ホワイト企業に転職したい人のための「最強の見極め方」【後編】

「ホワイト企業に転職したいけど、どうやって見極めればいい?」そんな疑問に対して全3回で徹底解説します。(後編)

はじめに

本記事は、どうすればホワイト企業への転職ができるのか、自分にとってのホワイト企業はどんなものかを見極める方法について前・中・後編の3回に分けてまとめたものです。今回はその後編です。

前回の記事では、

  • どんな企業なら自分にとってホワイト企業だと言えるのか、その見極め方
  • 自分にとってのホワイト企業を見極めるための2つの指標

についてご紹介しました。

(前編:ホワイト企業に転職したい人のための「最強の見極め方」【前編】はこちらから)

(中編:ホワイト企業に転職したい人のための「最強の見極め方」【中編】はこちらから)

この内容に続き、本記事の後編では、「自分にとってのホワイト企業の見極め方」について、具体的な職種を想定して解説し、職種特有のポイントについても確認していきます。

また、後半では「いろいろ考えすぎてわからなくなってしまった…!」という場合の対処法についても触れていきます。

  • ブラック企業ではなくホワイト企業に勤めたい!
  • 自分の人生が楽しくなる働き方をしたい!
  • 前回の記事の方法よりもっと具体的に考えていきたい!

という方は、ぜひ最後までお付き合いください。

 

職種によって異なる「ホワイト企業の見極め方」

前回の記事でもご紹介しましたが、「自分にとってのホワイト企業かどうか」を判断するための条件はとても多様です。

記事内では「人間関係に関すること」と「仕事に関すること」の2軸について、考え方をご紹介しました。

この他、職種によって特に注意して見るべき条件もあります。

あらゆる職種について解説することはできないので、本記事では、一般に従事している人が多い以下の2種類の職種を題材に考えていきます。

  • 営業職…顧客へ営業行為を行い、案件や売上を獲得するポジション
  • エンジニア職…自身の技術を用いてプロダクトの開発や案件の遂行を行うポジション(システムエンジニア、施工管理者、各種の設計職、メンテナンススタッフ…等)

それぞれの条件を確かめるためのポイント(面接での聞き方や、自分での調べ方)についても説明していきます。

 

営業職の場合

営業職では、「どんな商材をどんな方法で、どのくらいのペースで売るか」を把握しようとすれば、その営業の特徴がおのずと浮かび上がってくると思います。

まずは前回の記事で紹介した指標を用いたり、自分の現職と比較しながら確認を行ってみると良いでしょう。

そのうえで今回は、特に営業職の場合に確認しておきたい事項を5つご紹介します。これらは実際に仕事をする際に重要なものですが、つい確認を忘れがちな見落としやすいポイントでもあります。

●既存顧客と新規顧客の割合

メインとなるのはどちらか?

●自分の業務の割合と範囲

案件の開拓やアポ取り、企画、資料作成、商談、成約後のフォローなど、自分の担当業務の範囲はどこまでで、それぞれの業務の割合はどのくらいか?

●売上予算はどのように決まるか

トップから与えられる形か?

部署内で検討し、主体的に計画を立てる形か?

●営業活動の自由度

直行直帰などを自分で決められるか?

●目標達成の難易度・厳しさ

目標(売上予算など)は達成しやすいか?

それぞれ解説します。

 

●既存顧客と新規顧客の割合

まず、「既存と新規のどちらが多いか」というのは営業の仕事の土台となる部分です。

この前提条件が異なれば、営業スタイルは全く違うものになるでしょう。

求人票に記載されている職種名や仕事内容からある程度の予想ができてしまうばかりに、「これは聞くまでもなく既存営業の仕事だろう」と思い込んでしまうことがありますが、実際に話をよく聞いてみると新規開拓の業務が半分くらいを占めていた…といったことも起こります。

この内容は面接で確認するのが一番確実です。

一例ですが、「仕事内容を拝見しましたが、既存顧客に対する営業が9割方を占めるという認識で合っていますでしょうか?」といったように質問して、自分の認識に間違いがないか必ず確認しましょう。

 

●自分の業務の割合と範囲

営業フローの大枠は、どこの会社でも似ていることが多いかもしれませんが、特にどのプロセスに力を入れているかや、どこに一番手間がかかるのかなどを確認しておきます。

また、前職では他部署の担当であった業務も、自分たちの部署が担当するような体制になっている、といったことも起こり得ます。

もちろんその逆もあるでしょう。

また、たとえば「アフターフォロー」のような「営業職の本業かどうか微妙」という業務の扱いは組織によってずいぶん異なります。

営業の仕事としてしっかり割り振られている組織もあれば、別の専門部隊がいる組織もあります。

もしくは、そもそもアフターフォローという工程がない、といった組織もあるでしょう。このあたりも面接で確認する必要があります。

業務フローや1日のタイムスケジュールの話になったタイミングで、「前職では〇〇や△△の業務は自分たちの仕事に含まれていたのですが、御社ではどこまでが営業の担当業務でしょうか?」といったように聞いてみると良いでしょう。

 

●売上予算はどのように決まるか

これは、売上予算が一方的に与えられるかどうか、という話です。

組織によって異なるもので、トップダウンでおりてくることもあれば、部署全体で検討して決める場合もあります。

部署のマネジャーとチームのリーダーなどが一緒に相談しておおよそを決め、その後メンバー一人ひとりに伝えられる、といった形もあるでしょう。

求人票や口コミサイトからは見えにくい情報であるため、面接で直接聞いてみるのが良いですね。

業務関連の話をしているタイミングで聞いてみましょう。

 

●営業活動の自由度

たとえば、営業現場への直行直帰は許可されているか、アポイントメントのスケジュールなどを自分の裁量で調整して良いか、打ち合わせの際の「オンラインか対面か」を自分の都合で使い分けて良いか、といったことです。

もちろん、常にペアで営業を行っているような場合は自分ひとりの裁量で全てを決めることは難しいと思います。

しかし、営業スタイルが完全に個人プレイの場合でも、直行直帰をするには事前の相談や申請が必要だったり、リモート勤務が許可されているにも関わらず「打ち合わせは原則、対面で」と決められていたりする組織もあります。

このようなルールが多すぎると、自由度が高いとは言えません。

面接などでは、組織の営業の基本的な流れや内容をある程度把握したうえで、上記のような細かいことを聞いてみるのが良いでしょう。

 

●目標達成の難易度・厳しさ

これは組織で与えられる目標について、「達成するのは難しいかどうか?達成して当たり前かどうか?」という話です。

部署のメンバーがほぼ毎回・ほぼ全員達成するようなものなのか、それとも達成する人が出ることの方が珍しいようなレベルなのかで、達成の難易度は全く異なります。

質問する際には、「達成するのは難しいのでしょうか?」という「難易度」にフォーカスした聞き方よりも、「達成している人の割合はどのくらいでしょうか?」というように「人の割合」を尋ねる方が良いでしょう。

 

エンジニア職の場合

次に、エンジニア職種の場合に確認しておきたい事項を5つご紹介します。

ここでのエンジニア職は、自身の技術を用いてプロダクトの開発や案件の遂行を行うポジションを指します。

具体的には、システムエンジニア、施工管理者、各種の設計職、メンテナンススタッフの仕事などを想定しています。

●納期と案件数

無理のない案件数か? 短納期ではないか?

●案件担当は何人ぐらいいるか

主担当が自分ひとりではないか?

●時間外の対応に対しての報酬やフォロー

夜間や早朝の案件や、急な出勤にどう対応しているか?

●新しい技術や手法を取り入れられる組織か

組織として技術力を成長させる姿勢はありそうか?

●使用マシンなどハード面の環境

古すぎて使いにくいことはないか? 業務に合ったクラスのマシンか?

それぞれ解説します。

 

●納期と案件数/案件担当は何人ぐらいいるか

自分が受け持つ案件の数とその納期を確認します。

数が多すぎると案件を回すことで精一杯になり、さらに短納期のものが多いと、常に余裕のない状態が続くことになってしまいます。

また、その案件の担当者が自分ひとりだけという場合にも注意が必要です。

特に、数カ月という単位で規模の大きい案件に専任で従事するような場合には、案件担当者が自分だけでは休日も取りにくくなります。

案件の内容や規模によっても異なりますが、担当数や納期には余裕があり、期間の長い案件や規模の大きい案件の場合は、複数人で担当できることが望ましいでしょう。

このあたりの話は、部署の人数や仕事量、残業時間や休日の取りやすさにも関連してくるため、面接で質問できるタイミングが何度かやってくるはずです。

機会を逃さずに確認しておきましょう。

聞き方としては、シンプルに

  • 「おおよその案件数と納期について教えていただけませんか。」
  • 「ひとりで担当する案件と、複数人で担当する案件の割合はどのくらいでしょうか?」

などで問題ないはずです。

 

●時間外の対応に対しての報酬やフォロー

夜間や早朝など、時間外に対応する必要がある案件は多いのかどうか、また、トラブルや故障などで休日に出勤になることがどのくらいあるのかといったことは、組織によって大きく異なります。

また、それらの業務に対応した社員に対しての報酬やフォローの有無も把握しておきたいところです。

たとえば、夜間や早朝対応には残業代とは別に手当がついたり、次の日を休日にしてもらえるといった配慮があったりするか、などです。

業界によっても異なりますが、たとえば飲食店などを顧客としている業態では、顧客が稼働している日中の時間に工事やメンテンナンスなどの作業ができず、夜間や早朝に集中しがちです。

その状況で、「当然のように社員に夜間や早朝作業を強いる会社」と「対応が大変なぶん、しっかりと社員に還元しようとする会社」では全くスタンスが異なります。

これらの内容は口コミサイトで調べるだけでなく、面接でも確認しましょう。

「夜間などに対応した際の手当などはありますか」という直球な聞き方でも良いですし、時間外対応の頻度や内容などを聞き出しながら、面接官はどちらのスタンスに近いのか、言葉の端々を観察してみるのも良いかもしれません。

 

●新しい技術や手法を取り入れられる組織か

自分の技術力の成長は、その組織の姿勢によって大きく左右されます。

常に新しい技術を学び、取り入れようとする姿勢の組織であればどんどん成長していけるはずですが、古い型に固執していたり、経営が苦しかったりしてずっと現状維持のままでいる組織もあります。

新しいことを取り入れるには、その組織に「やる気」と「余力」の両方がなければ難しいのです。

これらは、組織の歴史と、商品・サービスの変遷を見てみるとわかることもあります。

組織の方針が大きく変わったタイミングがあったり、既存のものとは全く異なる新しい商品やサービスを開発した実績があればそれについて調べてみたり、面接でそれにまつわるエピソードを聞いてみるのも良いでしょう。

組織の理念など、根本的な部分に関わってくる話でもあります。

また、このような組織規模の話だけではなく、現場レベルの話も把握できるとさらに良いでしょう。

たとえば、設計職なら「新しいCADを使いたい」、メンテナンススタッフであれば「新しく出た部品を仕入れたい」といった要望に、迅速に柔軟に応えてくれるか。未知の手法を積極的に試そうとする風潮があるか。

このあたりも大切なポイントになってきます。

 

●使用マシンなどハード面の環境

たとえば、システムエンジニアであればPCのスペックや環境、施工管理の仕事であれば使用可能な重機や建機など、それぞれの仕事に必須で、使用頻度の高いものについて確認します。

具体的に確認したいのは、

  • 古いものばかりではないか?
  • 予算がなくて低スペックの機種ばかりになっていないか?
  • トップやマネジャーなどに変なこだわりや好みがあって、使いにくいものばかりそろっていないか?
  • 数が少なくて、常に取り合いになっていないか?
  • 壊れた際に修理に出したり、買い替えたりする余力はあるか?
  • 高性能や新機能が搭載された商品が発売された際に、効率を重視して積極的に取り入れてくれるような組織か?

などです。

これらは面接で聞く方法もありますが、職場を見学させてもらえる機会があればそれがベストです。

実際の現場やマシンなどを目の前にしている状況であれば、自然な流れで、より詳しい話が聞けるはずです。

 

おまけ:職種共通のチェックポイント

最後に、職種共通でチェックしておきたいポイントも以下に挙げました。

こちらも参考にすることで「自分にとってのホワイト企業の条件」にますます磨きがかけられるはずです。

●自分が積極的に勉強したくなる商材か?

扱う商材に興味関心を持てるか?

●どの程度の裁量が与えられているか?

こまめな報告や相談が必要か? ある程度任せられているか?

●基本スタンスは個人プレイか、チームプレイか?

自分ひとりで動くことが多いのか? チームで進めることが多いのか?

●お互いが助け合えたり、頼れる上司がいたりする環境か?

案件でトラブルが起きた際に、フォローしあえる体制はあるか?

●業務に必須なことを時間外に求めてくる組織ではないか?

終業後に参加必須の勉強会が開催されたり、休日に頻繁に電話がかかってきたりしないか?

 

考えすぎてわからなくなってしまったら

さて、ここまで営業職とエンジニア職(システムエンジニア・施工管理者・設計・メンテナンスなど)にそれぞれフォーカスしながら、見落としてしまいがちなポイントを説明してきました。

ご自身の仕事と理想を一緒にイメージしながら読み進められた方は、お疲れさまでした。

一方で、「考えれば考えるほど条件がいっぱいあるような気がして、頭が混乱してきた」という方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、条件を広げていくばかりでは迷子になることもあります。

ここからは、考えすぎてわからなくなってしまった際の対処法を紹介します。

 

【迷ったら「自分が転職したい理由」に立ち返る】

この記事を読み進めてくださった方々には、「会社を辞めたい」「転職したい」という気持ちが少なからずあることと思います。

まずは、そう思った理由に立ち返りましょう。

「なぜ会社を辞めたいのか?」「なぜ転職したいのか?」

そう自分に問いかけてみて、真っ先に出てきた答えは非常に優先順位が高いものです。

  • 「残業がとにかく多くて…」
  • 「職場の上司や同僚とうまくいかなくて…」
  • 「自分の得意な仕事ではなくて…」

上記以外でも、どんな答えであっても構いません。

それがあなたにとっての大切な「動機」で、あなたにとってのホワイト企業へ転職するためのスタート地点になります。

 

【何が解決されたら気分よく転職できるか、を考える】

上記で、たとえば「残業がとにかく多くて転職を考えた」というのがスタート地点だとします。

すると、転職の際は当然「残業が少ない企業」を希望すると思いますが、果たして、「残業が少ないだけ」で良いでしょうか?

「いやいや! それだけじゃなくて、もっと顧客志向が強い企業に行きたくて…ついでに商材も別の物の方がいい!」といった追加の希望が出てくるはずです。

そして、記事の前半で紹介したような、いろいろな条件がさらに出てくると思います。

「あっちよりはこっちがいい」「どちらかと言えば、これがある方が自分にとってやりやすい」といったことです。

ある程度の数が出てきたら、「では、この中の条件で最低限、どの項目が解決されたら、気持ちよく転職できそうか?」を考えてみます。

理想の条件は無限に増やすことができますか、全てを完璧に満たさなくても気持ちの良い転職はできます。

数ある条件の中で、「ここが満たされないと自分はやっていけない…!」というものをいくつか厳選するのです。目安としては3つほど、絞れなければ5つほどぐらいでしょうか。

 

【「仮の転職軸」を打ち立ててみる】

3~5つほど選べたら、ひとまず「仮」でいいのでその条件を自分の転職軸として打ち立ててみます。

そして、この条件を満たす企業を見つけたら、「本当に転職できるかどうか?気持ちよく働けそうか?」をイメージしてみます。

ここで、もしダメそうなら条件を見直していきます。

「いや、やっぱりこっちの条件がないとダメだ…」といったようなことがあるはずです。

それを何回か繰り返していると、「仮」だった転職軸がより精度の高い「本物」へレベルアップしていくのです。

 

【それでもわからなくなったら…】

それでもわからなくなってしまったら、自分の仕事人生の中で、「一番達成感があった瞬間」や「一番嬉しかった出来事」を思い出してみましょう。

そのときの素晴らしい感情は、「何」によって得られたものでしょうか?

  • 「お客様が心から喜んでくれたから」
  • 「仲間と協力して成果をあげられたから」
  • 「自分の好きな仕事にとことん打ち込むことができたから」

これらは、普段は意識に上らなくても、あなたの今までの仕事をずっと根底で支えてきた部分かもしれません。

人は、すでに自分の中に根付いているものに対しては、改めて「欲しい」とは感じないものです。

あなたの仕事人生に根付いてきたものが失われることなく、それをさらに大きくできたり、成長させていけたりする転職が望ましいですね。

 

まとめ

さて、ここまで3回の記事に分けて「自分にとってのホワイト企業」を見極めるための方法をお伝えしてきました。

たくさんの内容を紹介してきましたが、一番大切なことは「他でもないあなたにとってホワイト企業かどうか」ということです。

大手だからホワイト、有休が多いからホワイト、といった見方ではなく、「自分が入社して気持ちよく働けるか?」という観点を持ち続ければ、「あなたにとってのホワイト企業」をきっと見極めることができるはずです。

ホワイト企業に転職をしてみたい方、今の会社を辞めたくて悩んでいる方にとって少しでも参考になれば幸いです。

~前編・中編の過去記事はこちら!~

前編:ホワイト企業に転職したい人のための「最強の見極め方」【前編】

中編:ホワイト企業に転職したい人のための「最強の見極め方」【中編】

Who is writing

千葉大学理学部卒業。

コピーライター・セールスライター・書籍編集者
メインジャンルは組織における社会人教育・ビジネス自己啓発全般。

法人向けの社会人教育のサービスを提供する企業にて、主力商品である教育講座の企画開発職に従事。途中、同職種で競合へ転職し、2社に渡り約6年在籍。

そのほか2業界を経験し、現在は独立。営業・商品開発・WEB広告の3職種を経験しており、ライティングだけに留まらない総合的な企画・マーケティングの提案や支援も強み。紙媒体の経験も長く、文字数が万単位になる依頼も歓迎。