
2022年11月のChatGPTの登場は、これまでの「AI」に関するイメージを大きく変えました。
それはもちろん研究者にとってもですし、AIユーザーにとっても同様にインパクトがありました。
日々成長するAIモデルを見ていると、「私の仕事はAIにとって代わられるのではないか?」と心配になる方もたくさんいたはずです。
実際に「AIやロボットによって、人間の仕事の○%がなくなる」「AIに代替される10個の仕事」などといったブログが、今でもたくさん公開されています。
では、今現在のロボットには、実際どのくらいの仕事ができるのでしょうか。
9月30日、生成AI「Claude」を提供するAnthropicの研究チームが、次の分析結果を公開しました。
【What work can robots do?】
https://www.anthropic.com/research/what-work-can-robots-do
タイトルの通り、ロボットができることについてまとめられています。
具体的には、米国の約900職種、約19,000の業務タスクを調べ、現在存在するロボットで、それぞれの仕事をどこまで実行できるのか、に関する分析です。
まず現在のロボットは、物理的な作業の74%、米国の労働時間全体に換算すると、約34%に相当する作業を実行できるそうです。
「では、仕事の3分の1はすぐにロボットへ置き換えられるのだろうか?」
と思いたくなるのですが、この分析はこれだけの結論では終わりません。
ロボットを導入する費用まで考慮すると、人間より安く仕事をできるタスクは、現時点ではわずか0.3%だったというのです。
つまり、
「技術的にできる」と「経営的にやる価値がある」は、まったく別の話だった
ということになります。
例えば、倉庫などで梱包を行う仕事では、すでにロボットが多くの作業を担当できます。
研究の試算では、ロボットによる年間コストが約45,000ドルなのに対し、人間の労働コストは約49,000ドルで、すでにロボットの方が安くなるケースがあり、実際に多くの倉庫でロボットが活用されていることが知られています。
一方、溶接も現在のロボットによって、かなりの部分を実行できるらしいのですが、実際の導入はなかなか進みません。
それはなぜかといえば、実際の溶接工は、ただ溶接するだけではないからです。
大きな金属部品を動かす、梯子に登る、品質を確認する、表面を仕上げる、といった多様な作業を行います。
それらをすべてロボット化しようとすると、この研究では人間の溶接工のおよそ5倍のコストが必要になると試算されています。
もちろん、生成AIによってロボット技術そのものが急速に進歩すれば、この予測は大きく変わる可能性があります。
そして実際に、毎年、ロボットが代替可能な肉体労働は2% ずつ増えているのだそうです(単位はわからないですが)。
また、価格以外にも壁があります。
それは、人間がロボットにやって欲しい、と思うかどうかです。
たとえば保育や介護などでは、仮に「技術的にできる」としても、人間にやって欲しい、と思うことがたくさんあります。
さらに医療や教育では、規制の問題もあります。
新しいAIが登場すると「この仕事もAIでできます」「この業務も自動化できます」
そんな話題が多く取り上げられがちです。
しかし、経営にとって本当に重要な問いは、それを導入する価値があるか?ではないでしょうか。
- AIを導入するために、システムを変更する。
- 社員に教育する。
- 出力を確認する人を置く。
- 問題が起きたときの仕組みを作る。
AIの利用料のような単純な導入コストだけでなく、準備のために必要な時間、それによる社員・顧客への心理的影響まで含めて、競争力を評価する必要があります。
AI時代の経営には、AI導入の経済合理性を正しく判断するためのスキルが必要になるのかもしれません。
P.S.
この記事に載せている画像はAIに生成してもらいました。
もし仮に自分が一から絵を書いていたら…とすると、このクオリティのものを描くにはとても時間がかかりますし、そもそも書けません。
素人のお絵描きと、AIの画像生成を比べると、ぐうの音も出ないくらい完敗でした。
P.P.S.
↓メルマガの新規登録はこちらから↓
https://48auto.biz/keieijinji/touroku/sp/scenario13.htm
(スマートフォンよりご登録いただけます)
