「いろいろなお茶を販売中」

自販機の「何が出るかわからないボタン」と宣伝広告の共通点とは?

  

どうして宿泊施設ではいつものどが渇いてしまうのでしょうか。

エアコンをつけているわけでもなく。

枕元に絞ったタオルを置いて乾燥対策をして。

それなのに朝起きるとのどがカラカラになっている…。

私的七不思議のひとつです。

 

そんな、乾燥と戦っていたある日の朝。

せっかく学会でいつも来ない場所に来たのだからいろいろと歩いてみよう!

と意気揚々と出発したのは良かったのですが、一つ問題が発生しました。

なんと、飲み物を部屋に忘れてきてしまったのです。

急がないと時間が無くなってしまう。

でも、乾燥していたせいでカラカラになっていて、飲み物が欲しい。

 

お茶飲みたい!

そんな私の願いが通じたのか、目の前には自動販売機がありました。

そしてどんなお茶を飲もうかと考え始めた私の前に飛び込んできたのは、初めて見る言葉でした。

「メーカー欠品中につき、いろいろなお茶を販売中」

いろいろなお茶を販売…?

つまり、買ってみないと何が出るかわからないということ…?

 

なにそれ面白そう!

気づいた時にはその「何が出るかわからないボタン」を押してしまっていました。

果たして鬼が出るか蛇が出るか。

そんなたいそうなことではないのですが、ちょっとドキドキしながらお茶を待つことになりました。

自動販売機の前で「何が出るかな?」とドキドキするのは初めての経験です。

(ちなみに、欠品のはずの商品がなぜか出てきました。出てきた商品としては何も面白みがなく、ちょっと残念でした。)

 

ところで、「やってみなければわからない」ことは実際の生活の中ではよくあります。

むしろ、やる前から結果がわかっていることの方が稀かもしれません。

例えばお客さんに対して広告宣伝を行ったとき。

その宣伝に効果があるか。

効果があるとすれば、それはどのくらいか。

実際に広告を打って、その結果を計測するまではやってみなければわかりません。

 

そして、せっかく広告を出すのならば、その効果を最大化したいと考えるのが自然です。

どんな広告であれば、どんな人たちに、どのくらい刺さるのか。

適切な指標をできるだけ早く知りたくなります。

そして一方で、広告を出すためのコストを考えれば、すでに分かっている「きっと効果があるだろう」広告宣伝を行うことも重要です。

 

実は、そんな「探索」と「活用」の双方のバランスを考えるための手法が機械学習に存在しています。

その研究の多くはバンディット問題と呼ばれています。

「やってみなければわからない」ことについて、できるだけ効果的なものを探し、一方で今わかっている情報を使って、有効な手段も使いたい。

予算が限られていることを考えれば、これらをどう組み合わせ、そしてバランスさせるかが利益を最大化するための肝になります。

 

何が出るかを知るために、謎のボタンを押す。

かといって気分に合わない飲み物ばかりが出ても嫌だから、きちんと何が出るかがわかっているボタンを押す。

好奇心と安定を求める気持ちの勝負になりそうです。

 

 

P.S.

機械学習の分野では、広告を実施するための総コストを固定して、そのコストの中で最大の利益を上げられるように「探索」と「活用」をバランスさせることが多くなっています。

そもそも総コストは固定しているのか。

期間が変われば変わってしまうのではないか。

モデルをシンプルにした機械学習の分野では、まだまだ対応できない問題も多そうです。

 

P.P.S.

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Who is writing

大学にてデータサイエンスを学ぶ傍ら、多くの人にデータ分析の面白さを伝えたいと日々奮闘中。