AI業界を賑わせているはずの論文を知らなかった話

AI業界を賑わしている論文を知らないなんて、研究者として不覚。。。と思いきや、話題になっている場所が違ったようです。

  

News picksから届いたメールマガジン。

(メルマガをお送りしている身で大変恐縮なのですが)いつもはすぐにゴミ箱に捨ててしまうのですが、ふと気になるタイトルを見つけて開いてみました。

【話題の論文「AI 2027」についての考察】

https://newspicks.com/news/14078184/body/

AIの一分野を専門としている手前、ある程度最近の研究についてフォローしているつもりだったのですが、恥ずかしながら、全く知らない論文の話のようでした。

 

曰く。

2027年までのAIの発展について予測するものである。

5年以内に汎用人工知能が開発される。

まずは2025年、AIエージェントが登場する。

私たちの生活は劇的に変化するに違いない。。。

 

様々な方がコメントをしており、確かに、にわかに注目されている論文のようです。

 

実際にAI2027の論文も見てみました。

https://ai-2027.com/slowdown

とてもスタイリッシュなWebページで、ページをスクロールすると右上に表示されている図も変化していきます。

ただ、正直、想像していた論文とは形がかなり違いました。

なんとなく、この論文の信憑性がわからなくなってきました。

そうなると色々と調べたくなるのが人の性です。

まずは著者について調べてみました。

筆頭著者である「Daniel Kokotajlo」さんのお名前で、論文がまとめられているGoogle Scholarを見にいきます。

検索結果がこちらです。

https://arxiv.org/search/cs?searchtype=author&query=Kokotajlo,+D

確かにこれまで4本の論文を出しているらしい。

いずれもOpenAIの社員として名を連ねているらしい。

(OpenAIの出す論文では、どのような基準で選定しているのかはわかりませんが、関わった社員の方がたくさん著者として載っていることが多くなっています。)

でも、話題になっているはずの論文は見当たらない。

 

この時点で私は、この論文を詳細に読むことをやめてしまいました。

 

その後色々と情報を探してみると、特にこの論文を話題にしているのは、AIを使ってビジネスをしている方々がほとんど、という印象を受けます。

一方で、研究者の中ではそれほど話題になっていないようです。

もちろん、技術をビジネスで活かすことはとても重要だとは思います。

ですが、「AI業界」と一口に言っても、どのような方々を対象としているのかは大きく異なることを実感しました。

 

同じ「AI業界」の中でも着目する点が違えば、情報の断絶とまでは言わなくとも、話題になる情報は異なる。

普段自分が取得している情報が偏りすぎていないか。

見落としてしまっていることがあるのではないか。

時には全く違う領域の情報を探しに行くことも重要だと思わされた出来事でした。

 

 

P.S.

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大学にてデータサイエンスを学ぶ傍ら、多くの人にデータ分析の面白さを伝えたいと日々奮闘中。