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昨年末、ChatGPTから、自分でGPTをカスタマイズできる機能(この記事ではGPTsと呼びます)がリリースされました。
まだ、使ったことがない方向けに分かりやすくご紹介します。
是非、業務や日常生活の効率アップに役立ててくださいね。
そもそもGPTsとは?
GPTsとは、特定のタスクに特化したGPTを自作できる機能です。
今までは、技術者がコードで作成していたようなものを簡単に自作できるようになった画期的な機能なんですよ。
例えば、必要な情報を与えると自分好みのトーンでメールを書いてくれるGPTをノーコードで作成できます。
しかも、作成したものはリンクで共有することも可能!
ただし、2024年4月時点でGPTsは有料プランのユーザーのみが利用可能ですので、ご注意ください。
それでは、早速ChatGPTを開いて始めましょう!
ちなみに筆者のChatGPTは日本語表記ですが、英語表記の方もいらっしゃるので、記事では英語と日本語を併記します。
画面左側のサイドバーにある「Explore GPTs/GPTを探す」をクリックすると好みのGPTを見つけられる画面が開きます。
GPTsの作成画面を見ていこう!
では、実際にGPTを自作する画面について説明します。
GPT検索画面の右上にある「+Create/+作成する」をクリックしてください。
するとこのような画面が表示されます。
左半分の「Create/作成」や「Configure/設定」ではGPTの作成や設定をし、右半分のPreview/プレビューでは作成したGPTが意図したとおりに動くかを試すことができます。
「Configure/設定」でできること
Configure/設定を上から見ていきましょう。
「プロフィール画像」
DALL-E(説明はのちほど)にお願いするとイメージにあった画像を作ってくれます。
もちろん、自分で画像をアップロードすることも可能。
「Name/名前」
作成するGPTの名前。Builderに提案してもらうこともできます。
「Description/説明」
どんなことができるGPTなのかの説明です。
「Instructions/使用方法」
このGPTの目的などの詳細が書かれている部分です。GPTを作成する上で、もっとも重要な部分です。
「Conversation Starters/会話のきっかけ」
GPTトップ画面のメッセージボックスの上に表示されるボタンをここで設定できます。
ユーザーはこれをクリックして会話を始めることもできます。
Builderを使って作成する場合は、Builderの質問に答えれば自動的に作成されます。
もちろん、自分で直接、入力することも可能です。
「Knowledge/知識」
ここではGPTが回答をする際に参考としてほしいデータをアップロードできます。
Instructions/使用方法には「Knowledge(知識)にアップロードしたデータを参考に回答をすること」と入れるようにしましょう。
「Web Browsing/ウェブ閲覧」
ここにチェックを入れると回答をするときにネット上で検索をすることが可能になります。
ネットを検索する必要のないGPTを作成する際は、このチェックを外しましょう。
「DALL-E Image Generation/DALL-E」
DALL-Eは画像生成AIです。ここにチェックを入れるとGPT上でDALL-Eを使用できます。
どのような画像を作りたいのか指示をすると画像を生成してくれます。
「Code Interpreter/コードインタープリタ」
ユーザーのプロンプト(指示)からコードを生成したり、実行したりする機能です。
例えばコードを使って、ユーザーがアップロードしたデータを解析して、結果をグラフにすることもできます。
この機能を使わない場合もチェックを外すことをおすすめします。
「Actions/アクション」
API (Application Programming Interface)を使って、他のアプリやソフトを連携させることができます。
ただし、GPTsの他の設定と違って、少し専門的な知識が必要です。
Additional Setting/追加設定
入力データを学習に使われたくない人はここのチェックを外しましょう。
個人情報の扱いは気を付ける必要があります。極力、入力することは避けましょう。
「設定>データコントロール>チャット履歴・学習」の設定も今一度確認してくださいね。
以上が設定できる項目です。
それでは、いよいよ作り方をみていきましょう。
GPTを作成する方法は2つ
GPTを作成するには、2つの方法があります。
「Create/作成」からGPT Builderと会話をしながら作成する方法と「Configure/設定」に直接、プロンプトを入力していく方法です。
一つずつ、簡単に説明します。
初心者におすすめ!Builderと話して作る
まずは、GPT Builderと話しながら作る方法について説明します。
1) GPT作成画面の左半分にある「Create/作成」タブを表示すると、GPT Builderから「What would you like to make? (何を作りたいですか?)」と質問を受けます。
今回は「イメージを伝えるとロゴを作ってくれるGPTを作りたい」と答えてみます。
この指示には、必ず回答を日本語でもらいたいと付け加えるようにしてください。
これがないと、Builderはいつまでも英語で答えを返してきます。
それでも、たまに英語で返されることもありますが、日本語で回答するようにと粘り強く呼びかけてあげましょう。
このあたりは通常のチャットと同じですね。
コツ1 全て日本語で返答してほしいとBuilderへの最初の返答に付け加える
2) Builderから名前を提案されます。その名前でOKか、もっと別なものを提案してほしいか、返事をしましょう。
1回でばっちりな名前を提案してくれることもあれば、イマイチの場合もあります。
今回はロゴマジックと名づけました。
3) 名前が決まるとGPTのプロフィール画像をDALL-Eで作ってくれます。
プロフィール画像が好みでなければ、どんな色やモチーフを使って、どんな形のどんな雰囲気のロゴがいいのか、自分の好みを具体的に伝えましょう。
ここでは、柴犬のかわいいロゴを作成してもらいました。
「かわいらしい柴犬の子犬を真ん中に置いたロゴを作りたいです。背景は黄色とピンクを使って、柔らかい雰囲気にしてください」と指示しました。
ロゴマジックのGPTはこれでできあがりましたが、作成するGPTによっては、さらに質問されます。
例えば、悩みごとを伝えると偉人の名言を例にアドバイスをくれる「とことんあなたに寄り添う名言マスター」を作成したときには
- 悩みごとを4種類にわけてください
- 特に気を付けてほしいことや絶対にしてほしくないことがあれば、教えてください
- ユーザーに話しかけるときの口調はどうしますか
と聞かれました。
Configure/設定の「名前」「説明」「使用方法」が埋まればGPTは作成できますが、Builderはこの3つと「プロフィール画像」および「Conversation Starters/会話のきっかけ」を埋めるための質問をしてきているようです。
できあがったロゴマジックのInstructions/使用方法はこのように書かれていました。
では、次に右半分のPreview/プレビュー画面からロゴマジックの動作を確認してみましょう。
中価格帯のワインとチーズを販売する会社のロゴを作成してもらうことにします。
メインターゲットは30~40代の女性なので、かわいらしさの中にも洗練さのあるデザインがいいとメッセージを送りました。
動作は問題なさそうです。
慣れてきたら「Configure/設定」で作成&動作調整
GPTsに慣れてきたら、Builderを使わなくてもConfigure/設定にゼロから書き込んで作ることができます。
ここではBuilderと一緒に作ったロゴマジックの動作調整をする方法をお伝えしながら、Configure/設定画面への入力のコツをご紹介します。
先ほどBuilderと一緒に作ったロゴマジックをさらに使いやすくするために、Builderが書いてくれたInstructions/使用方法をベースに以下のとおり、書き換えました。
Instructions/使用方法はチャットのプロンプトと同じような書き方をすると比較的うまくいきます。
ここでは、投げかける質問を番号つきの箇条書きにして、Q&Aセッションのように一つ一つユーザーに質問をするようにお願いしました。
ChatGPTは長い文章が得意ではないので、箇条書きにすると回答の精度が高くなります。
また、「一つ一つユーザーに質問する」と書いても、うまくいかなかったのですが「Q&Aセッションのように」と入れただけで、一つずつ質問してくれるようになりました。
このように簡潔かつ具体的に書き込むようにしましょう。
とは言っても、最初からうまくいくこともあります。
少しずつ修正しながらGPTが理解しやすい言葉を見つけていきましょう。
コツ2 Instructions/使用方法は具体的&簡潔に!初手でうまくいかなくても、やり取りをしながら最適な表現を見つける
Instructions/使用方法を書き直したので、Preview/プレビューでもう一度、動作確認をしましょう。
今回は南米から輸入する女性服を販売する会社のロゴを作成してもらいます。
質問も一つずつしてくれていますね。
太陽をモチーフにしたロゴをお願いするとデザインがテキストで提案されました。
3のデザインでロゴの作成をお願いすると…
問題なさそうですね。画像にカーソルを合わせるとダウンロードボタンが表示されます。
GPTを「公開」しよう
これでロゴマジックの設定が整いました。実際にGPTとして使える状態にすることを「GPTを公開する」といいます。
ここからはその公開の手順をご紹介します。
画面右上にある「Save/作成する」をクリックしましょう。
すると次のような画面が出てきます。
誰とも共有しない場合は「Only me/私だけ」を選択します。
共有したい場合は「Only people with a link/リンクを受け取った人」を選択して、共有したい人にリンクを送ります。
(GPTストアに公開する方法の説明は割愛します。興味のある方はこちらをご参照ください。)
もちろん、リンクを共有する相手が有料プランのユーザーでなければ使用できません。
「Confirm/共有する」をクリックすると次の画面がでてきます。
共有する場合はリンクをコピーしておきましょう。
「GPTを表示する」をクリックすると作成したGPTのトップ画面が表示されます。
この画面の左上、GPTの名前が表示されている部分をクリックすると、メニューがでてきます。
「Edit GPT/GPTを編集する」をクリックするとConfigure/設定画面に戻り、GPTに修正を加えることができます。
ChatGPTホーム画面の左側のサイドバーには自作したGPTが表示されます。クリックすれば使用できます。
実は裏技の作成方法が?!
実は、これ以外にもGPTを作成する裏技があります。
通常のチャットでもプロンプトをいくつも書くと、最初のプロンプトを忘れられることがよくありますよね。
GPTsのInstructions/使用方法でも、やはり同じ現象が起きました。
こんなときに使えるのが、Actions/アクションを使ってプロンプトを書き込んだGoogleのスプレッドシートとGPTをAPI連携する方法です。
しかし、Builderを使う方法やConfigure/設定に直接入力する方法と違って、少し専門的な知識が必要になりますので、具体的な作り方は以下の2つの記事に譲りたいと思います。
とても分かりやすくまとめられていますので、参考にしてください。
せなおさんの「ChatGPTとGoogleスプレッドシートの連携!GPTsでプロンプトを連続入力する方法」
@iconss(ほたる)さんの「Google Apps ScriptでGPTsのCustom ActionsのAPIを作ってみた」
筆者もこの2つのブログを参考にActions/アクションを使用してロゴマジックVer2を作成し、無事に動作を確認できました。
Configure/設定に指示を入れる場合とスプレッドシートに指示を書き入れる場合の違いをお伝えしたいので、ここでは筆者がロゴマジック2作成に使用したものを例として、最初に準備しなくてはならないスプレッドシートの作り方とその設定方法を以下にご紹介します。
まずは、「Instructions/設定」に書くべき指示(プロンプト)を一つずつ、順番でGoogleのスプレッドシートに書き入れていきます。
スプレッドシートのA列に「番号」を入れます。これは必ず4桁にするようにしてください。
B列にはプロンプトを1つずつ入れて、プロンプトの最後に次のプロンプトを実行する指示を追記してください。
例えば、1001番のプロンプトの最後には「確認ができたらプロンプト1002を実行してください」と追加しています。
このプロンプトを入れておくだけで、ユーザーが指示をしなくても次のプロンプトを自動的に実行してくれます。
スプレッドシートのID(アドレスの「d/」以降から「/edit~」までがIDです)が後ほど必要になるので、控えておきましょう。
右上の「共有」ボタンから「一般的なアクセス」で「リンクを知っている全員」を「閲覧者」にしたら「完了」をクリック。
スプレッドシートに名前を付けて保存します。名前はアルファベットの方が無難かもしれません。
これでスプレッドシートの準備と設定は完了です。
プロンプトを修正したい場合はスプレッドシートで修正をして、上書き保存すればOKです。
このあと、スプレッドシートのウェブアプリをデプロイして、GPTのActions/アクションにアプリのコードをコピペするところまではせなおさんや@iconss(ほたる)さんのページを参考に進めてください。
字面ほど難しくありませんので、大丈夫です!
最後にConfigure/設定のInstructions/使用方法を以下のように整えます。
デプロイしたアプリのURLを赤枠部分にコピペします。これでAPI連携完了です。
スプレッドシートを連携させると、GPTのPreview/プレビューの挙動がおかしいこともあるようです。
その場合は一度、Only me/私だけで公開して試運転してみましょう。試運転で問題なければOKです。
コツ3 Instructions/使用方法に入れる指示が長くなってしまう場合はGoogleスプレッドシートとAPI連携すべし
API連携時の注意事項
ここまでの記事の中でInstructions/使用方法に書く指示が長くなってしまう場合には、スプレッドシートとAPI連携する方法をおすすめしてきました。
しかし、注意してほしいことがあります。
スプレッドシートを見にいってくれない
「いかなるときも1001番のプロンプトから実行するように」とInstructions/使用方法に入れていても、GPTがスプレッドシートを見にいかないときがあります。
この場合は「スプレッドシートを見にいって」と指摘してみましょう。正常に動きだすこともあります。
スプレッドシートに入力するプロンプトはシンプルが一番
また、個人的な印象の域を出ませんが、スプレッドシートのプロンプトの難易度が上がったり、Web Browsing/ウェブ閲覧の機能を使うプロンプトを入れると、回答の精度が下がったり、挙動が不安定になったりする印象を受けました。
そのため、スプレッドシートには極力、シンプルにタスクの実行を求めるプロンプトを1行に1つずつ入れた方が安定したパフォーマンスを期待できると思いました。
ただし、Web Browsing/ウェブ閲覧については、GPTの挙動が原因ではなく、検索したサイトの情報が古かったり、正しくなかったりして精度に影響が出た可能性もあります。
また、プロンプトが長すぎないかぎりは、多少ややこしいプロンプトであっても、Instructions/使用方法に直接入力した方が回答の精度は高い印象を持ちました。
API連携をしてもプロンプトが多すぎるのはやっぱり×
さらに、スプレッドシートに書き込んだプロンプトも数が多すぎるとGPTが停止することがあると聞きました。
おそらくChatGPT4.0にかけられている上限(3時間で40メッセージ)に影響されているのだと考えられます。
筆者は10プロンプトまで試してみましたが、問題ありませんでした。
結局、効率的にGPTを作成する方法って?
このことから、まとめると
- 初心者はBuilderで作成。必要があれば「Configure/設定」で調整をする
- 慣れてきたら、「Configure/設定」に直接入力して作成する
- プロンプトの数が増えてしまう場合はGoogle スプレッドシートとAPI連携をする
- タスクの難易度は高めだけど、プロンプト自体が長くなければ「Instructions/使用方法」に直接記入する
となりました。
つまり、
コツ4 効率的にGPTを作成するにはプロンプトに合った方法を選択する
のをおすすめします。
また、GPTsが不安定なのは、新機能だからというよりも毎回、回答が変わる生成系AIの特色によるものなのかもしれません。
通常のチャットを使用するときと同様に、GPTを作るときや使ったときに間違ったことを回答してきたら、どんどん指摘をしましょう。
プロンプトを変えなくても、これで軌道が修正できることもあります。
コツ5 GPTが間違ったときには指摘をしてみよう
まとめ
これからGPTsを作ろうと考えている方向けにまとめてみました。
初めて作成する方が、Builderで作成するところから始める前提でコツを以下のとおりにまとめてみました。
- 全て日本語で返答してほしいとBuilderへの最初の返答に付け加える
- Instructions/使用方法は具体的&簡潔に!初手でうまくいかなくても、やり取りをしながら最適な表現を見つける
- Instructions/使用方法に入れる指示が長くなってしまう場合はGoogleスプレッドシートとAPI連携すべし
- 効率的にGPTを作成するにはプロンプトに合った方法を選択する
- GPTが間違ったときには指摘をしてみよう
みなさんのGPT作成がうまくいきますように!