VUCA時代に求められる人材とは?必要なスキルや行動について徹底解説

VUCA時代と呼ばれる現代では、日々変動する環境に適応する能力が求められています。あなたは、時代の流れについて来られているでしょうか?

  

はじめに

あなたの勤めている企業や業界では、今現在何が求められているでしょうか?

一昔前、特に20世紀後半から2000年代初頭にかけて、企業は以下のような要素を重視していました。

  • 安定性
  • 長期雇用
  • プロセス志向
  • 忠誠心
  • 学歴や資格

特に、会社に対する忠誠心やコミットメントが重視され、長期間同じ企業で働くことが美徳とされていた時代です。

そこから20年以上もの時が経ち、テクノロジーの進化やグローバル化、イノベーションの加速など世の中は刻一刻と変化しています。

それに伴い、求められる人材像というものも全く異なるものに変わっており、適応できない者は淘汰されているのが現状です。

今までは、言われたことを忠実にこなしていれば良しとされていましたが、現代ではそうはいきません。

求められているものは何か?今後どのような対応が迫られるのか?について理解していないと時代に取り残されてしまいますので、VUCA時代のビジネス環境について詳しく知っておくことが重要です。

今回、解説していく内容は以下の通りです。

  • VUCAとは?
  • VUCAが注目されているのはなぜか?
  • VUCA時代に求められる人材
  • VUCA時代に求められる6つのスキル
  • VUCA時代のキャリア形成に必要な3つの行動
  • VUCA時代に企業が取るべき5つの行動

VUCA時代に必要な要素さえ押さえてしまえば、企業や業界がどう変化しようと適応していけますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

VUCA(ブーカ)とは?

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった用語で、現代のビジネス環境や社会状況を説明するために使われます。

現代の不安定で複雑なビジネス環境では、従来の固定観念にとらわれず、柔軟で創造的なアプローチが求められます。

では、各要素について詳しく見ていきましょう。

 

Volatility(変動性)

Volatility(変動性)とは、環境や状況が急速かつ予測不可能な形で変化する特性のことで、特にビジネス環境や市場における不安定性のことを指します。

Volatilityの具体例は以下の通りです。

  • 市場の価格変動:原油価格の急激な変動、仮想通貨の価格変動
  • 技術の進歩:スマートフォンの登場により、通信業界やアプリ市場が急激に成長
  • 政治的不安定:政権の交代や政策変更による市場の動揺
  • 自然災害:地震やハリケーンによる供給チェーンの混乱、工場の停止

このような不安定性があると、長期的な戦略計画が立てにくくなったり、リスク管理や緊急対応策の整備などが必要となります。

 

Uncertainty(不確実性)

Uncertainty(不確実性)とは、将来の出来事や結果を予測するのが困難なことを指します。

Uncertaintyの具体例は以下の通りです。

  • 市場の需要予測:新商品の市場投入時に顧客がどの程度受け入れるかが不透明
  • 規制の変動:環境規制の強化や貿易関税の導入が企業活動にどう影響するかが不明瞭
  • 競争環境の変化:技術革新により新たな競争相手が出現し、競争優位性が失われる可能性
  • 経済状況の変動:経済成長率の変動やインフレの予測が難しい状況

このような不確実な状況では、情報が不足しているため意思決定が困難になったり、事業の成功確率を低く見積ったりとリスクマネジメントが複雑になります。

 

Complexity(複雑性)

Complexity(複雑性)とは、多くの関連要素が絡み合い、単純な因果関係では説明できないことを指します。

Complexityの具体例は以下の通りです。

  • グローバルサプライチェーン:自動車産業では部品が世界中の異なるメーカーから供給され、複数の国で組み立てられる
  • 法規制の多様性:医薬品や食品業界では、各国の規制に適合するための複雑な手続きが必要
  • テクノロジーの相互依存:クラウドコンピューティングやIoTは、多くの異なる技術やプロバイダーが連携して動作する
  • 組織の多層構造:グローバル企業では、地域ごとのマーケティング戦略や製品ラインが異なる

このような複雑性があると、正確で迅速な意思決定や組織全体の管理が難しくなったり、システムやプロセスの一部の問題が全体に広がりリスクが高まります。

 

Ambiguity(曖昧性)

Ambiguity(曖昧性)とは、状況や情報が明確でなく多義的であり、解釈が難しい状態を指します。

Ambiguityの具体例は以下の通りです。

  • 新市場への参入:新興市場での消費者の嗜好や行動が不透明で、どの製品やサービスが受け入れられるかが不確定
  • 技術革新:AIやブロックチェーンのような新技術が具体的にどの産業でどのように使われるかが明確でない
  • 政策や規制の変更:環境規制の変更が企業の製品ラインや生産プロセスにどう影響するかが曖昧
  • 社会的変化:持続可能性や多様性に関する社会的な期待がどのようにビジネスに影響するかが明確でない

このような曖昧性があると複数の解釈が可能なため、どの戦略が最適かを決めるのが難しくなったり、複数のシナリオを考慮することから意思決定が遅れたりします。

 

VUCAが注目されているのはなぜ?

VUCAが注目されるようになったのは、現代のビジネス環境や社会情勢が急速に変化し、予測不可能で複雑化しているためです。

具体的な背景は、以下の通りです。

  1. テクノロジーの進化が急速で、企業は常に最新の技術に対応する必要がある
  2. AI・IoT・ブロックチェーンなどの新技術が次々と登場し、ビジネスモデルや業界全体を一変させている
  3. グローバル経済の進展により、企業は多国籍展開を進める一方で国際的な競争も激化している
  4. サプライチェーンが国境を越えて複雑化し、一国の政治や経済の変動が世界全体に影響を与えている
  5. 経済の不安定さや社会的な変動が増加し、予測が難しくなっている
  6. 新型コロナウイルスの流行により、企業はリモートワークやデジタルトランスフォーメーションを加速させる必要に迫られた
  7. 環境意識の高まりにより、サステナブルな製品やサービスへの需要が増加した
  8. SNSの普及により、消費者の情報収集や購入行動が変わり、口コミや評判が即座に広がるようになった
  9. 多様な働き方や価値観を持つ人材が増え、組織の運営や管理が複雑化している
  10. リモートワークやフリーランスなどの新しい働き方が増加し、組織の柔軟性が求められている

このような環境に対応するためには、従来の戦略やマネジメント手法を見直し、柔軟で適応力のあるアプローチをする必要があります。

企業はもちろんのこと、一人ひとりがVUCAを理解し、現代で求められている能力を養うことが必要不可欠となっています。

 

VUCA時代に求められる人材

VUCA時代に求められる人材は、変化に柔軟に対応し、複雑で不確実な問題に対して創造的かつ効果的に対処できる人です。

細かな特徴を挙げると、以下のようになります。

  • 学ぶ力が高い人
  • リーダーシップがある人
  • 責任感がある人
  • 適応能力が高い人
  • 客観視できる人

不安定な世の中だからこそ、少しでも安定を求めて現状維持に努める人がいますが、それは正しいとは言えません。

DX化やIoT化など、様々なものが変化している中での現状維持は退化しているのと同じです。

フジ・メディア・ホールディングスや博報堂DYホールディングスなどで早期・希望退職の募集があったように、大手企業でさえも不必要な人材は切り捨てられる時代です。

このような急速に変化するビジネス環境を生き抜くには、決して立ち止まってはいけません。

環境の変化に対して、何をしたら良いのか分からなくなる気持ちも分かりますが、少しでも多くのことを学んで、前向きに取り組んでいくことが何よりも大切なことです。

 

VUCA時代に求められる6つのスキル

では、具体的にどのようなスキルを身に付けるべきなのか?

VUCA時代に求められる6つのスキルは、以下の通りです。

  1. 情報処理能力
  2. 問題解決能力
  3. 行動力
  4. 意思決定力
  5. コミュニケーション能力
  6. 臨機応変な対応力

VUCA時代は、常に技術が進化しているため、デジタルスキルや最新技術の習得も必要です。

しかし、変化し続けるビジネス環境に適応するためには、ベースとして上記6つのスキルを身に付けるべきです。

 

①情報処理能力

情報処理能力は、急速に変化する環境に対応し、正確な判断を下すために必要不可欠な能力です。

具体的には、以下のようなスキルや特性が含まれます。

  1. データリテラシー:データの収集と管理、分析、可視化
  2. クリティカルシンキング(批判的思考):情報の信頼性や妥当性を評価
  3. システム思考:全体像の把握、因果関係の分析、シナリオプランニング
  4. 情報の統合と応用
  5. デジタルテクノロジーの活用

情報処理能力が高ければ、膨大な情報を正確に理解し、迅速に処理するとともに効果的な意思決定が行えるようになります。

細かなメリットは、以下の通りです。

  • 最新情報を迅速に収集し、適切な対応策を講じることで競争力を維持できる
  • 信頼性の高い情報に基づいて意思決定を行うことができる
  • 多面的に情報を分析し、相互関係を理解することができる
  • 不完全な情報でも十分な分析を行い、最善の意思決定を下すことができる
  • 膨大な量の情報を効果的に処理し、重要なインサイトを引き出すことができる
  • 有益なインサイトを導き出し、戦略的な意思決定に活用できる

このように、正確な判断を下すためには情報処理能力が大前提として必要であると言えます。

普段から必要な情報を見つけるのに苦労している人や、情報の信頼性を確認していない人は、情報処理能力が低いかもしれませんので、まず第一優先で能力向上に努めましょう。

 

②問題解決能力

問題解決能力は、迅速かつ効果的に対応するための多面的なスキルセットです。

具体的には、以下のようなスキルや特性が含まれます。

  1. クリティカルシンキング(批判的思考):信頼性や妥当性を評価し、バイアスを排除して論理的に問題を分析する能力
  2. クリエイティブシンキング(創造的思考):新しい視点や斬新なアイデアを生み出し、従来の方法では解決できない問題に対処するための能力
  3. システム思考:複雑なシステム全体を理解し、その中での相互関係や影響を考慮する能力

情報を正しく収集、分析できたならば、次はそれを元に問題を速やかに解決へと導かなければなりません。

その時に必要となるのが問題解決能力です。

問題解決能力が高くなると、以下のようなメリットがあります。

  • 迅速に問題を特定し、解決策を見つけられる
  • 不確実な状況でも適切に判断し、リスク管理できる
  • 複数の視点から問題を分析し、包括的な解決策を見つけられる
  • 限られた情報から最善の判断を下すことができる

VUCA時代は、テクノロジーの進化やグローバル化、規制の変化などにより、ビジネス環境や社会環境が急速に変化しています。

これに対応するためには、とにかくスピードが命です。

迅速に問題を特定し、解決策を見つけるためには、問題解決能力の高さが求められます。

問題が発生した時に手当たり次第に試す人や、原因を詳しく調べずに表面的な解決策だけ探す人は、まずは思考力を磨きましょう。

 

③行動力

行動力とは、実際に実行する能力です。

どんなに情報を適切に処理し、問題解決できたとしても、それを行動に移さなければ何の意味もありません。

前述した通り、VUCA時代は変化が激しいためスピードが命です。

どれだけ迅速に実行できるかが重要ですので、情報処理能力と問題解決能力、そして行動力はセットととして考えるべきです。

ただ、一口に行動力と言っても、あらゆる要素が組み合わさったものなので、意気込むだけでは能力は向上しません。

能力アップに必要な要素としては、以下の8つが挙げられます。

  1. 判断力:限られた時間と情報の中で最善の判断を下す能力
  2. 即応性:決定後すぐに行動を開始し、状況に適応する力
  3. リスク評価:受け入れるべきリスクを判断する能力
  4. 挑戦心:未知の領域や新しい課題に積極的に挑戦する意欲
  5. レジリエンス:逆境に直面しても立ち直り、前進し続ける能力
  6. コミットメント:目標に対する強い責任感
  7. 自己啓発:モチベーションを維持する力
  8. 変革志向:現状に満足せず、常に改善や革新を目指す姿勢

これらの能力が行動力の源になっているため、まずは一つひとつ見直してみましょう。

 

④意思決定力

意思決定力は、変動の激しい環境において、組織や個人の成果を最大化するために必要不可欠な能力です。

ベースには、前述した情報処理能力や問題解決能力がありますが、以下のようなスキルや特性も含まれます。

  1. 即応性:必要な情報を迅速に収集し、短時間で判断を下す力
  2. 決断力:複数の選択肢の中から迅速に最適なものを選び取る能力
  3. 適応力:状況の変化に応じて柔軟に決定を変更する力
  4. シナリオプランニング:様々なシナリオを考慮し、異なる状況に対する対応策を準備する能力
  5. リスクアセスメント:潜在的なリスクを識別し、その影響を評価する能力
  6. システム思考:問題の全体像を把握し、要素間の相互関係を理解する能力
  7. 長期的視野:短期的な利益だけでなく、長期的な影響を考慮した判断を下す力
  8. 倫理的意思決定:利害関係者の利益や社会的影響を考慮して決定を下す能力
  9. 社会的責任:企業や組織の持続可能性や社会的影響を考慮した決断を行う能力

意思決定力が高ければ迅速な対応ができますし、適切な判断と行動を繰り返すことで成果を出し続けることができるようになります。

この能力を高めるには、ベースとなる情報処理能力や問題解決能力の向上、そしてリスクや全体像の把握などが必要です。

多角的な視点で物事を考え、処理できるようになったら、素早い決断や判断を意識してみるのがよいでしょう。

 

⑤コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、いつの時代も必要とされますがVUCA時代は特に重要です。

一口にコミュニケーションといっても幅広いので、端的にまとめると以下の4つがポイントとなります。

  1. 透明性と信頼の確立
  2. 柔軟性と適応力
  3. クリティカルシンキングと建設的なフィードバック
  4. デジタルコミュニケーションの活用

変動性が高い環境では、情報の共有と信頼の確立が成功の鍵となるため、誠実かつ透明性のあるコミュニケーションを行い、信頼を築くことが大切です。

また、環境の変化に迅速に対応するためには、柔軟なコミュニケーションが求められます。

複雑な問題を解決する際はクリティカルシンキングを促進し、建設的なフィードバックを提供するコミュニケーションが重要です。

リモートワークで仕事をしている人は日頃からよく行っていると思いますが、オンラインツールやプラットフォームを利用したコミュニケーションも必要です。

このように、様々な形でコミュニケーションを取ることがVUCA時代では求められるため、ただ情報共有ができるだけではいけません。

定期的なチームミーティングやフィードバックセッションを通じて組織文化は強化されていきますので、積極的かつ質の高いコミュニケーションを取るようにするのが大切です。

 

⑥臨機応変な対応力

臨機応変な対応力とは、どのような場面でも迅速かつ柔軟に対応できる能力のことです。

具体的には、以下のようなスキルや特性が含まれます。

  1. アジャイル思考:変化を前提として行動し、必要に応じて計画や戦略を迅速に変更する力
  2. 柔軟な計画立案:長期的な計画だけでなく、短期的な目標やアクションプランを設定し、状況に応じて調整する力
  3. 迅速な意思決定:迅速に情報を収集、評価し、決定を下す能力
  4. 創造的思考:新しいアイデアや方法を考え出し、実行に移す力
  5. 状況判断力:全体像を把握し、状況に応じた判断を行う力
  6. 優先順位の設定:多くの課題の中から重要なものを識別し、優先順位を設定する力
  7. 継続的学習:新しい知識やスキルを積極的に習得し続ける姿勢
  8. 自己改善:自己の強みと弱みを評価し、常に改善を図る力

前述した意思決定力や行動力も含まれますが、臨機応変な対応をする上では、柔軟性と創造的思考の2つが特に重要です。

これらが備わっていることで、計画が予期せぬ事態によって変更を余儀なくされる場合でも、柔軟に対応できたり、創造的な解決策を見つけ出すことができます。

問題は、世の中の変化についてどれだけ目を向けられているかという点です。

意思決定力や行動力があることはもちろん、技術の進歩や市場の変動、経済的・政治的な変化などに敏感になっておくことが、結果的に臨機応変な対応を可能にします。

 

VUCA時代のキャリア形成に必要な3つの行動

では、個人レベルではどのようなことに取り組めばよいのでしょうか?

VUCA時代のキャリア形成に必要な3つの行動は、以下の通りです。

  1. キャリアの軸を見つける
  2. 世の中の動きをチェックする
  3. リスキリングに取り組む

 

①キャリアの軸を見つける

VUCA時代の特徴である変動性や不確実性などに対応するためには、変化に柔軟に対応できる基盤が必要です。

キャリアの軸があることで、どのような変化が起きても自分の価値観や目標に基づいて適応することができます。

具体的なアプローチは以下の通りです。

  1. 自分の強みや弱み、価値観や興味、情熱などを理解する
  2. 自分が大切にする価値観や信念を明確にする
  3. 短期的および長期的な目標を設定する
  4. 実際の仕事やプロジェクトを通じて経験を積み、スキルと知識を広げるとともに自分の適性や興味を確認する

最も重要なのは、キャリアで大切にしたいものは何か?ということです。

専門性を磨きたいのか?人の役に立つことがしたいのか?管理職になりたいのか?

ここを明確にすることで、的確に目標設定ができますし、信念を持って取り組むことができます。

変化の激しい現代では、いつ業界の常識が変わるかも分かりません。

もしかしたら、明日から新しい仕事が始まるかもしれないですし、新たな仕事のオファーが来る可能性だってあります。

そういった時に、キャリアの軸がないと「何がしたいのか分からない」「本当にしたいことって何だっけ?」という状況に陥ってしまいます。

そのため、まずはキャリアで大切にしたい価値観や目標というものを明確にすることから始めましょう。

 

②世の中の動きをチェックする

世の中の動きをチェックすることは、変わりゆくビジネス環境に適応し、継続的な成長を遂げるために必要不可欠なものです。

いつの時代でも必要なことですが、変化の激しい現代においては特に重要なことと言えます。

使用する媒体は、ニュースサイトでもニュースアプリでも使いやすいものを選べばよいでしょう。

大切なのは、幅広い情報を入手することと、信憑性の高い情報とそうでないものを見極めることです。

VUCA時代では、複雑性が増しているため、問題解決には多角的な視点と幅広い知識が必要です。

多様な情報源から洞察を得ることができれば、自分の業界や仕事に応用できる新しいアプローチやアイデアが見つかりやすくなります。

また、情報量が多いことが問題であるため、情報の取捨選択は徹底して行い、嘘の情報に惑わされることがないようにしましょう。

 

③リスキリングに取り組む

キャリアの軸が決まり、世の中の動向をチェックできるようになったら、後はスキルを身に付けて経験を積むのみです。

今回解説した6つのスキルを身に付けることも必要ですし、キャリアチェンジや新たな役職に必要なスキルについて学ぶのでもよいでしょう。

とにかく、自分の立てた目標と現状とのギャップを埋めるためにリスキリングを行うことが重要です。

日本は他の先進国と比べて、成人の学習意欲が低いと指摘されています。

また、「世界一学ばない国」「アジアで最も大人が学ばない国」とも言われています。

労働時間が長く、時間的制約が大きいのもあると思いますが、全ての人がそうではないでしょう。

休憩や通勤中の隙間時間を見つけて勉強している人もたくさんいます。

やるかやらないかは自由ですが、世の中は止まってはくれません。

時代の流れに取り残されたくない人は、今すぐに行動を起こすことをおすすめします。

 

VUCA時代に企業が取るべき5つの行動

個人一人ひとりが主体性を持って取り組めるのが一番良いですが、中々そう簡単にはいきません。

そこで必要なのが、企業も同じようにVUCA時代に合った取り組みを行うことです。

VUCA時代に企業が取るべき5つの行動は以下の通りです。

  1. OODA ループを活用する
  2. マネジメント層を育成する
  3. 主体性の高い人材を育成する
  4. 多様な人材を取り入れる
  5. チャレンジし続ける組織を作る

 

①OODAループを活用する

VUCA時代の組織作りには、OODAループの活用がおすすめです。

OODAループとは、意思決定のフレームワークで、特に不確実で変動する環境において迅速かつ効果的に行動するための方法です。

具体的なステップは以下の通りです。

  1. Observe(観察):現状を広範囲に観察し、情報を収集するステップ。自分の置かれている環境や状況、競合の動向、利用可能なリソースなどを把握することが目的。
  2. Orient(適応):観察によって得られた情報を基に状況を分析し、理解するステップ。過去の経験や価値観、直感などを活用し、情報を解釈して行動の方向性を決定する。
  3. Decide(決断):適応の結果を基に、最適な行動を決定するステップ。複数の選択肢を評価し、最も効果的と思われる行動を選ぶ。
  4. Act(行動):決定した行動を実際に実行するステップ。行動を通じて状況に影響を与え、次の観察の段階に移行する。また、行動の結果を評価し、次のループに反映させる。

PDCAサイクルが、計画・実行・評価・改善の各ステップを丁寧に進めることで継続的な改善を目指すのに対し、OODAループは、観察から行動までのサイクルを短時間で繰り返すことが特徴です。

すなわち、迅速な意思決定と適応性が求められる動的な環境(VUCA時代)において有効となります。

PDCAサイクルが悪いというわけではなく、安定した環境での継続的な改善に適しているということです。

PDCAサイクルは、計画を立てて評価と改善をすることに重きを置いていますが、OODAループは行動を重視していて、実際に動きながら必要であれば改善していくような流れになります。

VUCA時代には、情報処理能力や意思決定力、行動力などが求められると解説しましたが、OODAループを実践することで、自然とその資質が身に付くのもメリットです。

 

②マネジメント層を育成する

VUCA時代はスピード感が命ですので、素早い意思決定や行動を起こすマネジメント層をいかに早く育成できるかがポイントです。

優秀なマネージャーが育てば、従業員のエンゲージメントを維持し、組織全体の士気を高めることができます。

マネジメント層を素早く育成するためには、以下の8つのポイントに注力することが重要です。

  1. 明確な目標設定と期待値の共有:明確な職務記述書や評価基準を提供する
  2. メンターシップとコーチング:経験豊富なリーダーが定期的に新任マネージャーと1対1で面談を行う
  3. 実践的な経験の提供:小規模なプロジェクトやチームのリーダーを任せる
  4. 定期的なトレーニングプログラムの提供:定期的なリーダーシップトレーニングセミナーの開催
  5. 定期的なフィードバックと評価:同僚や部下からのフィードバックを集める
  6. 自己学習の奨励:オンライン学習プラットフォームへのアクセスを提供する
  7. 強力な社内文化の構築:企業のミッションやビジョンに沿った行動を奨励する
  8. 個々の強みや弱みに応じたサポート:個別の成長計画を策定し、定期的に見直す

注意すべきは、その人の状況に合ったアプローチでなければ意味がないということです。

自分に何が足りないのか分からないという人に、トレーニングセミナーを勧めても効果的かどうかは定かではないでしょう。

そのため、必ず1on1ミーティングや定期的なフィードバックを通してコミュニケーションを取ることが大切です。

 

③主体性の高い人材を育成する

マネジメント層の育成と同様に、主体性の高い人材の育成も重要です。

主体性の高い人は、自ら考え行動し、自己の成長や周囲の状況改善に対して積極的に取り組むことができるため、組織やチームにとっても価値のある存在となります。

主体性の高い人材を育成する際のポイントは、以下の通りです。

  1. 自己意識を促す:自己理解を深める機会を提供する
  2. 責任感を養う:責任を持つ機会を与える
  3. 自己決定権を与える:自分で問題を発見し、解決策を考え、行動する機会を与える
  4. 挑戦と成長をサポートする:新しいプロジェクトや役割にチャレンジする機会を提供する
  5. 成果や努力を適切に評価する:定期的にフィードバックを行う
  6. 実践的なアドバイスや支援をする:メンターシップやコーチングを提供する
  7. 組織文化を育てる:主体性やイニシアチブを奨励する組織文化を築く
  8. 継続的な学びを提供する:自己成長を促進するためのトレーニングやセミナーへのアクセスを提供する

主体性の高い人材が増えれば、組織全体のパフォーマンスやイノベーション能力を向上させることが可能です。

 

④多様な人材を取り入れる

多様な人材を取り入れることは、持続的な成長を実現するために非常に重要なことです。

多様な人材を取り入れるメリットは、以下の通りです。

  1. イノベーションの促進
  2. 意思決定の質向上
  3. 市場競争力の強化
  4. 社員満足度とエンゲージメントの向上
  5. ブランドイメージの向上
  6. 問題解決能力の向上

異なる視点やアプローチが交わることで、全ての取り組みにおいて従来の枠にとらわれることがなくなります。

すなわち、多様なニーズや市場に対応できる柔軟性が高まるということです。

VUCA時代は、複雑で変化の激しい環境ですので、組織として適応していくためには多様性を重視するのも一つの手段と言えます。

 

⑤チャレンジし続ける組織を作る

主体性の高い人材育成にも繋がることですが、チャレンジし続ける組織作りというのも大切です。

人は環境によって良くも悪くも変わります。

置かれている環境が悪ければ、従業員のエンゲージメントは下がりますし、反対に環境が良ければ上がるものです。

では、チャレンジ精神に満ち溢れた組織であればどうでしょうか?

おそらく、以下のような効果が期待できます。

  1. 変化を恐れずに新しいアイデアやアプローチを試みることで迅速に対応できる
  2. 既存の枠にとらわれず、新しい解決策やビジネスモデルを創造することで不確実性に対処できる
  3. 多様な視点やスキルを活用し、複雑な問題に対して多角的なアプローチを試みることで、効果的な解決策を見つけられる
  4. 社員のモチベーションやエンゲージメントを高め、組織全体の活力を向上させる
  5. 競合他社よりも先に新しい取り組みを行い、競争力を維持・向上させることができる

このような組織文化を醸成することで、変化の激しい現代においても持続的な成長と競争力を維持することができます。

ポイントは、リーダーシップの強化やインセンティブの見直しなど色々ありますが、まずはビジョンやミッションを明確にして、それに基づいた目標設定を行い、全員が同じ方向を向くことが必要です。

 

まとめ

今回は、VUCA時代に求められる人材やスキル、そして個人や企業がやるべきことについて解説しました。

VUCA時代は、ビジネス環境や政治、経済などの変動が激しいため、適応能力の低い人は淘汰されていきます。

様々な能力や資質が求められる中で、特に重要なのは以下の6つです。

  1. 情報処理能力
  2. 問題解決能力
  3. 行動力
  4. 意思決定力
  5. コミュニケーション能力
  6. 臨機応変な対応力

自分の望むキャリア形成をしていくには、これらの能力を含め、足りない部分のリスキリングを行う必要があります。

それにはまず、自分がキャリアで何を大切にしたいのか、価値観や目標を明確にすることが大切です。

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Who is writing

医療系大学卒業後、理学療法士として医療機関に勤務。その後、整体院を運営をするなかでWebマーケティングも経験する。コンテンツ制作スキルを活かし、医療健康分野や不動産、プログラミングなどの幅広いジャンルの記事執筆を行うとともにWebディレクションにも従事。「一人でも多くの人の悩みを解決する」をモットーに活動の幅を広げている。