるため、生産性が上がること間違いないでしょう。
明日から実践できることがほとんどですので、ぜひ試してみてください。
モチベーションとは?
「モチベーション=やる気」というイメージがあるかと思いますが、実は2種類あるのを知っていますか?
モチベーションは、「外発的モチベーション」と「内発的モチベーション」の2つに分けられます。
それぞれ理解しておかないと、その人のモチベーションが下がっている原因が分からず、適切な対処ができなくなるため、初めて聞くという方はしっかり押さえておくことが重要です。
モチベーションとは
モチベーションとは、個人が目標を達成しようとする意欲や、特定の行動に向けてエネルギーを注ぎ込もうとする心理的な状態のことを指します。
努力する原動力や意欲の源とも言えるので、高ければ高いほど積極的な行動や成果を上げることに繋がります。
ただ、モチベーションは複雑な心理的プロセスであるため、様々な構成要素の影響を受けます。
モチベーションの構成要素は以下の通りです。
- 目標設定
- 期待と価値観
- 自己効力感
- 報酬と認識
- 興味や好奇心
- 状況と環境
- 個人の特性
これらの構成要素が相互に影響し合い、個人のモチベーションパターンを形成します。
そのため、適切に向上させるには、これらの構成要素を総合的に考えることが重要です。
外発的モチベーションと内発的モチベーションの違い
外発的モチベーションと内発的モチベーションの違いは以下の通りです。
- 外発的モチベーション:外部からの刺激によって起こるモチベーション。すぐに行動を起こすきっかけになりやすいが、持続性に乏しい。
- 内発的モチベーション:自分の内側から湧き出るモチベーション。持続性があり、成果に繋がりやすい。
外発的モチベーションは、外部からの報酬や認識のために仕事に取り組むような状態ですので、具体的な目標を達成するための刺激が必要な場面で有効です。
なお、外部刺激の具体例は以下の通りです。
- 給与やボーナスなどの報酬アップ
- 昇進や出世などのキャリアアップ
- 他人からの評価や承認、称賛を得る
一方で、内発的モチベーションは、自分自身の興味や価値観、楽しみに基づいて行動する状態ですので、持続的なモチベーション構築に役立ちます。
具体的には、以下のような状況が当てはまります。
- 自分の興味や関心のある仕事についている
- 仕事が自分の成長やスキルアップに繋がる
- 仕事を通じて自分のチームや会社に貢献できる
- 仕事に達成感ややりがいを感じる
短期的には外発的モチベーションが有効であり、長期的には内発的モチベーションが必要と考えると分かりやすいでしょう。
どちらが優れているとかはなく、バランスよく活用することが重要です。
仕事のモチベーションが下がる原因
モチベーションが下がる原因は人によって様々ですが、代表的なものには以下の8つが挙げられます。
- 目標が不明確、または目標設定が高すぎる
- 職場の人間関係が悪い
- 評価が不透明、頑張っても中々評価されない
- 給料に不満がある
- 興味がないことをやっている
- 仕事量が多く、精神的・身体的に疲弊している
- 業務に対してやりがい・納得感がない
- 今の仕事を続けることに不安を感じる
給料アップや達成感などの満足感を感じることがあっても、仕事に対してマイナスの要因が多くなると、それがモチベーションを下げるきっかけとなってしまいます。
また、マイナスの要因がなくても、プラスに感じられる要因が少なければ、仕事に対して十分な満足感を得ることができません。
したがって、部下のモチベーションアップを図る際は、不満があるのか、はたまた満足感が少ないのかの2つを見極めることが重要です。
仕事のモチベーションを高めるには?
仕事のモチベーションを高める方法はいくつかありますが、最も重要なのは「利他的思考を持つこと」と「内発的モチベーションへシフトすること」の2つです。
利己的思考から利他的思考へ
仕事のモチベーションを高めるには、利他的思考を持つことが重要です。
「利己的思考」と「利他的思考」の違いは以下の通りです。
- 利己的思考:自己中心的な視点から物事を考えること。他者や状況に対して、自己の利益や満足を最優先にする傾向がある。
- 利他的思考:他者の視点や感情に注意を払い、物事を考えること。他者の利益や幸福、協力や思いやりを重視する傾向にある。
科学的な研究により、利己的な動機よりも利他的な動機の方が持続性が高いことが分かっています。
「自分の成長になればいい!」「とにかく成果が上げられればいい!」というように、自己の利益を追求することも大切ですが、常に成長が実感できるとは限りませんし、時には成果が上げられないこともあるでしょう。
このように、モチベーションを保つ要素が「自分のため」という一つだけだと、目標がなくなった途端にモチベーションが下がってしまうリスクがあります。
「仲間と切磋琢磨するのが楽しい」「チームで協力して成果を上げるのがやりがいに感じられる」というように、利他的思考の元、モチベーションは複数持っておくと維持しやすいと言えます。
外発的モチベーションから内発的モチベーションへ
前述した通り、外発的モチベーションは持続性に乏しいため、内発的モチベーションへシフトしていくことが必要です。
では、内発的モチベーションを高めるには、どうしたらよいか?
ポイントは以下の通りです。
- 興味・関心のある仕事をしている
- 仕事にやりがいを感じている
- スキルアップできる環境にある
- 実績を上げることでチームや会社に貢献している
- 成功体験を積んでいる
- 自分の強みが活かせている
このように、内発的モチベーションは仕事をすること自体にポジティブな感情を持つことで高まります。
”報酬をもらうために頑張る”のではなく、”やりがいや達成感を感じるために頑張る”といった考え方を持つことが必要です。
そのためには、部下がどのようなことにやりがいを感じるのか?どんなキャリアパスを臨んでいるのかなどを把握しておく必要があります。
部下のモチベーションを上げる7つの方法
部下のモチベーションを上げる7つの方法は以下の通りです。
- 目標を宣言する機会を設ける
- 目標設定を細かく行う
- 目標達成度を可視化する
- 仕事のパフォーマンスを上げるための取り組みを行う
- 失敗してもいい環境を作る
- 感謝の気持ちを表現する
- 取り組みや成果に対してインセンティブをつける
基本的には、内発的モチベーションが向上するような働きかけを行うことが重要です。
ただし、部下の仕事がうまくいかないケースもあると思いますので、状況に応じて、外発的モチベーションである「称賛」や「報酬アップ」などを活用することも有効です。
目標を宣言する機会を設ける
目標を宣言することは一見単純なように思えますが、モチベーションアップに効果的です。
メリットとしては、以下の5つが挙げられます。
- 責任感が向上する
- 他者と共有しやすくなる
- 言動と一貫性を持たせられる
- 他者からのサポートが得られやすい
- 自己意識が向上する
「夢や目標は口にしたほうが実現しやすい」というように、宣言するということは、それ以降の行動を変える力を持っています。
言った手前引き返せないというのはありますが、それが原動力ややる気に繋がりますし、他者との関わりが増える機会にもなります。
具体的な方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 会議や1on1モーティングなどの機会で目標を宣言する
- 社内報などで社員の目標を共有する
- 社内イベントを利用して、社員の目標達成を支援する
場合によっては、目標を公言することでプレッシャーを感じすぎ、逆にモチベーションを低下させることがあるので、性格や状況を考慮した上で行いましょう。
目標設定を細かく行う
目標設定を細かく行うことで成功体験を積むことができるため、モチベーションアップに繋がります。
- 短期目標:達成しやすいため、自己効力感の向上に繋がる
- 長期目標:より大きな達成感が得られる
目標を立てて宣言したはいいものの、具体的に何をしたらいいのか分からない・・・
このような状態ではモチベーションは下がってしまうため、具体的に何をすべきか細かく設定することが重要です。
具体的な方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 1ヶ月単位の目標設定を行う
- 半年・1年単位の目標設定を行う
- 個人目標だけでなく、チームの目標も設定する
より細かく設定することで行動の方向性が明確になるため、常にやりがいや達成感を感じることができるでしょう。
目標達成度を可視化する
目標達成度の可視化も、成功体験やモチベーションアップに繋がります。
短期目標や長期目標を立てたことはあるけれど、どのくらい達成できたのか分からない・・・
このような経験をしたことがある人も多いかと思います。
目標は立てて終わりではなく、達成してこそ意味があります。
たとえ達成できなくても、どのくらい頑張ったかを把握しておくことで次の目標設定ができますし、何よりその後のモチベーションの上がり下がりが決まります。
具体的な方法は、以下の通りです。
- 目標達成率をグラフや表、数値などで可視化する
- 目標達成率を社内報などで共有する
ツールやグラフを使って進捗をモニタリングすることで、目標に向かってより効果的に取り組むことができます。
目標達成まで後どれくらいなのか分からないと不安ですが、道のりが明確になっていれば、社員のモチベーションも上がっていくでしょう。
仕事のパフォーマンスを上げるための取り組みを行う
パフォーマンスとモチベーションは相互作用の関係にあるため、仕事のパフォーマンスを上げることもモチベーションアップに繋がります。
分かりやすく書くと以下のようになります。
- 仕事のパフォーマンスが上がる→自信に繋がる→モチベーションアップ
- モチベーションが高い→高いパフォーマンスを発揮できる
例えば、入社したてで仕事ができない状態だと、どうしてもネガティブな感情になってしまいますが、少しずつ慣れてきて成果を出せるようになれば、「よし、頑張ろう!」とポジティブな感情になるはずです。
このように、仕事のパフォーマンスが上がることで、自己肯定感やモチベーションが上がり、さらに高いパフォーマンスができるといった良いループが出来上がります。
具体的な方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 興味や関心のある仕事を与える
- 社員の成長やスキルアップを支援する
- 社員の働きやすい環境を整える
パフォーマンスを上げると言っても、そもそも興味のない仕事を頑張ろうと思う人は少ないと思いますので、まずは部下がどのようなことに興味関心があるか把握しておくことが必要です。
そこから部下の成長やスキルアップを支援し、成功体験を積むことで自信をつけさせることが大切です。
失敗してもいい環境を作る
失敗してもいい環境は、個人が新しいアイデアを試し、成長し、挑戦もしやすい状況ですので、モチベーションアップに繋がります。
失敗してもいい環境の特徴は以下の通りです。
- 新しいアイデアやアプローチを試すことが奨励されている
- リーダーが失敗を率先して受け入れ、そこから学びを共有している
- 自分のアイデアや進捗を率直に共有できるオープンなコミュニケーション
- 失敗から得られるフィードバックが重視される文化である
- 失敗からの学びや挑戦も、報酬や評価に繋がる文化である
- 失敗を共有するプラットフォームやイベントが設けられている
これらの要素が組み合わさることで、失敗してもいい環境が作られます。
失敗が許容され、そこからの学びが評価される環境は、モチベーションだけでなく、創造性やイノベーションも促進するため、部下や組織全体の成長に寄与します。
感謝の気持ちを表現する
称賛を受けると、人は存在や行動が評価されたと感じ、モチベーションが高まるため、感謝の気持ちを伝えるということは非常に重要な要素となります。
具体的な方法は以下の通りです。
- 会議や1on1ミーティングなどで感謝の気持ちを伝える
- 表彰制度やイベントを利用して、社員の貢献を称える
- 日頃から上司やリーダーが率先して部下を称賛する
思い返してみてほしいのですが、今日1日の中で何回部下に感謝の言葉を投げかけたでしょうか?
感謝の気持ちを伝えるという行為は、単純で簡単なように思えますが、実際は意外とできていない人が多い印象です。
感謝されて嫌な人はいないと思いますので、1日1回は「ありがとう!」「助かったよ!」などと声をかける習慣をつけるとよいでしょう。
取り組みや成果に対してインセンティブをつける
インセンティブは外発的モチベーションを刺激するため、即時的にモチベーションを上げることが可能です。
具体的には、以下のようなものが当てはまります。
- 金銭的なインセンティブ:昇給・賞与・ボーナス・ポイントなど
- 非金銭的なインセンティブ:表彰・昇進・休暇・資格取得支援など
会社の制度上、変えることが難しいところでもありますが、上司が部下に直接できることもあるかと思います。
例えば、美味しいごはんに連れて行く・部署に差し入れをするなど、部下が喜んでくれることであればインセンティブと同じ効果があると言えます。
うまく作用すれば信頼関係を築くことができ、生産性向上にも繋がるため、これまで解説した方法にプラスする形で活用するとよいでしょう。
モチベーションを高めやすい組織の特徴
モチベーションを高めやすい組織の特徴は以下の通りです。
- 組織のビジョンやミッション、目標に共感している
- 情報を共有する習慣がある
- 社員がやりがいを感じるような報酬制度を導入している
- 労働環境やワークライフバランスへの配慮がある
- スキルの向上や成長をサポートする仕組みがある
- オープンでコミュニケーションがとりやすい環境である
- 社員の自主性を重視している
- チームワークや協力することを大切にしている
社員がモチベーションを高めようと思うかどうかは、全て組織のあり方で決まると言っても過言ではありません。
環境が悪ければ仕事も適当になるでしょうし、反対に環境が整っていれば、やる気も自然と出てくるでしょう。
組織がどのような環境になるかは、管理職や上司の行動に影響されますので、会議や1on1ミーティングの内容を見直したり、コミュニケーションの取り方を工夫するなど、社員一人ひとりのことを考えた取り組みが重要となります。
まとめ
今回は、部下のモチベーションを上げる7つの方法を中心に解説しました。
自分のモチベーションをコントロールするのとは訳が違い、人のモチベーションを上げるのは非常に難しいことです。
ましてや、大人数の部下のモチベーションを上げるとなると、小手先のテクニックではどうにもならないことが多いでしょう。
そこで、おすすめなのが「一人ひとりと向き合いながら働きやすい環境を作ること」です。
その人が、どのようなことにやりがいを感じるかは、きちんと向き合って話してみないと分かりませんので、コミュニケーションが必須となります。
今回解説した7つのポイントを押さえて適切にコミュニケーションをとることができれば、部下のモチベーションを上げるだけでなく生産性の向上も期待できますので、ぜひ試してみてください。
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