
AIや機械学習に関するトップカンファレンスのひとつであるNeurIPS。
学会では多くの研究発表が行われますが、発表の種類は多岐に渡ります。
例えば「口頭発表」セッションでの発表があります。
特定の会場で、集まった人を前に自分の研究を口頭で発表する形式です。
NeurIPSともなれば、口頭発表に採択されるだけでもとても狭き門となっていて、例えば2024年大会では全投稿件数15,671件のうち、口頭発表の機会を得た研究は61しかなかったとのことです。
倍率にして256倍という恐ろしい数字です。
他にも「ポスターセッション」と呼ばれる、決められた数時間の間ポスター発表会場にて自分の発表を掲示し、適宜参加者からの質問を受けたり、議論をしたりする発表形式もあります。
さらには特定のテーマに沿ったチュートリアルやデータコンペティション、ワークショップなど、様々なイベントが開催されていました。
そしてそんな栄えある学会で、特に栄えある発表機会である(と私が勝手に思っている)Invited Talkセッションにて、面白そうなお話がされていました。
タイトルは【The Golem vs. Stone Soup: Understanding How Children Learn Can Help Us Understand And Improve AI】
https://neurips.cc/virtual/2024/invited-talk/101128
子供が知能を獲得する過程を見れば、AIを理解したり改善したりするのに役に立つのではないか?というお話です。
この発表をなさっている先生のプロフィール写真が、子供とのツーショットであるのも、とても微笑ましいポイントです。
自然言語をモデル化するchatGPTやGemini。
画像生成を可能としたDiffusionモデルや、自動運転に使われる画像識別モデル。
私たちの生活の身近なところで活躍するAIの多くが、深層学習モデルを活用したものです。
そしてこの深層学習モデルは、人間の神経回路であるニューロンを模したもの、と言われています。
(生物学の視点から見れば厳密には異なるところがたくさんあるとのことですが、ここではあくまで「着想を得た」ということで、ご容赦ください。)
機械学習外を見れば、自然界の生き物から着想を得て発明された工業製品もたくさんあると言います。
であれば、人間の子供が学ぶプロセスをAIに落とし込んであげれば、より汎用的なAIを作ることができるのかもしれない、と考えることはとても自然であるように感じます。
これまで発展してきたAIとは一味違う形でのAIの進歩が進むことによって、より私たちの生活が便利になることを望むばかりです。
ちなみにタイトルの質問「子供とAI、どっちが賢い?」については、評価軸による、が回答になりそうです。
なんだそのどっちつかずな回答は!と怒られてしまいそうですが、知能の評価軸が一意に定まっていない以上、現時点ではそのようにしか言えないのです。
というのも、これまでAIの評価には、文章要約や翻訳と言った任意のタスクを対象としたある程度統一された評価基準が用いられてきました。
しかし、認知科学では「知能には複数の形態があり、さらにそれらはトレードオフの関係にある」ことが示唆されています。
つまり、AIの尺度で見ればもちろん、AIは子供より賢い、と言えるのですが。
一方でAIが全くかなわない要素を子供は持っている、とも言える、ということになります。
人間の子供が持っている知能を、いかにAIの開発に活かしていけるか。
それが新しい観点からのAIの発展の肝になりそうです。
P.S.
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https://48auto.biz/keieijinji/touroku/sp/scenario13.htm
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