はじめに
現代社会において、誰もが経験する現象の一つとして「ストレス」が挙げられます。
私たちは仕事や家庭、社会的な圧力に打ち勝ち、忙しい毎日を過ごしていますが、ストレスが心身の健康に悪影響を及ぼすことは周知の事実です。
仕事の締め切りが迫ったり、未読メールが増えたりと、日々の業務で疲弊しきってしまっては、QOL(生活の質)は下がるばかりです。
残念ながらストレスの影響を受けない方法は存在しませんが、そのストレスを健康的に管理し、解消する方法はたくさんあります。
そこで今回は、以下の内容について解説していきます。
- ストレスを感じる仕組み
- ストレスが身体に与える悪影響
- ストレスを感じやすい人の特徴
- おすすめのストレス解消法9選
- 職場でできるストレス解消法3選
- ストレスが溜まっている時に注意すべきこと
本記事を読み終えれば、ストレスとの向き合い方が分かり、生活をより豊かなものにすることができるでしょう。
簡単に取り入れられる方法から仕事場でのストレス管理方法まで幅広く解説していきますので、自分に合った方法を見つけてみてください。
ストレスとは?
ここでは、ストレスとは何かについて、以下の3項目に絞って詳しく解説していきます。
- ストレスを感じる仕組み
- ストレスが身体に与える悪影響
- ストレスを感じやすい人の特徴
ストレスを溜めにくくするためには、ストレスに関する知識を深めておくことが重要ですので、ここで情報を整理しておきましょう。
ストレスを感じる仕組み
ストレスは、外的要因(ストレッサー)によって生じた反応のことを意味します。
例えば、先生に怒られた際に感じる「悲しい・辛い」という感情そのものがストレスということになります。
なお、ストレッサーにはいくつか種類があり、主に以下の4種類に分けられます。
- 心理的要因:性格・自尊心・認知的歪み
- 社会的要因:仕事のプレッシャーや責任・生活費やローンなどの経済的問題
- 生理的要因:睡眠不足・体調不良・ホルモンバランス・自律神経の乱れ
- 物理的要因:暑さ・寒さ・騒音・痛み
風船に圧力をかけていくと、いずれ破裂してしまうように、ストレスを与え続ければ人の心もいつか限界を迎えてしまいます。
ただし、全てのストレッサーが悪いというわけではありません。
風船を手で押すより、針で刺した方が割れやすいというように、ストレッサーに対する反応には得意・不得意が存在します。
人においても同様で、仕事のプレッシャーがモチベーションUPに働く人もいればマイナスに働く人もいます。
このように、ストレス解消法を実践する上では、まずは自分がどのようなストレッサーに反応しやすいのか、分析することが重要です。
ストレスが身体に与える悪影響
先生に怒られた際の「悲しい・辛い」という負の感情がストレスと言いましたが、身体に与える悪影響には、どのようなものがあるのでしょうか?
具体的には、以下の9つが挙げられます。
- 免疫力の低下:感染症への抵抗力低下
- 心血管系への影響:高血圧・冠動脈疾患
- 消化器系への影響:胃潰瘍・胃腸炎
- 筋肉への影響:肩こり・頭痛・腰痛
- 睡眠障害:不眠症・長時間睡眠
- 体重の変化:肥満・急激な体重減少
- 皮膚障害:湿疹・蕁麻疹・にきび
- ホルモン系への影響:月経不順・生殖系問題
- 精神障害:うつ病・不安症状・パニック障害
初めは感情の起伏の一部として捉えがちですが、塵も積もれば山となるで、繰り返していくうちに大きな症状や病気に発展する可能性があります。
仕事が忙しく、プライベートで休む時間もなければ、ストレスの蓄積具合に気づくことができないかもしれませんが、一度限界を超えてしまっては、自分の健康を害することになりますし、会社や周りの人にも迷惑をかけてしまいます。
ですので、我慢をしすぎず、自分の体調と健康管理を最優先に考えることが重要です。
- 悲しい気持ちが続いている
- 不安感やイライラ、緊張感が絶えない
- 無力感がある
- 集中力や記憶力が落ちている
- 食欲がなく、痩せてきている
- 寝付きが悪い・夜中に起きてしまうなど睡眠の質が低い
- 手や足の裏に汗をかくようになった
- 消極的になった
- 周囲の人と関わりを持たなくなった
- 飲酒や喫煙頻度、食事の量が増えた
上記のような人は、ストレスを溜め込んでいるサインですので注意しましょう。
ストレスを感じやすい人の特徴
ストレス耐性は人によって異なると言いましたが、どのような人がストレスを感じやすいのでしょうか?
ストレスを感じやすい人の特徴は、以下の通りです。
- 完璧主義
- 責任感が強い
- マイナス思考
- 時間管理ができない
- 対人関係が苦手
- 競争心が強い
- 感情のコントールが難しい
- 頑固・融通が利かない
- せっかち
- 人の評価を気にする
これらの特徴に当てはまる人は、性格や経験上、ストレスを感じやすいため、適切なストレス解消法を身につける必要があります。
これからご紹介するストレス解消法は、人によって向き不向きがありますので、自分がどういう性格で、どのような時にストレスを感じるのか、分析した上で見てみてください。
おすすめのストレス解消法9選
現代人におすすめのストレス解消法は、以下の9つです。
- こまめにストレッチする
- 甘いものを食べる
- 十分な睡眠をとる
- 太陽の下で身体を動かす
- 親しい人と話してたくさん笑う
- 趣味に没頭する
- 自分の思いをノートに書く
- 五感を使う
- 瞑想をする
ここでは、どのような方にピッタリかも解説していきますので、自分に合うものを実践してみてください。
こまめにストレッチする
ストレッチにはリラクゼーション効果があるため、ストレスだけでなく疲労が蓄積している時にもおすすめです。
座り仕事の人は身体を動かすことが少ないため筋肉が縮こまっている時間が長く、立ち仕事の人は足腰に負担がかかることから疲労が蓄積しやすい状態です。
また、人前に立つ仕事であれば、精神的な緊張から身体の筋肉が硬くなってしまうこともあります。
したがって、ストレッチはどのような仕事の人にもおすすめの解消法と言えます。
ストレッチで筋肉を伸ばして緩めることができれば、肉体的にも精神的にも緊張をほどくことが可能です。
深呼吸をしながら実践することで相乗効果が得られるため、簡単なものから始めるとよいでしょう。
甘いものを食べる
「疲れが溜まってくると甘い物が食べたくなる・・・」
このように思う人も多いのではないでしょうか?
これには、「セロトニン」や「エンドルフィン」といった物質の増加が関係しています。
甘い物を食べると、幸福感やリラックス感を促進するセロトニンと、痛みやストレスに対する受容性を低下させるエンドルフィンの放出が起こるため、生理学的作用によりストレスの解消に繋がるのです。
また、甘い物に多く含まれるブドウ糖は、脳のエネルギー源になることから集中力向上も期待できます。
ただし、甘いものを過度に摂取することは、糖尿病や心疾患など健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
ストレスの根本的な原因を解決する訳ではなく、一時的な対処療法に過ぎないため、長期的なストレス管理も必要です。
十分な睡眠をとる
睡眠不足の人は、寝る時間を確保するだけでストレス解消に繋がります。
というのも、睡眠をしっかりとることで脳と身体が回復し、自律神経やホルモンバランスが整うからです。
残業や夜更かしにより寝る時間が遅くなり、睡眠時間が6時間以下になっている人も多いかと思われますが、皆さんが思っている以上に睡眠不足による影響は大きいものです。
具体的には、以下のような問題が起こり得ます。
- 認知能力の低下
- 記憶力の低下
- 判断力の低下
- 情緒の不安定
- 免疫機能の低下
- 代謝の異常
- ホルモンバランスの異常
- ストレス感受性の増加
「休みの日に寝溜めをする」という声も聞きますが、医学的に身体に良い・効果的と証明されているものではないため、毎日6〜8時間の睡眠をとることがおすすめです。
太陽の下で身体を動かす
日光を浴びながら身体を動かすことで、身体的にも精神的にもリフレッシュできるため、普段運動をしない人におすすめです。
具体的な効果は、以下の通りです。
- ビタミンDの生成
- セロトニンの増加
- エンドルフィンの放出
- ストレスホルモンのレベルを下げる
- 体内時計の調節
甘い物と同様に生理学的作用が働くため、運動もストレス解消に効果的です。
スポーツのように激しい運動でなくても問題ないため、ウォーキングやジョギングなど自分に合った運動を行うとよいでしょう。
親しい人と話してたくさん笑う
話をしたり、笑うことで得られる心理的メリットはストレス解消に繋がるため、溜め込みがちな人におすすめです。
具体的な効果は、以下の通りです。
- エンドルフィンの放出
- ストレスホルモンの軽減
- 筋肉の緩和
- 血流の改善
- ポジティブな感情にする
- ストレスの共有が可能
自分の抱える悩みや課題を人に話せず、自分ひとりで抱え込んでしまった経験はないでしょうか?
先輩や上司に相談できず、自己解決しようとした挙げ句、それがストレスとなってしまった人も多いでしょう。
これは、性格や人間関係の問題でもありますが、悩みは人に話すことで解決することもあります。
「人と話しているうちに答えや解決策が見いだせた」「悩んでいることがどうでもよくなった」となることも往々にしてあるので、親しい人と話をするというのはストレス解消に効果的な方法であると言えます。
また、笑うことでも上記のような効果が得られるため、人と話すのが苦手な人はバラエティー番組やエンタメ動画を見たりするのもよいでしょう。
趣味に没頭する
趣味に没頭すること、つまり仕事とプライベートのON/OFFを切り替えることはストレス解消に繋がります。
従来の働き方では、「仕事は会社でするもの」という認識が一般的であったため、プライベートとの切り替えもしやすかったのですが、最近ではリモートワークという働き方が可能になり、ON/OFFの切り替えが難しくなったように思われます。
自宅で仕事をしていることから、「家にいても仕事のことを考えている=仕事が生活の一部になっている」といったイメージです。
仕事が好きな人であればストレスと感じないかもしれませんが、家では仕事のことを考えたくないという人も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、趣味に没頭する時間を確保するということです。
映画やゲーム、読書など、内容は自分の好きなことであれば何でもかまいません。
とにかく没頭できるものであれば、仕事のことを考えなくて済むかと思いますので、プライベートとの切り替えが難しい人は試してみるとよいでしょう。
自分の思いをノートに書く
自分の思いをノートに書くことで気持ちが整理されるため、感情のコントロールが難しい人や対人関係が苦手な人におすすめです。
具体的な効果は、以下の通りです。
- 感情の整理が可能
- 問題解決が可能
- 感情の発散が可能
- 自己認識の向上
- モチベーションUP
誰かに話すことができれば早いですが、性格や人間関係の問題でできない人も多いでしょう。
そこで、取り入れたいのがノートや日記などに抱えている悩みや一日の出来事を書くことです。
人に話すのと同様に、文字に起こすことで感情の整理がつきますし、次に何をしたらよいのか、問題点や解決策も明確になります。
悲観的になりやすい人は、悩みや不満だけでなく、良かったことや達成できたことなどポジティブなことも書いて、自己肯定感を高めていくことも重要でしょう。
五感を使う
五感を使うこともストレス解消に効果的ですので、感覚刺激でストレスを解消したい場合は、以下のものを取り入れてみるとよいでしょう。
- 好きな音楽を聞く
- アロマセラピーを受ける
- 自然に触れる
- マッサージを受ける
- 食事を楽しむ
感覚的な体験は心地よさを感じることができる上に、ストレスホルモンのレベルを低下させます。
音楽療法や自然療法というものがあるように、エビデンスある方法でもあるので、強いストレスを感じている人におすすめです。
瞑想をする
瞑想もストレス解消に効果的であると科学的に証明されているものですので、ストレスを感じやすい人におすすめです。
具体的な効果は、以下の通りです。
- 自律神経を調節する
- ストレスホルモンの軽減
- 心拍数と血圧の安定化
- 注意力や集中力の向上
- 深いリラックス状態に入る
- 感情の安定化
- 睡眠の質改善
- 痛みの軽減
- 自己認識の向上
瞑想は、短期的なストレス緩和から長期的なストレス管理まで可能ですが、効果を感じるためには継続的な練習が必要となります。
ただ、習得できれば一人でも行うことができ、仕事場でもすぐに実践できるため、最も汎用性が高いと言えるでしょう。
職場でできるストレス解消法3選
職場でできるストレス解消法は、以下の3つです。
- 仕事に優先順位をつける
- 一人で多くの仕事を抱え込まない
- デスク周りをキレイにする
生活をしていてストレスだと感じる瞬間は人それぞれですが、職場でストレスを感じている人も多いでしょう。
ここでは、仕事関連のストレスを最小限にするためのテクニックを3つご紹介しますので、ぜひ明日からお試しください。
仕事に優先順位をつける
仕事に優先順位をつけることで、頭を悩ませることが少なくなるので必然的にストレスを減らすことができます。
仕事効率が悪くてストレスを感じている人は、以下のような状況に陥っているケースがほとんどです。
- 何から手を付けるべきか分からない
- 進捗状況が管理できていない
- 納期を見据えた行動ができていない
- 一日にすべきことがスケジュール化されていない
- 休憩を取れていない
仕事の優先順位付けや時間管理ができていないと、無駄なエネルギーを使ってしまい、心身ともに疲れ果ててしまいます。
甘い物やストレッチもストレス解消には効果的ですが、仕事効率が悪い人は、まずは仕事の仕方を変えることから始めましょう。
一人で多くの仕事を抱え込まない
仕事量をコントールできればストレスも低く抑えられるため、一人で多く抱え込まないようにすることがポイントです。
特に、部下に仕事を任せられない中間管理職や入ったばかりの新人に多く、課題はそれぞれ異なります。
- 自分がやった方が早い
- 他の人も忙しそうだから任せられない
- 頼みづらい雰囲気
- つい仕事を引き受けてしまう
- 頼み事は断りづらい
上記のように、仕事を抱え込んでしまう理由は人それぞれでしょう。
職場環境や会社、仕事内容にもよるため、中々難しい問題でもありますが、自分からコミュニケーションをとったり、タスク管理をすることで変えていけるのであれば、積極的に行動していくのがベストです。
デスク周りをキレイにする
デスク周りをキレイにすることで仕事効率が上がるため、余計なストレスを感じなくて済むようになります。
これは性格の問題でもあるため、散らかっていても気にならない・ストレスに感じないという人も中にはいるでしょう。
しかし、デスク周りの整理整頓ができていない状態で、効率の良い仕事ができている人はあまりいないかと思われます。
- 必要な資料がどこにあるか分からない
- 備品がいつも同じ場所にない
- インクが切れている
- ファイル分けされていない
- 必要ないものが置いてある
上記のような状況をストレスだと感じなかったとしても、仕事上のミスや効率性に関わる部分ですので、誰が見てもキレイな状態にしておくとよいでしょう。
ストレスが溜まっている時に注意すべきこと
ストレスが溜まっている時は、以下の5つに注意しましょう。
- 暴飲暴食
- カフェインのとりすぎ
- 衝動買い
- 過度な睡眠
- ギャンブル
甘い物を食べる・美味しいものを食べる・好きなことをする・睡眠をとるなどをストレス解消法として解説してきましたが、度が過ぎるのは良くありません。
これらをやり過ぎてしまうと、以下のようなデメリットを被る可能性があります。
- 睡眠障害
- 胃腸障害
- ストレスの増幅
ストレッチや運動など、やり過ぎても問題ないものもありますので、自制心がない人や既にやってしまっている人は、他のストレス解消法に切り替えることをおすすめします。
まとめ
今回は、ストレス解消法を中心に、原因と注意点も合わせて解説しました。
世の中には、短期的なものから長期的なものまで、様々なストレス解消法が存在しますが、暴飲暴食や爆買いなど、好ましくない方法を実践している人も多く見かけます。
ストレスを解消したいのに、逆に健康を害していては元も子もありません。
かといって、自分に合う方法を探すのも難しいでしょう。
そこで、おすすめなのが今回ご紹介した12の方法です。
ストレッサーとなっているものと向き合いつつ、自分に合った解消法を実践することで、長期的にストレスフリーな生活を送ることができますので、まずは自己分析から行ってみてください。
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