採用前に知っておきたい「ブラック企業を見抜く方法」:掲載文編

シリーズ第2弾!求人票や求人サイト、採用情報ページの文章からブラック企業を見極めるコツについて解説します。

このシリーズでは、ブラック企業への就職を回避するために、企業の求人へ応募する際の様々な過程において注意していただきたいことについて解説しています。

シリーズ第2弾は、求人票やホームページに掲載されている文章とその内容についてです。

応募者であれば必ず目を通す企業の求人文。

ここに書かれている内容やその情報量は、企業の経営体質や特色を如実に表しています。

丁寧に読み進め調べることで、自分に合った企業かそうでないかを判断するための大切な材料になるのです。

そこで今回は、ブラック企業にありがちな文章の書き方について考察してみました。

もし検討中の企業がブラックであった場合、この時点で応募を避け、危険を回避しておきたいですね。

ポイント①危険なキーワードの使用率が高い

      

先日、以下の記事にてブラック企業による使用頻度が高いキーワードについて解説しました。

採用前に知っておきたい「ブラック企業を見抜く方法」:キーワード編

こちらに当てはまる言葉があまりにも多い求人は要注意です。

これらのキーワードを駆使するブラック企業の特徴として、具体的な説明がなく非常にモヤっとした内容であるということが挙げられます。

こちらの記事で紹介したようなキーワードが頻出している求人文は、

・なんとなくいい雰囲気なだけで具体性がない

・企業に対し必要以上の期待を抱かせる

・精神論で訴えかけようとしている

といった特徴があります。

聞こえのいい言葉が並んでいますが、実態がよく分からない不気味さを合わせ持っているのです。

インターネット社会となった現代においては、応募する前に企業について検索している方がほとんどであると思いますが、こういった企業の場合は公式ホームページなどでも同様の文章しか掲載されていないことがよくあります。

「ホームページを見ても、結局どんな会社なのかよく分からない」

…という場合は、一旦応募を取りやめ、違った視点から企業について調べてみましょう。

・企業がメディアに掲載された実績

・代表者の経歴やこれまで経営に携わった会社名

・社名が変更されたことがある場合、その理由や年度

・近隣住民からの評判

…といった情報は、重要な参考になります。

ポイント②業務内容が多すぎるorよく分からない

こちらも前回の記事と重複した内容になりますが、ブラック企業はその実態を覆い隠すために、聞こえが良い曖昧な言葉を使用することで、あえて具体的な情報を隠そうとすることがあります。

例えば、

・具体的な業務の内容が不明瞭

・所属する部署や勤務地が明記されていない

・業務内容として記載されている作業が多すぎるor分野が広すぎる

・明らかに業務と関係ないキーワードを使い、文章を埋めようとしている(SEO・検索対策)

といったケースはよく見られます。

理由や対策としては、①とほぼ同様です。

もちろん、求人票の内容だけで会社や業務の特徴をすべて伝えるのは大変難しいことです。

しかし、あえて分かりづらい文章にして様々な解釈ができるようにし、とにかく人材を回収しようと躍起になっている可能性もあります。

ほとんどの企業は少しでも自社の魅力を伝えたうえで優秀な人材を募りたいと思っているはずなので、それを怠っている、もしくは隠そうとしている企業は避けたほうが無難です。

給与や賞与、勤務時間、休日などに関する情報はもちろん重要ですが、それらを確認する前に、その企業が述べている内容が信用に値するかについて考えましょう。

ポイント③代表やスタッフの紹介が多すぎる

見たことがある方も多いのではないでしょうか。

クリックした途端、代表の経歴やカリスマ性が物語のように長々と表示されるタイプの求人文です。

「それは、企業の採用サイトの内容が求人サイトにそのまま掲載されているだけでは?」

…と思う方も多いかと思いますが、仰るっとおり、大抵はホームページにも同様の文章が掲載されています。

しかし、本来採用情報や採用サイトに記載されるべきことは、会社の情報や業務の詳細、求める人材像などです。

経営陣の自慢話を公表する場ではありません。

それを混同してしまっている企業は、代表のワンマン経営によって従業員や顧客が振り回されているタイプのブラック企業である可能性があります。

意外にも、年配の創業者に振り回されているような創業年数の長い会社から、自身の優秀さを吹聴したい若手経営者まで、幅広い世代のブラック企業経営者に愛用されている手法でもあります。

言うまでもないことですが、企業の沿革や代表の経歴・実績に関してはサイト内でページを分けて紹介されているべきです。

非常に分かりやすく、誰にでも判断がしやすいタイプのブラック企業であるといえるでしょう。

また、求人票や採用サイトに、実際に働いているスタッフのコメントを掲載しているケースもよく見られます。

こちらについても、同様に注意が必要です。

正社員YさんのビジネススケジュールやワーキングママFさんからのメッセージなど、そのような社員は実在しているのか疑わしい場合もあります。

これについてもかなり虚構を見抜きやすい部分であると思うので、怪しいなと思った時こそ丁寧にじっくり目を通しましょう。

フリー素材の写真をそのまま社員の顔写真として掲載されているというようなことも当然あるのです。

実際にその会社で働く方の声や現場の実態については、外部の評価サイト等の方が参考にしやすい情報が豊富です。

ポイント④採用決定に至るまでのプロセスが書かれていない

企業の求人において意外と多いのが、応募から採用までの流れが記載されていないケースです。

インターネットにおける求人応募や採用活動が盛んになった現代において、かなり増えたパターンであると思われます。

とりあえず応募をしてみたら、いきなり面倒なテストを解かされたり、時間のかかる課題を提出させられたりというパターンに遭遇した経験がある方もいるではないでしょうか。

特殊な書類の提出や課題を含む選考方法である場合、応募者はかなりの時間と労力を使ってそれらに対応することになります。

それを事前に説明せず、終わったと思った途端にまた次を求められるという状況が長期間続くことは、応募者にとって大きな負担となるでしょう。

そのような選考手法を採っているのであれば、応募時に分かるように明記してある企業の方が誠実かつ親切であるといえます。

例えば、

書類選考(専用フォーマットあり)

二次選考 スキルチェックテスト、課題テスト

三次選考 面談、アンケート

最終選考 役員面談

といったように、応募の段階から流れが分かっていると準備がしやすいですし、その後のスケジュールも組みやすいですよね。

ただ、これに関しては記載のない企業がかなり多いので、「ブラック企業の見抜き方」というよりは、「ホワイト企業の見つけ方」というべきかもしれません。

「履歴書不要!簡単応募!」などと、応募の手軽さを印象付けている求人もありますが、丁寧な選考を行う企業の方が信頼できますし、各選考過程において応募者が企業について知られるタイミングもたくさんあります。

そして、これらを踏まえたうえでお伝えしたいのは、応募後にテストと称して業務に関する雑務を無償で強いられたり、不審な作業をするよう求めてくるような企業も存在しているということです。

ここまでされている場合、その企業へ不信感を抱く方はかなり多くなると思いますが、早く仕事を決めたいがために無茶な要求に応じてしまう方も少なからずいるでしょう。

そのような企業に既に応募してしまった場合、個人情報を既に渡してしまっているということにもなります。

そこで、応募時に採用プロセスが見当たらない場合は、最低でも以下の点に注意してから判断するようにしましょう。

・企業の所在地を確認できるか

・インターネットサイトやメディアにおいて企業の実績を少しでも確認できるか

・妙に軽快で明るい印象を持たせる求人文の書き方をしていないか

・「誰にでもできる簡単な作業」等と称し、応募へのハードルを不用意に下げようとしていないか

・記載されている雇用条件(給与形態、勤務時間、休日日数、福利厚生など)に不安を感じさせる点はないか

これらに当てはまらなければ、怪しい企業である確率は低くなると言えるでしょう。

地方の中小企業や零細企業の場合、特に採用プロセスの記載がなくとも、「シンプルな書類選考と面接をし、両社が合意すれば採用」という流れはよくあります。

同じような感覚で、不審な企業へ応募しないように注意してください。

ポイント⑤応募者に対して高圧的

以下は、私が実際に求人サイトで見かけたことがある文の一例です。

・神経質な方は応募をお控えください

・月に○○件以上の対応ができない方は、応募段階で不採用となります

・「何をしたらいいですか?」という指示待ちタイプの方は不向きです

いかがでしょうか。このような文がかかれている企業で働いてみたいと思いますか?

企業側が応募者を選別するために条件を設けたり、仕事への向き不向きを提案することは、特別おかしなことではありません。

唯一申し上げたいのは、

「もっと他に言い方があるでしょう」

ということです。

一昔前と異なり、インターネット上で様々な求人が見られる現代において、それを見る人の数も桁違いに増えています。

そのような場において、自社の印象を悪くしかねないような表現を惜しげもなく使用する企業は、あまり良い会社だとは思えません。

単純に応募者や従業員を軽視している故の言い方であるとも受け取れます。

文章に不慣れであり悪気なく書いているケースもあるのかもしれませんが、そのような表現をする方に対して他の従業員や取引先はどう思うでしょうか。

そういった想像力の持てない方が勤務する職場、そしてそれに対して何の疑問も抱かず黙認する企業で仕事をする自分を想像できますか?

しつこいようですが、ブラック企業は自分たちの実態を覆い隠す傾向があります。

それを隠すことさえできない企業は、果たしてどのような会社なのでしょう。

残念ながら、さすがの筆者もそこまでの勇気はなく、それについては未だ検証できていません。

掲載文で見抜ける企業体質

求人文というのは、企業から求職者への手紙のようなものであると思います。

初めて知り合った人から頂いたお手紙を読むとき、一文字一文字丁寧にかみしめるように読み込むでしょう。

その際に、妙に回りくどい言い回しや、明らかに嘘をついたり隠そうとしたりしている部分、上から目線の表現があった場合、あなたはどう思うでしょうか。

文章には、企業の性格や体質がよく表れています。

掲載されている文章を丁寧に読むほど、その企業がどのような考えを持っているのか、どのようにビジネスをしているのか、どのような人材を求めているのかがよく分かるでしょう。

そうして読み込んだ結果が、信頼できるか否かを判断するための大きな要素となります。

会社や仕事に求めたいことは、人によって異なりますね。

何に重きを置き、どの点であれば妥協できるか、どのような人たちと働きたいかなど、人によって様々な判断基準があるはずです。

そのため魅力的な求人文の特徴を語るのはなかなか難しいですが、そのうえで、筆者が好印象を抱く求人文は以下のようなものです。

・企業の紹介と募集職種の業務内容をしっかり分けて記載している

・応募にあたっての必須条件や歓迎要件、不可要件が分かりやすく明記されている

・不必要な情報を記入することで、悪戯に文字数を増やすなどということをしていない

・軽々しさのない落ち着いた文体である

・応募者に対し、フラットな目線で解説している

・公式サイト以外に、企業のビジネスが分かる参考URLが記載されている

いかがでしょう、イメージできるでしょうか。

特に4つ目の軽々しさのない落ち着いた文体というのは、人によって意見が分かれるところであると思います。

「!」や「♪」などの記号を多用し、明るく楽しい文体で自社について紹介する企業もありますが、私はどちらかというと淡々とした説明文を好みます。

あなたが好む文章は、どのようなものでしょうか。

これを機に是非考えてみてください。

それは、あなたが企業に対して求める条件であり、どのような職場で働きたいかという指針にもなります。

そしてそれらに合致し、なおかつこれまでの5つのポイントと比較し不信感を抱く要素が無ければ、あなたが求める理想的な企業と出会えるチャンスかもしれません。

Who is writing

学生時代を関東で過ごした後、東北の田舎に帰郷。嫌々地元で就職を決めたら、うっかりとんでもないブラック企業に入ってしまった!
絶望的な環境からなんとか抜け出し、その勢いで個人事業主として開業。現在は、Webディレクター、ライターとして活動中。
本当はお芝居や音楽、歴史が好き。