chatGPTマスターを目指してvol.59 【理系大学院生の活用術I】ミス発見機

理系大学院生はどうやってchatGPTを使っているのか?今回はミス発見器にした事例をご紹介します。

  

chatGPTマスターになりたい私ではありますが、目指している方向性には2つあります。

まず、先週の記事でご紹介したような、chatGPTや生成AIを支える理論をきちんと把握すること。

chatGPTマスターを目指してvol.58 緊急事態で生まれたchatGPT5.2の実力とは?

こちらには、最新の情報をキャッチアップして、面白そうなものや役に立ちそうなものをご紹介したい、というモチベーションも含まれています。

 

2つ目の方針は、chatGPTを使いこなすこと。

昨今の研究活動では、chatGPT無しに進めることは考えられない、というほど、広く多くの方が生成AIを使いこなして仕事をしています。

機械学習分野の先生による講演でも、「現在多くの人が生成AIを使った効率化をしており、使わなければ取り残されてしまうような事態になっている」というお話がありました。

もはや生成AIを「なんだか信用できないから…」という理由で食わず嫌いしていることすら許されない状況にある、ということもできます。

そう考えると、1つ目の方向性である「生成AIを理解すること」も、この方向性に繋がっているような気がします。

 

という背景を踏まえ、新たに【理系大学院生の活用術】なる特集(?)を始めてみようと思います。

この特集では、実際に理系大学院生である筆者がchatGPTに助けられたエピソードを、その失敗談と共にお伝えします。

  • どんな使い方ができる?
  • 人間と比べて何がいい?
  • 気を付けておくべき点はどこ?

それらについて、実際の会話履歴もご紹介しながら、こんな使い方もできるのだということをお伝えできましたら嬉しいです。

 

さっそくの第一回は、chatGPTにミス発見機になってもらいます。

現在、自分の論文を執筆しているところなのですが、これがなぜか、探せど探せど見つからないケアレスミスが隠れているのです。

書いている言語は日本語で、私は日本語が母国語であるはずなのに。

細かいミスに気づかず、出版されてからミスに気づくこともしばしばです。

なぜ本当に、何度見ても気づけないミスがあるのでしょうか。

 

今回、chatGPTの力を借りて、このミスを発見してみようと思います。

どの機能を使うかと言いますと音声読み上げです。

書いた文章を読み上げてもらって、ついでに違和感があるところの推敲までしてしまおうという完璧な計画です。

早速始めてみます。

[私]これから送る文章の推敲を行いたいです。文章をそのまま読み上げていただけますか?なお、Latexを使っていますので、Latexで表示されないコメントアウトの箇所は読まなくて問題ありません。

[chatGPT]はい、承知しました。

これからお送りいただく文章をそのままの表現で読み上げます。

LaTeXについてもご指示どおり、

  • \% や数式などはそのまま読み上げ
  • コメントアウト(例:% 以降や \begin{comment}...\end{comment} など、LaTeXで表示されない部分)は読み上げません

という方針で対応します。

準備できましたので、文章を送ってください。

 

chatGPTに読み上げてもらう利点は以下の3つです。

  1. 勝手に脳内でミスを補完することを防ぐことができる
  2. 読まなくていいところの指示ができる
  3. なんとなくの塊で読み上げてくれる

まず1点目について、これが一番大きいところなのですが、chatGPTは入力されたものをそのままの形で読み上げてくれます。

たとえば

おはうよござまいす

上の文章をさっと読もうとすると、多くの人は

おはようございます

と読むと思います。

でも実は、間違いが二箇所もあります。

単語の最初と最後があっていれば、語順が多少変わっていても読めてしまう、という人間の素晴らしい能力のせいで、ミス発見ができないのです。

しかしchatGPTは機械。

入力されたものをそのまま読んでくれます。

 

次に「読まなくていいところの指示ができる」こと。

今回私はLaTeX(ラテフ)という文書処理システムを使って論文を書いているのですが、その中では論文中に表記されない「コメントアウト」という機能を使うことができます。

今回のミス発見では、コメントアウトの箇所は無視する必要があるのですが、その辺りもきちんとお願いしておけば対応してくれます。

ありがとう、chatGPT。

 

そして最後に、「なんとなくの塊で読み上げてくれる」。

こちら今回使ってみて初めて知ったのですが、きちんと人間が読むように、フレーズの塊で読み上げてくれます。

逆に、自分が予期した通りの塊で読まれなかったということは、訂正が必要である可能性がある、と気づくこともできるのはとても大きいメリットだと感じました。

 

ところで今回実際に試したときに、1つのミスもありました。

それは、長文で入れすぎたことです。

横着してまとめて数千文字を入れたのですが、さすがに全てを一度に読み上げることはできませんでした。

段落ごとに分けて、改めて入れてみようと思います。

 

今回は理系大学院生の活用術として、chatGPTにミス発見器になってもらう方法についてご紹介しました。

実は大学の先生からお薦めされた使い方だったのですが、とても良さそうです。

この力を借りて、目指せミス無し論文作成!

また次回には、他の使い方についてもご紹介できればと思います。

何かミスを発見したいとき、ぜひchatGPTに読ませて、ミス発見器にしてみてください。

 

 

Who is writing

大学にてデータサイエンスを学ぶ傍ら、多くの人にデータ分析の面白さを伝えたいと日々奮闘中。