chatGPTマスターを目指してvol.61【理系大学院生の活用術III】4を8にする

chatGPTの得意分野を一言でまとめると、「4を8にする」ではないかと、最近思うようになりました

  

いろいろなことができるchatGPTですが、その使い方によって、得られる成果は大きく変わります。

たとえば実際に、研究を題材として、0から1を作り出す、すなわち全く新しいことを考えさせる質問と、4から8にするような「ある程度人間が固めた概念の詳細を埋める」質問をしてみました。

 

0から1を作り出す質問:「なんか面白い研究案出して」

もちろんです。分野を特定しない形で、「発展させやすく」「今っぽさがある」研究案をいくつかタイプ別に出しますね。気になるものがあれば、そこから一緒に具体化できます。


① 人・組織・働き方系(人事・経営と相性◎)

1. 「評価されやすい人」の行動は本当に成果と一致しているのか

  • 上司評価・自己評価・客観指標(成果物、KPI)を比較
  • 面白さ: 「声が大きい人」「会議で発言する人」が過大評価されていないか
  • 発展: 公平な評価制度設計への示唆

2. リモートワーク下で“見えなくなった努力”は何か

  • 出社時代と比べて評価されにくくなった行動を特定
  • 面白さ: ケア労働・調整役・心理的サポートなどの可視化
  • 発展: マネジメント指標の再設計

② AI・テクノロジー × 人間

3. 生成AIを使う人は「賢くなる」のか「依存する」のか

  • 長期利用者 vs 非利用者で思考プロセスを比較
  • 面白さ: 正答率ではなく「考え方の変化」を見る
  • 発展: 教育・人材育成への示唆

4. AIに任せた判断は、人の責任感をどう変えるか

  • AI提案あり/なしでの意思決定実験
  • 面白さ: 失敗時に「誰の責任だと感じるか」
  • 発展: AIガバナンス、説明責任の設計

③ 社会・文化・価値観

5. 「努力は報われる」と信じている人は本当に幸せか

  • 信念(努力信仰)と幸福度・ストレスの関係
  • 面白さ: ポジティブに見える価値観の副作用
  • 発展: キャリア支援、メンタルヘルス

6. 失敗談を語る人は、どの条件で好感を持たれるのか

  • 年齢・立場・タイミング・語り方の違いを分析
  • 面白さ: 「失敗談は美徳」という通説の検証
  • 発展: リーダーシップ研究

④ ちょっと尖った/ユニーク系

7. 会議の「沈黙」は無駄か、それとも知的生産か

  • 沈黙の長さと会議の質・決定の妥当性を分析
  • 面白さ: 「発言量=貢献度」という思い込みへの挑戦

8. 雑談が多い職場は生産性が低いのか高いのか

  • 雑談頻度と成果・離職率の関係
  • 面白さ: 一見ムダに見える行動の再評価

もしよければ、次を教えてください(答えられる範囲で大丈夫です):

  • 学術研究/社内研究/実務寄りのどれですか?
  • 定量・定性、どちらがやりやすいですか?
  • 人事・組織系はご関心ありますか?

それに合わせて、研究目的・仮説・方法まで落とし込みます

曖昧な質問には、曖昧な回答が返ってきます。

確かにどれも面白そうではありますが、これらだけを元にして自分の卒業論文をまとめるのは少し難しそうです。

 

一方、あらかじめ人間が4くらいまで仕上げた内容を入れてみます(研究の完成を10とします)。

実験計画の策定を手伝ってください。以下の内容を元に、ToDoリストを作成してください。投稿予定の論文誌はXXXを考えているので、そちらに合致するように補足をお願いします。1(baseline)2提案手法 3・・・

固めているポイントとしては、

・問題設定を明確にしている

・尋ねたい内容について基本は固まっている

・ただし詳細はこれから

といった点が挙げられるでしょうか。

 

こちらを入力すると、以下のような出力が得られました。(一部抜粋)

0. 研究設計の骨格を固める(最優先)

  • 研究仮説を明文化

    • H1: 2(提案手法)≻ 1(baseline)

  • “評価する対象”を確定

  • 比較条件(1〜4)の定義を実験用に固定

     

1. 実験タスク(評価方法)を決める

これから自分が進めようとしている研究の肝であるため、詳細を割愛していますがご容赦ください。

一部を抜粋しただけではありますが、とても詳細に、ToDoをまとめてくれたことがみて取れます。

 

最近、研究活動、特に研究計画の立案の段階でchatGPTに助けてもらうことが増えたのですが、chatGPTには

  • 0から1:無から有を作り出すのはあまり得意ではない(一般的すぎる内容を出力する)
  • 2から4:思いつきベースを具体的な形に落とし込むのはそれなりに得意(ただし、人間が議論することでしか得られない結論がある。chatGPTと人間の議論もそれなりに役には立つが、使用者の知識が求められる)
  • 4から8:人間がある程度固めた内容の詳細を詰めるのは大得意
  • 8から10(完成):分野によって得意(文章の推敲などは得意だが、変な出力であることもあるため使用者が責任を持って確認する必要がある)

のような特徴があるように思います。

それぞれをどの程度「便利だ」と感じるかは、使用者の得意分野にもよるとは思いますが、いずれにしてもchatGPTに得手不得手があることは間違いありません。

chatGPTの得意をうまく使うことで、生産性は爆発的に向上しそうです。

 

P.S.

そして、どの使い方をしていても感じることとして、「うまく使いこなすには自身のスキルが必要」ということがあります。

そもそもchatGPTに望む出力をさせるためには、きちんとそれに見合った質問文が必要ですし、回答を吟味する力も欠かせません。

私自身、勉強しているタイミングでは生成AIなるものはここまで便利ではなく、ある意味集中してスキルを磨くことができました。

一方、今の学生さんは「楽をしたい」と思えば、(短絡的には)すぐに楽をできる環境が整ってしまっています。

レポートも、おそらく入学したての平均的な大学1年生が書くよりも良い文章を、生成AIは作成できてしまいます。

便利なツールであることは間違いありませんが、スキル向上のためには自律がこれまで以上に求められることになりそうです。

 

Who is writing

大学にてデータサイエンスを学ぶ傍ら、多くの人にデータ分析の面白さを伝えたいと日々奮闘中。