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組織を弱体化させる”欠員補充採用”の危険性

「人が足りない? だから採用する?」
──その考え方が、組織の成長を静かに止めている“毒”になっているかも知れません。
考え方は合理的です。
しかし、欠員を埋める採用ほど、経営にダメージを与えるものはありません。
それはなぜか?
“穴埋め採用”は、必ず見えないコストを生むからです。
教育コスト、管理コスト、離職対応コスト──
どれも時間を食い、マネージャーのエネルギーを吸い取っていく。
結果どうなるか。
チームの生産性は下がり、現場の士気は落ち、「人を増やしたのに業績が伸びない」という“経営の矛盾”が生まれる。
さて、ここで少し視点を変えましょう。採用の本質とは何か。──それは未来への投資です。
今の穴を埋めることではなく、「3年後、利益を生み出す仕組みをつくる」ための投資。
つまり、“誰を入れるか”で会社の未来は決まるんです。
では、どんな人を採ればいいのか?
意外にもスキルや経験ではないのです。
正解は「学び、修正し、成長できる構造」を持った人です。
これが、私が長年の経営現場で確信した「成果を出す人」の条件です。
環境が変わっても伸びる人には、“伸びる構造”がある。
それを見極めるための方法の一つが、構造化面接(STAR法)です。
これは感覚や印象ではなく、再現性のある評価です。
「経験 → 行動 → 結果」を掘り下げることで、その人が“どう考え、どう動くか”が浮き彫りになる。
成果基準の採用を導入した瞬間、組織の空気が変わります。
指示を待たずに動ける人が増え、マネジメントの負担は減り、チーム全体のスピードが一段上がる。
そう、採用はもう“人を増やす作業”ではありません。
それは、未来の生産性をデザインする経営戦略なんです。
そして、ここが本質。
採用の精度を上げたいなら──求人票を磨くより、面接の質問を磨け。
1つの質問が、会社の未来を変える。
これが、私が現場で見てきた“勝つ会社の共通点”です。
成果を出す人に共通する「伸びる構造」とは?
再現性のある成果を生む人は何が違うのか?

あなたの組織にも、いますよね。
どんな環境でも成果を出す人。
逆に、同じ条件でも伸び悩む人。
この差はいったいどこから生まれるのか?
──それは「才能」でも「経験年数」でもありません。
成果を出す人は、“伸びる構造”を持っているんです。
彼らは、どんな現場でも結果を出します。
上司が変わっても、業界が変わっても、時代が変わっても。
なぜそんなことができるのか?
彼らは、自分の成長を自動化する構造を持っているからです。
この構造は、3つの要素でできています。
- 学習力──経験から“意味”を抽出できる力
- 自己認識──自分の強みと課題を正確に見つめる力
- 行動修正力──失敗から次の一手を変えられる力
つまり、“何が起きても伸びる”設計を自分の中に持っている。
これが「伸びる構造」の正体です。
この構造は、履歴書には絶対に書かれていません。
資格でも、学歴でも測れません。
では、どうやって見抜くのか?
有力な手段の一つが、STAR面接法(Situation/Task/Action/Result)。
「どんな状況で」「どんな課題に向き合い」「どう行動し」「どんな結果を出したか」。
この4つを掘り下げるだけで、その人の“思考の再現性”が見えてきます。
成果を出す人は、失敗を“情報資産”に変える。
成果が出ない人は、失敗を“感情の傷”で終わらせる。
面接で問うべきは、そこなんです。
指示を待たない。
状況を読み、自ら行動を選ぶ。
そして、成長を止めない。
こういう人がチームに入ると、空気が変わります。
上司はマネジメントから解放され、チームは自走し始める。
つまり、採用が育成のスタートラインになるんです。
短期的な“戦力補充”ではなく、中長期で“成長資産”を積み上げる。
これこそが、採用の本来の目的です。
そして、この視点を持った企業だけが、人を増やすたびに強くなる。
明日からできる「成果基準採用」の目標設定
属人的な採用を終わらせる3つのステップ

「理論はわかった。でも、結局、現場で何を変えればいいの?」
──ほとんどの人事担当者が、ここで立ち止まります。
でも安心してください。
“正しいやり方”を知っていれば、採用は明日から変えられるんです。
ステップ①:「3年後の成果」を定義せよ
まずやるべきは、採用のゴールを書き換えること。
「今の穴を埋める」ではなく、「3年後、どんな成果を生み出す人か?」を明確にする。
これを言語化できないまま採用している企業が、実は9割です。
成果を定義せずに採るのは、地図を持たずに航海するようなもの。
たどり着くのは、いつも“予定外の場所”です。
面接の第一問は「あなたが過去に生み出した成果」ではなく、「成果を再現できる仕組みを、どう持っているか?」を問うことから始めてください。
ステップ②:構造化面接で“再現性”を見抜く
次に導入すべきは、構造化面接(STAR法)。
感覚ではなく、設計で人を見る時代です。
Situation(状況)
Task(課題)
Action(行動)
Result(結果)
この4つを掘り下げるだけで、候補者の“思考構造”が浮き彫りになります。
「成果を出した理由」を説明できない人は、再現性がない。
「失敗から学びを語れる人」は、どんな環境でも成長する。
STAR法は、面接を“占い”から“経営判断”に変える最強のツールです。
ステップ③:評価基準を共有し、“なんとなく採用”を終わらせる
そして最後に──
面接官全員の頭を揃えること。
評価基準がバラバラだと、「Aさんには好印象」「Bさんはちょっと合わない」で終わってしまう。
それは、採用ではなく好みの投票です。
「好き」「嫌い」ではなく、「再現できる」「伸びる」で判断する。
この共通言語をチーム全員で持つこと。
ここから、採用の精度が劇的に上がります。
結果、採用の質が上がり、離職率が下がる
この3つを実践するだけで、採用の風景は一変します。
面接の納得度が高まり、採用後の活躍率が上がり、早期離職が減る。
採用は、もはや「現場の感覚」ではなく、経営デザインの一部なんです。
採用は“成果を買う”という視点で見る
採用を「人事業務」から「経営活動」へ昇華させる考え方

あなたは、採用を「人を増やす作業」だと思っていませんか?
もしそうなら──危険です。
その考え方こそが、あなたの会社の成長を静かに止めています。
採用とは、“未来の成果を買う”経営活動です。
今の人員を埋めるための作業ではない。
3年後の利益・生産性・文化を設計する行為なんです。
採用は“経営レバー”であり、“未来の設計図”
多くの企業が、採用を「人事の仕事」と勘違いしています。
でも、考えてみてください。
会社の売上を決めるのは“人”。
戦略を実行するのも“人”。
つまり、「誰を採るか」で未来が決まる。
採用を軽視する会社は、未来の成長を“ギャンブル”にしているようなものです。
経営者が「採用=経営レバー」と捉えた瞬間、会社はようやく“戦略的人事”に変わる。
「人を増やす」から「成果を生む」へ
ここで大事なのは、採用の目的を根本から書き換えること。
Before:「人を増やす」
After:「成果を生む」
採用の質問設計、評価項目、面接官トレーニング──
すべてを“成果基準”に合わせて再設計する。
それだけで、採用の質は劇的に変わります。
なぜなら、「成果を生む行動」は“明確に定義できる”からです。
たとえば、
- 自分で課題を発見できる
- 失敗から学びを抽出できる
- チームの成果を優先して動ける
こうした行動特性をもつ人が、成果を再現できる人材です。
そしてそれを見極めるのが、構造化面接(STAR法)の役割です。
採用を「成果基準」で再設計せよ
採用の思考を「成果基準」に変えると、組織は“静かに、しかし確実に”進化します。
- 採用の失敗が減る
- 面接の精度が上がる
- 評価の納得度が上がる
- 採用後の活躍率が上がる
つまり、採用が“経営の生産装置”に変わる。
ここまで来れば、もう採用は「人事業務」ではありません。
それは経営のデザインそのものです。
採用とは、“人を選ぶ”のではなく、“未来を選ぶ”ことだ
最終的に、採用は単なる「入社の入り口」ではなくなります。
それは、経営の意志を社会に表明する行為です。
あなたが誰を採るか。
それが、会社の未来をどんな方向へ導くかを決める。
採用とは、未来の成果を選び取る行為。
そして、最もリターンの高い経営投資。
採用プロセスを経営戦略へアップデートしませんか?
構造化面接と行動特性分析で、面接の精度を高める

もう、“勘と印象の採用”は通用しません。
いま、企業の成長スピードは「人材の見極め精度」で決まる時代です。
つまり──「誰を採るか」で、あなたの3年後の業績が決まる。
成果を出す人を見抜くには、“感覚”ではなく“構造”が必要だ
「話してみた印象が良かった」
「経験が近いからいけそうだ」
──それはもはや、採用ではなく“希望的観測”です。
本当に成果を出す人を見極めるには、“構造”で人を見る仕組みが必要です。
そのために、弊社経営人事パートナーズでは、構造化面接(STAR法)+ 行動特性分析という2つの科学的アプローチを導入しています。
採用を「成果基準」で設計し直す
私たちが支援するのは、単なる面接技法の指導ではありません。
採用の思考そのものを、成果基準にアップデートすること。
- 採用要件定義
- 面接官トレーニング
- 評価設計とスコアリング
- 候補者の行動特性分析
すべてを一貫して設計することで、「感覚に頼る採用」から「経営的に判断できる採用」へ変わります。
その結果、面接の精度が上がり、採用の納得度が高まり、採用後の活躍率・定着率が格段に向上します。
採用は“人数合わせ”ではなく経営投資
採用を変えるということは、会社の未来への投資の仕方を変えるということ。
優れた人材を「見抜く力」を得た企業は、採用するたびに生産性を上げ、成長を加速させます。
いまこそ、“人を選ぶ技術”を、経営の武器に変えるときです。
採用面接を“成果基準”に変えたい方へ
経営人事パートナーズでは、人材紹介会社から届く大量の候補者の中から、入社後に成果を出す確率が高い人材を見極める仕組みを提供しています。
構造化面接と行動特性分析を組み合わせ、採用を“再現可能な経営戦略”に進化させます。
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Who is writing
山極 毅(やまぎわ たけし)
株式会社経営人事パートナーズ 代表取締役
横浜国立大学大学院工学研究科卒業
元日産自動車グローバル人事部長 兼日本人事企画部長
日本交流分析学会正会員
”人は、会社がなくても生きていける。 しかし、会社は人がいなければ存続できない。”
2009年12月、もうすぐ冬季休暇になるある日、私は人事部長に呼ばれました。そして、このように告げられました。
「来年の4月1日付けで、本社のグローバル人事部の部長職に異動してもらうことになりました。詳しい仕事の内容は、着任後に上司の役員から聞いてください」
私の人事部人生は、このように突然始まりました。
4月に着任し、そのアメリカ人上司のところに行くと、
「あなたには、世界中の社員の採用と離職に伴う人員の変動と、日産グループ全体の人件費管理をやってもらいます」と言われました。
人事部経験の無い私に、なぜそのような重要な仕事を任せるのですか?と聞いてみたところ、「今の人事部は、数値の扱い方が出来ていない。エンジニアと商品企画の経験を活かして、人的資源管理(リソースマネジメント)を会社に定着させて欲しいのです」、という答えが返ってきました。
経験も前例もない仕事ですから、それからしばらくは悪戦苦闘の日々が続きました。古くから人事部にいる先輩や同僚だけでなく、社外の知恵も聞きに行きました。
前例のない悪戦苦闘の3年が過ぎた頃、私のチームはグローバル社員数25万人と、毎月1万人の人の出入りを管理し、約1兆円の人件費の活用状況を毎月役員会にレポートできるまで成長していました。
日本の連結会社のデータは稼働15日で、全世界のデータは稼働25日でまとめられるようになっていました。
これらの経験を通して得られた教訓は、「すべての人事業務は、連携させて考えた方が上手くいく」ということでした。
採用は採用チームの問題、人材育成は育成チームの問題、人事評価は評価制度チームの問題、賃金テーブルは経理部門が検討する課題というように、課題ごとに対応策を考えていくことが、効率的な方策であると信じられています。
ギリシアの思想家アリストテレスは、「全体は部分の総和に勝る」という名言を残しました。これは、全体には部分の総和以上の構造が存在していることを示しています。
人間だれしも、自分のことを客観視することは難しいわけですが、同じことは会社にも当てはまります。
弊社は、様々な成功例と失敗例を見てきた知識と経験を応用して、お客様の人事課題を客観的に把握し、共に解決策を考えるパートナーとなることを目指しています。

