業務の属人化は解消すべき?メリット・デメリットについて解説

「あの人がいなくなったら業務が回らなくなる」という会社は衰退していきます。今すぐに属人化を解消して、持続可能な働き方を目指しましょう。

  

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はじめに

仕事の現場でよく耳にする「属人化」という言葉。

これは、一部の人に業務や情報が集中し、その人がいないと仕事が進まなくなる状態を指します。

一見すると「頼れる人」がいるのは良いことのように思えますが、実は様々な問題を引き起こす原因にもなります。

例えば、「この作業はAさんにしかできない」という状況で、もしAさんが急に不在になれば業務が止まり、顧客対応が遅れ、信頼を失うリスクもあります。

実際に、「チームのメンバーが急にいなくなり、自分の仕事が増えた結果、残業時間が長くなった」なんて経験をしたことがある人も多いでしょう。

このように、属人化は業務の効率性を下げ、リスクを増大させる「見えない時限爆弾」とも言えます。

そこで今回は、属人化がもたらすメリットとデメリットをまとめた上で、具体的な解消方法について解説します。

もしあなたの職場で、「あの人がいないと仕事が回らない」といった状況に少しでも心当たりがあるなら、ぜひ参考にしてみてください。

問題を放置すればするほど、解決には時間もコストもかかるようになるため、この機会に属人化を解消し、組織全体で成果を上げられる仕組みづくりを始めましょう。

 

属人化とは

属人化とは、「業務やノウハウが特定の個人に依存している状態」を指します。

例えば、営業部門で特定の担当者だけが顧客との関係を熟知している場合や、システム管理で一人だけが運用方法を把握している場合などが挙げられます。

  • あの人じゃないとできない
  • あの人だからできる
  • あの人がいないと進まない

このような状況にある場合は、業務が属人化していると言えます。

属人化に対してネガティブなイメージがある人も多いと思いますが、本当に仕事において良くないものなのでしょうか?

メリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

 

属人化のメリット

属人化には、一見すると良い面もあります。

ここでは、属人化がもたらす5つのメリットについて見てみましょう。

  1. 専門性が高まる
  2. 意思決定が早くなる
  3. 顧客満足度が向上する
  4. 効率性が向上する
  5. モチベーションが向上する

 

①専門性が高まる

一人の人が特定の分野に特化すると、自然と専門性が高まります。

例えば、イベント企画を任された社員が、人気のある会場や最新のトレンドを研究し続けることで、他の人には思いつかないアイデアで成功するイベントを次々と生み出せるようになります。

このように、専門性の高い人がいると、周りの人も「この分野はあの人に任せれば安心!」と思える頼もしい存在になります。

さらに、こうした専門性が高まると、組織全体にも良い影響を与えます。

例えば、新商品のキャンペーンを企画する際に、その担当者の意見を取り入れることで、より効果的なプロモーションが実現します。

また、顧客からも「この会社は詳しい人が対応してくれる」という信頼を得られるようになるため、組織としても大きなメリットとなります。

 

②意思決定が早くなる

属人化によって特定の分野を深く理解している人がいると、その人の判断をもとに意思決定がスムーズに進められます。

例えば、広告戦略を担当する人がいる場合、「あの人がこう言うなら間違いない!」という信頼がチーム内で形成されていると、他のメンバーが詳細な議論をする必要がなくなります。

その結果、意思決定にかかる時間が大幅に短縮され、次の行動に素早く移ることが可能になります。

このようなスピード感は、特に競争が激しい環境で大きな効果を発揮します。

トレンドが日々変化するアパレル業界などでは、新商品のデザインや販促方法について即座に判断を下さなければならないですが、担当者が具体的な知識を持っていることで上司の承認を待つことなく迅速に方針を決められます。

 

③顧客満足度が向上する

担当者が顧客との強い信頼関係を築き、一貫したサポートを提供することで、顧客は「この人に任せれば安心だ」と感じるようになります。

例えば、営業担当者が長期間同じ顧客を担当し、その会社のビジネスモデルや課題を深く理解していれば、顧客のニーズに的確に応えたり、相手が気付いていない潜在的な問題を指摘したりできるようになります。

これにより、単なる取引相手ではなく、「信頼できるパートナー」として認識されるようになります。

また、顧客から「話が早い」と感じてもらえる点も大きなメリットです。

新商品の提案やトラブル対応を依頼された際に、担当者が顧客のこれまでの状況や要望を把握していると、いちいち説明を求める必要がありません。

その結果、迅速な対応が可能になり、顧客の負担が軽減されることで、「いつも頼りになる」と評価され、リピート契約や新たな取引に繋がる可能性が高まります。

 

④効率性が向上する

属人化が進むと、特定の人が業務のプロセスを熟知するため、効率的に作業を進められるようになります。

例えば、経理業務で担当者が「請求書処理」に必要な情報や手続きの流れを把握している場合、他の人が時間をかける部分でもスピーディに対応することができます。

経験を重ねることで、「ここでよくミスが起きる」「この手順を省略しても問題ない」といったポイントが分かっているため、無駄のない作業を実現できます。

また、効率性の向上は、個人だけでなく、チームや組織全体にも良い影響を与えます。

例えば、特定のプロジェクトで「この部分は○○さんが担当すると早いから任せよう」と役割分担がスムーズに進むと、他のメンバーは別の重要な業務に集中できるようになります。

このように、属人化がポジティブに働くと、限られたリソースを最大限に活用することができます。

 

⑤モチベーションが向上する

属人化の状態では、「自分にしかできない仕事」を任される場面が多くなります。

これは当事者にとって、責任感ややりがいを感じる大きな要因となり、モチベーションを高めることに繋がります。

例えば、プロジェクトの重要な部分を任されると、「自分がこの仕事を支えている!」という責任感が芽生えます。

その結果、仕事への意欲が高まり、「成果を出すためにより一層努力しよう!」という気持ちが強くなるのです。

また、「特定の分野に詳しい人」として周囲から認められることが、さらなるやる気を引き出すケースもあります。

例えば、プレゼン資料の作成が得意な人が「あなたが作る資料はいつも分かりやすいね」と評価されることで、自分のスキルが役に立っているという実感を得られます。

このような承認欲求が満たされることは、仕事への前向きな姿勢を生み出します。

 

属人化のデメリット

属人化には、上記のようなメリットがある一方、放置すると組織にとって深刻な問題を引き起こすことがあります。

具体的には、以下の5つのデメリットが挙げられます。

  1. 業務が停滞するリスクがある
  2. 知識やノウハウが共有されにくい
  3. チーム全体としては非効率になる
  4. 顧客対応が難しくなる
  5. コストが増加する

 

①業務が停滞するリスクがある

属人化が進むと、特定の担当者が不在になった際に、業務が停滞することがあります。

例えば、その人がいなければ対応できない作業や判断が多い場合、急な休暇や退職、長期的な休職が発生すると業務が思うように進められなくなります。

その結果、プロジェクト全体が遅れたり、顧客への納期や社内の目標を達成できなくなる可能性が高まります。

特に、以下の例に当てはまる場合は、業務が停滞しやすい状況にあるため要注意です。

  1. 特定の社員しかアクセス方法や管理手順を知らない
  2. 顧客との長期的な信頼関係を築いている担当者が突然退職する
  3. 社内システムの運用やトラブルの対応を特定の人が一人で担っている
  4. 製品の修理方法や技術的な知識が特定の社員に集中している
  5. 特定の社員が担当している業務フローが共有されていない

属人化による業務停滞のリスクは、一見見過ごされがちですが、実際に問題が発生すると大きな損失に繋がることが多いです。

そのため、特定の個人に頼らず、組織全体でリスクを最小限に抑える取り組みが必要となります。

 

②知識やノウハウが共有されにくい

属人化が進むと、特定の人に知識やノウハウが集中し、他のメンバーに共有されにくい状況が生まれます。

その結果、組織全体としてのスキルアップや効率化のチャンスが失われ、業務の属人性がさらに強化されるという悪循環に陥ることがあります。

例えば、長年同じ業務を担当している社員が、作業効率を上げる独自の方法を編み出していても、このノウハウがその人の頭の中に留まっている場合、他の社員が同じ業務を担当する際に効率的に進められず、ミスが増える可能性があります。

結果として、その業務は「○○さんでなければできない」とされ、属人化がさらに進むのです。

対応が遅れることで顧客からの信頼を失えば、ビジネスチャンスを逃すことにも繋がるため、知識やノウハウを共有する具体的な仕組みづくりが重要となります。

 

③チーム全体としては非効率になる

特定の業務を1人で行っていれば、その人自身は効率よく進められるかもしれません。

しかし、チーム全体で見ると、逆に作業効率が下がっている場合もあります。

例えば、特定の人が重要な意思決定を担う場合、その人の判断を待たなければ次のステップに進めないという事態が発生します。

意思決定権が他の人にもあれば滞りなく進められるはずが、たった1人の人が忙しいがために、他のメンバーも手を止めざるを得ない状態となります。

こうしたボトルネックが生じると、プロジェクト全体が予定より遅れるリスクが高まりますし、チーム全体の士気も低下します。

このように、長期的にはチーム全体の成長を妨げる要因になるため、業務を分担したり、全員が適切に関与できる仕組みを作ることが重要です。

 

④顧客対応が難しくなる

属人化が進むと、担当者が特定の顧客の対応を行うケースが多くなります。

この状況では、担当者が不在の際に他のメンバーが上手く引き継ぐことができず、顧客対応に支障をきたすリスクがあります。

例えば、長年特定の顧客を担当していた人が、急な病気や退職で不在となり、十分な情報が共有できないまま引き継ぎとなることがあります。

そうなると、顧客は「いつも話している担当者がいない」「こちらの要望を理解してもらえない」と不安を感じ、信頼が損なわれてしまいます。

その結果、取引を解消されたり、競合他社に取引を奪われてしまうのです。

このように、顧客対応が難しくなれば、経営に深刻な影響を及ぼすこともあるため、顧客対応に関する情報を共有する仕組み作りが必要不可欠となります。

 

⑤コストが増加する

業務が集中している人が急に休んだり、退職したりといった緊急事態に対応するためには、通常の運営費用に加えて追加のコストが必要になります。

具体的なケースとしては、以下の3つが挙げられます。

  1. 外部コンサルタントの採用:コンサルティング費用
  2. 緊急の人材採用:採用・教育・研修費用
  3. プロジェクトの遅延:時間外労働や追加リソースの投入

また、属人化が続くと、組織全体のスキルやノウハウが広がらず、業務効率が低下します。

その結果、新しいプロジェクトや取引を進める際に社内のメンバーが対応できず、外部から人を継続的に雇う必要性が生じます。

これにより、競争力の低下や利益の減少といった長期的なコストが発生するリスクもあります。

属人化は短期的には便利に感じることもありますが、緊急事態が起きた際には組織全体に大きなコスト負担をもたらすため、日頃から体制を整えておくことが重要です。

 

属人化からの脱却が必要な状況

属人化にはメリットもあれば、それと同じくらいデメリットもあることが分かりましたね。

では、どういう状況にある時に、属人化からの脱却が必要になるのでしょうか?

自社の現状と照らし合わせながら見ていきましょう。

属人化からの脱却が必要な状況と想定される問題は以下の通りです。

  1. 担当者が忙しく、疲弊している:業務の停滞、品質の低下、離職のリスク
  2. チーム全体の業務が偏っている:スキルの偏り、協力体制の欠如、急な対応が困難
  3. 急な退職や長期休暇が想定される:業務の停止、顧客対応の遅延、引き継ぎが困難

このように、業務に偏りが生じていたり、急に人員が減るような場合は、様々な問題が起きると予想されるため、脱却に向けた対策を講じることが重要です。

とはいっても、自社でどこまで属人化が進んでいるか分からないと思いますので、以下の質問に答えてみてください。

  1. 特定の業務を詳細に把握しているのは一人だけですか?
  2. 定型業務に関するマニュアルはありますか?
  3. 誰が休んでも業務が滞らない体制が整っていますか?
  4. 引き継ぎに1ヶ月以上かかる業務はありますか?
  5. 新人教育はOJTや口頭伝達のみですか?
  6. 特定の人に作業負荷が集中し、他の人が代わりに対応できない状況ですか?
  7. 直近6ヶ月以上、改善に取り組めていない業務がありますか?

これらの質問に複数該当する場合は、業務の属人化が進行している可能性が高いため、早急な対策が必要です。

 

属人化が起こる原因

属人化は自然に起こるものではなく、様々な要因が絡んでいます。

主な原因としては以下の5つが挙げられます。

  1. 特定の個人への過剰な依存
  2. 業務のマニュアル化が不十分
  3. 業務の分担が適切でない
  4. 属人化を助長する組織文化
  5. 意図的な情報の囲い込み

 

①特定の個人への過剰な依存

優秀な社員に業務を任せすぎると、その人だけが業務の進め方やノウハウを知る状態になります。

例えば、営業部門で特定の社員が主要な顧客対応を一手に引き受けている場合、その人が不在になると顧客対応が滞るリスクがあります。

このような状況では、他のメンバーが業務内容を把握しておらず、代替が難しくなるため、個人に依存しない取り組みが必要です。

 

②業務のマニュアル化が不十分

業務手順やプロセスがマニュアル化されていないと、他の社員がその業務を理解・遂行するのが難しくなるため、できる人とできない人に差ができてしまいます。

例えば、新入社員が業務を学ぶ際に、マニュアルがなければOJTに頼らざるを得なくなります。

そうなれば、教育に時間がかかるだけでなく、教える側の負担も大きくなります。

さらに、教える人によって指導内容が異なる可能性があり、業務の質にばらつきが生じることも考えられます。

このように、業務のマニュアル化が不十分だと、組織全体のパフォーマンスや成長に悪影響を及ぼす可能性があるため、業務手順やノウハウを適切に文書化し、組織内で共有することが重要となります。

 

③業務の分担が適切でない

業務の分担が適切でないと、特定の社員に業務が集中するため、必然的に属人化が進行します。

業務の負担が大きくなると、成果が上がりにくくなるだけでなく、社員のモチベーション低下やストレス増加に繋がります。

これにより、離職する人が増えれば、残された人の業務負担が多くなるため、業務の分担がさらに難しくなります。

このように、業務の分担を一度間違えると、人手が補充されない限り適切な分担ができなくなるため、早めに見直すことが重要です。

 

④属人化を助長する組織文化

「この仕事はあの人に任せれば大丈夫」といった風潮が根付くと、他のメンバーが業務に関わる機会が少なくなります。

そうなると、自然と業務内容に偏りが生じ、いつしか「特定の人しかやらない業務」ができてしまいます。

長年同じ業務を特定の社員が担当していると、新しい視点や改善の機会が失われ、組織全体の成長が停滞する可能性があります。

また、チームワークが悪く、個人プレーが多かったり、個人の成果のみを重視する評価制度が存在するのも、属人化に繋がります。

このような、組織レベルでの問題は解決が難しいですが、無視してしまうとさらに大きな問題となるため、時間をかけてでも取り組むべきと言えます。

 

⑤意図的な情報の囲い込み

情報の囲い込みとは、社員が自分の知識やノウハウを他者と共有せず、自身の価値を高めようとする行為です。

例えば、営業担当者が自分だけが知る顧客情報や取引先との関係性を他のチームメンバーと共有しない場合、その担当者が不在になると顧客対応が滞るリスクが生じます。

このような情報の囲い込みは、組織全体の効率性や柔軟性を損なうだけでなく、他のメンバーの成長機会を奪うことにも繋がります。

さらに、意図的な情報の囲い込みは、組織内での信頼関係を損ない、チームワークの低下を招く可能性があります。

このような問題を避けるためには、組織と個人がそれぞれ意識を変えなければなりません。

組織としては、情報共有の重要性を強調し、オープンなコミュニケーション文化を育むことが求められます。

また、個人に対しても、情報を独占するのではなく、積極的に共有することで、組織全体の成長に貢献する姿勢が求められます。

 

属人化を解消するための具体的な方法

前述した通り、属人化の原因は様々なため、それぞれの状況にあった対策を講じる必要があります。

具体的な方法としては、以下の8つが挙げられます。

  1. 業務を可視化する
  2. 業務の標準化を行う
  3. 知識やノウハウを共有する
  4. 業務を分担する
  5. 教育・研修を実施する
  6. 業務の引き継ぎプロセスを整備する
  7. 組織文化を改善する
  8. 業務の状況を定期的に見直す

 

①業務を可視化する

業務内容やプロセスが見えないことが原因で属人化が起きている場合は、業務を可視化することがおすすめです。

具体的には、以下の方法が挙げられます。

  1. 業務フローの作成:業務の手順やプロセスをフローチャートやリストにまとめる。
  2. タスク管理ツールの導入:TrelloやAsanaなどのツールを活用し、進捗や担当者を全員で共有する。
  3. 業務の棚卸し:誰がどの業務を担当しているかをリスト化し、属人化している業務を特定する。

問題なのは、「誰が何をしているか分からない」という状況です。

業務内容を把握していなければ、代わりにやろうとしても何をどうすればいいのか分かりません。

また、複数の業務を担当していれば、誰がどのくらいの業務を抱えているかも分からないため、属人化に気付けないこともあります。

しかし、業務を見える化すれば他の人が関わりやすくなり、担当者がいない場合でも、業務が停滞しにくくなります。

業務を可視化する際には、誰が、何を、どのように行っているのか、内容や流れ、進捗を分かりやすくまとめて全員が把握できるようにすることが大切です。

 

②業務の標準化を行う

業務が担当者の「個人的なやり方」に依存している場合、それを「組織としてのやり方」に変える必要があります。

具体的には、以下の方法が挙げられます。

  1. マニュアルの作成:業務手順や判断基準を詳細にまとめ、共有可能な形にする。
  2. テンプレートの導入:よく使用する書類やフォーマットを標準化する。

このように、業務を標準化することで、特定の人がいなくても誰でも同じレベルで業務を遂行できるようになります。

属人化を解消する上では、この「標準化」というのが一番重要と言っても過言ではありません。

「誰でもこれを見れば一定の成果が上げられる」

そんなマニュアルやテンプレートがあれば、人が変わっても業務が停滞したり、質が落ちることはなくなります。

 

③知識やノウハウを共有する

属人化を防ぐには、知識やノウハウを組織全体で共有することが欠かせません。

必要な情報を誰でも簡単にアクセスできるようにするためには、以下の方法がおすすめです。

  1. ドキュメントの一元管理:GoogleドライブやSharePointなどのツールを使い、情報を一箇所に集める。
  2. 社内Wikiの活用:業務内容やノウハウを記録する社内用の情報共有プラットフォームを作成する。

業務の標準化を行っても、一定の成果が上げられるようになるだけで、100点を取れるわけではありません。

例えば、担当者が変わる際には、前任の人と同じレベルの業務ができるようになる必要がありますが、それには標準レベル+αが必要です。

顧客相手の業務となれば尚更、一定以上の成果が求められることが多いため、知識やノウハウを身につけることが不可欠です。

 

④業務を分担する

業務を複数人で分担することで、特定の人への依存を防ぐことができます。

具体的には、以下の方法が挙げられます。

  1. チームでの業務分担:1つの業務を複数人で担当し、各メンバーがそれぞれ役割を果たす。
  2. ローテーション制度の導入:定期的に担当業務を変更し、複数人が経験を積めるようにする。
  3. バックアップ体制の構築:メイン担当者とサブ担当者を決め、交代で業務を進められるようにする。

このように、業務の分担ができれば、引き継ぎが必要になった場合もスムーズに行えますし、担当者が不在でも業務が滞ることがなくなります。

分担方法は、業務の種類や内容によって相性があると思いますので、単純に分担するのか、ローテーションにするのか、メインとサブ担当者に分けるのかは、使い分けてみてください。

 

⑤教育・研修を実施する

特定の人だけが知識やスキルを持つ状態を解消するためには、他のメンバーへの教育も必要です。

具体的には、以下の方法が挙げられます。

  1. OJT:実際の業務を通じて、他のメンバーが担当者の業務を学べるようにする。
  2. 勉強会や研修の実施:専門知識やスキルを全員で共有する場を設ける。
  3. 資格取得の支援:業務に必要なスキルを持つ人を増やすために、資格取得を奨励する。

組織全体のスキルが底上げされれば、特定の人への依存を減らすことができます。

ただし、優先的に実施する必要はありません。

教育や研修は、膨大な時間や労力がかかるため、業務の標準化や知識・ノウハウの共有を行ってもなお、補いきれないと感じた際に実施するとよいでしょう。

また、社員にはそれらを実施する必要性を理解してもらわなければなりません。

ただ教育や研修をしても、なぜするのか目的や理由を理解していなかったり、モチベーションがない状態だと意味のない取り組みになってしまいます。

そのため、場合によってはインセンティブや手当などのメリットも提示した方が良いこともあります。

 

⑥業務の引き継ぎプロセスを整備する

担当者が変わる際の引き継ぎをスムーズに行えるようにすることも、属人化の解消に繋がります。

具体的には、以下の方法が挙げられます。

  1. 引き継ぎチェックリストの作成:引き継ぎに必要な情報をリスト化し、抜け漏れを防ぐ。
  2. 引き継ぎ期間の確保:退職や異動の際に、十分な期間を設けて後任者に引き継ぎを行う。
  3. 引き継ぎ会議の実施:関連するメンバー全員が参加し、業務内容を確認する。

引き継ぎが上手くいかず、以前より状況が悪くなってしまうのは、「期間が短い」「内容が適当」「周囲の人が把握していない」という理由が大半です。

前に行っていた内容をそっくりそのまま伝えて、それを周囲が把握していれば業務は滞らないはずなので、担当者がいつかいなくなることを想定して、引き継ぎプロセスを整えておくことが大切です。

 

⑦組織文化を改善する

他責思考・他人任せの風潮がある場合は、組織文化そのものを見直し、改善する必要があります。

具体的には、以下の方法が挙げられます。

  1. オープンなコミュニケーションの推奨:定期的な情報共有や雑談の場を設ける。
  2. 協力を促す評価制度の導入:個人の成果ではなく、チームとしての成果を評価する。
  3. メンバー間の信頼関係の構築:互いに助け合う姿勢を奨励する。

情報共有やチームワークを重視する風土を作ることで、個人プレーの意識が薄れ、組織全体での協力が促進されます。

ただ、今までコミュニケーションを取ってこなかった人と、いきなり情報共有したり協力するのは難しいかと思われます。

そのため、まずは組織全体で普段からコミュニケーションを取るように意識を変えることが大切です。

ランチミーティングやイベントなどを通して交流を深めるのもよいでしょう。

メンバー同士が打ち解けて、信頼関係が築けてこそ、協力したいという気持ちが生まれます。

チームプレーを評価すると評価基準を変えても、いきなり動ける人は少ないと思いますので、まずは上司やマネージャーなど上の立場の人が積極的にコミュニケーションを取るよう意識しましょう。

 

⑧業務の状況を定期的に見直す

属人化はすでに起こっているかもしれませんし、これから起こるかもしれません。

どんなに対策しても、いつ業務に偏りが生じるかは読めませんので、定期的に確認して、見直すことが大切です。

具体的には、以下の方法が挙げられます。

  1. 定期的な業務分析:属人化が進んでいないかどうか、業務の状況や負担などを分析する。
  2. 外部コンサルティングの活用:第三者の視点で属人化の状況やリスクを分析してもらう。
  3. 従業員アンケート:業務負担や属人化の実態について意見を集める。

あるゆる視点で業務の状況について分析することで、属人化の問題を早期に把握でき、迅速に対応することができます。

また、時間が経つにつれて、以前作成したマニュアルや引き継ぎフローなども改良改善が必要になっていることも多くあります。

今よりも効率的な業務の可視化や標準化の方法、教育や研修などが見つかる可能性もあるため、「もっと良い方法はないか?」と常に考えることが大切です。

 

まとめ

今回は、属人化のメリットやデメリットを中心に解消方法について解説しました。

属人化は一見、特定の社員の専門性や顧客満足度の向上など、組織にとってメリットが多いと思えるかもしれません。

しかし、その裏には業務が滞るリスクや顧客対応の難しさなど、深刻なデメリットが潜んでいます。

これらのリスクを放置すると、社員が離職した際に、一人ひとりの業務負担が大きくなったり、エンゲージメントが下がった結果、組織やチーム全体のパフォーマンスが悪化する可能性もあります。

そのため、いち早く属人化を解消し、持続的に成長していける働き方を目指すべきです。

属人化の原因は様々ですので、「業務が偏っているから複数人で分担する」という安直な考えではいけません。

必ず、それぞれにあった対策を実施し、根本的な改善を図ってみてください。

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Who is writing

医療系大学卒業後、理学療法士として医療機関に勤務。その後、整体院を運営をするなかでWebマーケティングも経験する。コンテンツ制作スキルを活かし、医療健康分野や不動産、プログラミングなどの幅広いジャンルの記事執筆を行うとともにWebディレクションにも従事。「一人でも多くの人の悩みを解決する」をモットーに活動の幅を広げている。