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「数字」で表すことの利便性

突然ですが皆さん、数字ってお好きですか?
私はどちらかというと好きではありません。
だって、数字を見たら計算しなければいけない状況が多いんです。
足し算、引き算、掛け算、割り算…
100歩譲って整数ならまだしも、分数や少数、虚数なんかが出てきたらもうお手上げです。
計算が苦手な私は、幼いころから現在に至るまで数字は敵だと思って生きてきました。
しかし、仕事や買い物など、日常のあらゆる場面で数字は登場します。
数字といえば、「変わることのない不動の値」を示すもの。
「来月から時給100円アップ!」とか、「5000円の商品が30%オフのお値段!」と言われれば、ほぼ全ての人が同じ値として認識することができるのは便利ですよね。
ただ、文系の私は以前から、
「世の中って、数字を使って言い表すことができないものの方が多いのではないかな」
と思っていました。
例えば、
「この人の優しさ度は56です」
と言われたら、優しいのか優しくないのか中途半端なラインですよね。
「他人に対する思いやりがあり基本的には優しい人物ですが、虫や動物は大嫌いです」
と教えてくれた方がまだピンときます。
ですが、(かなり極端な例になりましたが)どうやらこれに近いことが実際に行われているらしいのです。
人が持っている様々な個性や能力、長所や短所、考え方などを数値化し、採用選考や人事評価に活用できるのだといいます。
本当にそんなことが可能なのでしょうか。
今回は、実際に現場でどのような数字が活用できるのかについてご紹介しながら、「個性の数値化」について考えます。
①GMAスコア

まずご紹介するのは、「GMA」と呼ばれる能力値についてです。
これは、海外の研究者の間では人事選考における重要な要素の一つと考えられていますが、日本ではまだまだ一般的ではありません。
しかし、GMAテストはMicrosoftなどの大手企業でも採用されており、かなり信頼度の高い選考手法の一つなのです。
今回ご紹介する様々な数字の中でも、特に重要かつ特別なものといえるかもしれません。
GMAとは「General Mental Ability」の略であり、一般的な認知能力や精神能力を意味します。
個人が持つ理解力や論理的思考力、判断力などを総括した知能の高さを表す数値です。
知能が高いほど数値も高いわけですから、非常に分かりやすい数字であるといえるでしょう。
GMAスコアを計測するためには専用のテストが実施されますが、実はこのテスト、内容自体はそれほど目新しいものではありません。
こういった問題になんとなく見覚えはありませんか?

GMAテストにおいて出題される問題は、学校で受けられるような知能テストや、ウェブサイトでも挑戦できるIQテストのような問題とよく似ています。
言語能力や計算力、コミュニケーション力など、他の要素とは切り分ける形で知能を測るためのものなのです。
人間の認知能力は、仕事に関する情報の取得やその適用など、基礎的なタスクに反映されると考えられています。
つまり、GMAスコアの高い人材には、仕事の説明をいち早く理解したり、それを記憶して応用したりすることで、自ら判断・行動することなどが期待できるのです。
採用選考にGMAテストを導入することで、高学歴でなくても理解力や判断力に優れた人材や、職務経験がなくとも優秀な人材を見抜きやすくなります。
いわゆる「デキる人材」の発掘が可能になるといえるでしょう。
また、こうした人材は生産性が高く、トレーニングに要する時間も少なくなります。
育成コストの削減や業務の効率化も期待できますから、ビジネスの活性化に繋がりやすいでしょう。
こうした理由から、GMAスコアの活用は企業にとって大きな利益をもたらすことが期待できます。
もしかしたら、学校の偏差値やTOEICの点数などと同じような感覚で、採用現場でGMAスコアが扱われる時代が来るかもしれませんね。
GMAについては、当メディアの別記事にて詳しくご紹介しています。
是非併せてご覧ください!
GMAテストって何?日本では浸透していない人事選考方法について解説します
②エゴグラム

次に、「エゴグラム(個性診断)」と呼ばれるテストについてご紹介します。
これは、ビジネスの現場で注目されている性格分析の手法です。
個人の性格や考え方など、人の内面を把握するためのテストなのですが、「性格」や「診断」と聞くと、よくある心理テストなどを思い出す方もいるかもしれません。
しかし、エゴグラムはそういったエンタメ的な診断テストとは一線を引くものです。
ビジネスだけではなく、医療や教育の現場においても信頼され、長い歴史と実績を誇ります。
そして、性格分析というとその特徴を文章で羅列するイメージがあるかもしれませんが、これも数字であらわせるものなのです。
エゴグラムでは、5つの自我状態について診断し、それぞれの大小を図表化します。
具体的にいいますと、以下の5種類です。
- CP:厳しい父親的な部分
- NP:優しい母親的な部分
- A :冷静で客観的な大人の部分
- FC:自由な子どもの部分
- AC:従順な子どもの部分
簡単に説明しますと、「一人の人の中に潜む5種類のキャラクターについて、どのキャラの主張が強いのか選手権」というイメージです。
計測された5つの数字を読み取ることでその人の性格や考え方、行動の傾向について知ることができます。
更にその数字を図表化すると、への字型やM字型、逆N字型といったように、人によって様々な形を示します。
この分析によって、個人の特徴がより掴みやすくなるのです。
では、人材の持つ個性を把握することで、ビジネスにおいてどのようなメリットがあるのでしょうか。
例えば、仕事をする上では、職場の人間関係がとても重要ですよね。
組織やチームで動いていこうとする際にそれぞれがどのような役割につくか、一人ひとりがそれをストレスなく受け入れることができるかというのは、理屈だけではなかなか解決が難しい場面もあると思います。
特に、管理職などリーダー的な立場の方々は、それぞれの社員にどのように仕事を任せるか、どのように活躍してもらうかといったことに悩むことも多いでしょう。
こういった場合、エゴグラムが大いに役立つことになります。
それぞれが持つ個性を把握しておくことで、よりその個性を活かした働き方を実現することが可能になるのです。
なんだか夢みたいな話ですが、決して不可能なことではありません。
エゴグラムの魅力に関する詳しいお話は、下記の記事で紹介されています。
実際にエゴグラム診断を受けることもできますよ。
シリーズ「ビジネスエゴグラム」~エゴグラムで社員が輝く、組織が変わる~
③自己認知能力

さて、次に紹介する数字は自己認知能力です。
読んでそのまま、「自己についてどれくらい正しく認知できているかという能力」のことなのですが、これについて自信のある社会人はどのくらいいるのでしょうか。
自分自身のことをきちんと分かっているつもりでいても、それが実際に合っているか合っていないのかと評価してもらえることはなかなかありません。
謙遜や忖度、贔屓目などが一切ない第三者の目線から評価をする必要があります。
そして、第三者からの評価と、自分自身による評価の差異が少ないほど、自己について正しく理解できているということになります。
一般的には、自己認知能力の高い人は感情のコントロールが上手く、トラブルやストレスに対処できる能力が高いとされているようです。
ただ、これだけではあまりビジネスに役立てられるものではないと感じる方もいるかもしれません。
しかし、実はもう一歩踏み込んだ部分の数字を知ることも可能なのです。
例えば、当メディアを運営する株式会社経営人事パートナーズの自己認知能力テストでは、まずシステムがその人について分析します。
これは、応募してきた人材に採用選考ツール内のテストや課題をクリアしてもらい、その解答を分析して数値化するのです。
「この人は判断力や実行力に優れているが、計画力はあまりない」といった感じで、様々な能力が数字であらわされます。
それから、応募者に自己認知能力テストを受けてもらうのです。
そうすると、今度は応募者本人が思う自分自身の能力が数値化されます。
例えば、その応募者が「私は判断力や実行力には欠けますが、計画力はあります!」という回答をしてきた場合、システムによる分析結果とは大きなギャップが生まれますね。
そのギャップが大きければ大きいほど、自己認知能力の低い人ということになります。
数字の差異が小さい人ほど、自分自身のことをよく理解できているということですね。
ここで面白いのは、自分のことを過大評価している場合と、過小評価している場合、どちらのケースでも差異が生まれるということです。
謙遜して「自分にそんな高い能力はありません…」と言ってしまう方は多い気がしますが、自己認知能力においてはそれが良いことであるとは限りません。
システムが「決断力や調整力、育成力に優れた素晴らしいリーダーだ!」と評価していたとしても、当の本人が「私には何の能力もなく、人の上に立つことなんてできません…」と言っていたら、それは素晴らしいリーダーになり得る人材とは言えませんよね。
自分のことをどれだけ理解しているかというのは、他人にとっては、その人がどれだけ信頼に足る人物かということにも繋がります。
同じ職場で一緒に働く人を選ぶ上では、とても重要なポイントであるといえるのではないでしょうか。
しかし、これを一般的な採用選考だけで見抜こうとするのは、やはり難しいです。
その人の人柄を言葉であらわそうとしても、人によってその受け止め方に差が出ますから、同じ情報として共有することも難しいかもしれません。
もし数字として、「この人の自己認知能力はこれくらいですよ」という事実から評価することができれば、他の選考結果を判断する上でも大いに役立つでしょう。
④ダーク・トライアド(マキャベリアニズム・ナルシシズム・サイコパシー)

さて、最後にご紹介する数字はこれまでご紹介したものとは少々毛色が異なります。
「ダーク・トライアド」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは心理学におけるパーソナリティ特性のうち、人が持つ悪の気質を表す3種の特性の総称です。
この3つのパーソナリティとは、
- マキャベリアニズム
- ナルシシズム
- サイコパシー
を指しています。
マキャベリアニズムとは、「目的を達成させるためであれば、どんな手段や非道徳的な行為であっても遂行するべき」という考え方のことです。
一つ目から既に少し怖いですね。
このような考え方を持つ人は、マキャベリストと呼ばれます。
二つ目のナルシシズムについては、ギリシャ神話に登場する美少年・ナルキッソスが水面に映る自分に恋をした…というエピソードをご存じの方も多いでしょう。
主に自己愛を表す言葉ですが、ダーク・トライアドとしては、自尊心の高さや共感力の欠如、エゴイズムなども含まれるようです。
三つ目のサイコパシーは、「サイコパス」と言えばご存じの方が多いでしょうか。
一般的な感覚ではなかなか理解できない発言や行動をする人がこう呼ばれるイメージがありますね。
具体的には、反社会的な行動や、衝動的、利己主義的、無反省な行為を指す言葉です。
さて、これまでにご紹介してきた数字は、個人の性格や能力に関するものでした。
一方でダーク・トライアドは、人間としての性質に問題がないかどうかを数値化するためのものです。
ダーク・トライアド・テストを活用すれば、「あの人ってちょっと性格が悪いよね」というレベルの人だけではなく、「今までとても良い人だと思っていたのに、実はとんでもなくヤバい人だったらしいぞ!」というケースにも対応できます。
そもそも、こういったダーク・トライアドの傾向が高い人の中には、高IQでコミュニケーション力が高く、他人を自分の思い通りに操作できてしまうような人もいるという話もあります。
短い選考期間の中で、そのような仮面を被っている人を的確に見抜くのは、非常に難しいことではないでしょうか。
もしも多くの人に信頼・評価されている優秀な社員がそのような裏の顔を持っていたとしたら…会社や社員だけでなく、その家族や取引先にまで悪い影響を及ぼしてしまうかもしれません。
そういったリスクを最小限にしておくための方法として、非常に有効的な数字であるといえるでしょう。
マキャベリアニズム・ナルシシズム・サイコパシーのスコアにはそれぞれ平均値があり、その値よりも高いか低いかで判断することになります。
無料で診断ができるサイトもありますので、挑戦してみたい方は是非検索してみてください。
数字で分かる個性と能力

いかがでしたでしょうか。
数字が示す個性と能力について、その面白さと利便性がお分かりいただけたのではないかと思います。
冒頭でお話しした「優しさ度56」なんて稚拙な例えが恥ずかしくなってしまうほど、明確な数値による分析は非常に信憑性の高いものです。
言葉や表情に対する評価は人によって異なる場合がありますが、数値化された個性や能力に対する評価や感想は、人によって極端に異なることはあまりないのではないでしょうか。
ここで、今回ご紹介した数字のおさらいを兼ねまして、一つの例を見ていただきたいと思います。
以下は、架空の転職者・Aさんの自己PR文と、各テストの結果です。
※各スコアや平均値は例であり、実際の数値とは異なります。
社会人2年目のAさんの自己PR
1年半にわたる営業経験から、様々な年代・階層の方と幅広くコミュニケーションをとることが得意です。また、クライアントのための有益な情報提供を心掛けており、同業他社の先進事例や直近のニュース、業界のトレンドなど、常にアンテナを高く張るよう意識しています。初めてのお客様へのご説明の際は、相手にとって最も重要となるであろうポイントを意識して話を展開するようにしています。
GMAスコア 58(平均値 50)
エゴグラム M字型(好奇心旺盛でコミュニケーション能力が高い)
自己認知能力 システムとの差異 −10(平均値 ±15)
ダーク・トライアド すべて平均程度
もしこれが自己PR文だけであれば、1年半という決して長くない職務経験に懐疑的な目を向ける方もいるかもしれません。
実際の仕事内容に関するエピソードも少ないので、この若さで本当に営業職として優れているのかどうかは分かりづらいですね。
しかし、もしその下にこれらの数字が記載されていたらどうでしょうか。
GMAスコアが平均よりも高く、自己認知能力にも優れていることが分かります。
エゴグラムを見ると、コミュニケーション能力に優れた人材であることが読み取れます。
ダーク・トライアドにも特に問題は見られません。
これらの情報を踏まえてもう一度読み返すと、自己PRの内容の信頼度が高いように感じられませんか?
Aさんの自己アピールが決して誇張されたものではなく、本当に営業職として優秀な人材かもしれないと判断することができます。
履歴書や職務経歴書、自己PRなどから選考を行う場合、本人が提出した文書だけで応募者を判断するというのは、とても難しいことです。
しかし、これらの数字が添えてあることで、選考の際の判断材料が増えることになります。
これにより、似たり寄ったりなアピールに優秀な人材が埋もれてしまったり、せっかく選んだ候補者に面接で会ってみたらがっかりしてしまったりといったことは少なくなるでしょう。
大切なのは、限られた情報だけで判断するのではなく、様々な数字を取り入れ、組み合わせたものから判断することです。
今回ご紹介した様々な数字を組み合わせることで、今までモヤッとしていた採用選考や人事評価が、すっきりとしたクリアなものに生まれ変わるかもしれません。
やはり数字は「不動の値を示すもの」であり、ほぼ全ての人が同じ値として認識することができる、大変便利なものであるといえるでしょう。
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