履歴書の「空白期間」を指摘された場合の最適解

あなたの履歴書に空白期間(ブランク)はありますか?就職・転職時に是非知ってほしい空白期間についての考え方をまとめました。

覚えていますか?履歴書の空白期間の出来事

皆さんが就職活動や転職活動に使用する履歴書。

企業にとっては、応募者の生い立ちや経歴を知るための大切な書類です。

最近では履歴書不要で応募できる求人もしばしば見られますが、ほとんどの場合は独自のフォーマットがあったり職務経歴書としての提出を求められたりなど、何らかの形で応募者の職歴などを確認するとしている企業が多いですね。

あなたは、今までの人生で何回履歴書を作成したでしょうか。

学生時代のアルバイトではほとんど余白だらけだった書類が、枚数を重ねるごとに少しずつ少しずつ埋まっていくという経験をされた方も多いでしょう。

作成する度に、

「あぁ、この学校を卒業してからもう○年になるのか…」

「この職場で取得した資格がこんな形で役に立つとは…」

といったことを考え、振り返ることもあるかもしれません。

履歴書は、基本的に人生における大きな出来事がかなり集約されていると言っていい書類ですが、この書類だけでは判別しづらいこともあります。

その一つが、空白期間(ブランク)です。

就職活動、転職活動が何事もなくスムーズに運んだ場合はあまり発生することはありませんが、働き方のスタイルや健康状態、家庭の事情や仕事以外の活動など、様々な理由で職歴の無い期間が生まれる場合があります。

その際、順を追って職歴を記載するタイプの多い履歴書では、その理由やその間の活動について事細かに記載されることはあまりありません。

応募書類を受け取った企業は、「この空白は何だろうか」と疑問を持つでしょう。

今回は、自分自身の履歴書の空白期間との向き合い方について考えてみたいと思います。

就職・転職活動の際のご参考になれば幸いです。

①まずは冷静に「空白」を振り返る

さて、先の章にて、職歴の無い期間が生まれるケースについて少し言及しました。

まずは、空白期間についてそれぞれのタイプに分けて分析してみたいと思います。

原因①仕事

  • 就職・転職活動が上手くいかなかった
  • 就職・転職先の企業で、入社まで一定期間待つよう指示された
  • 退職に手こずってしまったなど、仕事の切り替えがスムーズでなかった

まずよくあることとして、就職・転職の過程でやむを得ず空白期間が発生するパターンが挙げられます。

これは就職・転職そのものが原因となっているだけでなく、個人の働きだけではどうしようもない事情も含まれてきます。

空白期間自体もそれほど長期間になることはありませんから、あまり注目されることは無いかもしれません。

原因②働き方やライフスタイル

  • 以前はフリーターであったが、正社員を目指して転職活動をした
  • 専業主婦・主夫をしていた期間があった
  • 雇用形態を変更した(正社員からパートタイムの仕事へ切り替えたなど)

「仕事=正社員」という認識はまだまだ根深いようですが、様々な働き方が認められる現代において、ライフスタイルに合わせて仕事を渡り歩くこともあるでしょう。

自分自身の目標ややりたいこと、ワークライフバランスを考慮した結果、たまたま空白期間が生まれる形になったという方もいそうですね。

原因③仕事以外の活動

  • 自分の夢や目標達成のため、意図的に仕事をしていなかった
  • ボランティアなど、社会貢献活動や慈善活動をしていた
  • 単純に、仕事に就いていなかった

ワークライフバランスという考え方に留まらず、仕事とは関係が無いところで自分自身のやりたいこと、やるべきことを見出した経験がある方もいます。

社会貢献や平和維持に関することだけでなく、自分自身のために活動していた期間があるパターンです。

自由人なイメージを持たれがちですが、決して誰にでも決断できることではありませんから、中には貴重な経験を有する方も少なくありません。

原因④家庭や家族の事情

  • 家の事情で転居をした
  • 家族の看病や介護などをする必要があった

家族など身内のために働くことが難しくなってしまったという経験がある方は、一定数いるでしょう。

個人ではどうしようもないやむを得ない事情になりますから、こういった空白期間に理解を示す企業は多いと思われます。

原因⑤自分自身の傷病等による事情

  • 事件や事故に巻き込まれるなどして、大けがを負った
  • 病気療養の期間があった

こちらも、自分の力だけでは解決が難しい事情になりますね。

病気やけがの場合は自分自身でそれを乗り越える力も必要になりますから、空白期間が長期に渡る場合もあり得ます。


かなりざっくりとした分類になりますが、履歴書に空白期間が生まれる大きな理由についてまとめました。

あなた自身に当てはまるものはあったでしょうか。

自分の意思とは別にたまたまそうなってしまった場合や、自分自身で決断した場合、自分の力ではどうしようもなく避けられなかった場合など、人によって様々な事情があるでしょう。

実際の求職活動の場において空白期間についてどのように思われるかというのは、これらの理由に大きく左右される部分もありそうです。

一般的に、半年以下の空白期間はそれほど気にしなくてもよいという風潮があります。

逆に、もしそれ以上の期間が空いていた場合、何をしていたのだろうかと気になる採用担当者は多いでしょう。

空白期間が生まれた理由は、人によって様々です。

自分自身のアピールポイントとして受け入れている方もいれば、出来ることならあまり人には言いたくないと考えている方もいるでしょう。

しかし、新しい仕事を始めようとする際、自分自身の経歴を隠したり偽ったりすることは、やはり好ましくありません。

これから一緒に仕事をするメンバーとして、そのような振る舞いを見せる人を選ぶ企業はおそらくないでしょう。

ということはつまり、就職・転職活動において自分自身の経歴は正直に明かす必要があります。

相手方から特に説明を求められなかった場合は無理に自分から話す必要はありませんが、もし質問を投げかけられた場合は、きちんと応じなくてはなりません。

そのためには、履歴書の空白期間について自分自身できちんと振り返り、受け止めておくべきです。

それらを踏まえ、次に繋げるためにはどうするのが良いかについて考えてみましょう。

②「空白」から得たものと失ったものを考える

まずは、空白期間であなたの身に起きたことについてきちんと整理しましょう。

特に、長期の空白期間が生まれやすく説明を求められやすい、

  • 仕事以外の活動
  • 家庭や家族の事情
  • 自分自身の傷病等による事情

といった理由については、非常に重要な作業の一つになります。

履歴書の空白期間は、決して100%マイナスイメージに繋がるものではありません。

しかし、もしあなた自身がこれをネガティブな経験としてとらえていたり、理不尽さばかり感じて受け止めきれていなかったりした場合、相手にもそれが伝わってしまう可能性があります。

そうすると、結果的に空白期間そのものがネガティブな印象へとつながってしまい、あなた自身の評価を下げてしまったり、採用に繋がらなかったりということもあり得るのです。

そうならないためにも、自分自身の経歴についてしっかりと受け止めておかなくてはなりません。

その第一歩として、空白期間の中で得たものと失ったものについて考えてみましょう。

  • 何故その期間が生まれたのか
  • 他に選択肢があったのか
  • その期間に何が起きたか
  • その期間にどのようなことを考えていたか
  • その期間を振り返って、今どのように受け止めているか

…といったことを順を追って考えてみると、少しずつ見えてくるものがあると思います。

当時は受け入れきれなかったことも、少し時間がたった今考えると、受け止め方が変わってきたなどという気づきもあるかもしれません。

それにより、自分自身が経験したことをある程度客観的な目線で捉え、他者へ共有することも可能になるでしょう。

人生における多くの時間を仕事にかけている人が多いという中で、空白期間というのは非常に稀なものであると考える方もいます。

あなたの空白期間が何故生まれたのかと疑問を持つ方々に対し、どのように伝えるのが最適かについて考えながら、まとめていきましょう。

おそらく、空白期間に失われがちなものは、

  • 時間
  • 若さ
  • 労働経験

…等の、シンプルかつ物理的なものです。

反対に、それを乗り越えたことで得るものは、

  • 人生の経験値
  • 新たな価値観や考え方
  • 人とのつながり
  • 夢や目標

…等の、精神的なものや哲学的なものが多そうですね。

一般的な学生や社会人が「普通」としている生き方から逸れてしまうことを怖がる方がいますが、それは言い替えるならば、人とは異なる経験を積んでいるということに他なりません。

そして、この「履歴書を作成する」という時間も、人生においてそう多くは無いものです。

あなたの人生を振り返り、堂々と自伝としてまとめるような気持ちで振り返りましょう。

③「空白」について質問された場合の回答を用意する

そうして考えまとめたものについて、あなた自身はどう感じているでしょう。

ご自身で望んだことではなかったかもしれません。

ご自身が思うような結果は得られなかったかもしれません。

もしくは、ご自身の願いが叶い、次のステップとして明るい気持ちで求職に励んでいる方もいるでしょう。

もしそうでない場合は、まずはあなたが乗り越えた空白期間を自分自身の経験としてしっかり受け止めてあげてください。

空白期間そのものについて「経験して良かった」と無理に思う必要はありませんが、それもあなたの人生の大切な一部分であることに変わりはありません。

その期間に全く何の収穫も得られず、ひたすら無駄な時間を過ごしていたという方は少ないのではないでしょうか。

もしかしたら、その空白によってあなたの人生観が変わったり、新たなスキルが身についていたりなど、あなた自身の生き方に大きな影響を与えていたということもあり得ます。

もし採用面接などで空白期間に関する質問を受けた場合、ただその出来事だけを羅列し答えるだけでは少々勿体ないのではないでしょうか。

  • 空白期間により、自分自身にどのような変化があったか
  • 空白期間が終わり、何故働きたいと思ったのか
  • それらの経験をどのような形で仕事に生かしたいと思っているか

…といったことを準備しておくと、あなた自身の経験の一つとしてアピールすることが可能になります。

ここまで用意しておけば、空白期間について詳細を聞かれることは怖くありません。

そうすることで、空白期間を含めたあなたの経歴やスキルに興味を持つ方もあらわれるでしょう。

空白期間を自分自身の経歴の一つとしてアピールできるのではないでしょうか。

「空白」を自分自身のアピールへつなげるために

履歴書の上では空白となってしまう期間でも、実際の人生において本当の空白が生じるということはあまりありません。

採用試験に臨む際は、その点をしっかり把握し、それらをどのように生かしていくかについて考える必要があります。

そのためには、

  • 自分自身の経験を受け入れる
  • その経験から得られたものを考える
  • 自分自身の経験を客観視して説明できるようにする
  • それらを踏まえて、どのように仕事に取り組んでいきたいかについて考える

…といった準備をしておいた方が良いでしょう。

それにより、履歴書の空白期間はアピールポイントとなる経験の一つとして説明することもできます。

受け手の印象を良くしたいと思った時は、まず話し手の物事の捉え方や感じ取り方、伝え方を変え、それを相手に理解してもらえるようにしなければなりません。

中には、空白期間についてコンプレックスのように感じてしまっている方もいるようですね。

ブランクがあることで相手にどう思われるのか、それが原因となって希望通りの職に就けないのではないかと、不安に思っている方もいるでしょう。

どんな理由であれ、あなたの人生の1ページで起きた事実を取り消すことはできません。

しかし、その1ページの書き方や切り取り方を変えることは、今からでも可能です。

あなたが経験した空白期間に興味を持ち、それをあなた自身の魅力の一つであると捉える企業もあるかもしれません。

そのチャンスを逃すことが無いよう、しっかりと準備をしてから就職・転職活動へ挑むようにしましょう。

Who is writing

日本橋学館大学リベラルアーツ学部卒業。
学生時代を関東で過ごした後、東北の田舎に帰郷。嫌々地元で就職を決めたら、うっかりとんでもないブラック企業に入ってしまった!
絶望的な環境からなんとか抜け出し、個人事業主として働き始めて早5年。現在は、ブラック企業撲滅を目標にライターとして活動中。
本当はお芝居や音楽、歴史が好き。