ホワイト企業に転職したい人のための「最強の見極め方」【中編】

「ホワイト企業に転職したいけど、どうやって見極めればいい?」そんな疑問に対して全3回で徹底解説します。(中編)

はじめに

本記事は、どうすればホワイト企業への転職ができるのか、自分にとってのホワイト企業はどんなものなのかを見極める方法について前・中・後編の3回に分けてまとめたものです。

今回はその中編です。

前回の記事では、

  • ホワイト企業への転職を成功させるためには、「あるポイント」を押さえることが重要
  • それは、ホワイト企業を「一般的な労働条件」と「自分にとってホワイトかどうか」の2軸で見極めること
  • 「一般的な労働条件」を見極める方法

という3つの内容をご紹介しました。

(前回の記事:ホワイト企業に転職したい人のための「最強の見極め方」【前編】はこちらから)

この内容に続き、本記事の中編では、いよいよ「自分にとってのホワイト企業かどうか」を見極める方法をご紹介します。

  • ブラック企業ではなくホワイト企業で働きたい!
  • 自分の人生が楽しくなる働き方をしたい!

という方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

どんな条件がそろえば、自分にとっての「ホワイト企業」だと言える?

前編でも少し触れましたが、転職した先で長く働き続けたいのであれば、残業時間や年間休日数といった一般的な労働条件のほかに、「自分にとってのホワイト企業かどうか」を見極める必要があります。

これは「人間関係に関すること」「仕事に関すること」の2軸に分けて考えると良いでしょう。

つまり、自分にとっての「人間関係の心地よさ」と「仕事の進めやすさ」をイメージしてみるということです。

これらは一概に言えるような条件ではなく、とても多様です。

そして、重要なことは「自分にとっての」という部分です。

たとえば、世間的にはどんなに有名な大手企業だとしても、友人からうらやまれるような高年収だとしても、あなた自身が心地よく働くことができなければ、残念ながらその転職は成功だとは言えません。

また、自分の友人が楽しく働けているからと言って、そこにあなたが入社して楽しくやっていけるかどうかも別問題です。

恋愛と同じように、人の数だけ働き方の好みや相性があるものです。

そのため、転職先を考える際には、「どんな条件がそろえば、自分が働いたときにホワイト企業だと感じるだろうか?」を具体的に探っていく必要があるのです。

さらに見ていきましょう。

 

「人間関係」に関する条件

「職場の悩みの大部分を占めるのは人間関係」と言われるほどに、人間関係は重要です。

職場の人間関係が自分にとって心地よいものであれば、当然ストレスを感じにくくなります。

人間関係という言葉だけでは少し漠然としていますが、「コミュニケーションをとる相手」と「コミュニケーションのとり方」の2つで考えるとわかりやすくなります。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

【コミュニケーションをとる「相手」】

まずは「相手」についてです。

たとえば次のようなことを考えてみます。

 

・社外がメインか、社内がメインか?

社外の場合、顧客がメインなのか、協力会社や外注先等がメインなのか、両方ともあるのか。

社内の場合、同じ部署・同じチームのメンバーがメインか、それとも他部署がメインか、といったことです。

一口にコミュニケーションと言っても、お客様とのやり取り、メンバー同士の連携、外部とのやり取りやディレクション、社内調整、根回し…といったさまざまな種類があり、それぞれ誰を相手にするのかも異なります。

人によって得手・不得手が分かれる部分もあるため、どんな相手とのコミュニケーションが多いか、うまく確認できると良いでしょう。

 

・相手とは初対面が多いか、そうでない場合が多いか?

特定の相手と繰り返しコミュニケーションをとることが多いのか、それともはじめての相手とコミュニケーションをとることが多いのかも重要です。

たとえばエンジニアの場合、クライアントや外注先が限られていることもあれば、さまざまなクライアントの案件を担当したり、外注先も幅広いこともあるでしょう。

同じ職種でも、会社が違えばコミュニケーションの広さ・狭さが異なることがよくあるのですが、案外「以前と同じだろう」と無意識に確認を怠りがちです。

「特定の相手とじっくりと関係性を深めていくためのコミュニケーション」と「はじめて会った相手と素早く関係性を築くためのコミュニケーション」は全く別物です。

その仕事で必要とされているコミュニケーションはどんなものなのかを正確に把握しておきましょう。

 

・年齢構成はどのようになっているか?

組織の平均年齢はどのくらいで、自分の部署の年齢構成はどのようになっているのかも、確認しておきたいポイントです。

具体的には、自分より年上もしくは年下が多いのか、同年代が多いのか?

特定の年齢層に偏っている組織もあれば、バランスよくさまざまな年代の人がいる組織もあるでしょう。

注意したいのは、組織の年齢構成が変わると自分の立場も変わることがある、という点です。

たとえば、「前職では中堅クラスのポジションにいた自分が、平均年齢の高い組織に転職することで若手ポジションになった」ということも起こります。

前職では同期や後輩とのコミュニケーションも多い環境だったのが、今度は年上の先輩ばかりの環境になるということです。

もちろん逆のパターンも起こり得ます。

良し悪しはありませんが、自分の性格や仕事の特性を考慮した上で、「自分はこの年齢構成の組織でストレスを感じずにやっていけそうか?」というのをイメージしてみることが大切です。

 

【コミュニケーションの「とり方」】

次に、コミュニケーションの「とり方」について解説します。

これは、コミュニケーションの仕方や密度のことを指しています。具体的には、以下のような内容です。

 

対面とオンライン、どちらの手段がメインか?

これは、「出社かリモートか」という単純な見方以外に、「原則出社の場合でもオンラインのやり取りが多い」というケースも存在することを頭の片隅に置いておきましょう。

社内には大勢の人がいるのに実際の会話は少なく、いつも静か。

けれど、メールやチャットツール上では活発にやりとりが交わされていて盛り上がっている…という職場も少なくありません。

その状況を不自然だと感じて落ち着かない人もいれば、自分の都合の良いときにやりとりができて合理的だと考える人もいるので、どちらが良し悪しということではありません。

自分にとってストレスが少なく、自然に感じられる形や割合をイメージしてみると良いでしょう。

 

コミュニケーションは活発か、必要最低限か?

これは上記と重なる部分もありますが、「コミュニケーションの総量が多いかどうか」という話になります。

ささいなことでもこまめに報告しながら進める職場もあれば、各自に裁量が与えられていて、必要な場合にのみ相談をするような職場もあります。

また、自部署のメンバーとしかやりとりしない職種もあれば、他部署のメンバーやお客様など多くの人と日々コミュニケーションが発生するような職種もあります。

また、業務は個人プレイなのか、常にチーム内の誰かとペアで動くのか、といったことも大きく関係してきます。

これらは組織のカラーだけでなく、職種や仕事内容、ポジションによっても異なります。

「自分の作業に集中したいからコミュニケーションは最低限の方が良い」という人もいれば、「コミュニケーションが多い方が刺激になって、テンポよく仕事を進められる」という人もいます。

また、チームの人数が多い方が風通しが良いと感じる人もいれば、少ない人数の方がアットホームで過ごしやすいと感じる人もいます。

自分の仕事内容と、その仕事を進めるうえでの「理想のコミュニケーションの量や密度」を考えてみると良いでしょう。

 

・組織のコミュニケーションカラーは?

これは、「その組織ではどんな温度感や距離感で人付き合いが行われているか」といったことです。

もっと直接的に言うと、仕事以外のプライべートの時間を一緒に過ごす頻度がどのくらいあるか?

そして、そもそも組織で働く人の属性は自分と相性が良いのか? といった内容です。

まず、プライベートの時間を一緒に過ごす頻度についてです。

具体的には、

  • 終業後の飲み会の長さや頻度はどのくらいか?
  • 休日に同僚と一緒に過ごすことが多い職場かどうか?

ということです。

これらは業界によっても変わります。

飲み会であれば、毎週のように頻繁に行われる場合もあれば、年に1回あるかないか…といった場合もあります。

休日の話では、たとえば旅行やレジャーに出かけたり、ホームパーティーが多かったり…といったことです。

近年はワークライフバランスが年々重要視されるようになったり、飲み会に付き合わせることがハラスメントだと叫ばれるようになったりしたことも影響して、職場の付き合いは減少傾向にあるようです。

とはいえ、この手の付き合いが活発な職場はまだまだ存在するのも事実です。

こういった付き合いが好きな人にとってはとても楽しい環境ですが、苦手な人がうっかり入社してしまうと「毎回のお誘いを断るのに気を遣う」「いつも自分だけ参加しないので付き合いが悪いと思われていないか不安」といったストレスを抱えてしまうことにもつながります。

業務に直接関係しない部分とはいえ、自分が負担に感じるようであれば避けた方が良いでしょう。

こういった組織かどうかは、組織にいる人の属性からもある程度予想できます。

どちらかと言えば体育会系で、派手な付き合いを好んだり、イベントごとに力を入れて臨んだりする人が多い職場もあれば、寡黙でまじめなタイプが多く、社内行事を行う際も必要最低限にささやかな雰囲気で行うような職場もあります。

これにも良し悪しはなく、自分との相性が良いかどうかが大切になってきます。

仕事の能力とはまた別に、自分のもともとの性格や好みと合っているか?ということですね。

「自分がその業界で働く人の仲間になること、その組織の一員になること」をイメージして相性を考えてみましょう。もしかしたら、学生の頃の部活やサークル選びに似ている部分もあるかもしれません。

 

以上、ここまで、「人間関係に関する条件」について説明してきました。

上記はほんの一例ですので、この他にも思いつくことがあれば、自分の条件に加えてみましょう。

 

「仕事」に関する条件

次は、自分の仕事に直接かかわってくる条件です。

今回は、「仕事の中身」と「仕事のスピード感」の2つで考えてみます。

ひとつずつ見ていきましょう。

 

【仕事の中身】

これは、実際に自分が行う仕事の中身、つまりは業務の種類です。もっと言うと、「得意な業務の割合が多いかどうか」という話になります。

自分の仕事を洗い出してみると、誰しも、得意な業務と苦手な業務があるものです。

たとえば営業の仕事であれば、「企画や商談は得意だが、見積書の作成はあまり好きではない」というようなことです。

この場合、企画~見積書の作成までを全て自分でやらなければならない職場より、チーム内に営業事務の担当者がいて、見積書作成などの事務作業をやってくれる環境である方が、よりストレスフリーです。

苦手な業務の割合が減ることで、自分が得意とする企画や商談の業務により集中できるようになり、成果をあげやすくなるはずです。

また、希望する部署が、自分の得意とする企画や商談の業務にどのくらい比重を置いているかもチェックポイントです。

企画や商談をおろそかにしている企業はあまりないかもしれませんが、提案資料や型が詳細に決まっていて、自由な形での提案はあまりできない組織もあれば、ある程度の話がまとまると上司や組織のトップに引き継ぐ形になり、一担当者では成約まで関わることができない組織もあるかもしれません。

そういった組織よりは、個人の裁量が大きく、ある程度自由に動ける方が相性が良いと考えられます。

さらに、たとえばその企業の営業部長が

「企画と商談は営業の要だから、うちの組織では特に力を入れています。各自がいろいろと新しい方法を編み出していて、他部署を巻き込んだ勉強会も活発です。得意な人が来てくれたら楽しんでやれる環境だと思いますよ」

と言ってくれるような職場がもしあるなら、その方が自分により合っていると思いませんか?

この一言を直接引き出せるようなことは稀かもしれません。

しかし、面接などで自分の得意な業務について話すタイミングはやってきます。

自分がその業務にどう取り組んでいるか、どのような心構えでやっているかを話せば、自然と意欲は伝わります。

そのときの相手の表情や反応を注意深く見てみましょう。

企業側も、「自分たちが力を入れていることを得意とする求職者」には関心があるはずです。

何かしらプラスの反応を見せてくれたり、さきほどの一言に近い情報をくれる可能性があります。

このように、「自分の得意な業務をどれだけ大切にしているか」ということを確かめることは重要です。

転職をするということは、「組織の中で常識とされていること」が変わることでもあります。

「営業部署は企画と商談に熱心なのが当たり前でしょう」と思っていても、「熱心」の方向性や程度は組織によって異なるものです。

いま勤めている会社での常識を握りしめた状態で転職してしまうと、「確かに営業の仕事のはずなのに、自分の知っている営業と違う…」といった思わぬミスマッチにつながることもあるので、よく考えてみましょう。

 

【仕事のスピード感】

転職することで仕事を進める際のスピード感は少なからず変わるはずです。

仕事を進める際のスピード感というのは、

  • 「前の職場よりやることも多いし、せわしなくて疲れる」
  • 「前の職場よりもペースがゆっくりでイライラする」

といったような仕事を進めていくうえでのテンポの感覚のことです。

仕事のスピード感を構成している要素としては、仕事の「案件数」「納期」「人数」などが挙げられます。

先ほどは営業の例でしたので、今度は、エンジニア系の職種をイメージしてみましょう。

ちなみに、本記事におけるエンジニア系の職種というのは、自身の技術を用いてプロダクトの開発や案件の遂行を行うポジションを想定しています。

まず、「案件数」です。

これは、「担当案件をいくつ持つのか」といったことです。

これは商材によって異なる部分が大きく、10件以上の業界もあれば、1~2件ほどの業界もあるかもしれません。

ここが異なると、一つの案件にかける時間はずいぶん異なります。

「案件が少ない方が楽」という単純な話ではなく、担当が少なければ一つの案件で長時間作業することが前提になります。

「そのぶん集中できてやりやすい」という人もいれば「一つの案件が早く終わって数をこなす方がやりやすい」という人もいるでしょう。

次に「納期」ですが、これはその日に完結するのか、数週間かかるのか、数カ月かかるのか、といったことです。

たとえば産業用などの大型の機械を取り扱う会社であれば数カ月か、それ以上の年月がかかる大規模な案件もあり得ます。

規模の大きいプロジェクトであれば、当然「人数」も自分1人ということはないはずです。

このように、仕事を進める上でのスピード感は複数の要素によって変わってきます。

自分の仕事のスピード感に関わる要素を確認しながら、「今の仕事よりも極端に忙しくならないか?大変にならないか?」をイメージしてみることは重要です。

特に、現職で忙しすぎて参ってしまっている人や、残業時間が多くて負担になっている人には必ず確認しておいてもらいたい条件です。

 

まとめ

以上、いろいろと書いてきましたが、要は「自分にとってストレスがないこと」が重要です。

上記では、「人間関係」に関する条件と「仕事」に関する条件の2つの観点から説明しました。

すでにお読みになって感じた方もいらっしゃると思いますが、これらは厳密に分かれているわけではなく、

  • 人間関係が心地よければ仕事も進めやすい。
  • 仕事が進めやすいと気持ちに余裕ができて、スムーズな人間関係を維持しやすい。

といったように相互に作用しあってよい循環を作っています。

そのため、条件を考える際にははっきり区別する必要はありません。

なんとなくでもOKです。「人間関係とそれ以外」といった感じでざっくりとイメージしてみるのも良いでしょう。

大切なのは、

  • さまざまな面で自分に合っていて、良い循環が生まれていること
  • そのおかげで日々ストレスがなく過ごせて、楽しく続けられること

です。

それこそが、他でもない、「あなたにとってのホワイト企業」だと言えるのです。

今回は、自分にとってのホワイト企業の見極め方について、職種を問わず気を付けたいポイントを2つの観点からご紹介しました。

次回は具体的な職種をいくつかイメージしながら、その職種特有の見落としやすいポイントについても紹介していきます。

「自分にとってのホワイト企業」に転職したい方は、ぜひ楽しみにお待ちください!

→次回の記事:ホワイト企業に転職したい人のための「最強の見極め方」【後編】はこちら!

Who is writing

千葉大学理学部卒業。

コピーライター・セールスライター・書籍編集者
メインジャンルは組織における社会人教育・ビジネス自己啓発全般。

法人向けの社会人教育のサービスを提供する企業にて、主力商品である教育講座の企画開発職に従事。途中、同職種で競合へ転職し、2社に渡り約6年在籍。

そのほか2業界を経験し、現在は独立。営業・商品開発・WEB広告の3職種を経験しており、ライティングだけに留まらない総合的な企画・マーケティングの提案や支援も強み。紙媒体の経験も長く、文字数が万単位になる依頼も歓迎。