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はじめに
リモートワークが当たり前になった昨今では、オンラインでやり取りする機会も増えてきました。
先輩や上司とのやり取り、チーム内のミーティングなど、全てオンラインで行っているという企業も多いのではないでしょうか?
柔軟性と生産性の向上に一役買っているリモートワークですが、それと同時な新たな課題も浮き彫りになっています。
それは、「オンラインでのコミュニケーションは対面でのコミュニケーションよりもはるかに難しい」ということです。
- 相手の感情や意図を理解しにくい
- メールやチャットでは誤解が生じやすい
- 効果的な会議を行うのが難しい
多くの方が、このような経験をしたことがあるでしょう。
適切なツールを選択することでコミュニケーションを取ることは可能ですが、それでもなお、対面で感じるような温かさや共感を感じるのは難しいものです。
より多くの情報を大人数に伝えることができたとしても、相手が適切に受け取れているかどうか・適切に伝えられているかどうかは別問題です。
オンラインコミュニケーションをより意味のあるものにするために、コミュニケーションのあり方を一から見直していきましょう。
オンラインコミュニケーションとは?
オンラインコミュニケーションは、インターネットを介して行われるコミュニケーションで、主に以下の3種類に分けられます。
- テキストコミュニケーション:メール・チャット・SNS
- ボイスコミュニケーション:ボイスチャット・音声通話
- ビデオコミュニケーション:ビデオ通話
オンラインコミュニケーションというと、Zoomなどのビデオ通話を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はこれら全てが当てはまります。
それぞれ用途や場面に合わせて使い分けているかと思いますが、これらにはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
まとめてサクッと見ていきましょう。
オンラインコミュニケーションのメリット・デメリット
オンラインコミュニケーションのメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 時間や場所を選ばずにコミュニケーションが取れる
- コスト削減につながる
- 仕事の生産性向上につながる
時間や場所の制限がなく、いつでもどこでもコミュニケーションを取れる点が最大のメリットです。
対面で会うとなると、移動に時間を要しますし、場所の確保もしなければなりません。
しかし、オンラインであれば、交通費や利用費などの費用がかかることなく、その場でコミュニケーションを取ることが可能です。
さらに、情報共有を頻繁に行うことで業務効率を上げることもできるため、仕事の生産性向上にも寄与します。
では、反対にデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
オンラインコミュニケーションのデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 自分を表現しづらい
- テキストでは感情や意図が伝わりづらい
- ネット環境の影響を受けやすい
対面でのコミュニケーションとは違い、温度感や雰囲気が掴みづらく、情報量も少なくなりやすいため、意思疎通を行うこと自体が難しくなります。
また、インターネットを使うことから、ネット環境の影響をフルで受けてしまいます。
接続が不安定になると画面が乱れたり、音声が途切れたり、時には通信が切断されることもあります。
重要なところで会話が途切れてしまっては、効率的なツールを使っている意味が薄れてしまいますので、このようなデメリットには十分な対策を取ることが必要です。
オンラインコミュニケーションが難しい理由
オンラインコミュニケーションが難しいと言われる主な理由は、以下の3つです。
- 相手に感情や意図が伝わりづらい
- やり取りのテンポが悪い
- ITツールに不慣れなメンバーとのやり取りに工数がかかる
先程、デメリットでも挙げた通り、表現の難しさやネット環境、ツールの使い方などに問題があります。
それでは、一つひとつ見ていきましょう。
①相手に感情や意図が伝わりづらい
オンラインコミュニケーションでは、表情やテンション、雰囲気といったノンバーバルメッセージが制限されてしまうため、テキスト・ボイス・ビデオの全てにおいて、感情や意図が伝わりづらいとされています。
例えば、テキストの場合、相手の声を聞くことができなければ、表情を見ることもできないため、自分の考えや意見を上手く言語化しなければなりません。
対面であれば、ちょっとした言い間違えも相手が理解していれば言い直す必要はありませんが、テキストではそうはいかないのです。
伝えたいことを正しく文章にしなければ、相手に間違った認識をさせてしまい、誤解を生むかもしれません。
また、ボイスやビデオも同様に、相手の表情や雰囲気が掴みづらいことから、「相手の反応を伺いながら話す」ということが難しくなります。
- 相手が話を理解していない表情であれば補足説明をする
- 何か言いたそうな表情をしていれば質問や促しをする
- 気分が悪そうであれば大丈夫ですか?と声をかける
対面の場合は上記のような対応をとることができますが、オンラインでは表情が読み取りづらいため、一方的なコミュニケーションになりやすいのです。
②やり取りのテンポが悪い
これは、Web会議などのビデオコミュニケーションで言えることですが、ネット環境の不安定さが直接的に影響しています。
ネットの接続状況が悪いと、映像や音声が届くまでにタイムラグが発生するため、やり取りをスムーズに行うことができなくなります。
また、そのようなタイムラグが日常茶飯事であるために、情報が正しく伝わっているかどうか、逐一確認しながら会話を進めるようになります。
対面であれば、相手に声が伝わらないということがほとんどないため、そもそも確認しながら話す必要がありません。
ただし、ビデオコミュニケーションでは、こちらのネット環境が良くても相手の環境が悪い可能性もありますし、遠方の方とのやり取りとなると、通信が上手くいかないことも多々あります。
そのため、ビデオコミュニケーションにおいて、やり取りのテンポが遅くなることは仕方ない部分でもあるのです。
③ITツールに不慣れなメンバーとのやり取りに工数がかかる
オンラインコミュニケーションには、テキスト・ボイス・ビデオの3種類がありますが、それぞれに多くのツールが存在するため、使いこなせないと、却ってやり取りに工数がかかってしまいます。
例えば、ビデオコミュニケーションに使われる代表的なツールとしては、以下の3つが挙げられます。
- Zoom
- Microsoft Teams
- Google Meet
中でも、Microsoft TeamsはOffice 365と深く連携しており、ファイル共有やカレンダーとの同期など、オフィス業務を効率化する機能が充実しています。
チーム間のチャットやドキュメント共有、タスク管理などに利用するケースも多いため、通話以外の細かな機能も使えるようにしておかなければなりません。
もし、これらの機能が使えないとなると、ビデオ通話で教えながら進めることになるため、Microsoft Teamsを使ったやり取りに工数がかかってしまいます。
このように、ITツールに不慣れなメンバーとのやり取りになると、場合によっては非効率となりうるのです。
オンラインコミュニケーションを円滑にする6つの方法
オンラインコミュニケーションを円滑にするためには、ルールやガイドラインを明確に定めることが重要です。
ここでは、「ビデオコミュニケーション」と「テキストコミュニケーション」の2つに分けて解説していきます。
ビデオでのコミュニケーションのポイント
ビデオコミュニケーションにおけるポイントは、以下の3つです。
- 適切な時間と人数で行う
- アジェンダをデザインする
- ファシリテーションをする
①適切な時間と人数で行う
ビデオコミュニケーションは会議室などの場所をとることなく、どこでも誰とでも同時につながることができるため、長時間・大人数での開催となる傾向があります。
一度に多くの情報を複数人に共有し、やり取りできる点はメリットですが、同時にデメリットでもあるのです。
長時間・大人数でビデオコミュニケーションを行う際のデメリットは以下の通りです。
- 意見の多様性や創造性が制約される
- 議論の混乱と時間の浪費
- 集中力の低下
- 意思決定の遅れ
- 参加者の不満や無関心
参加人数が多ければ、全員の意見や考えを十分に聞くことが難しくなりますし、例え議論できたとしても、話題のズレや意見の食い違いが生じ、会議の進行が滞ることがあります。
また、意見の収集や議論が長引けば、参加者の集中力は低下していきますし、意思決定を下すのにも時間がかかってしまいます。
これらのデメリットを回避するには、必要最低限の人数で、かつ時間は短く、30分を目安に開催することが重要です。
もし、大人数で行うのであれば、議論がスムーズにいくように工夫をすることが大切です。
②アジェンダをデザインする
ビデオコミュニケーションを短時間かつ効率的に進めるためには、アジェンダをデザインすることが必要です。
※アジェンダとは、会議などで予定していることをまとめたものを意味します。
アジェンダの作り込みが不十分な場合、会議の目的や参加の意味がいまいちよく分からないまま、進めることになってしまいます。
そうなると、たとえ長い時間をかけて行ったとしても、意味のある会議になるかどうかは怪しいところです。
そのため、目的や目標といった要素を事前に明確にしておくことが大切です。
具体的な要素は以下の5つです。
- 目的:何のために行っているのか
- 目標:最終的に何が決まればいいのか
- 進め方:何をどのような順序で行うのか
- 役割:参加する役割はなにか
- ルール:参加者が守るべきルールは何か
これらの要素が明確になっているアジェンダを用いれば、進行が滞ることも防げますし、一人ひとりが参加する意味を認識できるため、質の高い会議にすることが可能です。
ビデオコミュニケーションは、情報量が多くなりやすく、最終的に何のための会議だったのか、分からなくなる傾向にあります。
そのため、事前にやる内容を整理して、一目で分かるようにしておくことが重要です。
③ファシリテーションをする
前述した通り、ビデオコミュニケーションはやり取りのテンポが悪くなりやすいため、適宜ファシリテーションを行うことが重要です。
ファシリテーションとは、会議などが円滑に進むよう舵取りをすることを意味しますが、実際に必要となるのは、以下のような促しや声掛けです。
- 沈黙が続く場合:「〇〇さん、お願いします」と発言者を指名する。
- 始まらない/終わらない場合:開始と終了をリードする。タイムキープする。
- 話題が逸れた場合:話の目的をハッキリさせる。議事録を画面共有する。
複数人でのやり取りとなると、沈黙が続いたり、話しすぎたり、話題が逸れてしまうことがよくあります。
このような状態では、やり取りを円滑に進めることが難しくなるため、ファシリテーターがきちんと取り仕切ることが必要がです。
特に、大人数での会議となると、自分が発言していいものなのか?と尻込みしてしまう方も多くいます。
そのため、ファシリテーターは時間や進行状況を確認しながら進めるとともに、参加者全員に気を配り、会議をリードしていくことが重要となります。
テキストでのコミュニケーションのポイント
テキストコミュニケーションにおけるポイントは、以下の3つです。
- 正確に書く
- スレッドに分ける
- リアクションをする
チャットやメールなどのテキストコミュニケーションは、ビデオコミュニケーションよりも考えや意見が伝わりづらいため、より丁寧なやり取りを心がける必要があります。
④正確に書く
チャットコミュニケーションにおいて最も重要なのが、「正確に書く」ということです。
どんなに頑張って書いた文章でも、相手に間違った認識をされてしまっては元も子もありません。
ですので、相手が正しく理解できるように、正確に書く必要があります。
ここでのポイントは、以下の3つです。
- 必要な情報は省略せずに書く
- 事実と解釈を分けて書く
- 誤解を招くような曖昧な表現や誤った用語は使わない
自分の頭で理解していても、相手に伝わるように書かなければ意味がないのが、テキストコミュニケーションの難しいところです。
ついつい内容を省略して書いてしまったり、事実と解釈をごちゃまぜにして書いてしまうケースが多くあります。
そのため、「誰が・いつ・どこで・何のために・何をしたのか」など、具体的な情報を漏らさず書くことが必要です。
そして、事実は「〜です」と言い切り、解釈は「〜と思います」などと書き分けるようにすると、相手も理解しやすくなります。
誤字脱字や誤解を招くような表現は相手に失礼でもありますので、絶対にしないよう注意するとともに、送信前に再度確認する癖をつけましょう。
⑤スレッドに分ける
社内SNSなどでチャットを使用する場合は情報が錯綜する傾向にあるので、スレッドに分けてコミュニケーションを取る方法が有効です。
※スレッドとは、特定のトピックやテーマについて話し合うために設けられたチャットスペースのことを意味します。
スレッドに分ける際のポイントは以下の3つです。
- 1スレッド1トピックにすること:複数の話題について話さない
- 要点を整理して書く:箇条書きや、見出しに【相談】【共有】など要点を書く
- 過去のやり取りを見てから発言する:話題が重複しないよう注意する
チャットスペースが1つしかない場合、重要な情報が他の話題で埋もれてしまい、見落としてしまう可能性があるため、必ず1スレッドにつき1トピックにする必要があります。
例えば、プロジェクトの進捗報告は報告スレッド、相談したい時は問題解決スレッドというように、トピックごとに分けるとチャット内が見やすくなり、情報にアクセスしやすくなります。
また、チャットでは短い文章で端的に伝えることが推奨されているため、文のはじめに【決定事項】などと要点を記載するのがおすすめです。
長い文章は読みにくく、冗長的な表現にもなりやすいので、箇条書きを使うのも効果的です。
場合によっては、他の人が質問していたりと、すでに議論済みであることもあるため、発言する際は必ず過去のやり取りをさかのぼって確認するようにしましょう。
⑥リアクションをする
チャットでは、自分のメッセージを読んでいるのか、相手がどのような反応をしているのかが分かりづらいため、何らかの方法でリアクションを取ることが重要です。
チャットでのリアクション方法は以下の通りです。
- いいねボタンを押す
- 短い言葉で返信する
- スタンプを送る
- 絵文字や顔文字を使う
決定事項や進捗報告などのメッセージを送ったは良いものの、誰からも何のリアクションもなければ、発信者は不安な気持ちになりますよね?
変更点がきちんと共有できているのか、今の状況が正しく伝わっているのか、反応がないと心配になるのは当然です。
コミュニケーションはキャッチボールですので、簡易的にやり取りできるチャットであったとしても、きちんとリアクションをすることが大切です。
また、メッセージは箇条書きや短い言葉になることが多く、感情が読み取りづらいため、状況に合わせて絵文字や顔文字、「!」や「?」などの記号を使うのがよいでしょう。
オンラインコミュニケーションにおける注意点
オンラインコミュニケーションにおける注意点は、以下の2つです。
- 心理的安全性を高める必要があること
- コミュニケーションの機会を設けること
今回解説した6つの方法を実践するにしても、そもそも社員やスタッフ同士が良好な関係性を築けていなければ意味がないため、「環境づくり」が重要となります。
心理的安全性を高める必要がある
対面よりも難しいとされるオンラインコミュニケーションを充実させるには、心理的安全性を高めておくことが重要です。
※心理的安全性とは、対人関係のリスクをとったとしても自分自身を安全に感じ、自分の意見や考えを自由に表現できる環境のことです。
これは、個人が自分の考えや感情をオープンにし、他の人と対話する際に、恐れや不安を感じることなく受容されることを意味します。
例えば、心理的安全性が高い環境では、一人ひとりが創造的で生産的なアイデアを提供することで、チーム全体のパフォーマンスが向上する傾向にあります。
一方で、心理的安全性が低い環境では、自分自身を抑えたり、意見を素直に言えない傾向があり、チームの協調性や成果に悪影響を与える可能性があります。
このように、心理的安全性が低い状態では、今回解説したポイントを実践する以前の問題ですので、まずは一人ひとりの不安をきちんと取り除くことが必要です。
- 無知・無能だと思われる不安
- 邪魔をしていると思われる不安
- ネガティブだと思われる不安
このような不安は、心理的安全性を下げるトリガーになりうるため、少しでも軽減できるよう日々のコミュニケーションに気をつけなければなりません。
コミュニケーションの機会を設けること
不安を取り除くのに一番良い方法は、コミュニケーションの機会を設けることです。
なぜかというと、他の人がどのような人なのか、どのように感じているのかは、実際に話してみないと分からないからです。
- あの人は怖そうだから自分の意見が言いづらい
- 上司に意見を言うのは気が引ける
このように感じていても、いざ話してみると”意外と優しい人だった”ということもありますよね。
不安に感じるのは、相手のことを何も知らないからです。
お互いを理解するためには些細なことでも構わないので、とにかくコミュニケーションを取ることが重要なのです。
そして、上司や管理職の人たちには、部下の失敗や間違いを責めないこと、意見を否定せず尊重すること、フィードバックを与えることなどを意識して接することが求められます。
そうすることで、リスクを恐れない文化や、個性が尊重される文化が形成されていき、徐々に心理的安全性が高まっていくのです。
まとめ
今回は、オンラインコミュニケーションが難しい理由や効果的な方法について解説しました。
オンラインコミュニケーションのデメリットや課題を解決するために、普段よりも声のトーンを高くする、自発的に発言するなどの試みも挙げられますが、それだけでは不十分だと考えられます。
むしろ、無理に行っていることは長くは続かないため、結果的に状況が変わらないというケースがほとんどです。
そこで、おすすめなのが「伝える工夫」と「受け取る工夫」をすることです。
伝える時にアジェンダを利用したり、受け取る時にリアクションをしたりと、既存の仕組みに一工夫加えることで、オンラインでもコミュニケーションが取りやすくなります。
また、今回解説したポイントを実践する上では、心理的安全性を高めることが重要となってきますので、今一度、人との接し方について振り返ってみてください。
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