はじめに
現代社会において、生産性の向上は働くほとんどの人に共通する願いでしょう。
朝の忙しい通勤や仕事のデッドライン、家族との貴重な時間など、誰もが日常生活や仕事で与えられた時間を最大限に活用し、より多くのことを成し遂げたいと考えています。
とはいえ、日々の生活において、タスクが山積みで時間が限られていることはよくあります。
テクノロジーの進化やリモートワークの普及など、社会的な変化に適応しつつ生産性を上げるには、タスク管理の術を身に着けておくことが重要です。
そこで今回は、以下の内容について解説していきます。
- 生産性を向上させるメリット
- 生産性の向上に必要なこと
- 生産性が低い人の特徴
- 生産性を向上させる5つのテクニック
- 生産性向上を図る上での注意点
本記事を読み終えれば、生活と仕事のバランスを保ちつつ、より多くのことを達成し、充実感ある日々を過ごすことができるでしょう。
生産性向上のための具体的なテクニックや注意点について解説していきますので、個人や組織全体の成果を上げたい方はぜひ参考にしてみてください。
生産性とは
生産性とは、インプットに対するアウトプットの割合を示しますが、個人と組織では少々意味合いが異なります。
- 個人生産性:特定の時間内で、どれだけ多くの仕事やタスクを達成できるか
- 組織生産性:少ないリソースでどれだけ多くの利益を出すことができるか
上記のように、「生産性」という言葉の捉え方がそれぞれ異なるため、”生産性の向上を図る”と言っても、個人と組織のどちらの視点で考えるかが重要となります。
今回は、「個人生産性」に着目して、以下の内容について解説していきます。
- 個人生産性を向上させるメリット
- 個人生産性の向上に必要なこと
- 生産性が低い人の特徴
個人生産性を向上させるメリット
個人生産性を向上させるメリットは、以下の通りです。
- 成果の向上
- 時間の節約
- ストレス軽減
- キャリアアップ
- 自己満足感の向上
- 仕事と生活のバランスがとれる
- 能力の向上
上記のように、個人生産性の向上は、個人の成功と幸福感を増幅させ、キャリアの発展や仕事と生活のバランス改善に繋がります。
個人で多くの成果を上げることができれば、必然的に組織への貢献度も上がります。
デメリットは特にないため、個人生産性の向上は個人としても組織としても重要な目標と言えます。
個人生産性の向上に必要なこと
個人生産性の向上に必要なことは、以下の通りです。
- 目標設定
- 時間管理
- スキルの向上
- 効果的なツールの利用
- 優先順位の設定
- タスクの分解
- 自己管理
- フィードバックと改善
個人生産性の向上を図るには、上記のように、効率的にタスクをこなすための要素一つひとつに対して最適な行動をとることが必要です。
例えば、資料作成を行う場合、
- 優先度はどのくらい高いのか
- 期限はいつまでなのか
- 作成までにどれくらいの時間がかかるのか
- 自分一人で作成できるのか
- 一日の内にどれくらい作成できれば達成できるか
このようなことを総合的に考えて取り組む必要があります。
優先順位を決めて取り組んだとしても、時間管理ができていなかったり、スキルが備わっていなければ生産性の高い仕事はできません。
したがって、個人生産性を上げるには、タスク完了までに必要な時間やプロセス、スキルなどの要素を全て把握した上で取り組む能力が必要だと言えます。
生産性が低い人の8つの特徴
では、生産性が低い人の特徴について見ていきましょう。
生産性が低い人の特徴は、以下の通りです。
- 仕事の優先順位がつけられていない
- 集中力が低い
- 計画性がない
- 時間管理ができない
- ネガティブ思考
- ツールを使用していない
- モチベーションが低い
- 忙しさを主張している
前述した「生産性向上に必要なこと」が備わっていない人はもちろん、ネガティブ思考な人やモチベーションが低い人、常に忙しいと主張している人も生産性が低い人の特徴として挙げられます。
ネガティブ思考な人やモチベーションの低い人は、同僚や上司と対立が起きたりと良好な関係性が築けないことから、問題解決や行動が遅かったり、協力して取り組むことが難しいケースがあります。
また、「忙しくてタスクをこなすことができない」という人がいますが、実際には効率的な時間の使い方ができていないことが多いです。
全ての人に言えることではありませんが、少しでも当てはまる人は、これから解説する5つのテクニックを参考にしてみてください。
生産性を向上させる5つのテクニック
生産性を向上させる5つのテクニックは、以下の通りです。
- アイゼンハワーマトリクス
- ポモドーロテクニック
- ToDoリスト作成
- タイムブロッキング
- 2分ルール
これらの方法を用いれば、「時間を無駄にした!」「何から手を付ければいいか分からない!」ということにはなりませんので、試してみる価値大アリです。
それでは、一つひとつ解説していきます。
アイゼンハワーマトリクス
アイゼンハワーマトリクスは、タスクや仕事を優先順位付けするために非常に効果的なツールです。
アメリカの第34代大統領であるドワイト・D・アイゼンハワーが有名にしたことからこの名前がついています。
使い方は、以下の通りです。
参考:コーチング情報局
タスクを「重要度」と「緊急度」の2つの軸に基づいて4つのカテゴリーに分類します。
具体例を挙げて分類してみると、以下のようになります。
- 重要かつ緊急:重要なプロジェクトの締め切り・突発的なクライアントの対応
- 重要だが緊急ではない:プロジェクトの計画・自己啓発活動
- 重要ではないが緊急:報告書の作成・電話・メール
- 重要でも緊急でもない:雑談・待ち時間
第1領域は、最優先のタスクとなるため、即実行すべきものになります。
第2領域は、スケジュールに組むことで対処できるため、計画的な時間管理のもと準備に注力すべきタスクとなります。
第3領域は、柔軟に対応すべきタスクです。時間に余裕がない中、電話やメールに対応していては、第1領域や第2領域のタスクが進まないため、移動時間や休憩時間など空いた時間を活用するとよいでしょう。
第4領域は、無駄なタスクですので時間を割くべきではありません。無駄な時間を減らすことが一番大切ですので、この領域にあるものはできるだけ削除しましょう。
このように、アイゼンハワーマトリクスを使用することでタスクを適切に分類し、簡単に優先順位を決めることができます。
重要かつ緊急なタスクに焦点を当て、他のカテゴリーのタスクを計画的に処理することで、生産性を向上させることができるので、何から手を付けていいか分からない人にピッタリです。
ポモドーロテクニック
ポモドーロテクニックはタイムマネジメントの手法で、タスクを「短時間集中作業」と「休憩」の2つのサイクルに分割することで生産性を向上させる方法です。
1980年代に、当時大学生だったイタリア人のフランチェスコ・シリロにより考案され、用いられたトマト型のキッチンタイマーから名付けられました(イタリア語でトマトはポモドーロと言います)。
具体的なやり方は、以下の通りです。
- 達成したいタスクを優先度順にリスト化する
- 作業を始めるタスクを1つ選び、25分間作業する
- 時間が経ち、作業を終えたら5分休憩する
- これを合計4回繰り返したら15分〜30分の休憩をとる
- タスクを終えるまで繰り返す
ポモドーロテクニックを活用することで、集中力や計画実行能力の向上が期待できるため、物事を順序立てて取り組むのが苦手な人でも生産性の高い仕事ができるでしょう。
ToDoリスト作成
ToDoリストは、やるべきことを一箇所にまとめた、いわば「やることリスト」のことです。
ToDoリストを作成することで何をいつまでにやるべきかが明確になるため、作業の抜け漏れ防止に加え、完了まで進捗を管理することができます。
具体的なやり方は、以下の通りです。
- タスクの洗い出し
- タスクの細分化
- タスクの優先順位付け
- タスクに期限を設定する
タスクの洗い出しでは、メール・電話・ミーティング・資料作り…など思いつく限りのタスクを書き出しましょう。全て書くことで、やるべきことだけでなく、やらなくてもよい作業も明確になります。
タスクの細分化では、「会議資料作成→情報収集・構成を考える・作成・見直し」というように、すぐに作業に取りかかれる状態まで工程を細かく分解します。
優先順位付けでは、前述したアイゼンハワーマトリクスを活用するのがおすすめです。
なお、タスクに期限を設けることで計画的に進められるため、焦らず取り組むことができます。
このように、ToDoリストを作成すれば、「あれをやるのを忘れていた!」「明日までにこれをやらなきゃ!」と仕事に追われることがなくなるため、計画性のない人は普段の生活から活用してみるのがよいでしょう。
タイムブロッキング
タイムブロッキングは、日々のスケジュールを細かく管理し、タスクを効率的に達成するための手法です。
この手法では、特定の時間帯に特定の活動を割り当て、予定をブロック状態に区切ります。
具体的なやり方は、以下の通りです。
- ToDoリストを作成する
- 1日の活動時間を細かく分ける
- 似たようなタスクをまとめて割り当てる
- 時間になったら予定通りのタスクに取り組む
「ToDoリストを作成したは良いものの、1日の中で上手く計画が立てられない」
このような経験をしたことがある人も多いでしょう。
ToDoリストを作成しただけでは、1日のスケジュールをどのようにするかまでは決められないため、タイムブロッキングで具体的に何時から何時まではこれを行うというように、時間割を決めることが重要です。
- 9:00〜10:00:メール・電話対応
- 10:00〜10:30:休憩
- 10:30〜1200:プロジェクトAに取り組む
- 12:00〜13:00:休憩
- 13:00〜15:00:ミーティング・プロジェクトBに取り組む
- 15:00〜16:00:次の日のタスクの優先順位付けとスケジューリング
上記のように、自分だけの時間割をつくることで「何をしよう…」と考える時間を最小限にすることができます。
タスクを計画的に進めることができ生産性の向上に繋がるので、1日の中で無駄な時間・何もしていない時間が少しでもある人はタイムブロッキングが効果的です。
2分ルール
2分ルールは、タスクを瞬時に処理できる場合には2分以内に処理するという原則です。
このルールは、タスクが小さなものである場合や、その後時間をかけて処理するよりも即座に対処する方が効率的な場合に役立ちます。
具体的な処理内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- メールの返信
- 電話のかけ直し
- 文書の整理
- タスクの整理
- 簡単な修理作業
簡単に処理できるタスクを後回しにすることで忘れる可能性が高くなりますし、なによりタスクがたまることで精神的に追い詰められることからパフォーマンスの低下が懸念されます。
また、連絡が遅くなったお詫びをしたりと相手に迷惑をかけることも想定されるため、自分だけでなく相手にとっても不利益を被る可能性があります。
そこで、小さなタスクはすぐに対処することが重要です。
優先順位を付ける方法である「アイゼンハワーマトリクス」では、メール対応や電話対応は重要度の低い枠に分類されますが、2分で処理できるものであればその場は一時的に処理し、後々対応が必要なのであればタスクとしてリストに追加しておくのが最適でしょう。
生産性向上を図る上での3つの注意点
生産性向上を図る上での注意点は、以下の3つです。
- 過度なマルチタスクをしないこと
- 長時間労働にならないこと
- 定期的に振り返ること
「生産性を上げる=アウトプットを増やす」という考え方から、無理をしてしまう人も数多くいます。
時間や労力を最小限に抑えて最大限の成果を上げることが最適な生産性の向上ですので、間違った方向に進まないように注意しましょう。
それでは、ぞれぞれ解説します。
過度なマルチタスクをしないこと
過度なマルチタスクは生産性の向上どころか、返って生産性の低下を招くため注意が必要です。
その理由は、以下の通りです。
- 注意力が低下する
- 集中力が低下する
- プレッシャーや焦りを感じる
- ストレスレベルが上昇する
- 効率が悪い
- 重要なタスクを見落とす可能性がある
- 情報が多く記憶力や判断力が低下する
重要で緊急性の高いタスクに取り組みながら、メールの返信や電話対応を行うくらいであれば問題ないかもしれませんが、同じくらい重要度の高いタスクに同時に取り組むのは非効率です。
仕事量が多いとマルチタスクをしてしまいがちですが、優先順位付けや取り組み方次第で時間を効率的に使うことは十分に可能です。
どうしても時間が足りないという場合は、タイムマネジメント以外に業務量や人的リソースの調節などが必要でしょう。
長時間労働にならないこと
長時間労働=生産性の向上とは限らないので、無理に成果を出そうとしている人は要注意です。
労働生産性とは、成果/一定時間ですので、「効率性」が重要となります。
例えば、1時間で1万円の売上と、5時間で3万円の売上の人を比べた時に、後者の方が売上は高いですが、1時間あたりの売上は前者の方が高くなります。
この場合、生産性が高いのは前者となるので、長く働いて成果を出せばいいという訳ではないのが分かるかと思います。
これは、生産性という言葉の認識が「成果」なのか「効率性」なのかという問題です。
成果重視の考え方をしている人は、仕事とプライベートのバランスや体調管理などがうまくいかない可能性が高いので、注意しましょう。
定期的に振り返ること
取り組み方が正しいかどうかは振り返らなければ分からないため、定期的に見直すことが重要です。
- 優先順位の付け方
- ToDoリストの作成の仕方
- マルチタスクしすぎていないか
- 時間の使い方
- 休憩の取り方
これらは、スケジュール表や用いているツールを見返せばすぐに確認できるものです。
仕事が多くなれば優先順位付けが重要となりますし、反対に少なければ一つのタスクにかけられる時間が長くなります。
このように、タスク管理の方法は仕事量の増減や内容によっても変化するため、慣れるまでは正しく取り組めているかどうかチェックする必要があります。
今までタスク管理や時間管理を行ってこなかった人であれば、自分に合っているかどうかも分からないと思いますので、先輩や上司に相談するのもよいでしょう。
まとめ
今回は、生産性を向上させる5つの方法について解説しました。
「生産性の向上を図る」というと、いかに効率的に成果を上げるかということをイメージするかと思いますが、それを具体的に行動に移せている人は少ないかと思われます。
たとえ移せたとしてもマルチタスクを頑張ってみたり、労働時間を長くしてみたりと、決して効率的とは言えないような行動をとる人が多いでしょう。
非効率な取り組みは身体を酷使しますし、仕事と生活のバランスをうまくとることもできません。
そこで注目したいのが、生産性を上げるタスク管理術の活用です。
今回解説した5つのテクニックを用いれば、少ない労力で最大の成果を上げることができるでしょう。
仕事の内容や種類によってアプローチ方法も変わるかと思いますので、ぜひ一度試してみてください。
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