読書を習慣化して「ワンランク上の人」を目指すには?

今回のテーマは「読書の習慣化」です。管理職の方が、読書を通じて更に成長するために「本の選び方〜具体的な読み方」まで詳しく解説します。

読書を習慣化して「ワンランク上の人」を目指すには?

今回は「読書の習慣化」についてです。

株式会社壺中天が調査した「大人の読書習慣実態調査」によると、ビジネスパーソンの毎月の読書量は以下の通りだそうです。

  • 本は読まない:42.4%
  • 1冊:21.2%
  • 2冊:12.1%
  • 3〜5冊:15.3%
  • 6〜9冊:3.4%
  • 10冊以上:5.5%
「大人の読書習慣実態調査」月に読む本の量
大人の読書習慣実態調査】月間の読書数

 

また、役職別で1冊以上見る人は・・・

  • 経営者:66.6%
  • マネージャー(管理職):79%
  • メンバー:52.6%
  • その他:38.2%

でした。

「大人の読書習慣実態調査」役職別
【大人の読書習慣実態調査】月間の読書数_役職別

 

出典:株式会社壺中天 「大人の読書習慣実態調査」

■調査概要
調査概要:ビジネスパーソンの読書習慣実態調査
出典:株式会社壺中天 「大人の読書習慣実態調査」
調査方法:WEB調査
調査期間:2023年10月12日〜2023年10月19日
対象者:職業を有している20代以上の男女
有効回答:528人

これらのデータを見て個人的に思うのは、管理職には読書がほぼ必須であること。

その上で「読書の効率を高めて、月に6冊以上(上位10%)の本が読めるようになったら、管理職の能力を底上げできるのではないか?」ということです。

現代社会では、YouTubeなど視覚的に情報を得る手段が増え、情報の取得は以前にも増して容易になりました。

そんな中で「文字が読めない人」は、確実に増えていると思います。

ショート動画に慣れ過ぎて、最近では映画すらも早送りで見る人が増えている・・・なんて話も聞きました。

だからこそ、本が読める人はそれだけでリードできる可能性があります。

本には、動画以上の情報量の多さ(密度)があります。

また、読むことで思考能力が高まり、視野が広がることも期待できるでしょう。

私自身、過去には月に8〜10冊ほどの本を読み続けることで、ビジネスにおいても、人生全体においても、本に助けられてきた経験があります。

というわけで、今回はそんな私の経験も踏まえながら「読書を習慣化して、ワンランク上のリーダーを目指す」をテーマに

  • 本の選び方
  • 効率の良い読書の仕方
  • 読書をビジネスに活かす方法

についてお伝えしたいと思います。

読書は本選びの段階から始まっている

読書は本選びの段階から始まっている

「本を読もう!」と決めたら、まず意識してほしいことがあります。

それは・・・読書は本選びの段階から始まっている!ということです。

読書に慣れていない人がやってしまいがちなのは、いきなりハードルの高い本を選んでしまうことです。

いくら質の高い情報が書いてあっても、自分に合わなければその価値を活かせません。

適切な本を選ぶことは、読書習慣を築く上での最初のステップです。

もし、あなたにまだ読書の習慣がない場合、分厚くて凄そうな本よりも、スキマ時間で読み終えられるような本を選びましょう。

少しずつ読み進める中で、興味が持ちやすいジャンル、相性の良い著者や出版社など、自分に合った本を見つけることができるようになり、どんどん読書が継続しやすくなるでしょう。

読書の習慣化への第一歩

本選びと共に、とても重要なのが「読書時間の作り方」です。

実際、多くの人が読書をしない理由として「読んでいる時間がない」を挙げています。

一気に読む時間を確保できるのが理想ですが、読書を習慣化するためには、まず「スキマ時間で少しずつ読むこと」に慣れる必要があります。

「いや、それじゃ本の内容が頭に入らないじゃないか!」と思われるかもしれませんが、具体的な読み方は後から説明します。

始めは、日々のルーティンに短時間の読書を組み込んでみてください。

例えば、わずか5分でも良いので、朝のコーヒータイムや通勤時間を読書時間として設定します。

少しずつ読む量を増やしていくことで、読書の楽しさとその効果を実感できるようになります。

本の効率的な読み方とは?

本の効率的な読み方とは?

では、ここからは具体的な本の選び方と、読み方について詳しくお伝えします。

これは、過去に私が読書の得意な方々に「読書の仕方を教えてください」と聞いてまわった方法を、私なりに活用してまとめたものです。

私のコーチングクライアントも、この方法で本を読むのが楽になった方が複数いらっしゃいます。

効果はお墨付きなので、最初のうちはこの通りに進めてみてください。

きっと、今より読書がしやすくなるはずです。

1.読みたい本を事前にリサーチする

先ほど、読書は本選びから始まっている・・・とお伝えしましたね。

というわけで、本を読み始める前に、対象となる本の事前リサーチをしておきます。

例えば、YouTubeでの要約動画、その本について語られているレビューや記事に目を通してみてください。

こうすることで興味の有無はもちろん、ある程度の内容把握と共に、読書時の理解を深めることができます。

ちなみに、要約関連の情報については少し注意しておいてください。

なぜなら、要約では得られない深い知見や、読む過程での思考発展など、本を読むことでしか得られない価値があるからです。

最近は、AIを使えば簡単に要約できて便利ですが、要約はあくまできっかけとし、最終的には中身を確認して学ぶことをオススメします。

2.本の全体像を知る

結論からお伝えすると、本は一字一句すべてを読む必要はありません(今回は小説などは抜きで、ビジネス書など、学習のための読書を想定しています)。

余程の速読の達人でない限り、これでは一向に読書量を増やせないでしょう。

読書を習慣化し、効率を上げるためにも、まずは「本の帯や目次を確認して、本の全体像や自分が知りたい情報がどこにあるかを掴むこと」が大切です。

本を辞書や参考書として扱うイメージですね。

先ほど動画などでの事前リサーチをオススメしましたが、目次や帯から予備知識を得ることも、本文を理解する上で非常に効果的です。

このように、自分に必要な部分だけを読むことは、スキマ時間で読書を成功させる1番のポイントです、

3.読書の目的を明らかにする

目次から全体像を掴んだら、いざ読書スタート!・・・ではなく、もう一点だけ考えておきたいことがあります(一体、いつになったら読み始められるのか?不安に思わないでくださいね)。

それは「その本から何を得たいのか?」を明確にしておくことです。

思いもよらぬ情報やアイデアを得ることも、読書の楽しみではあります。

しかし、本を読む以上は、必ず何かしらの目的があるはずですよね。

読了後にどのような変化を望んでいるのかを自問自答し、その答えを心に留めておきましょう。

1つこのプロセスを通っておくことで、脳は読書の目的を無意識のうちに認識し、収集した情報を効率的に整理しやすくなります。

4.興味のある部分から読む

いくつかの準備を経て、目次から興味のあるセクションを見つけたら、いよいよそこから読み始めます。

とはいえ、やはりここでも全てを読む必要はありません。

セクション内で太字や強調された部分を見つけ、その周辺の文脈を読むだけで結構です。

周辺を読むだけでは意味が分からない場合は、更にその前後も読んでおきましょう。

もし太字がない本の場合は、ページ全体を軽く読み、重要と感じる部分に焦点を当てればOKです。

目次で読むべき部分を絞り込み、ページ毎に更に読む場所を絞り込むことで、効率よく読書を進めることができます。

全体を掴むための繰り返し読み

「太字だけ読むのであれば、要約とあまり変わらないじゃないか」と思うかもしれません。

確かに、1回しか読まないのであれば大差ありません。

しかし、重要なのは「これらのプロセスを何度も繰り返すこと」です。

当たり前ですが、一度読んだだけで全てを理解することは難しいです。

また、知識に定着させるためにも、繰り返し読むことは欠かせません。

特に、初回の読書で興味を持った部分や理解が深まったセクションは、再度読み返すことでさらに詳細な理解につながるでしょう。

この繰り返し読みによって、本から得たい情報が徐々に整理され、全体の構造が明確になっていきます。

AIによって要約された情報はほぼ変わることはありませんが、人間のフォーカスは毎回変わります。

異なる章やセクションを読むことで、最初は見えなかったつながりや、新たな発見があるかもしれません。

このように読書を進めることで、次第に深い理解を得ることができます。

読書がどうしても続かないときは・・・

読書がどうしても続かないときは・・・

とは言え、どうしても読書が苦手だと感じる人もいるでしょう。

そういった場合は、是非オーディオブックを活用してください。

人間は「視覚・聴覚・体感覚」のいずれかに、特に優位な感覚があるとされています。

中にはジッと静かに本を読むより、人との会話を通じて、聴覚で情報を得る方が早い人もいます。

体感覚が優位な場合は、体を動かしながらオーディオブックを聞くことで、情報が入ってきやすくなるかもしれません。

このように、オーディオブックを活用することで、読書とは異なる形で深い知識を得ることが可能になり、学習の幅が広がります。

複数の本を読むことの重要性

また、1冊の本だけを読んで「読めない・・・」と諦めるのではなく、1つのジャンルで様々な著者の本にチャレンジしてみてください。

私は個人的に、知識の難易度や文章の読みやすさ以外にも、本には相性があると考えています。

どれだけ分かりやすく書かれた本でも、相性が悪いと読むことが辛くなります。

逆に、すごく分厚くて難しい本でも、相性が良いとスラスラ読めたりします。

その理由を言語化するのは難しいのですが、著者が使う言葉、文章のリズム、作り出している世界観など、様々な要素が関わっているのだと思います。

だからこそ、色んな著者の本を読んでみてほしいのです。

また、1つのジャンルについて複数の本を読むことは、知識の深化にもつながります。

同ジャンルで最低5冊は読むことで、様々な視点からの理解が深まり、同じテーマに対する異なる著者の意見やアプローチを比較することができます。

この過程で「同じようなことを言っている箇所」を見つけることができれば、その知識はより確かなものとなりますし、違うことを言っていたとしても、分析することで視野が広がるでしょう。

以上が、本の選び方と具体的な読み方でした。

読書を通じて確実に成長する!

本は、著者が長年にわたって蓄積した知識や経験を、分かりやすく体系化した非常に価値のあるツールです。

場合によっては、ネット上にはない、その本でしか得ることが出来ない情報も沢山あります。

こういったツールを数千円で手に入れ、学んだことを自分の職場や日常生活で活用することは、非常に効率的な自己成長の方法だとは思いませんか?

ただし、当然のことながら、本は読むだけでは意味がありません。

インプットした情報は、アウトプットしてはじめて腑に落とすことができます。

例えば、本から得た情報を

  • ノートに要約してみる。
  • スマホで録音しながら一人で話してみる。
  • 家族や同僚に話してみる。

といった形でアウトプットするだけでも、知識の吸収率は大きく異なるでしょう。

そうやって得た知識を言語化し、アイデアに結びつけることで、やっと業務に活かすレベルに昇華させることができます。

読書で得た知識を仕事に活かす方法

本から得た知識を仕事に活かす際には、まずノートやPCに「1.現在の仕事の課題」「2.本から得た情報」を全て書き出すことをオススメします。

その上で、どんな些細なことでも良いので、両者を結びつける接点を探します。

(例)「部下とのコミュニケーション向上」に関する本から学んだ会話テクニックを、営業のトークスクリプトに応用してみる、など。

読書で得た知識を、実用レベルに落とし込むコツは、カテゴリーに捉われず情報の抽象度を上げて結びつけることです。

そうしないと、使えるシチュエーションが限られてしまい、なかなか活用することが出来ないでしょう。

もし、この時点で実際の仕事で応用するイメージが浮かばない場合は、インプットが不足している証拠かもしれません。

知識がアイデアに昇華するには、それなりの情報量が必要です。

Apple創業者であるスティーブ・ジョブスが、生前に行った「Connecting The Dots(点と点をつなぐ)」というスピーチをご存知でしょうか?

一見バラバラにみえる「点」が繋がって、ある時に明確な「形」になる(だから人生には全て意味がある)という話です。

このスピーチの通り、コツコツと積み上げた読書と、そこから得られた知識は、ある時にあなたを助けてくれるアイデアになったり、困難な道を切り開くきっかけになったりします。

知識を実際のアイデアや行動に変換する過程でこそ、管理職としての真のスキルが磨かれるのではないでしょうか。

読書習慣を持続させる工夫

今回お伝えした流れを、少しずつでも試して頂ければ、読書を習慣化することは可能です。

しかし、その習慣を持続させるには、様々な工夫が必要となります。

  • 常に目標をブラッシュアップさせる。
  • これまでに読んでこなかったジャンルを開拓する。
  • アウトプットの機会を増やす(ブログやSNSなど)。
  • 難易度が高い本にも挑戦してみる(海外には、日本とは比べ物にならないほど分厚く、情報密度の高い本が沢山あるので、翻訳読みに挑戦するのも良いかもしれません)。
  • 1冊の本について、仲間とディスカッションしてみる、など。

また、本棚は定期的に整理し、必要な本以外はしっかり処分することも思考整理につながります(その際は捨てずに、メルカリなどで売るか、図書館に寄贈してくださいね)。

このように、様々な形で知識を体感に落とし込むことが、モチベーション維持につながります。

まとめ:読書を習慣化することの価値

まとめ:読書を習慣化することの価値

読書は単なる趣味ではありません。

読書とは「最高の自己投資」です。

私も、これまで読書から得られた知識と、自分の経験を掛け合わせることで、他にはない独自の考え方を生み出してきました。

とはいえ、私自身も元から読書が好きだったわけではありません。

昔は1冊本を買えば、頭から巻末の著者挨拶ページまで、きちんと読まなければ気が済まないタイプでした(笑)

そんな中で、周りの方々に色んな読書テクニックを教えて頂き、少しずつ読み進めることができるようになりました。

読書を習慣化することが、より高いレベルのリーダーシップの発揮に繋がるのは間違いありません。

また、読書を通じて得た知識をアウトプットすることで、自己の理解を深め、チームメンバーや組織に対してもより大きな価値を提供することができるようになるでしょう。

読書は、管理職として次のステップに進むための強力なツールであり、習慣化することで間違いなくあなたを成功への道へ導いてくれます。

Who is writing

岩下 知史(いわした ともふみ)

職業:メンタル&ビジネスコーチ、ライター。

クライアントは経営者、会社役員、ドクター、看護師、個人事業主〜主婦まで多岐に渡る。

大学卒業後は主にホテル業界に従事、東証一部上場企業にてチームマネジメントに携わり20名ほどの部下を抱える。

離職率の高いホテル業界で、人材教育へのプレッシャーから躁鬱病を経験するも、それまで一度も予算達成したことがなかったチームを常勝チームへと成長させる。

その後2015年に独立、様々な成功と失敗体験を積む中で「教育」に情熱があることを再認識し、経験・人脈ほぼゼロの状態から、コーチング、ライティング、Webマーケティング、研修講師業などを通じて本格的に人材教育業界へ。

2020年からは世界で100万人が活用しており、MicrosoftやIBMといった有名企業に人材育成ツールとして導入されている「ウェルスダイナミクス」において、専属のメルマガライター兼・日本に3人しかいない公認トレーナーを務める。

その間は1,000人以上のビジネスパーソン、有資格者の指導にあたり、2022年にトレーナーを卒業〜現在に至る。

人生のミッションは「自ら思考・選択・行動できる人材を育てること」、趣味はギターと筋トレ、心理や精神世界に関する読書、娘と遊ぶこと。