書類選考で落ちる最も大きな3つの理由|採用担当者は何を見ているか

職務経歴書が落ちる最大の理由。採用担当者が何を見てどこで切るのか?のべ4万人を見てきた採る側の視点から解説します。

書類選考に通らない本当の理由は『見せ方』にある

前回、書類選考で落ちる理由の多くは実力ではなく「見せ方」にある、とお伝えしました。

今回はもう一歩踏み込みます。

先に正直に言います。

書類審査を通過できない職務経歴書のポイントは、おそらく20以上あります。

誤字脱字、応募先とのミスマッチ、空欄の多さ、書式、転職回数の見せ方——きりがありません。

ですが、それらの多くはたった一つの同じ場所から生まれています。

応募先の採用担当者が何を見ているか、まったく想像できていないのです。

つまり、自分視点で書かれていて、読む側の視点で書かれていない。

これがすべての根っこです。

今日は、その自分視点が最も大きな失点になって現れる、代表的な3つをお伝えします。

 

理由① 冒頭に「結論」がない

採用担当者が真っ先に読むのは、冒頭の職務要約です。

「この人は当社の成長に役立つ人材であるか?」を掴めるかどうかが、最初の分岐点になります。

ところが、多くの職務経歴書は冒頭がこうなっています。

「新卒で◯◯株式会社に入社し、営業部に配属され……」

入社時点からの時系列で、経歴をなぞり始める書き出しになっているケースが多いです。

これだと、採用担当者は何ができる人かを掴むために、最後まで読まなければなりません。

十数秒しかかけない相手に、それを求めるのは無理があります。

職務要約は200〜300字が目安です。

そして冒頭に、応募先が一番知りたい「あなたの核」を置く。

経歴の説明ではなく、「私はこういう成果を出せる人間です」という結論を先に出す。

これだけで、読まれる確率が変わります。

 

理由② 実績が「数字」ではなく「形容詞」で書かれている

「売上に大きく貢献しました」「多くの顧客から高い評価を得ました」

よく見る書き方ですが、採る側にはほとんど何も伝わりません。

「大きく」「多くの」「高い」は、書いた本人の主観であって、客観的な事実ではないからです。

採用担当者が見ているのは数字、つまり定量的な結果です。

「売上を前年比130%に」「担当顧客の継続率を85%まで改善」「12カ月連続で目標達成」。

同じ実績を数字で書くことによって、成果の輪郭がはっきりと伝わるようになります。

とくに業界や職種が違う相手に読まれる場合、数字以外に成果の大きさを伝える手段はありません。

あなたにとっての「当たり前の成果」を、第三者が分かる数字に翻訳する。

これが、書類審査の通過確率を上げる必須条件です。

理由③ 何ができる人か分からない「時系列の羅列」

経験豊富な40代・50代に最も多いのが、このパターンです。

20年分の職歴が、古い順に漏れなくびっしりと並んでいる。

一つひとつは事実で嘘はありません。誠実そのものです。

でも、採用担当者からすると「結局、何が強みの人なのか?」が浮かび上がってこない。

情報は全部あるのに、要点がないのです。

家電量販店で、細かいスペック表だけ渡されて「で、これは何がいいの?」となる感覚に近いかもしれません。

経歴が長い人ほど全部を均等に書こうとします。

しかし、通る書類は逆です。

応募先で活きる経験を厚く、関係の薄い経歴は薄く。

場合によっては、職歴ごとではなく「経験業務ごと」にまとめ直す。

同じ素材でも、編集の仕方で、伝わり方はまったく変わります。

 

3つの理由に共通する特徴とは?

上記3パターンの根っこは同じです。

「書いた本人の視点」で書かれていて、「読む側の視点」で書かれていない。

なぜ、こんなことが起きるのでしょうか?

ここには、心理学的な理由があります。

「知識の呪い(The Curse of Knowledge)」と呼ばれる認知バイアスです。

あることを深く知っている人ほど、それを知らない相手の頭の中を、うまく想像できなくなるという現象です。

1990年に、スタンフォード大学のエリザベス・ニュートンが行った、有名な実験があります。

ある人に、誰もが知っている曲のリズムを、机を指で叩いて相手に伝えてもらう。

叩く本人の頭の中では、メロディがはっきりと鳴っています。

だから「これくらい、相手にも当然伝わるはずだ」と感じる。

ところが、聞く側にとっては、ただの不規則なノックの音でしかありません。

叩く人は「伝わるはず」と大きく見積もるのに、実際に曲を当てられた聞き手はごくわずかだったのです。

職務経歴書で起きているのは、これとまったく同じことです。

あなたは、自分のキャリアのメロディを知り尽くしています。

どんな苦労をし、どんな成果を出したか、頭の中では鮮やかに鳴っている。

だから「書けば伝わるはずだ」と感じる。

けれど、採用担当者に届いているのはそのメロディではなく、文字という「ノックの音」だけです。

あなたの頭の中で鳴っているものは、書類には映りません。

ここで大事なのは、これが能力の問題ではないということです。

知識の呪いは、頭の良し悪しとは関係ありません。

むしろ、その分野を深く知っている人ほど強くかかります。

脳が「知っていること」を前提として省略してしまう、いわば効率化の副作用なのです。

長年「客観的に判断して改善する」を仕事にしてきた人でさえ、自分の書類となると手が止まる。

それは、その人が優秀かどうかとは、まったく別の話なのです。

そして冒頭で触れた3つの理由も根は同じところにあります。

一つずつ個別につぶしても、この「知識の呪い」が解けなければまた別の失点が現れる。

結局は「採る側の目で、自分の書類を見直す」ことでしか、まとめてほどけないのです。

だからこそ、第三者の——それも「採用する側」の目が要ります。

 

あなたの書類はどのタイプに当てはまりますか?

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採用担当者が見るポイントに沿って、あなたの職務経歴書がどう映っているかを診断します。

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次回は最終回です。

診断で自分の弱点が見えたあと、それを「実際に通る職務経歴書」へどう仕上げるか——その先の話をします。

 

PS:

人材紹介に携わる方へ。

今日の3つの型は、そのまま御社の候補者の書類に当てはまっているはずです。

とくに600〜800万円クラスの40代候補者は、実力が高いぶん理由③時系列の羅列に陥りやすい層です。

ここの通過率が1割上がれば、決定率に何が起きるか——次回、具体的にお話しします。

Who is writing

株式会社経営人事パートナーズ 代表取締役 / 元・日産自動車 グローバル人事部長

横浜国立大学大学院 工学研究科修了。日本交流分析学会 正会員。

エンジニア・商品企画出身という、人事としては異色の経歴の持ち主です。

2010年、突然のグローバル人事部長への異動から私の人事人生は始まりました。

任されたのは、世界25万人の社員の採用・離職管理と、約1兆円の人件費マネジメント。

人事未経験での船出は悪戦苦闘の連続でしたが、3年後にはそれらを毎月役員会に報告できる体制をつくり上げていました。

そこで得た教訓は「人事のすべての仕事は、つなげて考えたほうがうまくいく」というもの。

採用・育成・評価をバラバラに最適化するのではなく、全体としてとらえる。

自分を客観視しにくいのは人も会社も同じだからこそ、私たちは数多くの成功と失敗の経験を活かして、お客様の人事課題を一緒に考えるパートナーを目指しています。

「人は、会社がなくても生きていける。でも、会社は人がいなければ存続できない」——

その想いで、日々お客様と向き合っています。