【社会を知る編③】日本を支える素敵な中小企業のみつけ方

今回は中小企業について全体像を可視化します。やりたいことが漠然としている就活生のみなさんにオススメの中小企業の探し方についてもお届け。

データでみる中小企業の現状

前回の記事では、日本企業全体のシェアとしては一握りですが、影響力の大きい大企業・上場企業の現実をみてきました。

今回は、日本を支えている中小企業について、さまざまな視点で捉えていきたいと思います。

就活生・転職者のみなさんの企業選びの判断軸に、新たな視点が加われば幸いです。

ところで、中小企業と聞くと、みなさんはどのようなイメージをもたれるでしょうか?

今まで学生のみなさんと関わってきた中で感じることは、

  • やりたい仕事ができる、アットホーム、経営者と距離が近い、若手でも裁量権があり成長できる
  • 規模が小さい、地元の会社、景気に左右されやすい、人が足りない、大企業の下請け

このように、二極化したイメージをもっている印象があります。

どちらも、そのような傾向があるとも言えるし、そうとも言い切れない、ともいえるのですが、まずは、実際のデータで全体像を確認してみたいと思います。

改めて、前回の記事のおさらいですが、日本の中小企業の数は全体の約99%で、従業員数も約70%を占めています。

① 業種別の割合

まず、中小企業を業種別・規模別の視点でみてみましょう。

出典:中小企業庁HP

最初のグラフは、業種別の企業数の内訳です。

前回の記事でも少し触れましたが、中小企業と一口に言っても、実際は「小規模企業」の割合がどの業種でも大多数を占めていることがわかります。

小規模企業とは、従業員が20人以下(製造業、その他)もしくは5人以下(卸売業、小売業、サービス業)の企業のことです。

企業の数だけでいえば、小さな企業の集合体で、日本の産業は成り立っているといえます。

続いて、業種別の従業者数です。

特に卸売業とサービス業で、中小企業の割合が多くなっています。

卸売業者とは、メーカーと呼ばれる製造業者から製品を仕入れて、物流や在庫管理なども担いながら、小売業者に販売する業者のことで、製造業と小売業の間をつなぐ役割をしています。

グラフを見ると、卸売業の従業者は中規模企業のシェアが高くなっています。

仕入れるものや種類によっては、ある程度の規模感が必要なことが想像できますね。

最後に、付加価値額です。

先ほど同様に、中小企業の中では、卸売業とサービス業が付加価値額の割合が高いです。

さらにサービス業の中身を詳しくみると、宿泊業・飲食サービス業、教育・学習支援業で多くの利益を生み出していることがわかります。

現在の日本は世界的にみると物価が安く、これから外国人観光客もますます増えることが予想されます。

全国のさまざまな観光地の宿泊・飲食業が今後も伸びていくのかもしれないですね。

対して、製造業は従業者数の割合は約65%ですが、付加価値額では約47%となっており、付加価値としては大企業が多くを占めています。

一般論ですが、ものづくりをするときに人数が多ければ分業が可能になり生産性が上がり、多額の資金で大きな製品をつくると、比例して高価なものになるため、それが世の中に求められるものであれば、多くの付加価値を生み出せるという構造になります。

② 求人倍率

次に、求人倍率についてみてみましょう。

求人倍率とは、求職者1人当たりに何件の求人があるかを示したものです。

倍率が1より高ければ、求人が多いので仕事は探しやすい状況となり「売り手市場」に、反対に倍率が1を下回れば、企業側が有利に求職者を選ぶことができる「買い手市場」になり、求職者にとっては狭き門になります。

出所:リクルートワークス研究所 大卒求人倍率調査(2024年卒)

上の表では、従業員規模別の大学求人倍率の推移が示されています。

大卒求人倍率とは、各卒業年度において、民間企業に就職を希望する大卒者に対して、企業からの求人数が何件あるかを算出したものです。

中小企業基本法の定義でみると、300人未満の青い線にすべての中小企業が該当します。(※業種によって一部大企業含む)

このデータをみると、中小企業はコロナ禍で採用を控えたため一時的に倍率が下がっていますが、現在はコロナ前の水準に戻りつつあり、学生一人あたり約6件の求人がある計算になります。

就活生のみなさんにとっては超売り手市場、中小企業の人事は、是非みなさんに入社してほしい状況であることがわかります。

一方、大企業は景気に大きく左右されることなく採用数も一定ですが、募集人数は狭き門であることが読み取れます。

次に、みなさんの先輩の就職希望状況がどのような割合だったのか、みていきましょう。


① 中小企業全体

② 大企業(300~999人)

③ 大企業(1000~4999人)

④ 大企業(5000人以上)

出所:リクルートワークス研究所 大卒求人倍率調査(2024年卒)


民間企業に就職を希望している24年卒の学生は約45万人です。

実際に数字でみると、就職希望者数の観点では、中小企業が毎年いかに採用に苦戦しているかがわかります。

24年卒で約36万人不足しています。

対して、企業規模が5000人以上の大企業には応募が殺到しており、約7万人は不採用になります。

このようなデータをみると、まだまだ多くの人にとって、大企業>中小企業の構図は、根強いものがあるのでしょう。

また、同調査によると、企業規模関係なく全企業において、業種別で人材不足が顕著なのは、次のとおりです。

  1. 流通業 約25万人不足
  2. 製造業 約15万人不足
  3. 建設業 約11万人不足

これらの業界が、特に人材不足の状態になっています。

しかし、これまで見てきた中小企業の全体を占めるシェアと、企業規模別の就職希望者数をみても、本当に人材不足で困っているのは、大企業ではなく中小企業だといえそうです。

新卒のみなさんが入社して、一緒に仲間として働いてくれることを心から願っている方々です。

③ 下請け企業の比率

就活生のみなさんの中には、中小企業は大企業の下請けが多いというイメージをもっている方もいるのではないでしょうか。

下請けとは、法律によって定義が少しずつ異なりますが、自企業より資本金または従業者数など、規模の大きな事業者から、業務を受託する形態のことです。

例えば自動車をはじめ、何か大きくて緻密なものづくりをするためには、各パーツの細かな部品をつくるプロフェッショナルが必要になり、複数の下請け企業(または下請け事業者)と呼ばれる企業が存在します。

実際のところ、日本にはどれくらい下請け企業があるのでしょうか。

中小企業庁のデータで把握してみましょう。

次の表は、中小企業全体に対して、どれくらいの割合で受託事業者(=下請け企業)が存在しているかを表したものです。

出典:中小企業庁HP

このデータをみると、受託事業者は中小企業全体のうち約5%程度で、大きな変動はないことがわかります。(※2017年度時点)

全体では、想像よりも少ないという感想をもつ人もいるかもしれません。

では次に、業種別で確認してみましょう。

中小企業全体では約5%でしたが、業種別の受託事業者の割合をみると、大きな開きがあることがわかります。

まず、最も受託事業者が多いのが情報通信業、36.2%です。

1位は製造業のイメージをもつ方も多いのではないかと思いますが、意外にも情報通信業なんですね。

情報通信業とは、携帯電話やスマートフォン、PCなどの通信・販売サービスや、インターネット接続サービスなどを提供するプロバイダー、テレビや動画などの映像送信、データベースのメンテナンスなどの技術系分野まで多岐にわたります。

実際に消費者の立場で考えたときに、確かに問い合わせ先や管轄も細かく分かれている印象です。

先日筆者は購入したばかりのPC故障を経験したのですが、問い合わせ先のカスタマーセンターも内容ごとに連絡先が分かれており、修理先も原因によって複数存在し、この範囲の修理の場合はこの企業へ、より複雑な場合は別の企業へまわすなど、さまざまな選択肢があり、受託事業者の多さを実感したところです。

次にシェアを占めているのが、ものづくりの仕事、製造業が17.4%です。

そして、運輸業・郵便業と続きます。(※この調査では、建設業が除かれています)

一部の就活生のみなさんの中小企業に対するイメージとして、大企業の方針や付加価値に連動して経営が左右されるような企業、というものがありますが、このようなデータをみると、業種によっては案外そうでもないことがわかります。

また、特許を取得しているような高い技術や知的財産をもっている企業は、特定の親事業者や限られた取引先からの受託のみ、というわけではありません。

国内だけでなく海外からもニーズがあり、多数の取引先に対して安定的に付加価値を提供している中小企業もたくさん存在します。

 

グローバルニッチトップ企業

「グローバルニッチトップ企業」、この言葉をご存じですか?

個々の市場規模は小さいものの、世界市場のニッチな分野で高いシェアを有し、グローバルに活躍している企業のことです。(以下、GNT企業)

経済産業省が選定しており、直近では2020年に発表されています。

GNT企業の選定にあたり、いくつか評価ポイントがあります。

  • 世界シェアと利益の両立
  • 技術の独自性と自立性
  • サプライチェーン上の重要性

出典:経済産業省HP

シェア率の達成数値などは企業規模によって多少変わりますが、この3点をクリアした企業が113社選ばれています。

これら113社の企業で平均すると、世界市場シェア 43.4%、営業利益率 12.7%、海外売上⽐率 45.0%という結果となっています。

このうち、55社が中小企業です。

具体的にどのような企業が選ばれているのでしょうか。

中小企業の中で、部門別に何社か抜粋してご紹介します。


≪機械・加工部門≫

ミクロン精密株式会社

本社所在地:山形県山形市

GNT製品・サービス:センターレス研削盤

1959年、山形市の小さな工場で誕生した2台のセンターレス研削盤。

以来、進化を続け、これまでにない画期的な研削技術を備えたセンターレス研削盤は、自動車、電子情報機器、家電製品、建設機械、軸受、医療用工具等各産業界において、それらの基幹製品の部品加工システムを提供し、今日の産業や社会の高度発展に大きく貢献してきました。

また、2000年からは内面研削盤をラインアップに加え、燃料噴射装置部品を加工するメーカー等へ超精密穴加工システムを提供しています。

これら研削盤は、世界30カ国を超える国や地域に7500台を超える納入実績をもち、お客様から製品とサービスに対して高い評価と満足をいただいています。

世界のものづくりを支える研削盤メーカーとして、当社の研削技術や研削盤がお客様の利益に貢献できるよう、世界最高峰の研削技能、技術を極めてまいります。

引用:企業HPより

≪素材・化学部門≫

廣瀬製紙株式会社

本社所在地:高知県土佐市

GNF製品・サービス:MF/UF膜⽀持体

1958年の創立以来、湿式不織布のパイオニアとして機能紙の生産に取り組んできました。

高知県でも特に水質の良い仁淀川の地下水が利用可能な土佐市と日高村に5つの生産拠点を展開。

木材繊維や靭皮(じんぴ)繊維などの天然繊維を原材料に、生活必需品や医療・工業用などの製品素材を生産しています。

最近では異種材料との複合によるオリジナルの湿式不織布づくりにも取り組み、アルカリマンガン電池セパレータや海水淡水化ろ過フィルターなど、世界が注目する数多くの新素材開発に成功。

合成繊維100%の製品を生み出すオンリーワン技術で、ヒロセの機能紙を全ての産業分野に普及させるチャレンジを続けています。

引用:企業HPより

≪電気・電子部門≫

フィガロ技研株式会社

本社所在地:大阪府箕面市

GNT製品・サービス:一酸化炭素ガスセンサ

ガスセンサは、目に見えないガスの存在を調べることが出来るセンシングデバイスです。

当社では、半導体式、接触燃焼式、電気化学式、NDIR(非分散赤外線吸収)式の各種ガスセンサを取り扱っています。

検知対象ガスは、メタン、プロパン、ブタン、一酸化炭素、二酸化炭素、アルコール、水素、アンモニア、有機溶剤、アミン、フロン、VOCなどです。

World leader in gas sensing innovation をスローガンとし、国内にとどまらず海外での販売、展示会への参加に力を入れており、現在では売り上げの過半数を海外における販売が占めています。

引用:企業HPより

≪消費財・その他部門≫

株式会社流機エンジニアリング

本社所在地:東京都港区

GNT製品・サービス:トンネル集塵機Pシリーズ

過去のトンネル換気は送風機で外気を送り込むだけ、もしくは排気させるのみしか方法がなく、坑内の清浄度は高くありませんでした。

そのため、劣悪な環境で作業する方々が「トンネルじん肺」に悩まされ、トンネル建設工事における有所見者数は実に年間で1000人以上にものぼり、社会問題となっておりました。

作業環境の改善が急務と考えられ、解決のためにと、工事用集塵機の開発に乗り出しました。

弊社では大面積プリーツフィルターの開発で装置を小型化することに成功。処理風量3000m³/minクラスの集塵機でもトラックに車載でき、掘削に応じて坑内を移動することを可能にしました。

大型集塵換気方式の採用が広まり、劣悪であった作業環境が飛躍的に改善され、今ではトンネルじん肺患者は1/100に激減しています。

トンネル業界シェア75%(年間150台)

廃棄物資源化、ダイオキシン類処理、アスベスト処理、VOC回収、汚染土壌浄化、除湿 、脱臭、CO2吸着回収…etc
環境における課題が存在し続ける限り、流機エンジニアリングの技術は成長し続けていきます。

引用:企業HPより


いかがでしょうか。

地元でもない限り、機会がなければきっと知らないままだろうニッチな分野を扱う企業ですが、それぞれの製品の内容や開発のストーリーが興味深く、試行錯誤を繰り返し、世界に認められた後もどんどん新しい挑戦を続ける企業の熱量が伝わってきます。

今回ご紹介した4社はすべて、新卒採用も実施されているようです。

他の選定企業も一覧で掲載されていますので、興味のある方はご覧になってみてください。

参考:2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」 選定企業⼀覧

 

素敵な中小企業のみつけ方

さて、ここまでは中小企業の全体像や、世界で活躍するトップ企業を中心にみてきました。

ここからは実際に、各中小企業の魅力や情報を発信しているサイト・媒体をご紹介します。

大企業とは異なり、どうしても中小企業、特に小規模事業者の情報は全体数が少ないので、どうやって探せばいいのか、なかなか最初の1歩が踏み出しにくいですよね。

今回は大手の就活ナビサイト以外で、公的機関から民間企業まで、さまざまな運営元のサイトをいくつかご紹介したいと思います。


① 地域未来牽引企業  (経済産業省)

まずは、GNT企業同様、経済産業省が選定している「地域未来牽引企業」です。

これは、各地域の経済への影響が大きく、今後も成長が見込まれるとともに、地域の中心的な担い手になりそうな中小企業がピックアップされているものです。

都道府県別に検索できますので、地元企業や住んでみたい地域に興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

② 東京カイシャハッケン伝! (東京都産業労働局) 

次に、東京都内の中小企業紹介サイト、東京カイシャハッケン伝!の「輝く技術 光る企業」です。

中小企業しごと魅力発信プロジェクトの一環として、中小企業の魅力が正しく理解されることを目的とし、技術・サービス・事業・雇用環境の視点で、優れている企業を紹介しています。

③ 就職四季報 優良・中堅企業版  (東洋経済新報社)

続いて、書籍です。

東洋経済新報社が発行している就職四季報の「優良・中堅企業版」で、2024年版が出ています。

定義上、一部大企業も含まれていますが、地方有力企業をはじめ、普段なかなか知ることができない企業が約4600社も掲載されています。

掲載料をとらず制作されているので、基本情報の他に、企業があまり出したがらない離職率や年平均の有休取得状況、残業時間、平均年収や、企業の経営状況に関するデータなど、第三者からの客観的な情報を得ることができます。

また、社名・業種別・本社所在地別で索引できるため、興味のある業種が決まっている場合は、効率よく情報収集できる点もメリットです。

購入者限定の特典として、就職四季報がデジタルでも使い放題のようです。

④ 日本仕事百貨  (株式会社シゴトヒト)

出典:日本仕事百貨HP

こちらは、取材型の情報が充実しているサイト「日本仕事百貨」です。

求人一覧をみると、よくある新卒・中途・業種・職種のようなカテゴリーはなく、「生き方で選ぶ」「仕事で選ぶ」「働き方で選ぶ」という3つの項目で分かれており、条件面だけでなく、企業・働く人の想いがありのままに紹介されています。

その素顔に共感した人が応募するので、結果として精度の高い出会いが生まれているようです。

今すぐには転職を考えていない方にとっても、読み物として成立しているので、全国の個性豊かな企業を知ることができます。

正社員の募集も多いので、誰と働くかなど、企業・働く人の価値観を重視したい方はご覧になってみてください。

⑤ 東北・新潟のキラぼし企業  ※ぼし=☆表示   (東北活性化研究センター)

出典:キラ☆企業HP

続いて、東北・新潟の地域密着型のサイト「東北・新潟のキラぼし企業」です。

先輩社員たちがイキイキと働いている企業を「キラ☆企業」として紹介しています。

検索の入口として、企業とパーソンからの検索が可能で、特に「キラ☆パーソン」は、それぞれYouTubeで生の声を聴くことができるので、働く仲間や企業のイメージを掴みやすいのではないでしょうか。

東北地方での就職を希望している方は、チェックしてみてください。


その他① 企業のFacebook、Instagram、Twitter、HP

最後に、サイトの紹介ではないですが、SNSをうまく活用している中小企業は、デジタル化(もしくはDX化)や情報発信にも力を入れている企業である傾向があります。

特に小規模企業はアナログな企業も多いというのは、半分事実、半分固定観念といった具合ですが、SNS以外でも各企業のHPなどで、どのような発信をしているかチェックしてみてください。

経営者や社員が顔と実名を出して、自社の商品やサービス、ものごとの考え方について紹介していたり、もっと踏み込んで仕事での葛藤エピソードなどを包み隠さず発信していたりする企業は、内容がキレイゴトだけでなく実態とギャップが少ない場合が多いので、個人的にオススメです。

また、HPはどうしても“よそ行きの表情”になりがちですが、SNSで普段の社員の姿や仕事の様子を発信している企業は、自分がその環境に身を置いたときのことをイメージしやすいかと思います。

その他② 中小企業専門の就活エージェント

これまでご紹介したサイトは、求人情報も兼ねていますが、情報発信がメインのため、基本的には自ら企業を探して応募する方法になります。

大企業も含めて、企業に応募するときには就活ナビサイトを経由して応募というケースも多いので、企業を知る入口が異なるだけです。

しかし、自力の就活が非効率だと感じたり、外部の資源・支援を活用する方が向いていると感じたりする人は、就活エージェントを利用することも選択肢としてはあるかと思います。

エージェントを活用すると、就活相談から、求人紹介、ESの添削や面接対策、面接の日程調整まで全てにサポートがあり、面接当日まで、応募先の企業と直接やりとりすることは基本的にありません。

中小企業の場合、膨大な企業数になるので、うまく外部支援を活用することでさまざまな企業を知る機会を増やし、効率よく自分に合いそうな企業を見極めるという意味ではおすすめですが、エージェントは人材紹介ビジネスでもあるので、自分の軸をある程度もっておかないと、結果的に主導権のない就職になってしまうケースもあり得ます。

自分の性格・資質を考慮したうえで、就活エージェントを活用される場合は、目的をもって賢く使い分けてほしいなと個人的には思います。

 

中小企業は単純に出会えていないだけ

日本の就活市場は、どうしても大企業の情報が中心になりがちです。

そのため、毎年たった0.3%の企業に就活生が集中することになります。

でも、中小企業をよくよくみていくと、こんな面白い事業があるんだなという発見もあり、多くの人にとって、中小企業は未開の地というイメージが近いでしょう。

そもそも、あの短期間の就職活動の中で、大企業をみるだけでも精一杯なのに、中小企業をすべて知ることは不可能です。

だからこそ、まだまだたくさんの可能性と出会いが眠っています。

確かに大企業の付加価値額と比較すれば、平均してしまうと、どうしても給与や福利厚生面で差があることは事実です。

しかし、若手のうちに中小企業で自分のスキルをハード・ソフト面ともに鍛えて、事業規模は小さくても、経験値を積んで実力のある人材になっておくこともできます。

社会的な動向としては、これから人材の流動化が求められてくるので、転職や副業もどんどん増えていくでしょう。

また、最近は地元で安定して働きたいというニーズをもつ就活生のみなさんも増えている印象です。

グローバルニッチトップ企業のような世界で活躍する企業以外にも、地域密着型で時代の変化も取り入れながら、安定して付加価値を生み出している中小企業も全国にたくさんあります。

もし、特に現時点でやりたいことが見つからず、「とりあえず大企業、なんとなく大企業」という考え方をもっている人、もしくは「自分で考えて試行錯誤や挑戦できる環境で働きたい」という考え方の人がいれば、声を大にしてお伝えしたい。

周りの人や情報に惑わされている時間がもったいないです。

大企業に何か大きな憧れやステータスを感じるのであれば、はっきりお伝えします。

1年も経てば、ほとんどの人にとって、すっかりその感情は消え去り、毎日の現実を生きることになります。

また、知らない企業名=よく分からないから取っ付きにくい、という先入観ももったいないです。

現在どんなに知名度の高い企業でも、最初はみんな小規模企業。

誰も知らないところからのスタートだったわけです。

自分の資質や価値観とマッチする素敵な中小企業が、あなたの地元にも全国にもたくさんあるはずです。

もし中小企業にも興味があるのであれば、大企業にご縁のなかった約7万人が流れてくる前に、少しでも自分のアンテナに引っかかる企業にはどんどん足を運んで、じっくり宝探しをするかのように、ファーストキャリアを歩む企業をみつけてみてください。

中小企業、知りはじめると面白いですよ。

次回は、【社会を知る編】の最終回。

最後は、大企業・中小企業など企業の規模に囚われず、業種も関係なく、まったく別の視点をお届けします。

これからの日本にはどのような企業が求められ、欠かせない要素は何なのか。

古来の日本人特有の精神性に魅せられ、日本人よりもずっと深く日本人の本質を捉えていた、社会人類学者であり哲学にも精通していた人物の視点から、企業選びのポイントをお伝えしたいと思います。

 

≪人事・経営者の読者のみなさまへ≫

もしこの記事を読んでくださった方の中に、中小企業の人事・経営者の皆様がいらっしゃれば、ぜひご案内させてください。

本記事でもお伝えしたとおり、中小企業はどうしても就活市場で認知される機会が少なく、母集団形成を中心に採用活動に苦戦する傾向にあります。

当社では中小企業様向けのコンサルティングを実施しており、さまざまな採用課題に対する勉強会もご提供しております。

キーワードは、「大企業の3つの弱みが、中小企業の3つの強みである」という考え方です。

このポイントをうまく活かして採用活動されている企業様は、実際に採用がうまく回り出しています。

御社のご状況・課題にも、お力になれることがあるかもしれません。

ご興味ある方は、下記までお気軽にお問い合わせください。

株式会社 経営人事パートナーズ

 

p.s.

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採用に課題をお持ちの中小企業の方は、ぜひ一度ご覧ください。

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Who is writing

大学卒業後、人材業界にて法人営業・キャリアコンサルティングに従事。
20代~60代まで幅広い年齢層のキャリア・メンタル相談を経験する。
その後、企業の新卒採用代行、大学生の就職活動支援、さまざまな生きづらさを抱えた学生と向き合う伴走支援に携わり、現在の社会構造と人の活かし方に疑問をもつ。
また、人にかかわる問題の根底は「教育」にあると考え、幼少期の教育・子育て分野にも
キャリアを広げている。
2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)