アメリカで見てきたギフティッド教育の最先端について PART3 ギフティッド人材に即した職場環境

ギフティッド人材、発達障害人材を最大活用するための職場環境、マネジメントスタイル、メンタルサポート体制の構築の鍵

みんなちがって みんないい

日本の童謡詩人・金子みすずの「わたしと小鳥とすずと」の中の有名なフレーズで「みんなちがって みんないい」ってご存知の方、多いのではないでしょうか。

「この世にあるものは、誰一人、なに一つ、同じものはなく、だからこそみんなすばらしい、という多様性をみつめ、尊重し合おう」という詩です。

皆さん理論的には分かっていても、いざ職場となると、同じ目標・同じ働き方・同じペース・同じ価値観が求められ、そして求めてしまうのではないでしょうか。

でも最適なスタイルは人によって違うものです。特にギフティッドは人とは違う行動や職務スタイルである場合が多く、集団の中で画一的に行動するのが難しい場合も多々あります。

そんなギフティッドの人材に対応した職場環境はどんなものか、今回は職場におけるギフティッドマネジメントに焦点をあてたいと思います。

ラーニング・スタイルを参考に

このギフティッド・シリーズの一番初め「アメリカで見たギフテッド教育の最先端について PART1」に、フロリダのギフティッドに特化した私立学校スクールでの経験として、ダン博士夫妻の「ラーニング・スタイル」をご紹介しました。

この教育法のアセスメントでは、オンラインで約90分かけて親子それぞれの最適な学びの環境設定に関する設問に答えていきました。

環境要素、感情的要素、社会学的要素、生理学的要素、そして心理学的な要素をそれぞれ分析していくテストで、具体的には、

☆学習時の快適な温度はどの位か、

☆太陽光と自然光など、光の状態、

☆夜型か朝型か、

☆机がいいかソファがいいかベッドがいいか、

☆効果的な記憶には視覚が必要か、聴覚がいいか、

☆空腹時と満腹時とどちらがいいか、

☆おやつを食べながらの学習の効率はどうか、

☆音楽は必要か、

☆昼寝は必要か、

☆ある程度のプレッシャーがあった方が効率がいいか 

☆グループ作業は得意か、など、

様々な項目をランダムに、質問方法を変えながらの設問で それぞれがどの様なコンディションが一番効率が良いかを掘り下げて分析しました。

このアセスメントの目的は、「ラーニング・スタイルに相対的な比較や評価はない」という事を保護者に徹底し、親子であってもそれぞれのラーニングスタイルを尊重することによって、限られた時間内で学習効率や生産性を最大化する事でした。

仕事の効率に関しても同じ事が言えます。

「勤務時間内の従業員の就労態度を管理する」という視点から脱出して「従業員が限られた時間内で最大の生産性で職務を遂行する環境を整備する」という発想への転換が必要です。

タスク重視で、可能な限り個人のワークスタイルを尊重する環境は、特にギフティッドの人材にとってはその生産性に大きな差を生ずると共に、モーティベーションや社への定着に重要な要素となります。

それでは具体的にどのような環境を用意したら良いのでしょうか。

ギフティッドに適した環境整備には、前述のラーニング・スタイルの各項目要素を参考にしながら整備なさる事を強くお勧めします。

物理的な職場環境整備

ギフテッド人材には光や音、人の気配などに敏感な人が多いので、机の位置なども重要です。

パティションに囲まれたブースが良いか、オープンスペースの方が効率がよいかを選べるようにしたり、ライトも、太陽光、蛍光灯、薄暗い照明など変化をつけて、オフィス内で個人個人に最適なスペースを選べるように考慮すると良いでしょう。

職場のハード面も多様化して、選択肢を個人に与えることによって、それぞれが自分にとって一番効率よく職務が遂行できる環境を選べるようにするのが大切です。

アメリカの企業に見られるように、デスクやテーブルだけでなく、ソファや立ち席デスク、エクセサイズ・マシン、シャワールームなど多様化したワークスタイルに対応できる様にするのも良いでしょう。

社員の皆さんにも希望をお聞きになって、オフィスの構造、設備もダイバシティ化をはかってごらんになったらいかがでしょうか。

オラクルの様に、1990年代からオフィス内で緑を増やし、水槽を設置したり、犬を飼うことによってストレスの軽減やリラクゼーション、社員間のコミュニケーションを促した企業もありました。

繰り返しますが、それぞれの社員が一番生産的な環境を整備するという事は、生産性向上の上に大変重要な事項です。

勤務様態のマネジメント

フレックスな勤務時間はもちろんですが、朝方、夜型の人を考慮した勤務マネジメント体制、昼間のシエスタ時間など、個人の生体リズムにあわせた就労管理も必要になるでしょう。

これはギフティッドに限らず、誰にでも体調がすぐれない時、疲れがたまってしまった時、少しでも横になりたいという時はあるのではないでしょうか。

NASAが行った実証実験によると、26分の仮眠で34%仕事の効率が向上し、注意力が54%向上したという結果が出ています。

また、厚生労働省も「午後の早い時間にする30分以内の短い昼寝は効果的である」と認めています。

Googleは、従業員の健康と生産性のために「ナップポッド」と呼ばれる特別な昼寝用スペースを提供しています。

NIKEやUBERにも同様のスペースがあり、従業員の生産性向上のためのお昼寝タイムはポピュラーになりつつあります。

これも従業員の勤務様式を「管理する」という方式から、従業員の生産性を重視するという点にシフトした結果です。

食事や休憩の時間なども、個人差がありますので、個人のペースで行えるように配慮する必要があります。

今仕事で集中しているとか、まだお腹がすいていないのに昼食の時間になってしまう場合ももちろんあるはずです。 

食事や休憩の時間はそれぞれの就寝スケジュールにも関連してきますので、できるだけ仕事の進捗、そして体のペースに合わせて時間を調整し、生理的に自然体で業務を行うという事は社員の生産性や健康管理上、また精神衛生上にもとても大切です。

そしてこの様な環境を整備する上で、できるだけ個人の仕事のペースをリスペクトするために、タスク重視が必要だと思います。

細かな就労管理の代わりに、タスク内容と締め切りとを明確にして、個人のペースで仕事をしてもらうことで、生産性を最大限にあげる事ができます。

後でOKRのご紹介をさせていただきますが、多様な人材がそれぞれ最大限の能力を発揮するためには、オフィス環境のハード面でも、働き方のソフト面でも多様性容認し、対応していくことがとても大切です。

タスクマネジメントの重要性

個人の仕事のペースをリスペクトし、働き方の多様性を社内に導入するには、新たなタスクマネジメント方式が必要になります。

給与を払うことによって社員の時間を買っているというコンセプトから派生した管理規則ではなく、給与はタスク遂行の為の報酬だという考え方が重要です。

細かな就労管理の代わりに、タスク内容と締め切りとを明確にして、個人のペースで仕事をしてもらうことで、生産性を最大限にあげる事ができます。

これによってギフティッド社員の能力が発揮できるばかりでなく、外国人の社員や多様性に富んだ働き方をする人材のマネジメントにも大変重要な要素だと思います。

業績評価システムOKR (Objectives and Key Results )

OKR (Objectives and Key Results )いう業績評価制度は 米Intel社が生み出したタスク管理のシステムなのですが、インテル、そして、GAFAの半数が導入している評価制度です。

OKRでは定量的な目標管理ではなく、定性的(数値化できない目標)を設定する柔軟なフレームワークです。

企業、あるいはチームが達成すべき目標を定め、目標達成に必要かつ主要な活動結果を評価するというタスクマネジメントです。

目標の設定はチームの能力・容量等を考慮して実現可能である範囲で柔軟に設定されます。

目標設定の目安:

  1. 達成期限が明確である(目安は1~3ヶ月)
  2. 100%の達成度に対し、60〜70%は達成できるものである

この例では、大まかな目標は「市場シェアを拡大する」であり、それを達成するための具体的な成果指標(KR)が3つ挙げられています。

これにより、目標の進捗や達成度を測定しやすくなります。

そしてこの成果指標の60~70%の達成度で成功とみなします。

特にギフティッド人材はタスクコミットメントへのモーティベーションが人一倍高く、細かな管理は不要です。

逆に細かな管理をすると生産性やモーティベーションの低下につながることがあるので、注意が必要です。

前回、ギフティッドの子どもたちはスペリングを覚えるために10回ずつ書くというタスクには興味を示さず、いかに自分に適した覚え方を自己開発していくかということに俄然実力を発揮するというお話をしましたが、まさにOKRはそのギフティッドの特性を生かした業務評価制度なのです。

一定の期間内に最低何軒のアポ電をかけるとか、勤務時間中の稼働時間を最大限にするとか、そういう細かな指示ではなく、おおまかな目標設定だけしておいて、それぞれの自主的なメッソドでいかに達成するか、若しくはそれに近づくかというタスク管理なのです。

これはギフティッドの特徴である、創造性、本能的な改善モーティベーション、自主性、タスクコミットメントを十分発揮できるシステムで、適切な物理的な環境や職務管理体制とあわせるとギフティッド人材がその持てる才能を最大限に発揮できるシステムではないかと思います。

そもそも経営者がギフティッド!

アメリカのハイテク企業で、この様な新しい取り組みがなされている背景には、ギフティッド人材多く採用する企業のトップそのものが、ギフティッドであるという事なのです。

自身がギフティッドなので、ギフティッド社員の特性を良く理解し、生産性の向上のための環境を各方面で整備しているといえるでしょう。

そういう意味で先進的な環境や働き方や整備されてきたといえますし、今後日本企業でギフティッド人材や外国人社員を採用する際には、大いに参考にすべき点があると思います。

メンタルサポート・セーフスペース

ギフティッドに限らず対人関係が苦手な人がいらっしゃいますが、ギフティッドにはその傾向が強い人が多いと言えるでしょう。

ギフティッドの人材にみられやすい傾向

☆ 繊細で傷つきやすい  

☆ 対人関係が苦手        

☆ 完璧主義 落ち込みが激しい

☆ 発達障害

☆ 集団行動が苦手

ギフティッド1で書きましたが、ギフティッドには発達障害を持ち合わせている人も多くみられます。

社内で孤立しないよう、そして自信を持ってプロジェクトを遂行できるような心のサポートシステムが必要です。

また、ギフティッド人材に限らず、現在社会的な問題として、多くの方が心の傷を抱えていたり、メンタルのサポートが必要な人が多いのではないでしょうか。

大切な人材が、心身ともに健康で職務を遂行できるようにするために、今、まさに組織的なメンタルサポートは非常に重要で、ニーズが高い人材マネジメント分野ではないかと思います。

EAP(Employee Assistance Program)

アメリカにはEAP(Employee Assistance Program)と言われる従業員の仕事やプライベートの問題に関して助言やサポートを提供し、メンタルヘルスを向上させる支援プログラムがあります。

EAPでは、相談内容は開示しない条件で専門のカウンセラーやコンサルタントとの面談が行われます。

カウンセリングの対象は、個人、家族、結婚、ストレス管理、アルコールや薬物依存症など多岐にわたり、必要とあれば専門家や専門医への紹介が行われます。

複数の医師または病院とコンサルタント契約をした上でのプログラム内容となりますから、より行き届いたケアが実現できています。

通常24時間対応可能で、従業員が何か問題や緊急の事態に直面した場合でも、いつでもサポートを受けることができます。

この24時間というのは、不眠症、うつ病など夜間に落ち込みが激しい方々のニーズを非常によく理解し、受け止めているシステムだと思います。

このように、アメリカでは従業員のメンタルヘルスのサポートも、企業の重要な役割として位置づけられているのです。

日本にも社内の産業医のシステムがありますが、微妙な立場で、どちらかと言うとメンタルに特化していない医師であったり、会社寄りの医師であったりして、相談内容が開示されてしまったりすることもあります。

複数のスペシャリストが従業員の心のケアに寄り添う事に特化したEAPやメンタルサポートは、ギフティッド人材に限らず、社の大切な人材のケアとして、今後社員マネジメントの重要な要素となっていくと思います。


社会人の発達障害

野村総研は、2021年3月第308回NRIメディアフォーラムで「デジタル社会における発達障害人材のサラナル活躍機会とその経済的インパクト」としてレポート発表しました。

それによると、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)と診断された発達障害のある人材は約140万人おり、就業状況等の調査を報告。

そして発達障害に伴う日本の経済的損失を試算したところ、何と経済的損失は2.3兆円にも及ぶと発表しました。

このレポートで野村総研は:

*少子高齢化、産業構造の変化により、日本では産業人材の確保は急務であり、特に高度IT人材の確保においては海外に大きく後れをとっている。

*その課題の解決を図る可能性の一つとして、発達障害の人材の活躍機会に注目

*海外の大手企業では、発達障害人材を高度IT人材として積極的に採用する取り組みが広がりつつある。一方、日本での注目度は十分とは言えず、国際競争に一層後れをとろうとしている。

この様に述べ、日本における発達障害人材の活用を促すためのあり方を提案しています。

ギフテッドには2e (「twice-exceptional」のこと。「二重に例外」) と呼ばれる発達障害を持ち合わせた人が多く、特に社会的な受け皿の観点から若年から成人へのトランジションが課題となっています。

2e採用先進国アメリカでは、5,437,988人、約2.21%の成人がASD障害を持っているとCDCアメリカ疾病予防管理センターの統計が示しています。

私の知人でアメリカのIT企業でプログラマーとして働いていたASDの男性がいます。

日本から来たての新入社員でも個室が与えられ、ミーティング以外は基本的に自由。

部屋に何を持ち込んでもOK、出退勤もなし、温度設定も飲食も自由。昼寝もOK。 

同僚と話したければ、社内にリラックスサロンがあり、顔をあわせたくなければそれも自由。

メンターのパートナーが組まれており、社内での困りごとを初め、プロジェクトの内容に関する質問や上司の愚痴に至るまで、メンタル面でのサポートが充実していました。

「期日までに正確にプログラムを仕上げること」が仕事であり、それさえ守れば、後は全て柔軟でした。

上司は進行管理をすると同時に勤務時間中にいつでも相談ができるようになっていますが、基本的には個人戦。

日本では対人関係で多くの問題を起こし、働きづらさを感じていた彼にとっては、正に天国のような環境だったと思います。

但し、高給の待遇とは裏腹に、プロジェクトの戦力として認められなければ容赦なく契約終了。

そこはアメリカの厳しさと言えるでしょう。

一般的に、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)などのを持ちあせた2eのギフティッド人材は、ギフティッドの側面よりも発達障害の方が目立ちやすい傾向があります。

特に、日本の様に社内での協調性やコミュニケーション能力を高く評価する環境では、2eの採用は難しいかもしれません。

ただ、それによって実質的に「経済的損失」となっているというレポートは見逃せません。

発達障害によるネガティブな側面、感覚過敏や、コミュニケーションの苦手さなどに目を奪われずに、ギフティッドの側面に光を当て、その才能を職場で引き出すようなマネジメント・スタイルが必要なのです。

そういう意味で前述のOKRマネジメントスタイルは、2e ギフティッドの採用に最適ではないかと思います。

タスクと締切を明確に。そして発達障害者に対して周囲の空気を読んだり、前例や慣習など暗黙の決まり事を期待しない。

全て明文化して、誤解がないように明確に指示すると同時に、社内に精神的なセーフスペースも作ったり、EAPの様なサポート体制を作ったちしながら、発達障害のネガティブな部分が軽減される環境が必要でしょう。

野村総研のレポートでは、発達障害とは気づかぬうちに対処が遅れてしまう人材もあると警鐘を鳴らしています。

周囲も本人も、「人並みにできない事は本人の努力不足」だと考え、対処が遅れ、会社に馴染めなかったり、引きこもりやうつ病になってしまうケースも存在すると報告しています。

実際、ADHD(注意欠如・多動症)を持つ大人の合併症として、うつ病、不安障害、社会的ひきこもり、パーソナリティ障害、依存性・嗜癖行動 が85%の患者の中で起こっているとのデータを示しています。

近頃では世界的著名人が発達障害であることを公表し始め、テスラの最高経営責任者、イーロン・マスク氏が米国のTV番組で自身が自閉症であったことを公表しました。

このレポートでは、SAP、マイクロソフト等のIT企業ばかりでなく、JPモルガン・チェース、フォード、プロクター・アンド・ギャンブル等の世界をリードする大企業は、発達障害人材の職務適性に着目し、高度IT専門職としても発達障害のある人を積極的に採用、育成するようになったと報告しています。

 

これらの企業は発達障害人材を積極的に雇用する理由として 以下のことを挙げています。

そして、発達障害のある人々の職種が、ITエンジニアを中心に増えて行き、財務、セールス、マーケティング、人事など幅広い職域へと広がっているとレポートしています。

将来的には「発達障害」の採用が障害者雇用の枠ぐみではなく、一般的な部門でのマネジメントスキルとして広がっていくと期待できるとしています。

タンポポの原則

ニューロダイバーシティ(Neurodiversity:神経多様性)という言葉をご存知でしょうか。脳や神経(Neuro:ニューロ)、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを「多様性(Diversity:ダイバーシティ)」と捉えて尊重し、社会の中で生かしていこうとする考え方のことです。

自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)など、発達障害において生じる現象を、能力の欠如や障害ではなく、「人間のゲノムの自然で正常な変異」として捉える概念です。

その人の特性を生かして戦力化しようとする企業や社会の取り組み、”均一性を求めない新しい雇用の考え方”として、デンマークのスペシャリステルネ社の「タンポポの原則」の思想が海外大手企業の火付け役となっていると野村総研のレポートにかかれています。

スペシャリステルネ社は従業員は約7割が自閉症スペクトラムの人たちで構成されているものの、その優秀な能力を発揮して、マイクロソフトをはじめとした大企業を顧客とした優良企業です。

タンポポの原則の語源として、マサチューセッツ工科大学のスローン経営大学院の資料ではこう書かれています。

「タンポポは、均一な芝生の上では厄介な雑草、 しかし、実は栄養、ヒーリングなどの効果があるハーブでもある。

タンポポを雑草とするか、ハーブとするかは、タンポポではなく、 私達の知識と理解次第である。」

ちょっと補足しますと、日本では可愛らしい春の花の象徴、タンポポなのですが、葉が大きく地面に広がってしまい、芝生を枯らしてしまうため、欧米では有害植物として目の敵にされているのです。

芝生の庭を持つ人は、毎年春はタンポポが種をつける前に駆除の戦いが繰り広げられ、実際にはタンポポは単なる雑草よりも忌み嫌われてる植物なのです。

その様なタンポポ集団を優れた技能集団にするのは「知識と理解次第」としています。

個人個人の潜在能力を最大化価値を発揮できる職務をデザインし、「万能」を求めずに、「違いのある人」「稀有な」人材を採用する重要性が報告されています。

ADHDと診断を受けながらも成功したジェシカ・マケイブのTEDトークで、彼女はこの様に述べています。

「木に登れないことで魚の能力の良し悪しを評価するなら、魚は生涯、自分はバカだと思って生きるでしょう。魚にとって木登りをする才能は重要ではなく、海は広いと気づけば全く違う人生になるのです。」

野村総研のレポートでは、「発達障害人材の活躍を通じて、”個々の才能は、周囲の知識や理解次第である”との思想が広がりつつある」として、多様な人材の活躍機会の重要性を説いています。


この賢者の人事にギフティッドのの記事を書きはじめて1ヶ月ほどで5名ほどの方から、色々な方から「自分の生きにくさギフティッドだからだったと思う」とお話をいただきました。

ただ、「そのうち3名は新卒の会社でうまく行かず、2年以内に退職、うち2名はうつ病を発症した」という事でした。

伸び伸びと大学生活を送り、意気揚々と志望した会社に入社したのに、同期と比較されたり、上司に叱られたり、対人関係が苦手なのに、それを克服する様に強いられたり、長時間勤務を強いられたり・・・ 

彼らにとって木登りは重要ではなかったのです。

彼女にとっては泳ぐ方がずっと得意だったのです。

会社としても、多大な採用経費を使って採用した大切な人材、しかも多才なギフティッド人材がメンタルを病んでしまって退職してしまうのは、大きな損失です。

もっともっと一人ひとりを大切にしながらも、生産性を最大限にあげていくマネジメント方法があるのではないでしょうか。


ギフテッドの特性をより深く理解して、ギフテッド人材の能力を最大限に発揮する社内環境を整える事によって、48万人もの発達障害者を、一転して貴重な人材リソースとして活用していく事も可能になっていく事でしょう。

ここで書かせて頂いたように、ギフティッドの採用、マネジメントの際には、「それぞれの従業員が限られた時間内で最大の生産性で職務を遂行する環境を、物理的環境であるハード面、働き方のソフト面、そしてメンタルの方向から整備するという観点のマネジメントにシフトする必要があります。

そしてこれらの事が正しく行われれば、自ずから優秀な人材が集まり、定着していくのではないでしょうか。

「自由な職場の環境で、働き方も自分のペースで、そして目標設定もおおかまで、メンタルのサポートも完備されている・・・」

ギフテッド人材に限らず、誰しもが、こんな環境でお仕事をしたいとお思いになりませんか。

是非、御社の将来のため、日本の未来のため、そしてこれをお読みになられているあなたご自身が、あなたらしく輝いてお仕事ができるように、多様性を受け入れ、多様性を活かす、そんな職場を目指しましょう。

「みんなちがって みんないい」

これが実現できるよう、是非御社でも長い視点でギフティッド、2e人材をはじめとする多様な人材の活性化の仕組みづくりを構築するよう、「今」第一歩を踏み出していただきたいと思います。

Who is writing

株式会社経営人事パートナーズ Executive Research Specialist / International Career Advisor

☆1983-1986年 海外子女教育機関・ボストン日本語学校教員・教頭 

☆1987-1993年 株式会社ディスコ・ボストン現地法人副社長、本社国際営業課長としてバイリンガル人材の就職説明会、ボストンキャリアフォーラムの立ち上げ、運営に従事。

☆1996年 日米教育交流(留学支援)の会社WAVE USA, Inc. (Worldwide Academic & Vocational Exchange USA, Inc) を設立。

☆2016-2021年 Weiss Ratings社・国際情勢リサーチアシスタント

☆2017-2021年 ギフティッド教育に特化した私立小中学校、The Weiss School非常勤講師

☆2022 財団法人東京財団政策研究所CSR研究プロジェクト リサーチアシスタント

<学歴>
☆マサチューセッツ州立大ボストン校政治学部卒。
☆ブラウン大学大学院政治学部国際政治学専攻卒。政治学修士。

<得意分野>#バイリンガルキャリア開発 #国際人材開発 #アメリカで起業 #アメリカの教育 #ギフティッド #留学 #語学習得・バイリンガル  #アメリカ政治&Z世代 #アメリカ生活