プロ研修講師直伝!ビジネスで使える話し方のトレーニング

今回は「人前に立つと頭が真っ白になって、何を話せば良いのか分からなくなる・・・」という方のために話し方のトレーニング方法を解説します。

プロ研修講師直伝!ビジネスで使える話し方のトレーニング

あなたにも、こんな悩みがありませんか?

  • 人前に立つと緊張で頭が真っ白になる。
  • うまく言語化ができず、言いたいことが伝わらない。
  • ミーティングでいつも自分の意見が言えない。

もし、ピンときたら、是非続きを読んでください。

組織の管理職やリーダーにとって、コミュニケーションスキルは必須の能力ですよね。

現代のビジネス環境では、テクノロジーの進化に伴い、電子メール、ビデオ会議、ソーシャルメディアなど、さまざまなツールを駆使して効率的に情報を伝え、チームの連携を図ることが求められています。

このように一言でコミュニケーション能力と言っても、求められるスキルは様々であり、どれも一朝一夕で得られるものではありません。

そんな中でも、特にリーダー陣から挙がってくる悩みが「話し方・伝え方について」です。

これには、以下のようなものが含まれます。

  • プレゼンテーションのような人前で話す方法
  • 部下への適切な伝え方
  • チームミーティングでの効果的な意見交換など。

というわけで今回は、これまで数々の企業研修やワークショップにおいて、毎回何十人〜何百人の前で講師やファシリテーションを務めてきた私の経験から「話し下手な人が、自分の考えを言語化し、人前で話せるようになる方法」をお伝えします。

ちなみに私は、決して話すことが得意ではありません(書く方が圧倒的に得意です)。

そんな私が、人前に出るまでに意識して、取り入れたポイントを詳しくお伝えします。

では早速ですが、1つ目は「自分のタイプを知る」について解説しましょう。

話が得意なタイプと苦手なタイプ

話が得意なタイプと苦手なタイプ

世の中には「台本が無くてもいきなり本番でスラスラ話せるタイプ」と「2週間前から台本を準備し、しっかり練習したとしてもうまく話せないタイプ」がいます。

あなたは、どちらのタイプでしょうか?

恐らくここまで読んでくださっているということは・・・後者が多いと思います。

しかし、安心して下さい。

個人的に人に伝わりやすい・説得力のある話し方を、最終的に手に入れるのは後者だと思っています。

なぜなら「話す・伝える」は決して感覚的に行うものでは無く、戦略的に行うものだからです。

そういった意味で、話すことが苦手な人の方が、真剣に深く考えることができるはずです。

具体的な方法は後述するとして、まずは自分のタイプをざっくり知っておきましょう。

以下にいくつか質問をしますので、当てはまる数を数えてみて下さい。

  • 思ってもみないタイミングで、いきなり指示を出されるとフリーズしがち。
  • 「明るい・情熱的」というより「冷静・理論的」である。
  • 大勢の前で話すより、一対一での会話を好む。
  • 新しいグループに入る際、最初は観察者の立場を取りがち。
  • 意見を求められたとき、即座に答えるよりも考える時間が必要。
  • 他人との衝突を避けるために、自分の意見を抑えることがある。
  • プロジェクトやタスクに取り組む際、詳細な計画を立てることを好む。
  • 社交的な場面やイベントに行くことに抵抗感を覚える。
  • 情報を共有する前に、それが完全に正しいことを確認したいと感じる。
  • 自分のアイデアや成果を積極的にアピールするよりも、質の高さで認められたい。

以上。

「はい」の数が多いほど、話すことが苦手な可能性があります。

しかし、このようにタイプを知ることで「間違った努力をしない」「間違った目標を立てない」というメリットが生まれます。

話しが苦手なタイプが「人前で足が震えずに話す方法」を学ぶべきではありません。

世界長者番付に、毎年名を連ねる大富豪「ウォーレン・バフェット氏」は、昔から人前で話すことが苦手だったそうです。

その上で彼がとった行動は、人前で足が震えずにしゃべる方法・・・ではなく「足が震えても喋ることができる方法」を学んだと言われています。

自分のタイプによって、適切な方法を選び練習していきましょう。

続いては、スピーチの事前準備と、具体的な練習方法についてお伝えします。

事前準備と練習方法

効果的なスピーチとは戦略的であるからこそ、徹底的な準備と練習が不可欠です。

まず、スピーチの準備には、明確な目的とメッセージを定義することから始めます。

私がよく行うのは「マインドマップ」というツールを使って、話の内容をまとめる方法です。

これは私が研修講師としてデビューした頃からの習慣であり、当時は担当の研修に関するマップを何十枚と作り、それを印刷してカバンの中に入れて持ち歩いていました。

マインドマップは思考整理や、新たなアイデアを生み出したい時にも便利なのでオススメです。

1人で行う練習方法

話す内容と、ある程度の資料が揃ったらリハーサルを行います。

ポイントは、できる限り本番と同じ環境で練習することです。

まず1人でできることとしては、以下のような方法が考えられます。

  • 時間を計りながら話す。
  • 当日着ているであろう服装に着替え、しっかり立って話す。
  • 自分の話している姿を録音・録画する。
  • 大きめのボリュームで音楽をかけるなど、あえて集中しづらい環境で話す(雑音が入っても話し続ける練習)など。

また、様々な状況に対応できるように、質問への回答やトラブルシューティングもリハーサルに含めておきましょう。

仲間との練習

1人で練習するだけではなく、できる限り同僚や知人に協力してもらい、フィードバックをもらうことをオススメします。

プレゼンテーションの内容が重要であればあるほど、人前での練習は欠かせません。

これらの準備と練習方法を通じて、あなたのスピーチやプレゼンテーションは、より説得力のあるものになるでしょう。

では次に、話し方や内容について「あなたの話が、10倍伝わるようになる3つのコツ」をお伝えします。

1.姿勢を変えるだけで話し方が変わる

1.姿勢を変えるだけで話し方が変わる

結論、姿勢を変えるだけで、自分に対する自信や内容の伝わり方は大きく変わります。

自分が元気で、気分が明るい瞬間を思い出してみて下さい。

おそらく、体はリラックスしていて、目線は上を向いていると思います。

であれば、まずはその姿勢(体の状態)を先取りしてしまいましょう。

話し方を改善したいと思った時に、話し方や伝え方、言い回しにフォーカスする人は多いです。

しかし、正直なところ「何を話すか?」は大して重要ではありません。

人は内容よりも、話し手の態度や声に注意を向けています。

試しに、YouTubeなどで魅力的な話し方をする人を見つけて、話の内容を文章に書き起こしてみてください。

すると、多くの場合において、さほど重要なことを話していないことが分かると思います(笑)

彼らは話す内容よりも、姿勢や表情といった、非言語的な情報を操るのがうまいのです。

まずは話す時に以下のような「立ち方」を意識してみて下さい。

  1. 肩をリラックスさせる:緊張していると肩が上がります。一度肩を上げて、スッと力を抜いて下さい。
  2. 背筋を伸ばす:思い切り背筋を伸ばす必要はありません。実際は少し胸を張るくらいで結構です。
  3. 足は肩幅くらい、手は自然な位置に降ろします:ホテルマンの挨拶かのように、かかとをつけてシュッと立つ必要はありません。手はブラブラさせたり、前や後ろで組んだりせず、足の横に自然に降ろします(話し始めたらジェスチャーで動かします)。

座っている時も、基本は一緒です。

話し始めたら、じっと立って話すのでは無く、ジェスチャーを使いましょう。

また、ステージが広い場合は、適度に歩き回ってください。

そうやって身体を動かすことで、自分自身の緊張もほぐすことができます。

効果的な目線の使い方

目線の使い方も同様に重要です。

相手の目を見て話すことで、関心、誠実さ、自信を表現できます。

しかし、じっと見すぎると威圧感を与えかねないため、バランスが重要です。

複数の人を相手にする際には、基本的に全体を眺めるようにし、時折1人の人と目を合わせるようにしてみてください。

また、緊張すると目線が定まらず、瞬きが速くなることがあります。

「緊張してきた・・・」と感じた時ほど、自分の体の動きに注目し、ゆっくり動いてみてください。

このように姿勢から始めることは、スピーチに想像以上に良い効果をもたらしてくれるでしょう。

2.聞き手の注意を引きつける

3.話し方の基本:明瞭さと説得力

「うまく話そう」という意識に捉われると、自分ばかりが話すことを考えてしまいがちです。

しかし「聞き手とのコミュニケーション」を忘れてはいけません。

まずは視覚的なコミュニケーションとして、もしスライドなどが使える場合は、グラフ、チャート、写真、動画などを沢山使うと良いです。

また、その際は「1枚のスライドに対して1つのメッセージ」を徹底してください。

たまに、スライド一杯に文字をつめこむ人がいますが、聞き手はその時点で見るのをやめます。

スライドはできる限りシンプル(記号や装飾もできる限り入れない)にしておき、1メッセージを保つことで伝わりやすくなりますし、話し手も「何を話せばい良いか?」が分かりやすくなります。

質疑応答を活性化させるテクニック

話すことが苦手な人は、是非「質問の機会」を多めに取り入れてください。

質疑応答は、聞き手との相互作用を促し、スピーチ内容に対する関心を深める絶好の機会です。

質問を促すためには、予め興味を引く質問を準備しておく、質問者に対して感謝を表す(質問がしやすくなる)などのテクニックが有効です。

もし質問が出ないようであれば、参加者を指名して、感想や気づきを促してもOKです。

それすらも難しい場合は、手を挙げてもらうだけでも良いです。

とにかく場に参加してもらいましょう。

参加者と交流する機会を持つことで、「自分がしゃべらなきゃ!」というハードルを下げることにもつながります。

これらの要素をプレゼンテーションに取り入れることで、聴衆の注意を引きつけ、記憶に残るプレゼンテーションが行えます。

3.話し方の基本:明瞭さと説得力

3.話し方の基本:明瞭さと説得力

続いては肝心の「話し方」ですね。

話し方において、明瞭さと説得力は非常に重要です。

その上で、まず意識したいのが「話す速度」です。

例えば、早口には相手に集中して聞いてもらいやすくなる効果があります。

しかし、かといって単に早口で喋るのではなく、基本的にはゆっくりと話す〜要所要所でスピードを上げることで抑揚をつけると、聞き手を飽きさせません。

緊張すると早口になってしまう場合は、意識的に話すスピードを下げてみてください。

説得力を高める言葉選び

次に、説得力を高めるための「言葉選び」にも注意しておきましょう。

力強い言葉や具体的な例を使うことで、聴衆の感情に訴えかけ、説得力を増すことができます。

例えば、相手の確信や理解を深めたい場合は、語尾を言い切ることが大切です。

「言い切ってしまったら、反論されるのではないか?」という不安があるかもしれませんが、あえて言い切ることで、相手の理解と信頼感を得ることができます。

また、専門用語を使う場合は、相手の知識の度合いを考える必要がありますね。

プレゼンテーションの場合は「誰が聞いても分かりやすく」が基本ですが、専門家相手には専門用語を使った方が説得力が増します。

ちょっとした言葉が、相手に与える印象と理解を大きく変えることを知っておいてください。

ストーリーテリングの技術

最後に、少し上級テクニックではあるのですが、「ストーリーテリング」の効果をお伝えしておきます。

これはそのまま、物語を話すという意味です。

単に事実を伝えるのでは無く、ストーリーを語ることで、聞き手の記憶に残りやすくすることができます。

例えば、「早起きは三文の徳です」と伝えるのではなく・・・

「今日は天気も良く、眩しい朝日ですごく心地よく起きることができました。その後シャワーを浴び、ゆったりとコーヒーを楽しんでいると、ふと昨日まで頭を悩ませていた問題に対する解決策が閃いたんです。やはり早起きは良いですね!」

といったイメージです。

物語を通じて情報を伝えることは、聞き手の理解を深めてくれます。

これらの要素を組み合わせることで、確実に明瞭かつ説得力のある話し方が出来るようになります。

補足:必ず乗り越えるべきもの

補足:必ず乗り越えるべきもの

ここまで、具体的な準備〜話し方をお伝えしましたが、最後に何より重要な心構えをお伝えいたします。

それは「ネガティブな反応に対する心構え」です。

批判的な意見や反応は、プレゼンテーションやディスカッションの場で避けられないものです。

ステージで話をしていると、聞き手の顔がよーく見えるんですね。

多くの人は穏やかに耳を傾けてくれてはいるものの、中には腕を組んで、不機嫌そうな顔でこちらを見ている人がいたりするものです。

すると、その人が気になってプレゼンどころではなくなり、その後何を話したかも覚えていない・・・なんてことがよくあります。

仮にそんなネガティブな反応に気づいた時は、それを成長の機会と見なすことが大切です。

そういった反応をしている人は、実はあなたの話をしっかり聞いているからこそ、ネガティブな反応を示していることが多いです。

だからこそ、具体的な改善点に気づくことができるチャンスなんですね。

また、もし直接的にネガティブな意見をぶつけられたとしても、イラッとしたり不安になったりせず、まずは「正直に教えてくれてありがとうございます」という、感謝の気持ちを表現してみてください。

そうすることで、自分自身も一呼吸置くことができ、素直に相手の意見を聞く姿勢が整うはずです。

ちなみに私はとある研修において、実際に腕を組んで、終始不機嫌そうな顔をしている人がいたので、研修終わりにあえて話しかけてみたことがあります。

何を言われるかな・・・と内心ドキドキだったのですが、その人からは「今日はすごく勉強になりました!ありがとうございます」という、思いがけない良い反応が返ってきました。

実は真剣に聞いてくれていただけで、決して不機嫌なわけではなかったんですね(笑)

このように、自分が考えすぎているケースもありますので、あまり聞き手の反応に一喜一憂しない方が良さそうです。

まとめ:どんな人でもトレーニングで話し方はうまくなる!

まとめ:どんな人でもトレーニングで話し方はうまくなる!

今回は話が苦手な人のために、話し方のトレーニングについてご紹介しました。

私がお伝えしたいのは「どんな人でも練習すれば話せるようになる」という事実です。

話し方の上達は、天性の才能だけに依存するものではなく、適切な練習によって誰もが改善できます。

「細かなテクニックが沢山あって上手くできそうにない・・・」と思うかもしれませんが、実践で試していくうちに、体が自然と動くようになります。

私も決して話すことが得意ではありませんし、いまだに研修に入る前は緊張しっぱなしです。

しかし、今ではそれなりに話すことが出来るようになったことで、研修そのものを楽しむ余裕を持っています。

結局のところ、自信を持って一歩踏み出し、継続的な努力を重ねることが、話し方を向上させる鍵となるでしょう。

Who is writing

岩下 知史(いわした ともふみ)

職業:メンタル&ビジネスコーチ、ライター。

クライアントは経営者、会社役員、ドクター、看護師、個人事業主〜主婦まで多岐に渡る。

大学卒業後は主にホテル業界に従事、東証一部上場企業にてチームマネジメントに携わり20名ほどの部下を抱える。

離職率の高いホテル業界で、人材教育へのプレッシャーから躁鬱病を経験するも、それまで一度も予算達成したことがなかったチームを常勝チームへと成長させる。

その後2015年に独立、様々な成功と失敗体験を積む中で「教育」に情熱があることを再認識し、経験・人脈ほぼゼロの状態から、コーチング、ライティング、Webマーケティング、研修講師業などを通じて本格的に人材教育業界へ。

2020年からは世界で100万人が活用しており、MicrosoftやIBMといった有名企業に人材育成ツールとして導入されている「ウェルスダイナミクス」において、専属のメルマガライター兼・日本に3人しかいない公認トレーナーを務める。

その間は1,000人以上のビジネスパーソン、有資格者の指導にあたり、2022年にトレーナーを卒業〜現在に至る。

人生のミッションは「自ら思考・選択・行動できる人材を育てること」、趣味はギターと筋トレ、心理や精神世界に関する読書、娘と遊ぶこと。