「給与が少ない」なんて、大した理由じゃない!ブラック企業認定されてしまう真のポイント

ただ「給料が少ない」というだけでは「ブラック企業」なんて言われません!隠された+αの理由を探る重要性についてお話しします。

ブラック企業といえば、なぜ「薄給」なのか

突然ですが皆さん、「ブラック企業」というと「給料が少ない」というイメージはありませんか?

いえ、むしろ「給料が少ないからブラックなんでしょう?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

普段から元気よくブラック企業の悪口を言っている筆者ですが、今更ながらその定義が気になりまして、少し調べてみました。

ブラック企業(ブラックきぎょう)またはブラック会社(ブラックがいしゃ)とは、法的には明確な定義は無いものの、「従業員を違法または劣悪な労働条件で酷使する企業」のこと。ネット由来の言葉である。世間では「ブラック企業」という言葉が安易に用いられいるものの、実態としては過重労働・パワーハラスメント・違法な長時間労働・達成困難なノルマ・賃金未払といった、働く先として避けるべきとされている企業の総称。反対の概念はホワイト企業。

ブラック企業 – Wikipedia

労働条件や就業環境が劣悪で、従業員に過重な負担を強いる企業や法人。長時間労働や過剰なノルマの常態化、セクハラやパワハラの放置、法令に抵触する営業行為の強要といった反社会的な実態がある。ブラック会社。

ブラック企業とは? 意味や使い方 – コトバンク

驚くべきことに、「ブラック企業=賃金が安い」とは定義されていないようです。

しかし、

「うちの会社、全然給料上がらないしブラックだよ。」

「あの会社は安月給でこき使われるブラックだからやめておいたほうがいい。」

…といったように、ブラック企業であることと賃金が安いこととは結び付いた状態で語られることは多い気がいたします。

その企業の実態に関してはともかく、「ホワイト企業=給料が高い」というイメージも強く、その反対として定義されている場面もあるようです。

「賃金が少ない=ブラック企業」と言われてしまうケースとは、具体的にどういった場合なのでしょう。

例え平均と比べて少ない給与であったとしても、自分自身の仕事に誇りを持って働き、仕事や生活に満足しているという方もいます。

なぜ、すべてにおいてそのような形になるとは限らないのでしょうか。

今回は、賃金の安さとブラック企業の関係性について考えてみたいと思います。

金銭的な問題に隠された本質

まず、給料が少ないと感じてしまうという問題点についてよく考えてみたいと思います。

企業へ就職を決める際、多くは雇用契約を結ぶ形になるでしょう。

そして、そこに至る前には上司や役員と労働条件に関するすり合わせがあり、さらに遡れば、企業の求人票でも給与形態について触れられています。

ごく一部では、それらが一つも存在していなかったり、入社後にそれらを撤回したりするというとんでもない企業がありますが、その場合は紛れもないブラック企業であり法令に触れる問題にもなり得るため、今回は割愛いたしましょう。

そういったとんでもない企業でない限りは、労働条件については始めからある程度示されています。

当然、給与に関する記載もあるはずです。

つまり、被雇用者は企業から支払われる対価についてはある程度納得した状態で仕事をしていると思われます。

にもかかわらず、何故「給料が少ない」という不満が出てしまうことになるのでしょうか。

これはつまり、賃金に対して我慢するべき他の不満が多すぎるということに他なりません。

「私はこんなにたくさんのことを我慢しているにもかかわらず、給料が少ない!」

という従業員の不満を、とりあえず賃金を上げるという形だけで根本的に解決しようとすることは不可能です。

それだけでは従業員のストレスがくすぶった状態のまま残ってしまい、パフォーマンスは一向に改善されないでしょう。

この従業員が一体何を不満に思っているのか、会社にどういった改善を求めているのかを探ることが、一番のポイントだといえるのではないでしょうか。

金銭的な不満の裏に隠された+αの理由を突き止めなければ、一度貼られてしまった会社へのマイナスイメージのレッテルは、なかなか剝がすことはできません。

一度失ってしまった信頼を取り戻すことが大変難しいのと同様に、会社に対して抱いてしまった嫌悪感から一転、この会社で働けて良かったと思ってもらえることはなかなかないでしょう。

しかし、こういった従業員の不満やストレスを改善していかなければ、ビジネスにおける成長を望むことも難しくなってしまいます。

そのため、企業にはそれらをしっかり追究し、向き合い、改善していく姿勢が求められるのです。

それらを無視し続けた企業が「ブラック企業」と呼ばれるようになるのは、時間の問題かもしれません。

従業員が不満を抱く主な原因

「給料が少ない」という不満の裏には、会社に対する他の不満が隠されているということが分かりました。

では、具体的にどういった不満が考えられるのでしょうか。

これは業界や業種、企業の体質によって様々なものが考えられますが、今回は特に多いとされているものをご紹介したいと思います。

参考:【職場の不満ランキング】男女500人アンケート調査 | 株式会社ビズヒッツ

①人間関係が悪い

企業の体質や福利厚生、労働環境といった問題よりも先にこれが挙げられたことを意外に思う方もいるかもしれません。

会社員の方が感じる「働きづらい」「仕事のモチベーションが上がらない」といった感情の裏には、職場の人間関係が大きく関係している場合があります。

具体的には、

  • 上司からのパワハラ・セクハラ、過干渉
  • 誠実性や思いやりに欠ける態度の同僚
  • その他、職場全体の空気の悪さ

といった原因が挙げられます。

職場の人間関係が良くない場合、毎朝起きるたびに、

「ああ、仕事か…行きたくない…。」

と思ってしまうこともあるでしょう。

それにより、

  • コミュニケーションエラーによるトラブル
  • 各従業員のパフォーマンスの低下
  • 人材流出による人手不足

といった問題が引き起こされやすくなってしまうのです。

本人のやる気だけではなく、従業員間のコミュニケーションや会社全体の空気、延いては仕事の成果や会社の業績、印象にまで幅広く影響します。

すべての問題を引き起こす最も大きな原因と言っても過言ではありません。

人間関係が良好な職場の場合、仕事における意見交換や情報共有、お互いのタスクの把握やサポートがスムーズになります。

そういった形にほど遠い状況である場合は、一刻も早い改善が求められるでしょう。

②「本来あるべきもの」が無い

残業手当や休日出勤に対する対価、有休や役職手当、通勤手当…福利厚生が完璧に整っている企業は、前出のように「ホワイト企業」と表現されます。

しかし、冷静に考えてこれらは本来あって当たり前のものです。

あって然るべきもののはずなのですが、これらがまったく整備されていない企業は未だに存在しています。

「給料が少ないうえに、諸手当もない、有休もない、有休どころか休暇もまともに取れない…」

となっていては、従業員が不満に思うのは当たり前のことです。

「そんなことは分かっているが、簡単には改善できない!」

というお声が聞こえてきそうな気もしますが、その点が解決できない限りは人員増加や業績アップは難しくなりますから、それらを改善できないと言い切ってしまうような企業は、既に負の連鎖に陥ってしまっている状態だといえるでしょう。

もしくは、それを解決させるためにもう少し視野を広げて別の問題点を見つける必要性がある場合もあります。

諸経費や発注・受注など、それらの問題を先に解決することで会社の経営状態を改善させることが可能なのであれば、積極的に取り組んでほしいですね。

③労働環境が悪い

筆者は一時期とんでもなく古いアパートに住まなくてはならなかった経験があるのですが、そこに備え付けられていたお風呂が大変古めかしい…何と言いますか、昭和の懐かしいタイプのお風呂でした。

ステンレス浴槽に謎の色彩センスの冷たく汚い床タイル・壁タイル、やる気を一切感じない水圧…。

入居してすぐの頃はそこで入浴していたのですが、だんだんとそのお風呂の寒さや設備の悪さに嫌気がさし、いくら擦っても綺麗にならない床をこまめに掃除をする気も起きなくなり、最終的に近所の銭湯へ足を運ぶようになりました。

何故、唐突にこのような小話を始めたのかと言いますと、環境や設備の悪さというのは、人のやる気やパフォーマンスの結果に大きく表れるのではないかと思ったためです。

例えば、

  • いつ壊れてもおかしくないようなPCその他の機器が現役で使用されている
  • 備品が整っていないorあっても古いか汚れている
  • オフィスや社屋の清掃が不十分である

などといった状況で、働き手は力を発揮できるでしょうか。

業務に支障が出やすいものに関しては、特に積極的に改善していくべきです。

また、社外の人を招いたり一緒に仕事をしたりするような場面があるようなケースにも注意したいですね。

もちろん、無理に見栄を張る必要はないのですが、「これを他人が見たらどう思うか」という視点を持つことは意識しておくべきでしょう。

非常に難しいところではありますが、これらの改善を目指すことは、従業員間のコミュニケーションにも繋がるかもしれません。

「あれが欲しい」「こっちを優先しよう」「次はこうしてみよう」といった要望を全体で共有しておけると良いですね。

お金とは別の「原因」を生まないための環境づくり

「うちの会社は給料が少ない」という言葉の裏に、どういった不満が隠されているのかがお分かりいただけたでしょうか。

「給料は今の倍になるけれど、ボロボロの社屋で毎日長時間の残業があり、人間関係は最悪。誰にもフォローしてもらえないのに上司の罵詈雑言に耐えなくてはいけない。そんな仕事を紹介できるけど、どうする?」

こう聞かれて、すぐさま首を縦に振れる方は少ないですよね。

お金というものは価値が定まっているためについつい不平不満や愚痴の材料にしやすいものですが、その本質を濁らせてしまうという性質もあるのかもしれません。

お給料というのはあくまで仕事に対する対価であり、自分自身の価値とは異なるものです。

混同されることがあってはならないものですが、家柄や居住地、学歴等と同様に、可視化された分かりやすい指標であるがゆえに、ものさしとして使われてしまう機会も多いのでしょう。

例えば、お給料が上がったり、特別に賞与を出されたりしたら、多くの人が喜びます。

それは、金銭的なメリットはもちろんなのですが、「自分自身が評価された」「自分の仕事や能力が認められた」という達成感もあるはずです。

実績を認められ、たとえほんの少しだとしてもお給料が上がることがあれば、やはりその後の仕事に対するモチベーションには大きく影響します。

会社としての成長や業務の拡大を目指したいのであれば、重視しておくべき点かもしれません。

しかし、言葉で賞賛したり、実際にアイディアを受け入れたりという行為がモチベーションアップにおいてまったく無駄なのかというと、そんなことはないのです。

もちろん両方が揃っていれば一番良いのですが、お互いの仕事を称え認め合うというのも、ビジネスにおいて大切なコミュニケーションの一つではないでしょうか。

例えば、そのようにするべき状況において、

「そんなことをしてあなたに何の得があるの?」

「給料も上がらないのによくやるね」

等といった言葉を投げかける方がいます。

このような言葉は、言った人と言われた人、そしてそれを聞いた周囲の人すべての気持ちを台無しにしてしまいます。

そのようなことを口に出しても、誰も幸せにはなりません。

ギスギスした嫌な空気が広がっていくだけでしょう。

つまり、従業員一人一人の人間性は、職場環境や人間関係の形成において非常に重要なのです。

そして、上司や経営者は、その一人一人の特性について可能な限り把握しておくことが求められます。

採用段階において同程度のスキルや能力を持っている方が複数人いる場合、その方々の性格や特技、経歴、仕事以外の経験値などは、評価の大きなポイントになります。

それを怠ってしまい、「ブラック企業にありがちな人間性の従業員」ばかりが揃ってしまった場合、そこから会社の体制を整えていくというのは大変な労力です。

会社をブラック化させないためにも、一緒に仕事をする従業員や自分自身の人間性、環境の作り方、働き方について、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

Who is writing

学生時代を関東で過ごした後、東北の田舎に帰郷。嫌々地元で就職を決めたら、うっかりとんでもないブラック企業に入ってしまった!
絶望的な環境からなんとか抜け出し、その勢いで個人事業主として開業。現在は、Webディレクター、ライターとして活動中。
本当はお芝居や音楽、歴史が好き。