【タイプ別の褒め方】なぜ、優秀な人は褒め方がうまいのか?
「褒めること」は優秀な人の特別なスキルではありません。今回は誰でもできる「効果的な褒め方」についてタイプ別・キャリア別に徹底解説します。

今回は「褒め方」について、個人のタイプ別に具体的な表現を交えて徹底解説します。
適切な褒め方は、部下のモチベーションの向上、自信の構築、そして継続的な成長を促進する強力なツールとなります。
しかし、単に「よくやった」と言うだけでは、最大の効果は得られないでしょう。
例えば、褒め方を間違えると、以下のように逆効果になる可能性すらあります。
- 過剰な褒め:頻繁すぎたり、過度に誇張された褒め言葉は、信頼性を損なう可能性があります。
- 一般的すぎる褒め:具体性に欠ける褒め言葉は、真摯さが伝わりにくく、効果が薄れます。
- タイミングが遅い:行動から時間が経ちすぎると、その行動と褒め言葉の関連付けが難しくなります。
効果的な褒め方には、タイミング、具体性、そして個人の特性に合わせたアプローチが必要なのです。
その上で重要になるのが、「タイプ別の褒め方」です。
人はそれぞれ異なる性格、価値観、経験を持っていますよね。
同じ褒め方でも、ある人には効果的でも、別の人には響かないことがあります。
部下一人ひとりの特性を理解し、それに合わせた褒め方をすることで、褒めることの効果を最大化することができます。
それらを踏まえた上で、今回は
- パーソナリティタイプごとの褒め方
- キャリアステージごとの褒め方
について詳しく解説していきます。
もしあなたが褒めることが苦手であれば、この記事を読むことで「相手のモチベーションを維持できる自然な褒め方」が分かるでしょう。
逆に「私は褒めるのは得意です!」といった場合も、今回のポイントを客観的に眺めることで、自分自身の褒め方のクセが理解できますので、最後までお読みくださいね。
褒め方の基本原則

早速ですが、効果的な褒め方には、いくつかの基本原則があります。
これらの原則を理解し、実践することで、褒めの効果を最大化することができます。
1. タイミングの重要性(即時性)
基本的には、褒めるべき行動や成果が見られたらすぐに褒めることが望ましいです。
行動心理学の観点からは、望ましい行動とその結果(褒められること)を直接結びつけることで、その行動が強化されます。
ただし、公の場においては適切でない場合もあります。(詳しくは後述します)
そのような場合は、できるだけ早い機会に個別に褒めるようにしましょう。
2. 具体性と明確さ
抽象的な褒め言葉よりも、具体的で明確な褒め方の方が効果的です。
単に「よくやった」ではなく、「このプロジェクトでのあなたの緻密な計画立案が、納期短縮に大きく貢献しました」というように、具体的な行動や成果を指摘します。
また、その行動や成果がチームや組織に、どのような良い影響を与えたかを説明します。
その上で「今後も期待しているよ!」と、同様の行動を取ることへの期待を伝えます。
具体的に褒めることで、部下は何が評価されたのかを明確に理解し、今後の行動指針とすることができます。
3. 真摯さと一貫性
褒め言葉は、真摯で一貫性のあるものでなければなりません。
表面上だけ取り繕った言葉は、相手に伝わります。
形式的ではなく、本当に評価していることが伝わるように褒めます。
また、言葉だけでなく、表情やトーン、ボディランゲージも一致させることでより気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
真摯さと一貫性は、褒め言葉の信頼性を高め、その効果を増大させます。
4. 過剰な褒め方を避ける
褒めることは重要ですが、過剰になると逆効果になる可能性があります。
この後ご紹介するパーソナリティタイプによっては、頻繁すぎる褒め言葉は、逆に疑われる可能性があります。
また、場合によっては常に褒められることを期待するようになり、自己動機づけが難しくなることもあるでしょう。
適度な頻度で、本当に褒めるべき時に褒めることが重要です。
5. 個人の特性に合わせた褒め方
当然ですが、人それぞれ褒められ方の好みが異なります。
具体的には、以下のような違いが生まれます。
- 公の場 vs プライベート:人前で褒められるのを好む人もいれば、個別に褒められるのを好む人もいます。
- 詳細 vs 概要:細かい点を褒められるのを好む人もいれば、全体的な成果を評価されるのを好む人もいます。
- 言語的 vs 非言語的:言葉で褒められるのを好む人もいれば、行動(例:より重要な仕事を任せるなど)で示されるのを好む人もいます。
部下の特性を理解し、それぞれに合った褒め方をすることで、褒めることの効果を最大化できます。
これらの基本原則を踏まえた上で、これから詳しく解説する「タイプ別の褒め方」を実践することで、より効果的な部下育成が可能となります。
パーソナリティタイプ別の褒め方

ここでは、3つの主要なパーソナリティタイプとそれぞれに効果的な褒め方を紹介します。
1.感情タイプ
<特徴>
- 社交的で活動的
- エネルギッシュで話すことが好き
- 注目を浴びることを楽しむ
- 新しい経験や挑戦を好む
<効果的な褒め方>
1.公の場で賞賛する
チームミーティングやプレゼンテーションの後など、人前で褒めることが効果的です。
例:「皆さん、田中さんの素晴らしいプレゼンテーションに拍手をお願いします!」
2.チームへの貢献を強調
このタイプは基本的にチームを大事にするので、チームへの貢献を褒めると効果的です。
例:「あなたの積極的な提案が、チーム全体のモチベーション向上につながっています。」
3.即時のフィードバック
行動のすぐ後に褒めることで、そのエネルギーを維持し、さらなる良い行動を促せます。
4.詳細と熱意
具体的な行動や成果を挙げつつ、熱意を込めて褒めます。
例:「プロジェクトXでのあなたのリーダーシップは素晴らしかった。特に、チームメンバー全員の意見を上手くまとめ上げた点が秀逸でした。本当に感銘を受けましたよ!」
5.新しい挑戦の機会を提供
褒めると同時に、新しい挑戦の機会を提供することで、さらなる成長を促せます。
例:「今回の成功を踏まえて、次は更に大きなプロジェクトYをお任せしたいと思います。」
2.理論タイプ
<特徴>
- 静かで慎重
- 深い考察を好む
- 1対1のコミュニケーションを好む
- 自己内省的
<効果的な褒め方>
1.個別の場で静かに称賛する
人前ではなく、1対1の場面で褒めることが効果的です。
例:「佐藤さん、ちょっとお時間よろしいですか?先日の報告書について、個人的にお話ししたいことがあります。」
2. 詳細な分析や洞察力を評価
内向的な人は深い思考を好むので、その点を評価します。
例:「あなたの報告書は非常に洞察に富んでいました。特に、Xという問題に対する分析が秀逸でした。」
3.書面でのフィードバック
口頭だけでなく、メールやノートなどで詳細なフィードバックを提供することで、じっくりと内容を吟味する時間が与えられます。
4.具体的で論理的な褒め方
感情的な表現よりも、論理的で具体的な褒め方が効果的です。
例:「あなたの提案によって、プロジェクトのコストが15%削減され、納期も1週間短縮されました。これは大きな貢献です。」
5.自己内省の機会を提供
褒めた後に、自己評価の機会を与えることで、さらなる成長を促せます。
例:「この成功について、あなた自身はどのように評価していますか?次に活かせる点はありますか?」
3.調和タイプ
<特徴>
- 共感力が高い
- 人間関係を重視する
- 感情や直感を大切にする
- チームの雰囲気に敏感
<効果的な褒め方>
1.チームへの貢献や他者への影響を強調
人間関係や他者への影響を重視した褒め方が効果的です。
例:「あなたの前向きな態度が、チーム全体の雰囲気を明るくしています。モチベーション向上に大きく貢献しています。」
2.感情的な言葉を使用
論理的な説明よりも、感情を込めた言葉で褒めます。
例:「あなたの誠実な対応に、顧客が感動していました。私も本当に誇りに思います。」
3.個人的な成長を評価
スキルや成果だけでなく、個人的な成長や努力を認めます。
例:「この半年間であなたの顔コミュニケーション能力が大きく向上しました。自己啓発への姿勢に感銘を受けます。」
4.非言語コミュニケーションを活用
言葉だけでなく、表情やトーン、ジェスチャーなども使って褒めます。
例:笑顔で目を見て、肩に手を置きながら「本当に素晴らしい仕事でした」と伝える。
5.物語や比喩を用いた褒め方
具体的なエピソードや比喩を使って褒めることで、より印象的になります。
例:「あなたは、チームの太陽のような存在です。周りを明るく照らし、皆の成長を促しています。」
パーソナリティタイプ別の褒め方を実践する際の注意点
タイプ別に褒め方を変える場合は、以下の点に注意してください。
- 固定観念に陥らない:個人は複数のタイプの特徴を持つことがあります。柔軟に対応することが大切です。
- 定期的な観察と調整:人は成長とともに変化します。定期的に部下の反応を観察し、褒め方を調整しましょう。
- 多様性の尊重:タイプ別のアプローチは有効ですが、個人の独自性も大切にしましょう。
- コミュニケーション:部下に直接、どのような褒め方が効果的かを聞くのも良い方法です。
- 一貫性の維持:パーソナリティタイプに合わせつつも、公平性と一貫性は保つように心がけましょう。
これらのタイプ別アプローチを理解し実践することで、より自然に・効果的に褒めることができるようになります。
キャリアステージ別の褒め方

同じタイプであっても、部下の成長段階やキャリアステージによって、効果的な褒め方は異なります。
次に「新入社員・若手、中堅社員、ベテラン社員」それぞれに適した褒め方を解説しておきましょう。
1.新入社員・若手
<特徴>
- 経験が浅く、学ぶことが多い
- 自信がまだ十分でない場合が多い
- 失敗を恐れる傾向がある
- 高い学習意欲を持っている
<効果的な褒め方>
1.小さな進歩や努力を認める
結果だけでなく、プロセスや努力を褒めることが重要です。
例:「この資料作成、前回よりもわかりやすくなっていますね。レイアウトの工夫が効果的です。」
2.具体的なフィードバックを提供
何が良かったのか、どこが改善されたのかを具体的に伝えます。
例:「プレゼンの際、聴衆の反応を見ながら話すスピードを調整していましたね。とても良かったです。」
3.失敗を恐れない勇気を褒める
挑戦する姿勢を評価し、失敗を学びの機会として捉えることを奨励します。
例:「難しい案件に挑戦する勇気、素晴らしいです。この経験は必ず次に活きますよ。」
4.将来性を強調
現在の成果だけでなく、将来の可能性を示唆することで、長期的な成長を促します。
例:「今回の成功は、あなたの潜在能力の一部に過ぎません。今後の成長が本当に楽しみです。」
5.頻繁にフィードバックを提供
新人は経験が浅いため、より頻繁な褒めや励ましが効果的です。
日々の業務の中で、小さな成功や進歩を見逃さずに褒めるよう心がけましょう。
2.中堅社員
<特徴>
- 一定の経験と専門性を持つ
- 自信を持って仕事に取り組む
- より大きな責任を求める
- キャリアの方向性を模索することも
<効果的な褒め方>
1.専門性や独自のアプローチを評価
経験を活かした独自の方法や視点を褒めます。
例:「このプロジェクト計画、あなたの過去の経験が活きていますね。特に、リスク管理の部分が秀逸です。」
2.責任ある仕事の遂行を褒める
より大きな責任を任されている点を認識し、その遂行能力を評価します。
例:「大規模なプロジェクトを見事にまとめ上げましたね。チームリーダーとしての手腕に感心しました。」
3.イニシアチブを取る姿勢を評価
自発的な行動や改善提案を高く評価します。
例:「新しい業務効率化システムの提案、素晴らしいアイデアです。あなたのような前向きな姿勢が会社を変えていくんですね。」
4.キャリア発展につながるフィードバック
現在の成果が今後のキャリアにどうつながるかを示唆します。
例:「今回のプロジェクト成功は、あなたが将来マネージャーとして活躍する可能性を示していますね。」
5.チーム貢献とリーダーシップを褒める
個人の成果だけでなく、チームへの貢献やリーダーシップも評価します。
例:「あなたの指導のおかげで、新人の成長が目覚ましいです。チーム全体の底上げに貢献していますね。」
3.ベテラン社員
<特徴>
- 豊富な経験と深い専門知識を持つ
- 組織全体を見渡す視点を持っている
- 若手の育成に関わることも多い
- 新しい挑戦を求めることもある
<効果的な褒め方>
1.長年の貢献を認める
継続的な貢献や組織への長期的な影響を評価します。
例:「この10年間、常に最先端の技術を導入し続けてくれたおかげで、我が社は業界のリーダーとしての地位を維持できています。」
2.若手への指導や組織全体への影響を評価
メンターとしての役割や、組織文化への貢献を褒めます。
例:「あなたの指導のおかげで、部署全体の技術力が大きく向上しています。次世代のリーダーを育てる姿勢に感謝します。」
3.経験を活かした問題解決能力を褒める
複雑な問題に対する洞察力や解決能力を評価します。
例:「今回の危機的状況、あなたの冷静な判断と過去の経験に基づく対応で乗り越えられました。さすがですね。」
4.新しい挑戦を評価
経験者であっても新しいことに挑戦する姿勢を高く評価します。
例:「新しい分野にチャレンジする姿、本当に素晴らしいです。あなたの学ぶ姿勢が、周りの社員のいい刺激になっています。」
5.組織の歴史や文化の継承者としての役割を認識
組織の価値観や文化を体現し、次世代に伝える役割を評価します。
例:「あなたの存在が、我が社の理念や価値観の生きた証です。若手社員たちにとって、最高のロールモデルですね。」
キャリアステージに応じた褒め方を実践することで、社員の継続的な成長と満足度の向上、そして組織全体の活性化につながります。
褒めることは単なる評価ではなく、次のステージへの成長を促す重要なコミュニケーションツールです。
社員一人ひとりの可能性を最大限に引き出すよう、適切な褒め方を心がけましょう!
以上が、タイプ別・キャリア別の褒め方でした。
まとめ:効果的な褒め方で部下を育てる

効果的な褒め方は、単に部下のモチベーションを上げるだけでなく、信頼関係の構築、スキルの向上、組織全体の生産性の向上につながる重要なリーダーシップスキルです。
今回ご紹介した様々なアプローチは、是非日々の管理業務の中で意識的に実践してみてください。
ただし、褒めることはテクニックだけの問題ではありません。
部下一人ひとりの成長を真摯に願い、その努力や成果を心から認める姿勢があってこそ、褒め言葉は力を持ちます。
あなたの一言一言が、部下の人生を大きく変える可能性を秘めています。
その責任を胸に、日々のリーダーシップを実践していきましょう!
