なぜうちの会社は有給が取れない?真の原因と今すぐできる対策8選
有給が取りづらいのは、「会社の仕組み」と「風土」に問題があるからです。あなたの会社は、有給を取っても回る仕組みと雰囲気がありますか?

はじめに
「有給休暇は労働者の権利」と言われますが、実際のところ、職場で堂々と有給を申請できている人は、どれほどいるでしょうか?
- 今、有給を取ったら迷惑がかかるかも…。
- 誰かに引き継ぐのが面倒で、結局出社してしまった。
- 有給は空気を読んで取るものになっている。
こんな声が、今でも多くの職場から聞こえてきます。
本来、有給は心身のリフレッシュや、ライフイベントへの対応など、誰もが自由に取得できるものであるはずです。
ところが、実際には「取りたいのに取れない」「取った後が怖い」と感じる人が多く、気軽に使えるはずの制度なのに、実態が伴っていないというギャップがあります。
特に問題なのは、「有給が取りづらいこと」そのものよりも、それによって社員が休むことに罪悪感を抱き、心身ともに余裕を失ってしまうことです。
そこで今回は、「なぜ有給が取りにくいのか?」という根本的な原因を整理しながら、社員が安心して休める組織に変えるための仕組みづくりのポイントを解説します。
「有給が形だけの制度になってしまっている」と感じている人は、ぜひ参考にしてみてください。
有給が取りにくい職場の特徴

有給休暇は本来、誰もが平等に使えるはずの制度です。
しかし実際には、「取りにくい雰囲気」や「なんとなく遠慮してしまう空気」が根強く残っている職場も少なくありません。
では、どんな職場にその傾向があるのでしょうか?
ここでは、有給が取りにくい職場の特徴を整理していくので、「うちの会社はどうかな?」と思いながら見てみてください。
①有給を取るのが気まずい
- この忙しい時期に休んでいいのかな…
- 自分が抜けたら周りが困るかも?
そんな遠慮の気持ちが職場全体に染みついていると、有給は「本当は気軽に取っていいもの」なのに「取りづらいもの」になってしまいます。
特に、周囲の誰も休んでいない状況で自分だけ申請すると、「あれ?なんで今?」というような目で見られたり、「誰がフォローするの?」といった言葉が飛んできたりします。
そのような職場では、自然と「取らないほうが楽」「我慢したほうが関係がこじれない」と感じるようになります。
さらに、「有給を取るときは周囲に謝るのがマナー」といった文化が定着してしまうと、有給は「自分の都合で迷惑をかける行為」と捉えられ、本来の権利ではなく、周囲に許可を取るべき“依頼”のような扱いに変わってしまいます。
このように、明確なルールがあるわけではなくても、「みんな休まないから」「言い出しにくいから」といった空気感が、有給を取りづらくさせている大きな要因になっています。
② 休むと仕事がどんどん溜まる
せっかく休んでも、溜まった業務や滞ったタスクの処理に追われ、「休まない方が楽だった」と感じてしまう人も少なくありません。
「有給を取ると、その分自分にしわ寄せが来る」と感じると、結果的に“取らないほうが楽”という選択になってしまいます。
これは、業務が特定の人に偏っていたり、情報共有や引き継ぎがうまく仕組み化されていないことが主な原因です。
例えば、「その人しかできない仕事」が多く、「どこに何があるかわからない」「代わりにやれる人がいない」といった属人化が進んでいると、休みを取るたびに自分の首を絞めることになってしまいます。
「引き継ぎの準備をするくらいなら、休まないほうがマシ」。
そんな空気がある職場では、有給なんて気軽に取れません。
「有給=リスク」になってしまうと、誰も気持ちよく休めず、生産性が落ちるだけでなく、チーム全体の信頼関係や連携にも悪影響を及ぼします。
③ 有給を勝手に取らされる
一見すると、「有給を取らせてくれるなんて良い会社じゃないか」と思えるかもしれません。
しかし、本人の意思とは関係なく「この日は休みにしておいたから」と一方的に予定を組まれてしまうケースは、実は少なくありません。
これは、「計画的付与」と呼ばれる制度が誤って運用されている典型例でもあります。
本来、計画的付与は労使協定に基づいて行うものであり、5日間を超える部分について取得日を定められるものです。
そのため、5日間は本人の希望を無視してよいものではありません。
例えば、長期休暇中や閑散期に「ここは会社全体で休みにするから、有給を使っておいてね」と言われたり、忙しい時期を避けて勝手に休みを割り当てられたりします。
これでは、「使いたい時に使えない」という不満が募るのも当然です。
“有給は会社の都合で調整されるもの”という誤った運用が常態化してしまうと、社員は「休みたい」と言い出しにくくなり、本来の目的である心身のリフレッシュにもつながらなくなってしまいます。
④有給取得が推奨されていない
有給を取りづらい職場には、「制度としてはあっても、実際には使われていない」という共通点があります。
その背景には、「上司が有給を取っていない」「誰も休んでいないから言い出しにくい」といった空気があります。
例えば、直属の上司が常にフル出勤していると、部下は「自分だけ休むのは気が引ける」と感じてしまいます。
さらに、「忙しいのに休むなんて甘えてると思われないか」といった不安も加わり、有給は“制度上あるけど使えない”ものになってしまうのです。
こうした状況では、「有給は使っていいよ」と言われても、実際には誰も使っていないため、ますます取りにくい空気をつくってしまいます。
⑤有給を取るどころか休日出勤もしている
そもそも「休みが足りていない」状態では、有給どころではありません。
例えば、納期や繁忙期のしわ寄せで土日に出勤するのが常態化している職場では、「有給を取って休もう」という発想自体が湧きづらくなります。
社員も、「今さら有給なんて取れない」「どうせ取っても仕事が溜まるだけ」と諦め気味になり、結果的に“休まないことが前提”の働き方が固定化してしまうのです。
こうした状態が続けば、心身ともに疲労がたまり、パフォーマンスや離職率にも悪影響を及ぼすため、まずは「休めるだけの余白があるかどうか」を見直す必要があります。
なぜ有給が取りにくい職場が生まれるのか?

有給休暇は労働者の権利であり、誰でも取得できるはずなのに、実際には「取りづらい」と感じる職場が多く存在します。
その背景には、「休まれると仕事が回らなくなる」という構造的な問題があります。
例えば、特定の人に業務が集中していたり、マニュアルや引き継ぎが整備されていなかったりすると、「休まれる=現場が止まる」状態になってしまいます。
こうなると、上司も同僚も心のどこかで「できれば休まないでほしい」と思ってしまい、有給を申請しづらい雰囲気が生まれるのです。
これは制度や努力の問題ではなく、「休んでも問題なく回る仕組みがあるかどうか」の問題です。
本来、仕事が仕組み化され、チームでサポートし合える体制があれば、誰かが休んでも業務は滞らないはずです。
つまり、有給が取りやすいかどうかは、日頃の業務設計やマネジメントのあり方にかかっていると言えます。
だからこそ、表面的に「休んでいいよ」と言うだけでなく、「そもそも休めるような体制があるのか?」を見直す視点が必要なのです。
有給を取っても回る組織にするには?

有給休暇を取っても仕事が問題なく回るものとして捉え直すためには、組織のあり方そのものに工夫が必要です。
ここでは、有給の取得を妨げている職場の仕組みや運用の課題を解消するために、企業が整えるべきポイントを5つご紹介しますので、参考にしてみてください。
①業務を属人化しすぎない
「この仕事は◯◯さんしかできない」という状態が続くと、その人が休むたびに業務が止まってしまいます。
重要なのは、担当者に依存するのではなく、チームで支えるという前提で業務を設計することです。
具体的には、以下のような工夫が有効です。
- すべての業務に「第2担当者」をつけておく。
- 業務の手順や判断基準をGoogleドキュメントやNotionなどで見える化しておく。
- 定例ミーティングで、仕事のやり方を共有する機会をつくる。
こうした取り組みによって、特定の人に仕事が偏らず、「誰かが休んでも、誰かが対応できる」組織づくりが進んでいきます。
結果として、有給も特別なことではなく、普段通りの流れで自然に取れるようになります。
②情報共有や引き継ぎをしやすくする
「自分しか知らない情報」が多いと、休むたびにチーム全体が混乱してしまいます。
重要なのは、業務に必要な情報を特定の人だけが持っている状態にせず、チーム全体で共有できる仕組みを整えておくことです。
例えば、
- SlackやNotionで作業ログや判断理由を簡単に残す。
- プロジェクトごとのToDoリストや対応履歴をチームで見える化しておく。
- 定例ミーティングで、「今週、誰が何を担当していて、どこまで進んでいるか」を互いに共有する。
こうした情報共有を日頃から意識しておけば、有給の前に特別な準備をしなくても、誰でも状況を把握してカバーに入ることができます。
つまり、「情報の流れを止めない仕組み」を持つことで、安心して休める職場がつくられていくのです。
③仕事が偏りすぎないようにする
一部の人にタスクや責任が偏っていると、その人は「自分が休んだら回らない」と感じ、有給を取りづらくなってしまいます。
逆に、普段から業務量をチームで分け合っていれば、「困ったときは助け合おう」という意識が自然と根づきます。
そうした関係性があれば、有給を取ることに遠慮や気まずさを感じにくくなり、休みやすい職場の雰囲気が生まれます。
そのためには、日頃からメンバーの業務状況を把握し、負荷の偏りを見える化することが重要です。
具体的には、
- メンバーごとのタスクを週1回程度で見直し、偏りがあればその場で再調整する。
- タスク管理ツールを活用し、業務の進捗やボリュームをチームで共有する。
- 日々の進捗共有ミーティングで「手が空いている人」「手一杯な人」をすり合わせ、早めにヘルプ体制を整える。
このような仕組みがあるだけで、「困ったときは助け合える」という信頼関係が生まれ、有給取得に対する心理的ハードルがぐっと下がります。
④休みを前提にしたスケジューリングをする
最初から誰かが休むかもしれない前提でスケジュールを組むことも大切です。
例えば、
- プロジェクトの納期に予備日をあらかじめ設けておく。
- 月初に、今月の有給希望を共有し、全体の予定に反映する。
- その週に動けるメンバーの数と余力をもとに無理のない作業量に調整する。
こうした工夫をしておくことで、「急に休まれて困る」ではなく、「あらかじめ想定されていた休み」として、チーム全体がスムーズに対応できるようになります。
結果として、「休んでも回る」「むしろ休むのが前提」という余白のある働き方が実現します。
⑤急な休みにも対応できるゆとり枠をつくる
子どもの体調不良や家庭の事情など、突発的な休みは避けられないものです。
だからこそ、「誰かが抜けても自然にカバーできる」チームづくりが必要です。
そのためには、あらかじめ“ゆとり”を設計に組み込んでおくことが大切です。
例えば、
- チーム全体の稼働を100%で組まないようにし、常に5〜10%程度の空きを残しておく。
- 各業務に「メイン担当+サブ担当」の体制を取り、どちらかが不在でも最低限の対応が可能にする。
このように、意識的に余白を持たせた業務設計にすることで、「急に誰かが休んでも焦らない」「お互い様だから休んでいいよ」と思える空気がチームに生まれます。
結果として、計画的な休みにも、急な休みにも対応しやすい、安心して有給が使える職場に近づいていきます。
人事やマネジメントができる支援策

有給が「制度としてある」のと、「実際に取りやすい」と感じられるのとでは大きな差があります。
いくら制度が整っていても、「休みにくい空気」「周囲への遠慮」「仕事のしわ寄せ」が残っていれば、有給取得は進みません。
だからこそ、「制度を整える」だけでなく、文化や風土づくりも、人事やマネジメントの大切な役割です。
ここでは、現場の空気を少しずつ変え、有給を取りやすくするために、人事・マネジメント層ができる3つの支援策をご紹介します。
①有給を取るのが当たり前な風潮を作る
「制度がある」だけでは人は動きません。
それを「使っていい」と思える空気がなければ、有給はあっても使われないのが現実です。
最も効果的なのは、上司やリーダーが率先して休む姿を見せることです。
「忙しい中でも休んでいいんだ」と部下に伝われば、それだけで心理的ハードルは下がります。
また、有給を使った後のフォローアップがポジティブに行われているかどうかも、職場の空気を左右します。
例えば、有給明けに「休みどうだった?」と気軽に声をかけたり、「いない間はこれを進めておいたよ」と自然にサポートする姿勢があると、次も気兼ねなく休めると感じられます。
一方で、「休んだ分は取り戻してね」といった言葉があると、有給が“気を遣うもの”と感じられてしまいます。
休んだ人も、支えた人も気持ちよくいられる。
そんな空気づくりが、有給を取りやすくする第一歩です。
②サポートし合える関係性をつくる
誰かが休むと、その分の仕事が誰かに回るのは避けられません。
だからこそ、「お互いさま」の関係性があるかどうかが、有給の取りやすさを左右します。
例えば、
- 「ありがとう」「助かったよ」の言葉を日常的に伝える。
- 誰かの負担を見つけたら「何かできることある?」と声をかける。
- 「いつか自分も休むかもしれない」という視点を持つ。
こうした小さな積み重ねが、チームの信頼関係を育て、「誰かが休んでも自然に助け合える」風土につながります。
③有給希望を書けるチーム用共有カレンダーを設置する
いざ休みたいと思っても、「今言ったら迷惑かも…」「様子を見てからにしよう」とタイミングを逃してしまうことはよくあります。
そこで有効なのが、休みたい候補日を気軽に書けるカレンダーをチームで共有する仕組みです。
Googleカレンダーやスプレッドシート、Notionなどを使えば、以下のような工夫ができます。
- 「◯日は有休希望あり(確定ではない)」と事前に記入しておく。
- 全員が見られる場所に表示し、他の人が調整しやすいようにする。
- 定例ミーティングなどで、無理のない調整をする場を設ける。
直前になって「明日休みます」と伝えると、周囲の負担感が強まり、「なんで今?」と不満が出てしまうケースもあります。
だからこそ、「遠慮せずに早めに言える空気」と「言えば自然と調整が始まる仕組み」がセットであることが、スムーズな有給取得につながります。
まとめ
今回は、「なぜ有給が取りづらいのか?」という問題の背景と改善策について解説しました。
有給が取りづらい職場には、
- 休むことに罪悪感がある。
- 誰かが休むと仕事が回らなくなる。
- 制度が形だけで、空気が追いついていない。
など、さまざまな問題が絡み合っています。
しかし、どれも「仕組み」や「関係性」を見直すことで、改善の余地は十分にあります。
とくに大切なのは、以下のような視点を持つことです。
- 「誰かが休んでも自然に回る」チーム体制をつくる。
- 日常的に情報を共有し、引き継ぎの準備を当たり前にする。
- 有給を取っても成果が出せる働き方を設計する。
- マネジメント層が率先して有給をとり、使いやすい空気をつくる。
一人の工夫や努力でなんとかするのではなく、「休んでも回る仕組み」と「気兼ねなく休める空気」を組織全体で整えることが、本当の働きやすさにつながります。
誰かが休んでも、まわりが自然にサポートする。
そんなチームには、信頼が生まれ、長く安心して働ける土台が育ちます。
有給は「特別なご褒美」ではなく、「働く人が当然に使っていい権利」です。
社員が働きやすいと実感できる職場にするためにも、ぜひ自社の風土や運用を振り返り、少しずつ改善を進めてみてください。
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