はじめに
自己肯定感を向上させることは誰もが望むことですが、その道のりは決して簡単ではありません。
というのも、自己肯定感の高さは幼少期の経験に強く影響されると言われているからです。
大人になってから自己肯定感を高めるには、自分自身と向き合う努力と継続が必要不可欠です。
このように聞くと、「中々難しいのでは?」と思うかもしれませんが、とある研究では大人になってからでも自己肯定感は変化すると言われています。
自己肯定感が高くなれば、今後の人生がより豊かで充実したものになるかもしれませんので、試してみる価値は十分にあります。
- 自分の強みが分からない
- 自分の成功や成長を喜べない
- 他人と自分を比較してしまう
あなたは、日々の生活でこのように感じたりしていませんか?
もし、このように感じているのであれば、自己肯定感が低くなっている可能性があるので、自分自身に対するポジティブな言葉や思考を持ち、自分の弱点や失敗を成長の機会として捉えられるようになりましょう。
また、自分の興味や関心に向かって行動し、新しい挑戦にチャレンジすることで、さらに自信を深めることができます。
本記事では、自己肯定感を高めるための実践的な方法やヒントについて紹介していきます。
自分自身と向き合い、ポジティブな変化を生み出したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
自己肯定感とは
自己肯定感とは、自分自身に対する肯定的な評価の感じ方のことです。
つまり、自分自身を受け入れ、自分の価値や能力を認め、自信を持つことができる心の状態のことを指します。
具体的に言えば、自己肯定感が高い人は、自分の強みや長所を認識し、自分の限界を理解しつつも、自信を持って日常の課題や挑戦に取り組むことができます。
このような人は、自分自身に対して否定的な感情や不安を抱くことが少なく、失敗や過ちを受け入れつつ、それらを成長の機会として捉えられます。
自己肯定感が高い人は精神的に健康であり、人間関係や仕事、学業などの様々な面で成功を収めやすい傾向にあります。
したがって、自己肯定感を育てることは、良好な人間関係や充実した人生を築く上で非常に重要な要素と言えるのです。
では、どのような場合に自己肯定感は下がってしまうのでしょうか?
自己肯定感が下がる原因
自己肯定感が下がる原因は様々ですが、主な要因には以下のようなものがあります。
- 他人と比較されることや競争が激しい環境:仕事の評価や社会的地位、外見や成功の面で他人と比較される環境
- 過度な批判や否定的なフィードバックの経験:職場や家庭での否定的な評価や評判、失敗に対する非難
- トラウマや過去の辛い経験:いじめや虐待、恋愛関係での傷つき、失業した経験
- 完璧主義の傾向:自分に厳しすぎる、達成できない目標を設定している
- 社会的な孤立や孤独感:人間関係の欠如や支えてもらえる環境にない
これらの要因は、個人によって異なる影響を与えますが、これらが1つあるいは複数組み合わさることで、自己肯定感が下がることがあります。
誰しも批判的な言葉を言われたり、辛い経験をすればネガティブな感情になりえますが、それをどのように捉えるかは人それぞれです。
簡単に言えば、前向きに考えられる人とそうでない人の2種類に分かれるイメージです。
これには、冒頭でもお伝えした通り、幼少期の経験が強く反映されます。
親や教師からの厳しい教育を受けたり、批判的な言葉ばかり浴びせられて育った人は、大人になってからも物事を肯定的に捉えられなかったり、自分自身の存在価値を感じられないことがあります。
なぜ、このような偏った考え方になってしまうのかというと、自己肯定感には、他者からの評価をどのように解釈するかという視点と、自分のことをどのように評価するかという2つの視点が関わるからです。
幼少期の環境や経験によって作られた性格や人格というものが、この2つの視点にバイアスをかけます。
批判的な言葉が多い環境で育った人は、ネガティブで偏った捉え方が定着してしまい、結果的に自己肯定感が下がりやすくなってしまうのです。
自己肯定感が低い人の特徴
自己肯定感が低い人の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 否定的な言動が多い
- 態度に自信がない
- 他人に依存している
- 他人と比較してしまう
- ネガティブな感情が強い
- 体調が不安定である
- 他人の評価を気にしている
- 失敗が許せない
- リスクを避ける傾向にある
- 自分への良い評価が信じられない
自己肯定感が低い人は、何事にも否定的であり、自分に自信がなく、意欲的になれない傾向にあります。
このような性格や人格は、幼少期の経験が土台となって作られたものなので、簡単に変えられるものではありません。
しかし、大人になってからも、学習や仕事の経験、あるいは人間関係や成功体験、社会貢献などを通して、少しずつ変化すると言われています。
ただ、「自己肯定感を上げる」と言葉では言いますが、上げよう上げよう!と意気込んで改善するものでもありません。
頑張っても上手くいかなかった時に、それが引き金となって自己肯定感が下がってしまう可能性もあるため、ゆっくり育てるような気持ちで取り組むのが理想的です。
では、自己肯定感を上げる方法について紹介していきます。
自己肯定感を上げる10の方法
自己肯定感を上げる10の方法は、以下の通りです。
- 自分というものを理解する
- 自分の感情や成功体験などを書き出す
- 好きなことややりたいことに挑戦する
- マイナスの感情を捨てる
- ポジティブな言動を心がける
- ポジティブになれる環境に属する
- 音楽や筋トレなどで気持ちを切り替える
- 専門的な心理サポートを受ける
- 体調を整える
- SNSから距離を置く
自己肯定感を高めるには、自分自身に対する愛情や尊重する気持ちを持って、自信を深めていくことが重要です。
まずは、第一歩として自己理解・自己受容から始めてみましょう。
①自分というものを理解する
まずは、自分自身を理解することが重要です。
自分の弱点や過ちを否定せず、全ての側面を包括的に受け入れることが自己肯定感を高める第一歩となります。
具体的にやるべきことは以下の通りです。
- 自分の考えや感情に対して好奇心を持つ
- 自分の感情や行動の背景にある理由を考え、理解する
- 現状をありのまま受け止める
- 完璧さを手放す
- 変化できなくても、これが自分だと受け止める
- 自分の思いや意思を大切にする
- 他人と比較しない
日々の生活の中で、自分がどのようなことに反応を示すのか、何に喜びを感じるのか、何に対してストレスを感じるのかなど意識的に自己観察するのがおすすめです。
自分の興味や価値観、信念を分析し、何を大切にして、何に興味を持っているのかを明確にすることで、自分自身の内面について深く理解することができます。
②自分の感情や成功体験などを書き出す
自己観察が上手くできない人は、感情や成功体験などを書き出してみましょう。
そうすることで、自分自身をより深く理解することができますし、記録として残すことが可能です。
具体的に書き出すべき項目は以下の通りです。
- 喜びやストレスを感じた瞬間について
- 実際にあった成功体験について
- 自分の長所について
- 他者からしてもらったことについて
その時に感じた感情だけでなく、自分の良いところも書き出すことで、長所を伸ばしていくきっかけになります。
また、他者からしてもらったことや成功体験を書くことで、モチベーションアップや意識変容にも繋がります。
箇条書きでもいいので、とにかく多く書き出して振り返ることが大切です。
③好きなことややりたいことに挑戦する
好きなことややりたいことに挑戦することは、多くの意識変容をもたらします。
具体的には以下の通りです。
- 自己認識が深まる:自分が本当は何を求めているのか、何に情熱を持っているのか認識できる
- 自信の向上:新しいスキルの習得や成果を得ることで自信がつく
- リスクへの対処能力向上:リスクに対処する能力が向上し、不安や恐れに打ち勝つ力が身につく
- 創造性の発展:情熱的に行動することで、自分なりの解決策やアプローチが見出だせる
- 自己実現の可能性の追求:目標に向かって努力し続けることで、自己実現の可能性を追求できる
幼少期のころに、自分がしたいことや新しいことに挑戦できなかった人は、いつしかやらなかったことを正当化するクセがつき、「自分は何もできない人間なんだ」「自分はダメなんだ」というような歪んだ思考になってしまいます。
このような思考を変えるためには、好きなことややりたいことに積極的に挑戦して、小さな成功体験を積むことが大切です。
これらは自己成長や満足感を得る上で重要なステップとなるため、「特にやりたいことがないな〜」という人は、興味があることなどを紙に書き出すことから始めてみてください。
④マイナスの感情を捨てる
自己肯定感を上げるにあたって、マイナスの感情は障害となるため、捨てさることが必要です。
とはいっても、感じてしまうものは仕方がないため、実際には失敗や過ちを否定せず、受け入れることが大切になってきます。
- いつもダメだ
- 何も上手くいかないな
- 頑張っても意味ないな
このように、自己肯定感が低い人ほど完璧さを求めたり、失敗を許せずに落ち込んでしまう傾向にあります。
しかし、実際のところ自分を責めても何も生まれませんし、そもそも完璧な人間なんてものも存在しません。
反省することが悪いわけではないので、失敗を次にどう活かすか?と、思考変換していく練習をすることが大切です。
また、自己肯定感が低い人は、否定的な言葉を口にしたり、否定から入る傾向にもあります。
- 私には無理です
- また失敗しちゃった
- でも、失敗しそうで嫌だな
このような言葉や口癖は否定的な感情や考え方を強調し、自己肯定感を低下させる可能性があるため、ポジティブな発言や思考に切り替えることが必要です。
「ここまで頑張った私はすごい!」「少ないミスだから大丈夫!」というように、自分を褒めたり、いたわるような言葉をかけてあげましょう。
⑤ポジティブな言動を心がける
どうしても否定的なことを考えてしまう人は、日々の生活の中でポジティブな言動を心がけるのがおすすめです。
ただ、いきなり「よし、頑張ろう!」となれる人は少ないと思いますので、まずはポジティブシンキングができるように考え方を少しずつ変えていくのがよいでしょう。
具体的にやることは以下の通りです。
- 今日は仕事が多くて疲れたな→今日はまた成長できた一日だった!
- 思っていた結果が出せなかったな→次はもっと良い結果が出せるはず!
- また新しい仕事が増えたな→期待されてる証拠だ!頑張ろう!
このように、自己肯定感を上げるためには、マイナスに思えることがあってもポジティブに捉えることが大切です。
毎日口癖のように「すみません」と言ってしまう人は、「ありがとう」に置き換えるだけで気持ちが沈みにくくなっていくでしょう。
物事や出来事の視点を変えて考えることを、心理学的用語でリフレーミングと言います。
ポジティブ思考に変えるのが難しい人は、日頃から色々な視点で物事を見て、考えてみるのがおすすめです。
⑥ポジティブになれる環境に属する
幼少期の環境が人格形成の土台になるのと同じで、大人になってから属する環境も非常に重要な要素となります。
もし、あなたのいる環境が批判的な言葉で溢れているなら、肯定的な言葉をかけてくれる環境や支援してくれる環境に変えることをおすすめします。
- 上司や先輩がやることなすことを否定してくる
- 同僚との仲が悪い
- 社内の人間関係が悪い
このような環境では、いくらポジティブな人でも楽しく仕事をすることは難しいですし、人に助けを求めようとしても頼れる人がいなかったりと、孤立してしまうかもしれません。
結果的に自己肯定感は下がるばかりですので、周りの人が原因だと思う場合は転職も視野に入れましょう。
⑦音楽や筋トレで気持ちを切り替える
気持ちの整理や新しいことへの挑戦が難しい人は、音楽や筋トレなどで気持ちを切り替えるのがおすすめです。
医学的な観点から見てみると、これらはストレス軽減だけでなく、自己肯定感の向上にも寄与すると考えられます。
例えば、音楽を聴くことは、不安や痛みの軽減、精神的な安定、自発性や活動性の促進、身体の運動性の向上、表情や感情の表出、脳の活性化などの効果があるとされており、実際に音楽療法として治療にも利用されています。
また、筋トレを行うことで増加する男性ホルモン(テストステロン)は、自信や自己肯定感の向上、競争心や決断力の向上、ストレス耐性の向上、不安感の緩和、気分の安定に繋がると言われています。
このように、ただストレス発散になるだけでなく、間接的に自信や自発性、活動性の向上などが期待されるため、自己肯定感の向上に繋がると言えます。
どうしてもマイナスに考えてしまう人やポジティブな行動ができないという人は、音楽を聴いたり、身体を動かしてみるのもよいでしょう。
⑧専門的な心理サポートを受ける
自分だけでは変えられないという人は、専門的な心理サポートを受けるとよいでしょう。
- 感情を整理する
- 感情や考え方を切り替える
- 環境を変える
- 行動を変える
このようなステップを自分自身で行っていければ理想ですが、中には難しい場合もあるでしょう。
人には得意・不得意が存在するため、気持ちの整理に心理カウンセリングを利用することは決して恥ずかしいことではありません。
時には、自分の存在ややってきたことを全肯定してくれるような存在も必要です。
感情や成功体験を書き出したり、好きなことをやってみても変化がない時は「ダメだ」と落ち込むのではなく、一度専門家に頼ってみましょう。
⑨体調を整える
身体的な健康と精神的な健康は密接に関連しているため、体調を整えることは必須になります。
体調が悪いと心理的な不安やストレスが増えますし、物事をネガティブに捉えてしまいます。
その結果、自己肯定感が下がってしまうため、何より心身の健康を重要視しなければなりません。
具体的には、健康的な食事・適切な睡眠・定期的な運動を心がけることが大切です。
感情を整理したり、新しいことに挑戦する前に、まずは体調を整えることから始めましょう。
⑩SNSから距離を置く
SNSは、自己肯定感を上げる上で障害となる可能性があるため、できるだけ距離を置くことをおすすめします。
様々な情報が飛び交うSNSは非常に便利なツールですが、その情報量の多さゆえに、情報の取捨選択ができない人やポジティブシンキングができない人にとっては自己肯定感を下げるリスクがあるのです。
SNSで自己肯定感が下がりやすい人の特徴は以下の通りです。
- SNS上の完璧なイメージとのギャップを考えてしまう
- 他人の成功を羨ましく思ってしまう
- 他人の生活と自分の生活を比較してしまう
このように、SNS上の完璧なイメージや他人と自分を比較してしまうことで自己評価が低下し、その結果、自己肯定感の低下に繋がってしまいます。
「あの人は幸せそうでいいな」「なんで私はこんなに大変な思いをしているんだろう」「私はあの人みたいにはなれないんだろうな」というように、負の感情になってしまう人は要注意です。
もちろん、励ましの言葉をもらったり、ポジティブな投稿を見ると元気になるということもありますので、情報の取捨選択さえできれば問題ありません。
ただし、SNSは見たくない情報も流れてくる可能性が高いので、できれば距離を置いたほうが安心です。
部下の自己肯定感を上げるには
部下の自己肯定感を上げるには、以下の5つが重要です。
- 承認:存在や行動、そのものを承認する
- 傾聴:受け身的な姿勢・相槌・質問・要約など
- 信頼:必要かどうか見極めながら仕事を任せる
- 応援:応援している姿勢を見せる
- サポート:失敗を容認し、次にどう活かすかをサポートする
上司が何を考えているのか、どのように評価しているのかなどは、適切にコミュニケーションを取らなければ部下には伝わらないものです。
例えどんなに信頼していたとしても、それが伝わっていなければ、部下にとっては仕事が重荷に感じられるかもしれません。
そこで重要なのが、これら5つのポイントを上司が行動で示すことです。
具体的な行動としては、以下のようなものが挙げられます。
- 部下の意見や貢献を真剣に受け止めて尊重する
- 部下に話しやすいと感じてもらえるよう傾聴を意識する
- 部下の思い描く未来に必要な学びの機会を設けてあげる
- 失敗しても励まして、「君ならできる!」と前向きな姿勢で取り組めるようにする
- 部下の強みや成果を認め、肯定的なフィードバックや建設的な指導を行う
これらを意識して接することで、部下は上司から「必要とされている」「仲間として思ってくれている」「大切にされている」と感じることができ、自己肯定感の向上に繋がります。
注意点としては、甘やかしたり、ただ褒めればいいのとは違うということです。
部下の上司に対する気持ちや考え方、仕事に対する姿勢やモチベーションが変わるような働きかけをすることが大切です。
まとめ
今回は、自己肯定感を上げる方法について解説しました。
自己肯定感は、幼少期の環境や経験が土台となって作られるものなので、大人になってから変えるのは中々難しいとされています。
しかし、実際には、適切に自分と向き合うことで大人になってからでも自己肯定感を上げていくことが可能です。
ただし、急に上げよう!と意気込んで上がるものでもないため、ゆっくり育てるような気持ちで少しずつ取り組むのがおすすめです。
失敗を失敗として捉えるのではなく、学びや経験になったというプラスの考え方ができれば、日々の生活がより明るくなると思いますので、まずは自己受容(自分を認めること)から始めてみてください。