【多様性がキー】サラブレッド生産界の新たな挑戦に企業の多様性をみる

多様性は組織運営の上で重要なテーマです。しかし、それは人間社会に限った話ではありません。今回は競走馬生産の視点から多様性を考えます。

  

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はじめに

昨今、多様性は組織運営の上で重要なテーマになっています。

しかし、それは人間社会に限った話ではありません。

日本のサラブレッド生産界では希少な血統の種牡馬「パールシークレット」が導入されました。

この導入が日本の馬産の多様性にどのような影響をもたらす可能性があるのか。

今回はサラブレッドの生産業界の側面から、企業社会の多様性についても考えてみたいと思います。

 

日本の近代競馬の歴史と栄光

横浜にある旧根岸競馬場の「一等馬見所」

現在の競走馬の生産についてお話する前に、まず日本の近代競馬の歴史について簡単にみてみましょう。

日本の競馬の始まりは幕末までさかのぼり、当時、横浜に在留していた外国人が1862年に始めたのが由来と言われています。

1888年には馬券が売られるようになりましたが、問題が多発。1908年に馬券の販売は一旦、禁止となります。

その後、競馬関係者が政府にかけあい、1923年に旧競馬法が制定され、馬券が再度、販売されるようになりました。

競馬運営組織は太平洋戦争を経て、1954年に日本中央競馬会(現在のJRA)が設立され、競馬はほぼ現在と同じシステムに収まります。

 

次に競走馬生産の歴史をみてみましょう。

馬産と言えば、北海道。北海道の馬産の歴史も江戸時代までさかのぼります。

幕府の調査により、馬産に適した土地に「牧」が作られ、そのうちの一か所が北海道の日高地方、現在の浦河町にありました。

この牧を解散した際、近所の農家に馬を払い下げたことがこの地域の馬産のベースになっているとも言われています。

明治時代に入ると政府は質の高い馬を生産するため、海外から指導者を呼び寄せて、西洋風の牧場を同じ日高地方の新冠(にいかっぷ)に開場。

新冠の隣・新ひだか町にある龍雲閣。伊藤博文公が新冠牧場の視察の帰りに立ち寄った。今も七言絶句の書が残る

ここには種牡馬も集められ、海外から繁殖牝馬も導入されました。

軍馬を生産する目的で開場されましたが、横浜の根岸競馬場に送られる馬もいたと言います。

 

北海道以外では、岩手県にある小岩井農場も太平洋戦争前からサラブレッドの生産をしていました。

ビユーチフルドリーマーなど海外の優秀な繁殖牝馬を導入し、素晴らしい成績を残す産駒を誕生させています。

日本初の三冠馬(皐月賞・ダービー・菊花賞を全て勝利した馬)のセントライトは小岩井農場の生産馬です。

 

このように順調に発展を遂げてきた日本の馬産ですが、戦後は農業機器が台頭してきたのに伴い、馬の生産数も激減します。

1948年には現在の競馬法が施行され、日本の馬産はそれまでの軍用馬や農耕馬から競走馬へとシフトしていきました。

 

競走馬の生産が盛んになるにつれ、海外から日本の競馬史を輝かせる種牡馬が輸入されるようになっていきました。

1975年にはノーザンテーストが種牡馬として社台グループによって輸入されます。

父のノーザンダンサーは世界の競馬を席巻。

現代のサラブレッドでは、ノーザンダンサーの名が5代前までに複数ある血統も珍しくないと言われています。

ノーザンテーストもアンバーシャダイやダイナガリバーなどの名馬を送り出し、1982年、リーディングサイアー(仔の獲得賞金額が1位の種牡馬)に初めて輝くと、通算10年にわたって種牡馬のトップとして活躍します。

90年代になるとトニービン、ブライアンズタイム、サンデーサイレンスといった日本の競馬界に多大な影響を与えた種牡馬が次々と輸入されます。

特に大きな影響を及ぼしたのがサンデーサイレンスでした。

産地のアメリカで種牡馬入りする予定でしたが、様々な経緯をたどって、日本に輸入されます。

ステイゴールドやサイレンススズカ、スペシャルウィークといった名馬を輩出し、日本の近代の競馬界を形作ります。

2015年ごろ 夏の日のスペシャルウィーク

初年度産駒がデビューした1994年にはG1勝ち馬を輩出し、1995年〜2007年にわたって、リーディングサイアーの称号をキープしました。

 

そのサンデーの息子で大将格が無敗の三冠馬ディープインパクト。

在りし日のディープインパクト

14戦12勝の輝かしい成績で種牡馬入りすると、2008年の初年度産駒からG1馬を複数頭出し、2012年〜2022年までリーディングサイアーとして君臨し続け、父と同じく大種牡馬の仲間入りを果たします。

ディープインパクト産駒にはダービー馬キズナや父以来となる無敗の三冠馬コントレイルといった国内の名馬に限らず、海外にもサクソンウォリアー、 スノーフォール、 ビューティーパーラー、スタディオブマン、オーガストロダンといったG1馬がおり、その影響は世界に及んでいます。

そんなディープの全兄ブラックタイドから生まれたキタサンブラックの息子が、2023年のワールド・ベスト・レースホース・ランキングで日本馬初のレーティング135をマークし、世界ランキング1位となったイクイノックス。

さらに2025年3月現在、日本のダート馬としては初の世界ランク1位の評価を得ているフォーエバーヤングは、ディープの息子リアルスティール産駒です。

種牡馬以外にも、シラオキ、パシフィカス、スカーレットインク、ダンシングキイ、ウインドインハーヘア、シーザリオといった素晴らしい繁殖牝馬たちがいたことも忘れてはいけません。

このように日本のサラブレッド生産者たちは海外から意欲的に血をとりこみ、挑戦をしてきました。

生産、育成、調教と日本競馬界全体で取り組んできた挑戦が結実し、とうとう、その血が世界に求められて、輸出されるまでになってきました。

日本競馬界は欧州や米国が優勢だった競走馬の勢力図を年々、塗り替えているのです。

 

そもそもサラブレッドって?

サラブレッドは英語表記すると「Thoroughbred」。「thorough」と「bred」という2つの単語から成り立っています。

「thorough」は「徹底的な」や「完全な」、「bred」は「繁殖された」を意味しています。

つまりサラブレッドは「徹底的に(管理されて)繁殖された」品種なのです。

サラブレッドと名乗れるのは各国の登録協会に血統が登録されている馬のみで、父と母のいずれも血統登録されていない場合は「サラブレッド」とは呼べません。

逆にサラブレッドであれば、どの馬も祖先をたどれると言えます。

そうなると気になるのが、サラブレッドの起源。

350年〜300年前ごろ、イギリスの在来種にアラブ種などスタミナが豊富な馬を掛け合わせたことによって生まれたのがサラブレッドだとされています。

このアラブ種など異系の馬たちが「始祖馬」です。

現代のサラブレッドの父、その父、そのまた父とサイアーラインを辿っていくと、始祖馬のうちの3頭「三大始祖馬」と呼ばれる馬に必ずたどり着くことができます。

この三大始祖馬が「ダーレーアラビアン」、「ゴドルフィンアラビアン(またはゴドルフィンバルブ)」、「バイアリーターク」です。

ChatGPTが描いた三大始祖馬。完璧ではないけど、いい線いってます

ダーレーアラビアンは1700年ごろの生まれで、イギリスの領事が持ち帰ったアラブ種。

ダーレーアラビアン系は現在の競走馬の95%以上を占めると言われています。

ゴドルフィンバルブは1724年ごろにシリアか北アフリカで生まれたアラブ種またはバルブ種の馬で、現在の競走馬に占める子孫の割合は数%とされています。

今回の記事の主役パールシークレットの祖先バイアリータークはイギリスのバイアリー大尉がトルコ軍から奪ったとされる1680年ごろ生まれたトルコ種で、子孫が現在の競走馬に占める割合は約1%と言われており、まさに風前の灯火。

特に日本ではダーレーアラビアン系が99.9%を占めるとも言われている状況です。

 

バイアリーターク系の盛衰

バイアリータークが種付したのはたった数年だったこともあり、父系(父側の血統)としては数代で淘汰される危機に陥りました。

しかし、その少ない産駒数の中から登場したのがバイアリータークの玄孫で大種牡馬のヘロド。

ヘロドの5代血統表 4代前にバイアリータークの名がある。JBISさんとnetkeibaさんの情報をベースに著者が自作

ヘロドは9歳で種付を始め、初年度産駒から種牡馬になるフロリゼルを輩出し、大人気の種牡馬となって、8度もリーディングサイアーの座に輝きました。

ハイフライアー、ウッドペッカーなど息子たちが父系を伸ばし、一大父系となりますが、ダーレーアラビアン系の大種牡馬セントサイモンの登場により、イギリスでは急速に衰退します。

その後、ドイツ、フランス、アメリカに渡った子孫が活躍しますが、20世紀を待たずして、各地で衰退の一途をたどりました。

そこから現在に至るまで、復活の狼煙が上がることもなく、バイアリーターク系は、イギリス、アメリカで多少、父系が残っているばかりで、絶滅の危機にあります。

日本でも流行った血統でした。

バイアリーターク系のパーソロンが種牡馬として1964年に輸入され、その子孫が日本で大活躍したのです。

その子孫には、オールドファンなら外せない名馬たち、メジロアサマ、メジロティターン、メジロマックイーン、シンボリルドルフ、トウカイテイオーといった面々が名を連ねます。

しかし、日本でも2000年代以降は父系としての勢いが徐々に衰えていきました。

何とか父系をつなげたいと有志が立ち上げたクラウドファンディングで種牡馬入りしたトウカイテイオーの直仔、クワイトファインが唯一、父系をつなげています。

母系に入ると、ゴールドシップ、オルフェーヴルやドリームジャーニーなどの血統表にその名をみることができます。

オルフェーヴル 母父のメジロマックイーンはパーソロンの曾孫

最後の希望?パールシークレット導入!

そんななか、2024年12月5日にサラブレッドの生産牧場「大狩部牧場」の下村優樹代表がバイアリーターク系の「パールシークレット」をイギリスから導入すると発表しました。

パールシークレット ファンは親しみを込めて大流星を「エクレア」と呼ぶ

パールシークレットは2009年生まれで、父はバイアリーターク直系アホヌーラ系の種牡馬のコンプトンプレイス。

産駒に重賞勝ち馬はいませんが、最初の4世代の勝ち上がり率は42%と高く、バイアリーターク系最後の希望とも言われている種牡馬です。

下村代表は2024年8月からひそかに動き出し、エージェントにお願いをして、前オーナーと粘り強く交渉を続けてもらいました。

先方との話はなかなかスムーズに進まず、秋に入っても大きな前進はなく、やきもきしたそうです。

ところが、いったん動き始めるととんとん拍子に話が進んでいき、さまざまな壁を乗り越えて、ついに導入にこぎつけることができました。

こうして、一人の情熱的な馬産家のラブコールに応えるようにして2025年1月18日、北海道新ひだか町にある種牡馬場アロースタッドに美しい栗毛の大流星パールシークレットが降り立ちました。

 

 

種牡馬導入はハイリスク・ハイリターンのギャンブル?

種牡馬の導入はサラブレッドの中でもリスクの高い投資だと言われています。

競走成績や血統を総合的に判断して優秀だと認められた牡馬だけが、種牡馬入りを許されますが、十分な数の繁殖牝馬を集めて受胎させ、成果を早く出さなくては種牡馬失格の烙印を比較的、短期間のうちに押されてしまう厳しい仕事だからです。

特に日本では最近、優秀な競走馬が増えており、種牡馬の数も増えていると言われています。

毎年新しい種牡馬が誕生するため、生産者の興味もそちらに向きやすく、一旦、ネガティブな印象がついた種牡馬には、とびぬけて成績のよい産駒が生まれない限りはセカンドチャンスに恵まれないこともあるのだとか。

また、優秀な競走馬が優秀な種牡馬になるとも限らず、そこまで悪くない成績を残している種牡馬でも、競走成績からの期待値から少し外れてしまっているなんてことがあれば、厳しい評価を受けがちです。

成功する種牡馬はほんの一握りであり、そういった種牡馬のオーナーになるのは非常に難しいことです。

さらに導入時の初期投資の値も張るため、海外からの導入に関しては非常にリスクの高い投資である(ハイリターンでもあります)と言われています。

実際に種付をしてみないと分からないこともあり、ギャンブル的な要素があることも否めません。

リスキーではありますが、種牡馬への投資なくして、馬産は成り立ちません。

その理由は下村代表がパールシークレット導入に踏み切った理由にもつながってきます。

生産牧場が導入に踏み切った理由

通常、海外から種牡馬を買い付ける場合、競走馬の売買を請け負うエージェントを介して、打診されることが多いようです。

導入時のリスクが高いことから、実は今回のパールシークレットのように種馬場を所有していない生産牧場が主体で海外から種牡馬を導入するのは非常に珍しいのだとか。

それでは、なぜ、下村代表は導入を決めたのでしょうか。

パールシークレットと下村代表。子供のころから無類の競走馬好き。特にバブルガムフェローは外せない

パールシークレットの主戦場は1000メートルから1200メートルの短距離でした。

スピードを要求される現代競馬において、短距離の種牡馬はどの国でも人気があります。

臀部の豊富な筋肉量を気に入ったことに加えて、パールシークレットのようなスピードのある馬には日本の繁殖牝馬の方がヨーロッパの繁殖牝馬より合うのではないかと考えたことから、導入を検討したとのことでした。

もちろん、パールシークレットの「異系」としての役割への期待も、導入の大きな理由です。

どこの国のいつの時代の生産者たちも、いい馬にいい馬を配合して走る馬を生産してきました。

しかし、いい馬同士を掛け合わせると、同じ系統の馬、例えばサンデーやディープを親に持つ種牡馬や娘が増えてしまい、どうしても血が濃くなってしまいます。

能力を固定させることができると言われているインブリード(5代以内に同じ祖先がいる配合)は、3×4または4×3(3代前と4代前の祖先が同じ)より近い配合(例えば2×3など)は危険であるとされてきました。

このように血が濃くなってしまうのを防ぐために、先行投資として新たな血の種牡馬を導入します。

パールシークレットは、バイアリーターク系である上に、ノーザンダンサーも5代前に1本しか入っていないことから、濃くなった血を薄めアウトブリード(5代以内に同じ祖先がいない配合)とさせつつ、活力を注入するカンフル剤としての役割を果たす「異系の血」としては申し分ないのです。

パールシークレットの5代血統表。5代前にノーザンダンサーが1本入っている。著者自作

下村代表は大学時代からバイアリーターク系の衰退ぶりに、もどかしいものを感じていました。

しかし、獣医師として実際に生産の現場に入ってみると、もどかしさが危機感に変わったと言います。

セリ場で不自然に目を動かす馬や奇形のある馬などをみるとさらにその気持ちが強くなっていき、数年前にはすでに「この時代に生きる者として、バイアリーターク系を絶やすことは許されない」との考えに至っていたといいます。

現代の日本競馬では、ほとんどの場合、ダーレーアラビアン系同士を掛け合わせていることになります。

現時点では母系にさまざまな系統の馬が入っているため、大きな問題として露呈していません。

しかし、今後、これをずっと続けていくと遺伝子の多様性が失われ、さらに奇形や疾患を抱える馬が増えていくのではないか、そうなってからでは遅い、と下村代表は思ったのです。

300年前には始祖と呼ばれる馬は100頭ほどいたと言われていますが、数代で10頭程度にまで淘汰され、現在では3頭になってしまいました。

この状況を放置すれば数十年後、ダーレーアラビアン系しか残らないかもしれない。

導入のリスクも重々承知していましたが、何もしないという選択肢は頭に全くなく、今すぐに手を打たなくてはと行動に移したと言います。

 

 多様性ってそんなに重要?

ここで一旦、多様性について考えてみたいと思います。

生き物を取り巻く生物多様性には次に挙げる3段階の多様性があります。

  1. 生態系の多様性:生き物が暮らす環境の多様性。山、川、海など
  2. 種の多様性:生き物の種類の多様性。最初の生命体である微生物から生き残るために進化したため生まれたもの。
  3. 遺伝的多様性:遺伝子の多様性。同じ種類でも、生息地などによってさまざまな個性のある個体が生まれる。

生き残るために環境に適応したり、進化をしたりして種を広げていき、最終的には遺伝子に多様性が認められるようになりました。

つまり、生物が自然の環境で生き残ってきた場合、その種には必然的に多様性が認められるようになっていったのです。

 

人間社会の「多様性」はダイバーシティとも呼ばれ、企業では「組織や社会において、性別・民族・文化・価値観・ライフスタイルなどの違いを積極的に肯定・尊重し、人材として受け入れること」を意味する用語として使われています。

しかし、企業が存続していれば、必然的に多様性が認められるというわけではありません。

それならば果たして、企業にとって「多様性」とは本当に重要なのでしょうか?

 

サラブレッド生産界と企業社会にみる多様性の意義

その答えを導き出す前に、まずはサラブレッドの生産業界と企業での「多様性の意義」について考えてみましょう。

サラブレッドの生産界では、今回のパールシークレットの導入により、遺伝的多様性の向上が期待されます。

本馬の異系の血によって遺伝的多様性を高めていけば、種を健全に保つことができると考えられるからです。

筆者は、企業の「従業員の多様性」が生物多様性で言う「遺伝的多様性」にあたると考えています。

サラブレッドの世界では遺伝的多様性が個性を生み出していますが、これを企業に置き換えると「従業員の多様性」が企業の個性を生み出す構造、つまり生物でいうところの「遺伝子」になるのではないでしょうか。

不思議なのは、サラブレッド、企業ともに自然界では必然である3段階目の「遺伝的多様性」に問題が生じているということ。

生物多様性が失われる要因には、必ず人間の影響が介在していると言われています。

サラブレッドのケースでは、イギリスの馬に新たな能力を持たせるため、アラブやトルコの馬を配合させて、サラブレッドの遺伝子的多様性を高めたのにも関わらず、走る馬を作るという現代の生産者の意識が高いため、図らずしも淘汰させる方向に向かってしまっているのです。

父系に続いて、母系の遺伝的多様性も失われたら、サラブレッドが種として衰退していく可能性があるかもしれません。

パールシークレットの導入はこういった偏った血の飽和状態を是正したり、遅らせたりする可能性を秘めているのです。

企業でも似たようなことが起こりうるのではないでしょうか。

激変していく環境のなかで長い間、生き残っていくためには、従業員の多様性が重要になってくるはずです。

 

多様性とイノベーションは比例する

その理由として、多様性とイノベーションには正の相関関係があり、多様性の高い企業の方がイノベーションによる収益も高いという研究結果が出ていることを挙げます。

この研究では、米国、フランス、ドイツ、中国、ブラジル、インド、スイス、オーストリアの8ヵ国にある大小さまざまな企業を対象に管理職の多様性を調べました。

過去3年間に発売された商品が収益に占める割合をイノベーションの成果として検証したところ、新しい製品が収益に占める割合が高いほど、イノベーティブ(新しいものを取り入れる体質がある)であるとされ、収益が高いことも分かったのです。

実際に「総合的な多様性が平均以上の企業は、収益に占めるイノベーションの割合が平均19%、税引前利益が平均9%高いこと」が分かりました。

ただし、重視される多様性は国ごとに違いがあり、アメリカやフランスなどの先進国では性別や年齢など先天的なダイバーシティ、中国やブラジルといった途上国では、学歴などの後天的なダイバーシティが重視されていたことも判明しました。

つまり、多様性のとらえ方は国によって若干異なりますが、どの地域の国でも多様性はイノベーションと正の相関関係にあるということが分かったのです。

人間には類似性のある人と一緒に働くことに魅力を感じるという説もあるため、多様性を高めればすぐに成果を出せるというわけでもないかもしれません。

しかし、日本では少子化がますます加速し、今後は企業も他国に頼らないとますます生き残れなくなっていくでしょう。

こういった時代のなかで、イノベーションを高めて、他の文化圏の方にも受け入れてもらえる商品を提供するために多様性の向上は重要です。

さらに、この研究では、大掛かりな取り組みを始めなくても、管理職に女性や異なる業界の出身者を登用するといった比較的取り組みやすい対策でも効果があることが分かりました。

今から少しずつ取り組んでいけば、種牡馬のように多額でハイリスクな投資をしなくても、積み上げていくことができるんです。

 

従業員の個性を把握しよう

多様性の戦略を立てる前に、従業員がどのような性格で気質や能力を持っているのかを客観的に把握することから始めてみませんか。

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まとめ

今回は日本競馬界にみる多様性の課題とその取り組み、企業に見る多様性の重要性について、深掘りしてみました。

今後、少子化が一層進んでいく日本では、多様性の向上は非常に重要な課題です。

多様性の向上と企業カルチャーの維持は一見すると相反するテーマです。

まずは、現時点での従業員の多様性を把握することから始めてみませんか。

現状を把握することが貴社にとって、多様性改善の大きな第一歩になるかもしれません。

参考資料:How and Where Diversity Drives Financial Performance by Rocio Lorenzo and Martin Reeves

How Diverse Leadership Teams Boost Innovation By Rocío Lorenzo, Nicole Voigt, Miki Tsusaka, Matt Krentz, and Katie Abouzahr

Who is writing

米国カリフォルニア州ベンチュラ郡立 Ventura Community College
米国ケンタッキー州立 Murray State University卒業。
プロンプトリサーチャー。
東日本大震災をきっかけに「後悔しないよう、今やりたいことやる!」と決意。
たくさんの動物と暮らすことを夢見て夫婦で田舎に移住。
仕事のモットーは「楽して良いものを作る」。
アナログとデジタルを両立したハイブリッドな田舎暮らしをめざし、chatGPTに鍛えられる日々を過ごす。