はじめに
突然ですが、あなたは人と会話するのが得意ですか?得意じゃないですか?
「得意じゃない」と答えた人は、共感力がないのかもしれません。
人とコミュニケーションを取るには、「聞く力」と「伝える力」の両方が必要です。
いくら伝えるのが上手でも、聞くのが下手だと会話のキャッチボールをすることができません。
これは日常的な会話でもそうですし、ビジネスシーンでも同じように言えることです。
特に、クライアントと直接やり取りをする仕事の場合は、相手の本音を引き出すために「傾聴」や「共感」を意識するのが基本となります。
そこで今回は、共感力がない人の特徴と高めるための4つのポイントについて解説していきます。
話すのが苦手な人でも、聞くのが上手になればコミュニケーションを円滑に進められるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
共感力とは
共感力とは、他人の感情や状況を理解し、その人の立場や気持ちに共感する能力のことです。
つまり、共感力がないということは、相手の感情や状況が理解できていない、もしくは理解していても表現することができていない状態と言えます。
例えば、節約思考の人は、自己投資や経験にお金を使う人の気持ちが分からないでしょうし、問題解決思考の人は、ただ話を聞いてほしいという人の気持ちが理解し難いことでしょう。
このように、価値観や意見というものは人それぞれ異なるものですので、相手の言っていることに共感できないというのは往々にしてあります。
しかし、「共感できない」という問題をそのままにしてしまうと、気の合う人としかコミュニケーションを取れなくなります。
これは、ビジネスマンにとっては大問題です。
営業マンであれば、話の合う人からしか契約が取れなくなりますし、教育担当の人であれば、気の合う部下としか信頼関係が築けなくなります。
ビジネスマンとして、一人でも多くの人と円滑にコミュニケーションを取るには、相手の話や置かれている状況を理解しようとする姿勢を持ち、それを適切に表現することが重要です。
共感力がない人の特徴
共感力がない人には、以下のような特徴があります。
- 人の話に否定的である
- 他者への興味関心が薄い
- 他人の気持ちが理解できない
- 自己表現が苦手
- 人間関係を築くのが苦手
1つでも当てはまる人は、人と上手くコミュニケーションが取れていない可能性があるので要注意です。
人の話に否定的である
共感力がない人は、相手の話や意見を否定しながら聞いてしまう傾向があります。
- でも、それって○○じゃない?
- いや、私はそうは思わないな〜
- そうなんだけど、やっぱり○○だと思うな
というように、「でも」「いや」などの否定的な言葉から話し始めることが多いです。
自分の意見を持っていることは大切ですが、何でもかんでも否定から入る人は共感力があるとは言えません。
人と会話をする際は、相手がなぜそのような考えや意見を持っているのか考えることが重要です。
他者への興味関心が薄い
共感力がない人は、そもそも相手に対する興味や関心が薄い傾向にあります。
会話をする際は、「へー」「そうなんだ」「ふーん」というような、適当な相槌を打つことが多いです。
このような人は、相手が何を考えているのか気にすることなく会話をしているため、気づけば自分の話ばかりしていることもあります。
興味や関心を示すとすれば、自分の好きなことや興味のある話題の時だけと言えるでしょう。
相手の話に耳を傾けることができるのにやらないというのは、性格的な問題でもあります。
特に、日頃から自己中心的な態度や行動をとってしまう人は要注意です。
他人の気持ちが理解できない
共感力がない人は、他人の気持ちが理解できない傾向にもあります。
例えば、同僚が落ち込んでいたとしても、不機嫌だったとしても、その変化に気づくことができません。
会話の中では、「なぜそのような感情になるんだろう?」と、「?」ばかり浮かんでしまいます。
「最近、仕事が大変なんだよね」と言われても、その大変さが理解できないため、相手の気持ちに寄り添った言葉がけも、効果的なアドバイスもできないでしょう。
前述したように、人に興味や関心がないというのもありますが、そもそも感情の起伏が少ないタイプの可能性もあります。
とはいえ、感情の共有ができないと、ロボットと会話しているのと同じになりますので、最低限、喜怒哀楽くらいは読み取れるようになる必要があります。
自己表現が苦手
共感力がない人は、自己表現が苦手な傾向にもあります。
例えば、相手の感情や言っていることが理解できているのに、適切に反応できていない状況です。
- 表情が固い
- 声のトーンが低い
- 身振り手振りが少ない
特に、このような人は自分の感情が相手に伝わりづらいため、共感してくれていないと思われてしまいます。
自分だけできていると思っていても、相手に伝わらなければ意味がないため、反応が薄い人も要注意です。
人間関係を築くのが苦手
ここまで解説したように、共感力がない人は、人と上手くコミュニケーションを取ることができないため、良好な人間関係を築くことを苦手とします。
- この人とは話が合わないな
- この人の言ってることはよく分からないな
- この人は反応が薄いな
周りの人には、このように思われているかもしれません。
仲の良い友達を思い浮かべてみると分かると思いますが、親近感が湧いたり、距離感を近く感じるには、自分のことを受け入れてもらう必要があります。
そのためには、感情や状況を共有し、理解し合うことが大切です。
ただし、双方のやり取りが重要ですので、自分の話だけするのではなく、相手のことを知ろうとする気持ちが必要です。
共感力がある人の特徴
共感力がない人とは、他者に対する意識の向け方が異なります。
具体的な特徴は以下の通りです。
- 人への興味関心が強い
- 人の話をしっかり聞いている
- 経験が豊富である
実際に、コミュニケーションが上手な人を思い浮かべながら見ると分かりやすいでしょう。
人への興味関心が強い
共感力が高い人は、人に対する興味関心が強く、相手の話の内容について考えを巡らせながら聞いています。
共感力がない人とは違い、「へー」「そうなんだ」などの相槌で終わることがほとんどありません。
続けて話の内容を深掘るような質問をしたり、自分の意見を伝えたりします。
皆さんも、興味のない話は耳に入ってこないことが多いのではないでしょうか?
「質問はある?」と言われても、おそらく頭に思い浮かばないと思います。
しかし、趣味や好きなことであれば、自然と話が盛り上がることでしょう。
その違いは、「話題に対して興味や関心があるかないか」です。
共感力がある人は、相手の話を理解しようとする気持ちが強いため、自然と共感する言葉や質問を投げかけることができます。
人の話をしっかり聞いている
共感力がある人は、聞き方も丁寧で、人の話を最後までしっかり聞いています。
一見普通のことだと思われがちですが、話の途中で口を出したり、「結論は?」と話を端折るように促す人も多く見られます。
コミュニケーションは、信頼関係を構築する手段であったりもするため、必ずしも効率よく行うのが正解という訳ではありません。
時には、相手のペースに合わせて話を聞くことも大切です。
経験が豊富である
共感力がある人は、経験が豊富であるのも特徴です。
相手の感情や状況に対して適切に共感できるのは、実際に自分も経験したことがあるからです。
例えば、新人の時に大変な思いを経験しているからこそ、後輩や部下に親身になって接することができます。
辛いことや楽しいことなど、色々な経験をしてきたからこそ、相手の感情に寄り添えるのです。
共感力を高める4つの方法
共感力を高めるには、人との向き合い方や話の聞き方を変えていく必要があります。
具体的な方法は以下の通りです。
- 人の気持ちを読み取る練習をする
- 色々な人とコミュニケーションを取る
- 聞き手に徹する
- 相手の話を分析しない
コミュニケーションを取るのが苦手な人にとっては大変かもしれませんが、まずはできることから始めてみましょう。
人の気持ちを読み取る練習をする
相手の気持ちを理解できないと正しく共感することができないため、まずは人の気持ちを読み取る練習から行いましょう。
具体的な方法は、以下の通りです。
- 映画を見る
- ドラマを見る
- アニメを見る
- 小説を読む
- 漫画を読む
何でも好きなもので構いませんので、感情移入できるものを繰り返し見たり読んだりしましょう。
そうすることで、自分が直接体験できないようなことでも擬似体験することができ、共感するための引き出しが少しずつ増えていきます。
実際に、見たり読んだりする際は、「登場人物がなぜそのような行動をとったのか?」「その時にどのような感情だったのか?」などを感じ取るように心がけましょう。
色々な人とコミュニケーションを取る
人の気持ちを読み取れるようになってきたら、色々な人とコミュニケーションを取ってみましょう。
勉強と同じで、見たり聞いたりするだけでは実践力が身につきません。
共感力を高めるには、いつもよく話す人だけでなく、関わりの薄い人とも積極的に話すようにし、経験を積むことが大切です。
会話をしている時の表情や姿勢、声のトーンなどは人によって様々ですので、共感の仕方も一人ひとり異なります。
「表情を意識することで感情が伝わりやすいな」「リアクションを大きくすることで相手の反応が良くなるな」というように、実際にコミュニケーションを取ることで、多くのフィードバックを得ることができます。
実践練習なしで共感力が高くなることはありませんので、ひたすらトライアンドエラーを繰り返すことが大切です。
聞き手に徹する
人とコミュニケーションを取る際は、聞き手に徹することも大切です。
具体的には、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 相手の目を見て頷く、相槌を打つ
- 相手の言葉を遮らない
- オープンな質問をする
共感力が高い人は、聞き上手なことが多いです。
相手の話を最後まで聞き、意見に同意し、気持ちに寄り添う。
時には質問を投げかけて、相手に話したいことを話させる。
これができると、共感していることが伝わり、相手から信頼を得ることができます。
「大変だったね」「分かるよ」というような共感フレーズを言うことだけが全てではありません。
相手の話を注意深く聞くだけでも共感していることは伝わるので、自己表現や自己開示が苦手な人は、まずは聞くことに徹してみましょう。
相手の話を分析しない
すぐに自分の意見を言いたくなる人は、相手の話を分析しないように心がけましょう。
- そうかな?
- なんでそう思うの?
- いや、それは間違っているでしょ
というように考えるクセがあると、相手の意見を否定するような言葉を発してしまいます。
これは、共感とは真逆の行為です。
自分の意見を伝えることも大切ですが、タイミングと伝え方が重要です。
分析しながら話を聞いていると、理解できなかった時に共感する言葉をかけられなくなるため、「そういう考え方もあるんだな」くらいの気持ちで接するようにするとよいでしょう。
共感力が活かされるビジネスシーン
共感力は、コミュニケーション能力の一つなので、様々なビジネスシーンで活かされます。
具体的な場面は、以下の通りです。
- 同僚やクライアントとの信頼関係の構築
- プロジェクトの円滑な進行
- 顧客ニーズの理解
仕事で関わる全ての人とのコミュニケーションが円滑に進められるようになるため、仕事が上手く回るようになるなどの多くのメリットが得られるでしょう。
同僚やクライアントとの信頼関係の構築
共感力が高いと、同僚や部下、クライアントなどと信頼関係を構築しやすくなります。
信頼関係の構築に必要な要素は多くありますが、何より重要なのが「オープンなコミュニケーションが取れるかどうか」ということです。
- この人は話しやすいな
- 気持ちを分かってくれるな
というような「安心感」があるからこそ、人は心を開いて接してくれます。
この安心感を作り出すのに必要なのが、「共感力」というわけです。
信頼関係が築ければ、他には話せないような秘密や相談事を打ち明けやすくもなるため、より人間関係が深まっていきます。
プロジェクトの円滑な進行
周りの人と信頼関係が築けるようになると、プロジェクトの進行も円滑になります。
チーム内でのコミュニケーションや協力において、共感力はチームビルディングに役立ちます。
チームメンバーの感情や立場を理解し、意見や貢献を尊重することでチームの結束力を高めることが可能です。
また、共感力を持ったチームは、他者の視点や意見を尊重し、協力して問題を解決することができます。
異なる視点からのアイデアやフィードバックを活用すれば、より創造的な解決策が生まれる可能性が高くなるのもメリットです。
顧客ニーズの理解
顧客とのコミュニケーションにおいて、共感力は非常に重要です。
顧客のニーズや要望を理解し、適切な対応を行うことで、顧客満足度を高めることができます。
実際には、「顧客が何を求めているのか?」「どのような問題を抱えているのか?」を理解するために、注意深く話を聞くことが必要です。
そして、顧客が抱える問題や懸念に共感し、理解した上で、顧客に最適な解決策やサービスを提案していきます。
顧客が抱える問題や不満を解決し、顧客満足度を向上させることができれば、長期的な関係性の構築にも繋がります。
このように、共感力を持った対応で信頼関係が築ければ、顧客はリピート購入や口コミでの紹介など、ビジネスにとって有益な行動を取りやすくもなります。
まとめ
今回は、共感力がない人の特徴と、高めるための4つのポイントについて解説しました。
共感力がない人は、他人への興味関心が薄いことから、相手の気持ちを理解できないことが多いです。
また、自分の考えや意見が正しいと思っている場合、相手の話をすぐに否定してしまう傾向もあります。
このような場合、良好な人間関係を築くことはできず、ビジネスマンとして損をすることが多くなってしまいます。
そこで、共感力を身につけるために、以下の4つのポイントを実践することが大切です。
- 人の気持ちを読み取る練習をする
- 色々な人とコミュニケーションを取る
- 聞き手に徹する
- 相手の話を分析しない
相手の気持ちを理解して、適切に寄り添えるようになるには、他人に対する意識を変える必要があります。
まずは、人の気持ちを読み取る練習をするところから始め、色々な人とのコミュニケーションを通して、少しずつ感覚を掴んでいくとよいでしょう。
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