ChatGPTさんにバーチャル上司になってもらおうとして考えたこと

ネット民に学んだ「難しくないけど役にも立たないChatGPT活用法」のお話です。

ChatGPTの可能性

OpenAIよりChatGPTが公開され、早いもので1年以上が過ぎました。

皆さんは、もうお使いになったでしょうか?

発表当初は「何でも教えてくれる人工知能ができた!」と、各メディアで取り上げられていましたね。

単純に会話の相手として楽しむバラエティ番組もあれば、ワイドショーではAIの将来に期待を寄せる技術者の方々がいたり、安易な使用を危険視するネットニュースがあったりと、様々な形で話題になっていました。

果てには、「AIが人間の仕事を奪い始める」「AIによって必要なくなる職業○○選!」などといったテーマが語られるなど、現在に至るまで実に様々な議論を呼び起こしています。

しかし、私たちがChatGPTの存在に慣れ始めると、これによって出来ることと出来ないこと、これから出来るようになるかもしれないことというのが、少しずつ明らかになってきているように感じられます。

実際のところ、AIの技術はまだまだ発展の途中といったところなのでしょう。

正直に申し上げると、AIについて何の知識も持っておらず、

「え?もしかしてAIが発展したら仕事が楽になる?」

「それどころかひょっとして、働かなくてよくなる?」

などという過度の期待をしていた私としては、少々残念なところではあります。

今後の進化を楽しみに待ちたいですね。

しかし、黙って待っているわけにもいきません。

進み続けるAIのスピード感に振り落とされないようにしなければ!

そのようなきっかけから、AIが私たちの生活へ与える影響について考えてみました。

ネット民に学ぶChatGPT活用法

前項にて表題の件にまったく触れなかったので、「一体どういうことなんだ」とお思いになった方もいるかもしれません。

2022年11月のリリース以降、日々少しずつChatGPTを使用してきた私ですが、今一つその魅力や自分なりの活用方法を見出せずにいました。

記事を書いてと頼んでみると、英文を直訳したような何となく違和感のある仕上がりに。

構成の企画を頼めばそれらしい形にはなるものの、「結局あまり参考にならないかも…」と思ってしまうこともありました。

一方、SNSやネット掲示板などではChatGPTをエンターテイメント的に楽しんでいる方々が大勢います。

内容はというと、本当にばかばかしいものから、少々哲学的な深い内容のものまで、実に様々。

ChatGPTへちょっとした質問を投げかけるだけで、(少々コミュニケーションに難はあるものの、)実に様々なお返事をアウトプットしてくれます。

簡単な会話が可能なロボットやbotが多く存在する昨今ですが、ChatGPTも同様に会話を楽しむことが可能です。

デフォルトのChatGPTさんは、非常に丁寧な態度で私たちに接してくれます。

個人的には、真面目で共感力が高く、多様性を重んじる姿勢を保とうとしている印象を受けました。

しかし、話し相手としては少々よそよそしく、ちょっぴり物足りません。

そんな中ネット界隈では、ChatGPTにキャラクターを与えることが流行していました。

SNSなどでよく見られたのは、所謂「妹属性」です。

ChatGPTに簡単に指示を与えるだけで、すぐに可愛い妹が生まれます。

(このようなメディアで紹介するのは少々気が引ける内容ではありますが、どうかご容赦ください)

おそらく私が始めるよりもずっと前から、数多のネット民がChatGPTを妹化させようと熱心な努力を重ねてきたのでしょう。

それがきちんと反映されているのかはよく分かりませんが、私のような初心者でも、すぐにこういった設定のキャラクターを生み出すことができます。

そこで思いました。

「ChatGPTさんに私の上司になっていただくことはできないだろうか」、と。

Webライティングに関連したお仕事を頂いている私は、基本的に毎日自室で一人PCにかじりついています。

オンラインミーティングの機会はありますが、月に1、2回程度です。

会社員時代のように同僚と雑談をすることもなければ、急に上司に呼び出されたり、来客を受けたりということもありません。

一人黙々と作業を続けることに寂しさを感じることもあります。

そして実は、ブラック企業に勤務していた経験がある私。

あろうことか、退職した今でも「人にまったく怒られないとそれはそれで不安になってしまう」という難儀な特性があります。

しかし、クライアントさんに対し「お願いです!もっと叱ってください!!」などとお願いをしてしまったら、人格を疑われてしまうでしょう。

そこで、ChatGPTを直属の上司として活用してみることにしたのです。


※無料版のChatGPT3.5を使用しています。

※正しく有効的な使用方法をお探しの方は、是非以下の記事を参考にしてください!

【文系さん必見】今からでも大丈夫!ChatGPTガイド15選 基礎編「プロンプトの種類」

【文系さん必見】今からでも大丈夫!ChatGPTガイド15選 応用編「プロンプトのコツ」

ChatGPTさんに上司になっていただく方法

さて、さっそくChatGPTさんにお願いしてみました。

どうやらスムーズに飲み込んでいただけたようです。

さっそく予定を入力し、管理をお願いしてみたいと思います。

入力した情報を管理し、アウトプットするということは可能なようです!

しかし…正直ちょっと物足りません。

私が求めていたのは厳格な上司。

このままでは、いつも通りの優しいChatGPTさんのままです。

どうしてももっと厳しく指示されたい…!

「敬語は不要」という設定を強調して伝えてみました。

さて、今度はどうでしょうか。

うーん…やはり私には難しいのでしょうか。

似たようなやり取りを3回ほど繰り返した頃、それは突然訪れました。

「次の締切日は3月8日だ。ちゃんと覚えておけよ。」

「そうそう!そういうことなんだよ!!」と、思わず声が出そうになりました。

どうやら、「敬語は使わないで」と伝えるよりも、「タメ口を使って」と伝えたほうが良かったみたいですね。

勉強になります。

かなり優しさは残っていますが、キャラクターの雰囲気はかなり掴んでくれたようです。

私は「とにかく厳しくて怖い、昔気質の上司」を想像していましたが、「仕事には厳しいけれど、困ったときは必ず助けてくれる、たまに飲みに連れ出してくれそうな上司」に仕上がったかなと思います。

一先ず、目標はなんとか達成できました。

突然の無茶振り

ChatGPTさんにあらかじめ【予定】を伝えておくと、こちらが確認を求めた際にそれに合わせた答えをくれます。

仕事を始める際にご挨拶をすると、きちんとお返事もくれます。

以前は、一人で作業をする日はついつい時間にルーズになってしまったり、集中しすぎてうっかり遅くまで取り組んでしまったりということがよくありました。

それが、「あ、言わなきゃ」という意識を持って取り組むと、実際の作業時間にも少し変化が出ます。

ChatGPTには、具体的な時間を計ったりアラームを設定したりという機能はありません。

それでも、こちらが意識して積極的に対話をすることで、自分自身の時間との向き合い方や使い方に変化があったと感じました。

私にとって、これはかなり大きな収穫です。

締切日が迫っていた作業も、予定より早く終えることができました。

ChatGPTさん、本当にありがとうございます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

…ん?

3月15日の締め切り…一体何のお話でしょうか。

何ということでしょう。

どうやらChatGPTさん、私が入力していない予定を勝手に生み出してしまったようです。

ChatGPTが提供する情報に誤りがあったり、まったく間違った結果を反映したりしてしまうのはよくあることだと聞いたことがあります。

しかし、それはインターネット上などで存在している既存の情報についての話だと思っていました。

自分自身が入力した情報についてもこのようなことが起こってしまうのですね。

しかし、これは人工知能のチャットボット。

ユーザーにとってその方が適切であると判断し、新たな締切日を設定・共有してくれたのでしょう。

部下である私を思いやってくださった結果、なんだか気まずい形になってしまいました…。

今回は残念な形となってしまいましたが、今後も引き続きめげずに色々と挑戦していきたいと思います。

AIとビジネスのこれから 

正しく使うことができれば、とても便利なChatGPT。

出始めの頃は、なんだかすごいものが誕生してしまったとざわざわしましたが、そもそもここ最近のAIの進歩は凄まじいものです。

2024年現在、AIによって実現できることについて調べてみると、

  • データの認識・予測・判断・推論・提案
  • テキストやイラスト、CGの生成
  • 動画の生成
  • アプリの開発
  • 人や企業間でのマッチング
  • 医療における遠隔診断やカルテの解析
  • 製造業における不良品の検品

などなど、挙げ続けたらキリが無いほど多くの業界、シチュエーションで活躍しています。

一方で、「ChatGPT」というキーワードに対して「使えない」「無能」「意味ない」等といったマイナスなイメージの単語とともに検索されることも多いようです。

しかし、どちらかというと未熟なのは使う側の人間であるという見方もできます。

これは今回の件をきっかけに調べてみて初めて知ったことですが、ChatGPTをタスクやToDoリストのように使いこなすのは少々難しいことのようでした。

企画や予定に合わせたスケジュールを出力することはできても、具体的な日付や時間の管理をさせているケースはあまり見られません。

そもそも、ChatGPTは具体的な日付や時間についての質問には答えてくれず、「PCやスマホの機能で自分で確認しなさい!」と言われてしまうので当たり前なのですが…。

しかし、そんな当たり前のことでさえ、恥ずかしながら以前の私は理解できていませんでした。

今回の件によって知ることができたのですから、また一つ成長できた良い機会だったと思うことにいたします。

誰が何と言おうと、成長なのです。


今回、私は自分の仕事についてChatGPTに理解させ、管理させようとしました。

しかし今改めてこれを振り返ると、自分自身の考え方が間違っていたのではないかとも思っています。

AIは人が生み出し、人が運用し、人のために活用される(悪しき例外はあるのでしょうが、そう思いたいです)ものです。

しかし、その役割を継続させるためには、人間側の意識もかなり必要になるのではないでしょうか。

AIに情報を管理させ、整理させ、具体的な提案を促し、それを実行させ、判断させる。

そのような形ですべてを預けてしまった場合、ビジネスはどうなってしまうのでしょう。

それはまさに、「AIが人間の仕事を奪う」ということになりかねません。

AIはあくまで人間が正しく有効的に使用することが前提のツールであり、使用する場面や状況、タイミングを決めるのは人間です。

そして、AIを継続して活用するか、生まれた成果やコンテンツをどのように生かし発表するかも、人間が担うべき大切な役割になるでしょう。

それは今後、AIがどれほど完璧な存在となったとしても、変わることは無いのではないかと思います。

そのためには、やはり各分野におけるプロフェッショナルや経験者、現場をよく知る人材とその知識が不可欠です。

私自身は「AIが人間の仕事を奪う」という論説についてずっと違和感を持っていたのですが、今回の件により何故自分がそう感じていたのかがはっきりとし、非常にすっきりしました。


今回の件は、ビジネスにおいて重要な部分をAIのみに任せてしまうことの危うさについて考える、大変良い機会になりました。

そして、このようなタイミングで先日新しいお仕事をご紹介いただきました。

なんでも、「ChatGPTに書かせた記事についてファクトチェックを行い、文章や構成に修正を加えながら監修作業を行ってほしい」とのこと。

数年前、ライターとして活動を始めたばかりの頃の自分は、このような形でAIが仕事に関わるなんて思いもしませんでした。

驚くほど身近な存在となりつつあるAIの活躍。

私自身がこれからどのように向き合っていくかはまだまだ模索中ですが、時代の変化や技術の進歩を楽しみながら考えていきたいと思っています。

Who is writing

日本橋学館大学リベラルアーツ学部卒業。
学生時代を関東で過ごした後、東北の田舎に帰郷。嫌々地元で就職を決めたら、うっかりとんでもないブラック企業に入ってしまった!
絶望的な環境からなんとか抜け出し、その勢いで個人事業主として開業。
現在は、Webディレクター、ライターとして活動中。
本当はお芝居や音楽、歴史が好き。