chatGPTマスターを目指して vol.55 日本語版と英語版、頭がいいのはどっち?
言語AIに得意な言語はあるのか?最新の研究を知れば、chatGPTに質問する際の言語選択のヒントが得られるかも知れません

「日本語で質問するよりも、なんだか英語で調べた方が賢い気がする。」
chatGPTを使って調べ物をしていると、そのような感覚を持つことがあります。
特に論文を調べるとき。
やはり楽なので日本語で調べてもらおうとするのですが、出てきた回答が正しくないこともしばしばあります。
Aという話題について調べて欲しかったのに、出てきた話題は全く違うものだった。
情報源をきちんと示して、と頼んでいるのに存在しないWebページを示してきた。
最近は少しずつ改善されているような気もしますが、依然として差を感じるタイミングは無くなりません。
大規模自然言語処理モデルにおいて、言語による知識の壁、というのがかねてより指摘されています。
クロスリンガルギャップ(言語間ギャップ)、と呼ばれる現象なのですが、例えば英語ではほぼ正解の回答ができるのに日本語で尋ねるといまいちパッとしない。
そんな状況が発生することが知られていました。
もちろんこの話はchatGPTだけに限らないのですが、本当にchatGPTには「頭のいい言語」が存在するのでしょうか?
この「クロスリンガルギャップ」の理由としてこれまで、言語ごとに「AIがどのように言葉を理解しているか」が異なっているからである、という説明がなされてきました。
同じ「機械学習」という言葉であっても、英語で「Machine Learning」と書かれた場合とでは、AIがどのようにこの言葉を解釈するかが変わる、という説です。
(具体的には、言葉をAIが理解するためのベクトル表現が変化する、と考えられてきました。)
しかし実は先日、この定説を覆す論文が出版されました。
【Rethinking Cross-lingual Gaps from a Statistical Viewpoint】
https://arxiv.org/abs/2510.15551
直訳すると「統計的観点から再考する言語間ギャップ」。
言語によってchatGPTの回答が変わるのは、他の理由があるのではないか?という仮説を立てて検証した論文です。
具体的には、言語によって回答のばらつき度合いが違うのではないか、と仮説を立てて検証しています。
実は、同じ質問を言語を変えて複数回質問してみると、言語によってその解答のばらつきが違うのだそうです。
自信がある言語では、回答にほとんどばらつきがなく。
一方で自信がない言語では、回答が変わりやすい。
そんな現象が発見されたそうです。
ちなみにこの「自信がある言語」であるか否かは、chatGPTで検索しようとする情報が元々何語であったか、に依存するようです。
例えば私の場合は英語で書かれた論文を検索していましたので、日本での検索を行おうとするとAIは「自信がなく」、曖昧な回答をしてしまっていた、と考えることができます。
人間が開発したはずの大規模自然言語処理モデルたち。
ですが、中身がどんなふうになっているのか、という研究は、これからもまだまだ続きそうです。
P.S.
この研究からは、いずれにしても「探したい言語に合わせて入力する言語を変えるべし」という教訓が得られそうです。
理由はどうあれ、chatGPTに(質問内容ごとに)得意言語がある、という事実は変わりなさそうです。
P.P.S.
↓メルマガの新規登録はこちらから↓
https://48auto.biz/keieijinji/touroku/sp/scenario13.htm
(スマートフォンよりご登録いただけます)
