
今回は「人を動かす文章の書き方」についてお伝えしたいと思います。
私は普段エグゼクティブコーチングをはじめ、企業研修やチームビルディングなど、人材育成に関する仕事をしています。
しかし、実はその裏では10年以上、コピーライターとしても活動してきた実績があります。
そんな経験から私は「人が動くところに言葉あり!」という信念を持つようになりました。
文章と聞くと、ライターや編集者・小説家などが使うものと思うかもしれませんが、決してそうではありません。
言葉は人の聴覚を刺激し、感情と記憶を揺さぶり、最終的には行動を促す最強のツールなのです。
だからこそ、今回は営業や人事など、人間関係が肝となるお仕事をしているあなたにこそ「人を動かす文章の書き方」をお伝えしたいのです。
ちなみにこれは「人を自分の思いのままに操る」といった一方的な支配・コントロールの話ではありません。(実際のところそれも可能だとは思いますが、私はオススメしていません)
今回お伝えしたいのは、言葉をうまく使うことで、自分の考えを明確に相手に伝えたり、相手の共感を得ることで喜んで協力してもらえるようになる方法です。
この記事を参考に、あなたの既存顧客はもちろん、これから出会うであろう人たちとの信頼関係を強化して頂ければ嬉しい限りです。
言葉の脅威的な力を知っていますか?

日本では「言霊」という概念があるように、古来より言葉には特別な力があると信じられてきました。
また、マザーテレサの有名な格言には、こんなものがあります。
「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから」
「言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから」
「行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから」
「習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから」
「性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから」
言葉は思考そのものであり、運命を変えていくほど強力な力を持っているということですね。
そんな言葉に、私たちは良くも悪くも振り回されることがあります。
例えば、上司から「お前はバカなやつだな」と言われたとします。
ある人は可愛がってもらえているように感じるかもしれませんし、ある人は馬鹿にされたとイライラすることもあるでしょう。
前者であれば、頑張って社員を代表する人材に成長するかもしれません。
反対に、後者であれば会社を辞めてしまうかもしれません。
言葉は、受け取り手のイメージや記憶と結びつくことで感情を揺さぶり、行動そのものを変えてしまうわけです。
これが言葉の脅威的な力です。
売り込まなくても、向こうから勝手に「売ってください」と言われるには?

では、早速ですが本題に入りましょう。
あなたが営業担当だとして、こちらから押し売りをせずとも、向こうから「お願いです!それを私に売ってください!!」と言われたらどう感じますか?
人事担当として、優秀な人材から「是非、御社で働きたいです!」と言ってもらえたらどうでしょうか?
間違いなく、最高のシュチュエーションですよね。
実際のところ、それを可能にするのが文章の力です。
では、どうやったら文章1つでそんなシチュエーションを生み出すことができるのか?
コツは山ほどありますが、今日は「初心者が絶対に押さえておくべき5つのポイント」に絞ってお伝えします。
あなたもこの流れに沿って文章を書き続ければ、相手から思わぬ反応が取れるようになるでしょう。
1.書き手のキャラを決める
まず、文章で大切なのは「世界観」です。
世界観といっても、アーティスティックである必要はありません。
日常的に、あなたが使っている表現のことです。
そんな世界観を表現するためには、事前に書き手のキャラクターをイメージしておくと効果的です。
今回は、ひとまず以下のようなキャラから選んでみてください。
- 誠実・真面目キャラ
- ユーモアたっぷりキャラ
- 知的でストイック、少し厳しめキャラ
- とにかくアツい!熱血キャラ
- 優しい・癒し系キャラ
ただし、自分自身とあまりにかけ離れたキャラ設定はオススメしません。
文章は書き手自身の人格が反映されるものであり、キャラ設定はそれをキープするための指針です。
普段は真面目で冗談のひとつも言わないのに、いきなりユーモアたっぷりキャラで書き出すなど、あまり無理をしないようにしましょう(笑)
また場合によっては、普段は真面目キャラだけど、1つの分野においては急に熱血キャラになる・・・といった表現も面白いと思います。
ポイントは、そのキャラの特徴を思いっきり出し切ることです。
このように、自分のキャラを統一し意識することで、文章に一貫性が生まれ、読み手に世界観として伝わるようになっていきます。
2.読み手にとって良いことを想像させる
次に、文章を書く上で最も重要なことをお伝えします。
それが「ベネフィット」です。
これがあるのと無いのとでは、読み手の反応が圧倒的に変わります。
ベネフィットとは、簡潔に説明すると「読み手にとってどんな良いことがあるか?」を表したものです。
よく似た言葉に「メリット」がありますが、これは全くの別物です。
それぞれの違いを、分かりやすく説明しておきましょう。
例えば、あなたが毎日欠かさずジョギングをしている人に、防水の靴をオススメするとします。
その場合、メリット・ベネフィットの関係性は以下の通りです。
- メリット:防水仕様であること
- ベネフィット:雨の日でも走れること(=習慣を継続できる、満足・達成感が得られる)
メリットは勧める側の視点で、ベネフィットは受け取る側(利用者)の視点になっていることに注目してください。
ちなみに、この記事を読み続けることのメリット・ベネフィットは・・・
- メリット:人を動かせる文章が書ける
- ベネフィット:自分の言いたいことが伝わる、相手の共感が得られて協力してもらえる(=ラクができる、承認欲求が満たされ充実感が得られる)
といったイメージです。
実は、私は冒頭で「この記事を読むと文章がうまく書けるようになりますよ!」とは言わず「伝わる・共感を得るといったベネフィットが得られますよ」と伝えています。
文章は必ずベネフィットを使って伝えないと、読み手の感情に触れることはできないと理解しておいてください。
ベネフィットの数値的な効果
私の場合、ベネフィットの表現の有無により、過去に読者の反応が1〜2%以上変わったことがありました。
たかが1〜2%?と思うかもしれませんが、文章の世界ではものすごく大きな違いです。
ちなみにその時の読者は6万人以上いたので、実質600人〜1,200人の違いが出ていることになります。
ほんの少し意識を変えるだけで行動を起こす人が増える・・・という良い事例ですね。
しかし、多くの人は「この靴は防水なんです!」「この記事を読むと文章が上手くなりますよ!」といったように、ついメリットばかりを伝えようとします。
しかし、それだと「だから何?」となってしまい、相手の感情は動きません。
だからこそ、相手にベネフィットを感じさせることを徹底的に意識しておく必要があるのです。
3.反応が取れる言葉を知る
言葉には、そのまま使うだけでも反応が取りやすい言葉が存在します。
ベネフィットを意識すると読み手の反応は変わりますが、併せて反応が取りやすい言葉を使うと、より効果的になるわけです。
反応が取れる言葉は多種多様ですが、今回は定番の言葉を10種類ほどを紹介しておきましょう。
- あなた:自分ごとだと思わせる(文章を書く時は主語を「みなさん」ではなく、必ず「あなた」にしてください)
- 簡単・誰でも・すぐに:誰もが簡単に・すぐに結果を出したいと思っているので響きやすい。
- とうとう・いよいよ:期待感の演出
- おまかせください!:営業の定番フレーズ。「全部任せたい!」を叶えて、信頼感を演出。
- 〇〇診断:ITスキル診断など。楽しそうなイメージ、プロの技術力が存在することを示す。
- よくある間違い:誰も間違えたくないので、読み手の注意がひきやすい。
- 知らないと損をする:損をしたくない、恥をかきたくないという感情を刺激する。
- 奇跡の:神秘性の表現、誰もが見たくなる。
- ガイド:2024年転職ガイドなど。「これでもう迷わない」といった期待感の演出
- エリート・デキる人:自尊心、向上心の高い人のプライドをくすぐる
これらの言葉は、そのまま使うだけでも読み手の反応が上がります。
ただし、使い過ぎると逆効果ですので注意が必要です。
4.とっておきの情報を出し切る
ここまでのポイントを押さえたら、人を動かす文章の完成まであと少しです!
(↑このように、さりげなく次の文章を読んでもらう理由を書くことも大事です)
書き手のキャラやベネフィット、反応が取れる言葉を理解したら、文章内容の質にこだわりましょう。
そもそも、価値の無い情報は誰も読みたくありません。
もし、あなたが文章で何かを伝えたいのであれば、価値のある情報を吟味してください。
その上で「情報は全て出し切る」ようにしましょう。
週刊誌のマンガは、来週も読んでもらうために、ワザと良いところで終わったりしますよね。
しかし、これは営業や人事などでは通用しません。
だからこそ、価値のある情報は出し惜しみせず、全て出し切るようにしましょう。
「これを読んで良かった!」と思わせるように、価値の高い情報を全てお伝えすることで、読み手の感情を揺さぶることができます。
とはいえ、ダラダラと長文を書いて読み手を疲れさせないように、ポイントは絞ってくださいね。
5.自分らしく、オープンに書く
最初に、文章には人格が表れるとお伝えしました。
これはどんなに文章が苦手な人にも言えることです。
そして、この文章に表れる人格が明確であるほど、読み手の興味をひくことができます。
なぜなら、人は最終的に書き手の人格(世界観)に自分を投影させるからです。
映画を見ていると、まるで主人公になったように手に汗握るのと同じですね。
よく、文章を書くときに「誤字脱字がないように、綺麗な文章を書こう!」と気負う人がいますが、文章においてはこれは間違いです。
むしろ、綺麗で整った文章は個性がないため、読み手の記憶に残らないのです。(誤字脱字があった方が反応率が上がるというデータすらあります)
もちろんケースバイケースですが、多少ミスがあっても、その人の言葉とリズムで書かれた文章は魅力的です。
であれば、最終的に大切になるのは「いかに心をオープンにして自分らしく書けるか?」です。
ライターの世界では、体調の良い時に書いた文章と、悪い時に書いた文章では反応が変わる・・・と言われています。(これは数値的根拠がないのですが、私も体感で感じます)
いきなり心をオープンに!と言われても難しいと思うので、大切な文章を書くときは「体調が良い日・気分が良い日」を選んでください。
それだけで筆の進みが違うのは間違いありません。
以上が「初心者が絶対に押さえておくべき5つのポイント」でした。
どこで文章を活用するか?
場合によっては、ここまで読んでみて「とはいえ、私の場合はどこで文章を使えば良いの?」と疑問に感じるかもしれません。
しかし、文章(言葉)は私たちの周りのいたる所に存在します。
営業なら普段の顧客とのメールからはじまり、営業資料の作り方〜契約書まで全てが文章です。
人事であれば採用ページの文言はもちろん、HPの会社概要(ミッション、ビジョン)なども全て文章であり、人の感情にアプローチできるものです。
そもそも、私たちが頭の中で行う考え事も全て文章ですよね。(思考は言葉になる、です)
文章を考えることは、仕事における活動全てに影響を与えるのです。
ちなみに、もし本格的に文章を使って人を行動させたい!と思うのであれば、普段からブログやSNSでお役立ち情報を発信したり、メルマガの配信を行うことでファンをつくることが可能です。
もし、社内で実践しておらず、可能なものがあれば是非試してみてください。
文章力を上げる秘密のトレーニング

では最後に、文章力を向上させるために、私が普段から行っている「秘密の文章力向上トレーニング」をコッソリお伝えしておきますね。
これを使えば、あなたの文章に魅了されるファンが量産されるはずです。
1.型を知る
どんなものも、最初は型通りに行うのがセオリーです。
文章の構成にも、読みやすく・没入しやすい「型」が存在しますので、是非知っておきましょう。
今回はその中でも代表的な「PREP法」を紹介しておきます。
PREP法とは
- Point :要点(今回の結論は〇〇です)
- Reason :理由(なぜなら▲▲だからです)
- Example:具体例(例えばこんな事例があります)
- Point :要点(だから〇〇が大切です)
の頭文字を取ったものであり、文章を分かりやすく伝える型です。
最初のうちは、このPREP法に則って文章を書くことで、自然と要点が伝わりやすくなるでしょう。
2.理想の人の文章を書き写す
これは、私の周りにもほとんど教えていない方法なのですが・・・もし、理想的な文章を書く人を見つけたら、その人の文章を丸ごと書き写してみてください。
文章が上手い人は、必ず独自の言い回しやリズムを持っています。
それを真似してしまおう!という試みですね。
まるで写経を行うように文章を書き写すことで、書き手の使う言葉・意図・リズムなどが体感的に落とし込めるようになります。
1度だけではなく、何度も何度も書き写して下さいね。
3.とにかく試す
実は、書くことだけが文章の練習ではありません。
例えば、人に何かをお願いをする時に「どんな言葉で頼むか?」を考えることも、文章力向上につながります。
そのためには普段から
- 相手の特徴
- よく使う言葉
- 好きなこと・嫌いなこと
などを観察する必要があります。
単に「これお願い」と伝えるのではなく、相手に合わせて言葉を変えたり、伝え方を工夫することで相手から「OK!」と言ってもらう確率が変わります。
日常からアンテナを張って、人の心を動かすポイントを探りましょう。
まとめ:言葉で人を動かせる人になろう!

というわけで、今回は文章の書き方に注目しましたが、文章がうまくなると話し方もうまくなります。
先のPREP法などを繰り返し使うことで、例えばプレゼンや交渉の際に、ロジカルで簡潔に伝えることができるようになります。
「普段、なかなか言葉が出てこない」「いざ!という時に、伝えたいことが伝わらない」と感じる場合は、文章を書くことで改善することができるでしょう。
また、文章には今回ご紹介したポイント以外にも「ストーリーライティング(物語)」といった手法もありますので、興味があればご自身でも調べてみてくださいね。
文章力が上がることで、得られる恩恵は計り知れません。
言葉と文章をマスターして、自分の魅力に磨きをかけていきましょう。
