シリーズ「ビジネスエゴグラム」~エゴグラムで自分を知り、相手を知る~
シリーズ「ビジネスエゴグラム」。今回は、エゴグラムをよりよいコミュニケーション作りに役立てる方法についてご紹介します。

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長い歴史と確かな実績を持ち、ビジネスの現場に活用する企業も増えてきている性格分析手法「エゴグラム」について詳しくご紹介していく、シリーズ「ビジネスエゴグラム」。
今回は、エゴグラムをよりよいコミュニケーション作りに役立てる方法についてご紹介します。
よりよいコミュニケーション作りに役立つエゴグラム

「エゴグラム」とは、精神分析に加え人間関係(交流)の理論に基づいてアメリカで開発された「トランズアクショナル・アナリシス(以下TA)」、および日本人研究者がTAを日本人向けにアレンジした「交流分析」の研究の中で開発された分析手法です。
そのため病院での治療だけでなく、家庭や教育、職場、近所づきあいといったシーンでの人間関係の改善にも活用することが出来ます。
では、どのように活用していけばいいのでしょうか。
次からは活用する際の手順に沿って、その方法を具体的にご紹介しましょう。
まずは自分の心の動きを知る

まずは、ご自身のエゴグラムを調べてみましょう。エゴグラムを調べることによってわかるものとして、
・現時点で思考や行動を主導している自我
・自分の性格的傾向
が挙げられます。
【現時点で思考や行動を主導している自我】
TAや交流分析においては、人の思考や感情、行動のもととして、
・P:親(Parent)の影響で取り入れたもの
・A:大人(Adult)になってから備えたもの
・C:子供(Child)のころのまま残っているもの
の3つの自我状態があると唱えました。
P・A・Cの3つの自我は常に入り混じって働いているのですが、思考や行動においては3つのどれかが主導権を握り、つかさどっています。
3つの自我には、それぞれ次のような特徴があります。
- P(思弁的)
思索型の素質があり、物事の道理を深く考えて進む。経験よりも、宗教や哲学のような純粋な思考を好む。
- A(分析的)
具体的な事を分析して、それらを構成する要素や法則などを探り当てようとする。非常に現実的。
- C(芸術的)
感情的な思考をする傾向がある。芸術家のように、直観力や美の表現力に優れた素質を持っている。ただし、社会的規範に反する行動をとる恐れもあり。
その時点でどの自我が主導権を握っているか識別することを交流分析において「構造分析」と呼びますが、エゴグラムは構造分析をする際の強力なツールとなるのです。
【自分の性格的傾向】
エゴグラムはP・A・Cの3つの自我を更に細分化した、下記5つの自我の高低で示されます。
Pから
- CP(Critical Parent)・FP(Father Parent):厳しい父親的な部分
道徳的、厳格である、理想がある、頑固、批判的
- NP(Nurturing Parent)・MP(Mother Parent):優しい母親的な部分
優しい、思いやりがある、世話好き、過保護・過干渉
- A:冷静で客観的な大人な部分
合理的、冷静、クール、情に欠ける
Cから
- FC(Free Child)・NC(Natural Child):自由な子どもの部分
活発、行動的、感情を隠さない、わがまま、自己中心的
- AC(Adapted Child):従順な子どもの部分
他者を優先、協調性がある、他者が気になる、自信がない
そして、それぞれの自我の高低は、次のような特徴を生みます。
○CP
高い:厳格、支配的
低い:ルーズ、しまりがない
○NP
高い:やさしい、世話好き
低い:冷淡、寂しがりや
○A
高い:現実的、能率的
低い:お人よし、非現実的
○FC
高い:天真爛漫、自由奔放
低い:消極的、自己抑圧的
○AC
高い:従順、協調性がある
低い:反抗的、頑固
エゴグラムを通じて、これらを踏まえた自分の性格的傾向を知ることが出来ます。
また、5つの自我のバランスに大きな偏りがある場合は人間関係においても問題が生じがちです。
エゴグラムの把握は、人間関係のトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。
年齢や状況で変わる自我のバランス

思考や行動を主導している自我やそのバランスは個人差があるだけでなく、同じ人でも年齢や状況によって変化します。
例えばP・A・Cの3つのバランスは、年齢によって次のような特徴が現れることがあります。
- 大人ぶった子供
実際はCが主導しておりPとAは未発達であるにもかかわらず、大人のふりをしようとする。

- 思春期
Aが未熟である中で、PとCが急速に発達するというアンバランスな状態が自然な時期。

- 老人
巨大なPと老化したAとの間で葛藤が生じる。Cも低下しているため、考え方が古い。

- 子供のようなお年寄り
社会から距離ができることで、PとAが後退。一方で老化と他者への依存度が上がり、Cが増す。
また、職場で忙しくしている時と休みを過ごしている時では心の状態が違うと思いますが、同様にエゴグラムも変化します。
加えて、育児真っ最中か否かなど、自身を取り巻く環境でも変わるものです。
ですから、意識していないのに前回調べた時とエゴグラムが変わっていると思っても、あまり気になさらないでください。
重要なのは、定期的に自分のエゴグラムを把握しておくということです。
エゴグラムで相手のことを分析しよう

自分のエゴグラムを把握したところで、次にエゴグラムを使い相手の事を分析しましょう。
【親のエゴグラム分析】
まず一度やってみていただきたいのが、ご自身の親のエゴグラムを使った分析です。
それというのも、人の自我状態は親の影響を強く受ける為です。実際、交流分析では幼い頃の親との関係でつちかわれた部分を重視します。
親に直接エゴグラムテストを受けてもらうのが一番確実な方法ですが、ご自身なりに分析して親のエゴグラムを書くという形でも構いません。
そして親のエゴグラムと自分のエゴグラムを比較し、似ている点・異なる点を観察してみましょう。
親をいわば「一人の他人」として客観視することで、より上手く付き合うヒントも得られるはずです。
【付き合いが上手くいく人・苦手な人のエゴグラム分析】
親のエゴグラム分析の後は、職場や近所づきあいなどでよく接する人を分析してみましょう。
その際は、
・心地よく交流できる相手
・交流するのが苦手な相手
のエゴグラムをそれぞれ作成してください。思い浮かぶ人が複数いる場合は、その人ごとに作成しましょう。
作成したら、こちらも自分のエゴグラムと似ている点・異なる点を観察します。
これにより、交流するのが苦手と感じる原因や付き合う上での注意点が把握できるのです。
無料でできるエゴグラム診断

ここまでの内容を読んで、ご自分のエゴグラムが気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
当サイト「賢者の人事」を運営する株式会社経営人事パートナーズでは、ご自身のエゴグラムがチェックできる無料の診断サイトを作りました。
ぜひこちらのリンクから、自分のエゴグラムを調べてみてください。
まとめ~自分のエゴグラムは変えられる~

今回は、エゴグラムをよりよいコミュニケーション作りに役立てる方法についてご紹介しました。
最後に一つ、重要な点についてお伝えしたいと思います。それは、「自分自身の取り組みによっても、自我を変えることはできる」ということです。
エゴグラムは年齢や状況による受動的な変化ばかりではなく、変えていこうとする能動的な取り組みでも変化していきます。
また、自我を変える取り組みにおいても大きなポイントがあります。
それは、「高い自我の要素を下げることより、低い自我の要素を上げるように心がける」ということです。
交流分析においては、自我の総量は一定であると考えられています。
そのため、どこかの要素を上げれば、それに伴って高かった要素はほとんどの場合で自動的に下がっていくのです。
加えて、最も高い自我の要素はその人の特徴を意味します。
特徴である自我を下げることはある意味自分自身を否定する事を意味するため、取り組みがうまくいかないケースが多いのです。
相手のエゴグラムは変えられませんが、自分のエゴグラムは変えることができます。
コミュニケーションで悩むことが多いという方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。
そのためにもまず大切なのは、自分のエゴグラムを把握する事です。
自分のエゴグラムを調べたことがないという方はもちろん、以前調べたことがあるという方もその時との変化を把握するために、下記のエゴグラム無料診断サイトをご活用ください。
また、会社が主導して社員のエゴグラムを把握し、それを踏まえた組織作りをすることで、社内のコミュニケーションがより円滑になります。
「賢者の人事」を運営する株式会社経営人事パートナーズでは、エゴグラムを活用した人材採用コンサルティングや人事戦略コンサルティングを行っております。
今回の記事を読んでエゴグラムの導入を検討したいという際は、お気軽にご相談ください。
※参考資料
杉田峰康著「3つの自分で人づきあいがラクになる エゴグラムで見える本当の私」,創元社,2018年
新里里春ら著「交流分析とエゴグラム」第二版,チーム医療,2007年
