
「人間の脳はさまざまな機能を持つ部位から成り立っている。」
といったことを、かつて生物の授業で習った記憶があります。
運動機能を司る前頭葉。
思考を司る頭頂葉。
聴覚を司る側頭葉。
例えば事故などで特定の部位が使えなくなってしまうと、その部位に対応する機能のみが失われてしまう、といった事例も聞いたことがあります。
他にも右脳人間と左脳人間なんていう言葉も度々聞かれ「左利きだから右脳人間だ。だから芸術家肌だ。」なんていうことも、どこまで信憑性があるかはわかりませんが言われたりします。
途中で利き手を変えた人はどうなるのか?とか。
個人差の方がどう考えても大きい気もするのですが、それはさておき。
脳がさまざまな機能を分割して担当していることは間違いありません。
そしてそのことにより、私たち人間は高度な動きや思考ができる、と思うと、生物の複雑さはすごい!と感動してしまいます。
実は先日、機械学習の分野においても「複数部位の協働」が指摘されました。
先月末に出された論文「Advances and Challenges in Foundation Agents」によると、多様な行動をとることができる「インテリジェントエージェント」のためには、複数のモジュール(部位)を用意して、それらを相互に結びつける必要があるようなのです。
https://arxiv.org/abs/2504.01990
この論文は世界の名だたる研究期間に属する研究者46名が共同で出版したものです。
論文の概要を読んでみると、自己強化や進化が可能なエージェントについて述べられていて、まさにドラえもんが現実に登場するような、そんな期待感があります。
そしてそのようなエージェントの開発には、それぞれ異なる対応分野を持つ機械学習モデルが欠かせない、と結論づけられています。
まさに、人間の脳が複数のパーツで構成されているという状況にとても似ています。
人間の神経回路を模倣する、という考え方から始まったニューラルネットワークは、ついに「脳の構造を模倣する」フェーズに入っているのかもしれません。
もし仮に、エージェントを構成する一つのモジュールが壊れてしまったら、果たしてその挙動は人間と比べてどのように違うのでしょうか。
その辺りも、研究対象としてはとても面白そうです。
P.S.
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https://48auto.biz/keieijinji/touroku/sp/scenario13.htm
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