ジョブ型の違和感はコレだ ②生産性・DXとの相関は、思い込み!?

ジョブ型・メンバーシップ型を、人事の業務領域ごとにリアルな組織の目線で考察します。そこには、ジョブ型の”レトリック”が・・・

  

人事の立場でみる組織の盲点

前回の記事では、誤解されているジョブ型の定義を整理し、派遣契約と他国の事例を用いてジョブ型を社会構造の視点から分析、一方でメンバーシップ型を取り入れている米国企業の現状についてご紹介しました。(前回の記事はこちらから)

今回は、実際にジョブ型を導入したときに現場で起こり得ることを細かく落とし込み、キャリアコンサルティングの視点も取り入れながら、ジョブ型とメンバーシップ型のそれぞれの良さと懸念点を考えていきたいと思います。

はじめに、ジョブ型とメンバーシップ型を、カテゴリーに分けて整理していきます。

前回の記事で述べたとおり、ジョブ型は多くの課題を紐づけてまとめて考えてしまう傾向にあり、要点がみえにくくなるため、あらゆる課題をつなげる前に、一度分けて可視化することが必要です。

改めて、ジョブ型は「あらかじめ職務が明確化されている」と定義します。

今回は実際の人事の仕事に沿って、みていきたいと思います。

人事の領域は、ざっくりとこのような整理ができます。

本記事では①~③についてピックアップし、具体的にメンバーシップ型・ジョブ型で、どのような良さがあり、どのようなことが懸念点になりそうか、順番にみていきたいと思います。

④の制度設計は、狭義の人事制度として特に給与面のジョブ型人事制度について多くの情報があること、⑤の管理については、システム構築の問題に集約されるのでこの記事では触れません。

今回は「新卒採用」を除いて、中途採用と現状の人員体制だけで考えてみます。

 

①企画・採用「入口はどちらも有効」

入口である企画・採用の視点では、どちらにも良さがあります。

実態として、メンバーシップ型の採用にジョブ型の解釈を取り入れたような「職種別採用」を取り入れている企業も多いのが現状です。

また、中途採用は即戦力を求めることができるので、ジョブ型とも相性がいいです。

一方、企画の段階では、メンバーシップ型よりも精度を求められるのがジョブ型の特徴です。

一人ひとりのポジションに職務定義が必要であるため、ミスマッチのないよう事前に配属先の関係者とコミュニケーションをとり、求めるスキルや人物像を固めていく必要があります。

人事担当者にとって、各部門の職務を深く理解することにはつながりますが、業務負担としては増えることになります。

また、1つのポジションに採用したいと思う優秀な候補が2名いた場合、メンバーシップ型であれば配属先を柔軟にアレンジすることで獲得できますが、ジョブ型の場合は応募者もそのポジション前提でエントリーしているので、融通が利かないことが難点として挙げられます。

 

②配置・組織の活性化「メンバーシップ型の潜在能力」

次に、配置・組織の活性化の視点です。

まず、ジョブ型の良さとして記載した点について、注目します。

これらは人事の業務負担が減るという意味では良さに該当するかもしれませんが、同時に懸念点でもあると思います。

率直にいえば、配置という大切な要素を手放すことにならないでしょうか。

職務と人の相性は大事ですが、毎日のリアルな現場を想像すれば、組織を円滑に運営するために欠かせないのは、職務を行う人と人の相性です。

それはテレワークになっても根っこは変わりません。

筆者はこれまでキャリアコンサルタントとして企業で働く幅広い年齢層の方々の相談を受けてきましたが、相談者の悩みの多くは自分の職務内容についてではなく、ほとんどが「人間関係」です。

ここの舵取りを配置の視点で実行できるのが人事であり、配置によって相乗効果が生まれたり、停滞していた組織が生き返ったりします。

実際に、上司によって部下のモチベーションが上がり覚醒したり、部下の働き方に上司が感化され、チーム全体が引き上げられたりするケースもあります。

反対に配置によって、個人が委縮してしまい、本来の力が発揮できない場合もあります。

それは結局、スキルだけでは測れない一人ひとりが持っている気質を含めた総合的な相性です。

適材=求める人物像について、職務に対して求められるテクニカルスキルと職務遂行に求められるポータブルスキルだけで配置を判断してしまうと、せっかく専門性をもっている人同士が合わなければ、心理的にはギスギスした環境になります。

組織の配置という仕事には、個人の視点「適材適所」「適所適材」の他に、個人の集まりの視点「適材適材」という隠れた要素があるように思います。

この「適材適材」がうまく機能することで、心理的安全性が保たれモチベーションが上がり、本来の力が発揮されることで、自身の職務が「適所」になることがあります。

これを臨機応変にできるのがメンバーシップ型ではないでしょうか。

誰と誰を組み合わせれば2人とも活きるか、このチームの課題には誰が必要か、という視点は、各現場が無意識にもっている判断軸だと思います。

このような人と人が起こす変化は完璧にデータで表すことができませんが、個人の可能性を個人の集まりの視点で可視化する方法は、まだまだ研究の余地と可能性がある分野だと思います。

互いの弱点を「補い合う」という視点にプラスして、能力を「引き出し合う」という可能性と選択肢を多くもっているのが、メンバーシップ型の配置がもつ潜在能力です。

その点では、初期配属を変えられないジョブ型の方が、適材の人選は何倍も難しいのかもしれません。

今回は評価の視点には触れませんが、より適所のポジションに動かしたくても、契約を再締結しなければ、左右や斜め上には動かせず、上下しか選択肢がありません。

何か不測の事態があったときに縦横無尽に別の選択肢を用意することができるのは、メンバーシップ型だといえそうです。

また、組織の活性化の視点で最も重要なのが、「互いのポータブルスキルを活かしあう」点です。

これは人事異動が有効だったときに起こることです。

例えば、

・Aさんが営業で培った「相手のニーズを汲み取るスキルや経験」が、異動先の人事のマーケティング業務で発揮される。

・前から人事にいるBさんが元々もっている「情報発信力」が的確なターゲット層に届くことで母集団形成の成果が上がる。

・Cさんが財務で伸ばすことができた「全体を見通して落としどころを決める能力」が、異動先の商品企画のマネジメントのポジションで生きる。

・Dさんのどこまでも顧客目線になれる「客観力」が、適切な決断力として加わる。

といった相乗効果です。

各組織で凝り固まっていく考え方に、新しいアイデアが生まれるタイミングは、別分野のノウハウをもって異動してきた人がきっかけであることも多いです。

もちろん、その役割はジョブ型の外部人材でも実現可能です。

メイン職種が1つか2つの専門集団の企業や小規模企業ではこの視点は当てはまらないですが、「配置」という仕事がもつ可能性を考えると、大企業ほど社内の流動化は担保しておかないと、組織全体の活性化にはつながらないのではないでしょうか。

 

育成「適切な環境で個が育つ」

最後の視点は、育成です。

育成といっても、学ぶ・気づく・育つ・育てる、さまざまな視点があると思います。

今回は、表に記載した点に加えて、ここ数年で注目されているリスキリングとDX(デジタル・トランスフォーメーション)に絡めて考えていきたいと思います。

リスキリングとは、「学びなおし」。

特に、今後の市場の成長分野に移行するための学びなおしとして必要性が主張されています。

この成長分野に当てはまるものがDXで、高度な専門人材を育て、人材不足を解決するという側面で、ジョブ型とDX分野のリスキリングはセットで語られることが多いです。

しかし、実際に書き出してみると、はてなマークが出てきます。

本当にジョブ型とリスキリングはつながりがあるのか、という問いです。

ジョブ型の良さの欄に「自発的なリスキリングが促される」と書こうと思っていたのですが、手が止まりました。本当にそうだろうか?

前回の記事でGoogleの事例でも紹介したとおり、メンバーシップ型の特徴を活かした自発的なリスキリングは可能であり、その成果が社内に還元できるケースもあります。

また、個人が自発的にリスキリングしても、それが企業の付加価値向上につながるものでなければ意味がありません。

しかも、そのポジションで個人が成長するかどうかは、ジョブ型・メンバーシップ型に関係なく、一人ひとりが置かれた環境と、本人の意識次第で大きく変わるものです。

もう少し現場に落として考えてみましょう。

前回の記事で、本来のジョブ型の典型例として法改正前の派遣契約を挙げました。

人材サービス会社側にいた経験として述べると、派遣社員の方々でも、スキルアップ・リスキリングについては意識が分かれていました。

自分の目標とするキャリア形成のために自発的にスキルアップもしくはリスキリングする方々と、今の職務で特に不満はなく働きやすいので、たとえ受講プログラムが用意されていてもスキルアップの緊急性と必要性はないという方々、両者ははっきり分かれます。

これは働くことに対する価値観の違いや優先順位の違いでもあり、自然な形だと思います。

また、貿易事務に挑戦したいから英語を学びなおす、金融事務に転職したいので証券外務員の資格を取得するなど、リスキリングの先に、その時点で自分自身が明確にイメージできる「出口」があることが重要なポイントです。

目標が明確なので、自発的にプランを組み立てて行動しやすくなります。

しかし、出口が漠然としたまま、とりあえず今後必要とされるスキルを自ら学ぶというのは、ジョブ型であれメンバーシップ型であれ、正規雇用であれ非正規雇用であれ、キャリア形成の観点で、万人にとってハードルが高いのではないでしょうか。

その点、DXは企業の戦略によっても内容が異なり全貌がみえない中で、DX人材を増やしたいといっても、企業規模が大きいほど、従業員の立場からしたら取っ付きにくい分野のように思います。

リスキリングと言われても、何を学びなおすの?と個人レベルでは疑問がわくでしょう。

このような新しい取り組みに企業全体として着手していくときは、企業主導型になります。

一種の改革になるので、組織全体がスタートアップの要素をもつことになるとも表現できるのではないでしょうか。

DXは日本企業では取り組みが遅れている分野で、今までこの仕事自体が少なかったわけなので、ピンポイントでは専門人材がいないのは当たり前です。

企業の方針によっては、社内人材を育成する時間を待っていられず、短期的な目標とスピード優先で、高条件を提示することでDXに精通した海外人材を積極的に採用するために、海外と同基準のジョブ型の人事制度を入れざるを得ないというのも本音の部分だと思います。

それは限定的に進めるとしても、組織全体はジョブ型に囚われる必要はないのではないでしょうか。

長期的にみたときに、DXは一度構築したら終わりではなく、どんどん更新していく必要があるので、一時的な外部人材だけでなく社内で適材だと思うメンバーを育てることも、育成の視点では大切です。

 

社内の適材が「走りながら学びあう」

ここからは、キャリアコンサルタント目線で、経済産業省によるDX人材の定義をもとにリスキリングについて考えていきます。

「DX人材」とは、自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材

社内外のステークホルダーを自ら陣頭に立ってけん引し、DXを実行することが求められる

引用:経済産業省 DXレポート2 P.42

こんな超人いる!?と思ってしまうのは、筆者だけではないと思います。

でも、何人かを組み合わせれば、このスーパーマンのような定義の人材になります。


  1. 自社のビジネスを深く理解し、課題を可視化できる人
  2. データとデジタル技術を構築もしくは的確に選定できる人
  3. それを活用してどう改革していくかについての構想力を持てる人
  4. 実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人
  5. 社内外のステークホルダーを自ら陣頭に立ってけん引できる人
  6. これらの人たちを陰で支え、潤滑油になる人
  7. 最後に実行する人

いかがでしょうか。少し現実的になりました。

次に、一定の組織規模のある企業を想定して、順番に考えてみます。

①自社のビジネスを深く理解し、課題を可視化できる人

経営層だけでなく、自社の変遷やビジネスの要点・塩梅を熟知し、横断的に「知恵」を持っているのは、メンバーシップ型で異動を重ね、経験と同時にリスキリングを達成しながら長年勤めてきた50代以上の方々です。

年功序列の賃金制度により、職務に給与が見合っていないという指摘が、ジョブ型導入のきっかけの一つでもあると思いますが、幅広い経験をもっているのは社内にいる中高年層です。(ちなみに、どの年齢層でも、内発的動機がなければサボる人はサボるし、組織にぶら下がる人はどこに行ってもぶら下がります。)

また、自社のビジネスを理解しているからこそ、問題を洗い出して客観視できる能力をもった人は、年齢に関係なく社内人材に散らばっています。

課題解決が得意な外部人材が、プロセスの起点となる正しい問題把握が得意であるとは限りません。

②データとデジタル技術を構築もしくは的確に選定できる人

IT・AI等に精通しているのはデジタルネイティブ世代といわれる若者層です。

技術職の経験がなくても、生まれたときからデジタル環境があるので、素養がある人もたくさんいます。

人材不足と言われているのはデータサイエンティストなどの先端的なIT人材のため、外部人材を含めたら、Webエンジニアやプログラミングスキルのような土台をもっている方は少なくない、といえます。

また、新しくシステム構築しなくても、既存のシステムを活用した方がいいという結論になる場合もあり、このような判断も①や③の素質をもった人と一緒に進めていくことで精度が上がります。

また、忘れてはならないのが、IT全般が相対的に苦手な層が問題なく使えるサービスが、世の中の人にとって使いやすいサービス・商品でもあります。

例えば買い物をするときに、私たちは老若男女問わずiPhoneを使ってPayPayで決済できています。

社内DXも、最も苦手な層が使えるという視点が欠かせず、苦手な人がいるからサービスが向上します。

どんなに先進的でも、出口は人が手を動かして使うというアナログです。

その意味では、苦手な人の意見も、重要な視点になります。

③それを活用してどう改革していくかについての構想力を持てる人

先を見通せる、いくつかのパターンとリスクを考えられる、さまざまな視座からものごとを想像できる能力をもった人です。発想力も必要です。

この資質をもった人も、職種に関係なく存在します。

また、課題の本質や、社内外のニーズを的確に捉えることのできるマーケティングが得意な人が、ここのキーマンになるでしょう。

④実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人

机上の空論から、ゴールを設定して実際のリアルな運用プロセスに落としていく段階です。

新規プロジェクトの立ち上げや、プロジェクトマネージャーを何度も経験している人などは得意な分野です。

また、ビジョンを明確にもつ経営者も密に関わることになる部分です。

⑤社内外のステークホルダーを自ら陣頭に立ってけん引できる人

発信力・言語化に優れ、社内の信頼が厚い人がここのポジションに該当しそうです。

多少のビックマウスでも、組織を引っ張っていけたり、社外に影響を与えたりすることのできるアウトプットが得意なタイプのリーダーといったところでしょうか。

DX事業部があるのであれば、事業部長に当てはまりそうです。

⑥これらの人たちを陰で支え、潤滑油になる人

縁の下の力持ち、黒子です。

この資質をもった人のおかげで、大きなプロジェクトがまわります。

社内人材をみたときに、表舞台で注目されることは苦手でも、人と人をうまく取り持ち、経営者と関係者をつなぎ、組織の心理的安全性を高めてくれる能力をもった人が必ず存在します。

現在の一般的な人事評価指標では見落とされがちなポジションですが、実は組織に欠かせないもっとも多才な人です。

⑦最後に実行する人

そして最終的な判断をして実行するのが経営者や責任者、社内DXの場合は、エンドユーザーはすべての従業員となります。

 

このように細分化して考えると、DXも少し身近に感じられるのではないでしょうか。

そして、ジョブ型が適切なのかと思いきや、むしろメンバーシップ型の良さを存分に活かせるのではないでしょうか。

これらの細分化を、「ジョブの定義側」から行っているケースは多いですが、「人がもつ資質側」から見ていくと、より柔軟に押さえるポイントがみえてきそうです。

もちろん社内人材だけでは見つけることができない盲点を外部人材による外からの視点で解決することもあるため、外部コンサルタントやITベンダーが必要な場面もあるでしょう。

けれど、まずは社内人材の活かし方が問われているといえそうです。

ところで、このDX分野のリスキリングは、従来のリスキリングとは性質が違うように思えます。

なぜなら企業ごとに出口があり、正解がないからです。

今叫ばれているリスキリングの本質は、今までのような職務に対応するためのスキルではなく、個人が元々もっている資質・ポータブルスキルを伸ばしていく「経験」の中にあるのではないでしょうか。

そう考えると、全体研修等でDXリテラシーの底上げや基礎的な知識習得は必須だとしても、社内人材に候補となる人たちがたくさんいるはずです。

ひとつの組織でみたときに、DX分野こそ互いの持ち味を融合させるチャンスで、そのためには次世代にもどんどん挑戦できる機会が与えられることが必要です。

でも、ジョブ型でなければならない理由は見つかりません。

このようにDX・リスキリングの事例で人事の採用・配置・育成の仕事を考えたときに、適所のために人を育成して適材にするよりは、適所の解釈を工夫して、すでにいる適材を組み合わせて実践を通して育成する方が、効率的で目的到達が早いのではないでしょうか。

ジョブ型の考え方が個人単位ではうまくいっても、組織になったとたんに行き詰まるのは、人がもつ「発想力」「共鳴」によって起こる「学びあい」に制限がかかってしまうから、とも言えそうです。

また、AIの進化により、これからの時代は適所の定義が目まぐるしく変化します。

今最先端と言われているITスキルも、数年後の定義はわかりません。

しかもDXビジネスは、試行錯誤の要素が強いので、育成を待っているうちに既に最初の定義は当てはまらないこともあり得ます。

適所に照準を合わせるのではなく、実践の過程でこの知識・スキルが足りないと思ったら、必要に迫られてその中で自ら学んでいくはずです。

自発性が出たときに、サポートができるプログラムを人事が用意できていると、需要と供給がマッチします。

DXに限らず、人は興味と同時に知りたいという欲求が生まれ、能動的に学びたいと思ったときに最もインプットが進みます。

 

型にはめない考え方

結局、毎日毎日働くのは心をもった人間です。

今まで述べたことはとても地味な視点ですが、一人ひとりの心がうまく機能し、それが企業内の各組織体で積み上がると、全体として付加価値は上がるのではないでしょうか。

組織の生産性向上のカギは、長期的な視点でみたときに、設備投資やAI等による業務効率化、専門人材の採用だけではないように思えます。

そして、このポイントをうまく捉えていたのが、共同体として互いを慮り、自然に行動できてしまう精神性とセンスをもった日本人による日本生まれのメンバーシップ型の原点だったと思うのですが、みなさんはどのように考えられますか?

日本人にとって、おそらく当たり前すぎて、それがどれだけ有効なのかに気づいていない部分なのだと思います。

今はデフレ・終身雇用の限界・生産年齢人口の減少など、さまざまな課題が山積みで、メンバーシップ型の考え方も、解釈を間違えて行き過ぎると、同調圧力・他責の要素が強まってしまい、不満が噴出する結果となります。多くの日本企業はこの状態です。

そのため、個の時代とは相性が悪い・昭和型で遅れているのでジョブ型を取り入れるべきだと思ってしまいがちですが、リアルに企業で働く一人ひとりの立場を細かく想像してみていくと、巧みな“レトリック”もあるような気がするのです。

今回はジョブ型・メンバーシップ型それぞれの視点から課題とポイントをみてきましたが、この先のこたえは「型にはめない考え方」にありそうです。

ジョブ型・メンバーシップ型の固定観念に囚われず、単純な組み合わせでもなく、日本に合ったやり方が、企業の数だけ存在するような気がします。

そのためには人事にもリスキリングが必要なタイミングが来ているのではないでしょうか。

また、人事の仕事を縦軸だけでなく横軸でみていくことがポイントです。

特に、配置・組織の活性化・育成の横の連携は、切り離せないものになりそうです。

次回は、多くの企業で導入検討が進んでいる「ジョブ型新卒採用」の視点で、個の時代の代表ともいえるZ世代の価値観を分析しながら、どのような雇用と育成の形に可能性がありそうか、考えていきたいと思います。

 

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Who is writing

大学卒業後、人材業界にて法人営業・キャリアコンサルティングに従事。
20代~60代まで幅広い年齢層のキャリア・メンタル相談を経験する。
その後、企業の新卒採用代行、大学生の就職活動支援、さまざまな生きづらさを抱えた学生と向き合う伴走支援に携わり、現在の社会構造と人の活かし方に疑問をもつ。
また、人にかかわる問題の根底は「教育」にあると考え、幼少期の教育・子育て分野にも
キャリアを広げている。
2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)