逃げ出せないブラック企業、辞めるべきタイミングはいつ?

辞めたいのに辞められないブラック企業。退職のきっかけを探している方へのメッセージです。

 ブラック企業に務めている方であれば、一度は転職や退職について考えたことがあるでしょう。

「このままこの会社に居続けていいのだろうか」

「なんとか抜け出したいが、忙しすぎてまったく身動きが取れない」

「この仕事を続けていたら、自分の将来はどうなってしまうのか」

といった悩みや不安を抱えてしまうこともあるかと思います。

ブラック企業からの転職経験者である私は、職場に不満を持つ友人や知人から、

「会社の辞め時っていつ?」

と、聞かれることがあります。

SNSなどを見ていても、

「会社を辞めるタイミングが見つからない」

「ブラックから逃げ出したいのに、なかなか辞められずにズルズルとここまで来てしまった」

などという話をよく目にします。

ブラック企業を辞めるべきタイミングはいつなのか。

そのためにはどのような準備をし、動いていくべきなのか。

ご自身の今後について悩んでいる方は、是非一緒に考えてみてください。

ブラック企業の辞め時はいつ?まずは逆から考える

おそらく、転職や退職を考えたことのある方であれば、現在の勤め先を辞めたい理由はたくさんあるでしょう。

給料が少ない、あまりにも残業が多すぎる、労働環境の悪さなど、様々な理由が挙げられるかと思います。

一旦それらを飲み込んで、逆のことを考えてみてください。

あなたが会社を辞めたくない理由は何でしょうか。

もし今この瞬間仕事を離れた場合、あなたにとって不都合なことや後悔が残ることはありますか?

例えば、

・転職に対する不安

・現在担当中のプロジェクトや業務がある

・長年世話になった顧客や取引先との縁が切れてしまう

などというようなことです。

辞めたくない理由を探すことで、辞めたい理由を挙げるよりも仕事の実態が見えやすくなります。

・現在の会社で働く上での問題点は何なのか

・それらを自分や周囲の力で解決に導くことは可能か

・退職することで自分自身が不利益を被る可能性はあるか

・それらのリスクを可能な限り回避してこの状況から抜け出すためには、どういった準備が必要か

・自分がどのような働き方を理想としているのか

・今後転職をする場合、自分の理想が叶えられる企業は実在するか

などといったことを思案するきっかけとなるでしょう。

これにより、退職をするかしないかにかかわらず、現在自分が置かれている状況において何が問題なのか、今後何をどう頑張ればいいのかが把握しやすくなります

思ったよりも辞めたくない理由が多いと感じた方は、現状の働き方について見直してみるのも良いかもしれません。

もし今の仕事に未練があるのならば、それらを整理、解決させてから改めて考え直すことも可能です。

同じ環境に縛られ続けていると、新しいことを始める発想力や冒険心が失われてしまいがちですが、今の環境でそれを行動に移してみることは決して悪いことではないのです。

反対に、

「今の会社でそのような行動に出るのは無理だ」

「どんなに考えても辞めたくない理由が一つも見当たらない」

という結論に至ったのであれば、今の環境に身を置き続けるべきではないということもはっきり分かります。

正直に申し上げると、ブラック企業の適切な辞め時について、経験者である私からは「自分がその環境から離れるべきだと思った時」とお答えする他ありません。

辞めるべきタイミングは、自分の意志で決め、自分で作るものです。

あなた自身が今すぐ退職に向けて動き出さなければならないと思うのであれば、次へ進みましょう。

ブラック企業に合わせた辞め方を計画しよう

退職や転職と向き合っていくことになると、一旦ご自身の現状について整理する必要がありますね。

今後やるべきことや将来への不安、家計や家族の心配など、たくさんの問題が一度に降りかかってくるような感覚に陥ってしまいますが、きちんと計画立てて進めれば、それらのすべてが一つの大きな塊となって襲ってくるような状況はそうありません。

落ち着いて一つずつ解決していきましょう。

今回は、実際に今の仕事を辞めるということにフォーカスして考えます。

退職の意向はどのようにして伝えるのが良いでしょうか。

勤務先がブラック企業の場合はそう簡単に話が進まないということは、きっと退職を検討中のご本人が最もご存じであると思います。

一般的な方法で退職が難しいと思う方は、どのタイミングにどのような流れで退職をするのかを思索しましょう。

その際は、

・仕事の区切りをどこでつけるか

・出来る限り周囲へ負担をかけないようにするためにはどうするべきか

・引継ぎをどのように行うか

などといったことは、一旦保留にしてください。

心苦しいと感じる方もいるかもしれませんが、それらをすべて解決することができる環境であったならば、そもそも退職を検討する必要はなかったのではないでしょうか。

現状、実際に仕事を辞めるまでにはまだかなりの時間が残っていますから、すべてが決まってから可能な限りの量を誠実にこなしていくほうが合理的です。

そのために、いつ・誰に・どのような条件をもって転職を切り出すかの3点を軸にして計画を立てましょう

【いつ】

仕事の区切りを迎えた際や、普段なかなか会えない上司とミーティングをする日など、企業や業種によって様々なタイミングがあるかと思います。

日常的に上司と同じ職場に勤務していた私のオススメは、何か皆で取り組む大きな仕事を一つ終えてから1日~2日経過したある日の退勤後、帰路につく前です。

大仕事を終えた後というのは仕事のキリが良いだけでなく、退職への本気度が伝わりやすくなると思い、実際にそのような形をとりました。

そして、職場から帰る直前に退職の意向を伝えることで、その場で長々と対話をする必要性が低くなります。

退職申請時のひと時だけでは、なかなか思い通りの展開に進まないこともあるのです。

翌日以降、出勤した際は間違いなく「…ちょっといい?」と呼ばれることにはなるのですが、お互いに時間を空けたことにより落ち着いた話し合いができるので、何もかもその場で済ませようとするよりはスムーズに話が運びやすくなるでしょう。

【誰に】

こちらも会社によって大きく異なる部分です。

直属の上司に退職願を提出する場合もあるでしょうし、中小企業などでは直接会社役員や代表へ渡しに行かなくてはならないこともあります。

おそらく、ブラック企業であれば先に退職者を何人か見送っている方が多いと思いますので、この点については問題ないでしょう。

大事なことは、誰に優先的に伝えるかということです。

可能であれば、退職願を出す前に普段一緒に仕事をしているメンバーへその意向を伝えておくことをオススメします。

自分が退職して欠員が出ることで少なからず迷惑をかけてしまうことは必至ですから、それを本人以外から聞かされたり、後出しで報告されたりすることはあまり好ましくありません。

身近な先輩や後輩、同僚に先に自分の口から伝えておくことで、その後の引継ぎなどがしやすくなる場合もあります。

もちろん、そういった会話をすること自体が難しい職場環境であるケースもあるでしょう。

どこからどこまでどの順番で伝えるかについては、念入りにシミュレーションしてみてください。

噂話ばかり先に広まるのも良くありませんのであまり早々に伝える必要はありませんが、周囲の方々への報告は退職願を提出する当日までに済ませておくといいでしょう。

【条件】

最も難しいのが、どのような形で辞めるかということです。

「退職願を出してしまえば、1か月後に退職でしょ?」

と、思う方もいるかもしれませんが、慢性的な人手不足に喘いでいる企業において、そのようにスマートに事が運ばないケースは大いにあり得ます。

しかし、そのために退職を諦めるわけにはいきません。

そこで、常識が通用しないレベルのブラック企業の場合には、退職のために会社に対してどこまで譲歩できるかということを是非検討していただきたいと思います。

例えば、私が退職届を出す際は、提出日から半年後の日付を指定しました。

「たった1か月で引継ぎか終わるわけがない」

「数か月の間に新しい人材が決まらなかったらどうするんだ」

などといった反論から始まるやり取りをしたくなかったためです。

悪い言い方をすれば、あえて時間をかけることで会社の判断を鈍らせるためでもあります。

「遅くとも半年後のこの日までには退職させて頂きます」という内容の書面を提出し、可能であればそれよりも早く退職させてほしいと伝えました。

結局、提示した期日よりも早まることはなく、自分が提示したその日まで勤務するという羽目になったので、これがベストであるとは決して言えません。

ただ、本来は転職先が決まってから退職を申し出る方が多いと思いますが、この方法であれば忙しすぎてなかなか転職活動ができないという方であっても、退職を確定させてから本腰を入れて取り組むことが可能になります。

それから、お気づきの方もいるかもしれませんが、私が提出した書類は「退職」ではなく「退職」です。

一般的には、円満な退職の場合は退職願が用いられることが多いようですが、相手がブラックの場合はこういった部分も対策しておくと良いかもしれません。

退職が決定して以降、辞めたいと思っている会社に居座らなければならないというのは、かなりの苦痛を伴います。

その半年の間にも、別の同僚がパタリと出社しなくなったり、私よりも後で退職を申し出た後輩を見送ったりといったことがありました。

どうして私もそのようにしなかったのかと思う方もいるかもしれませんが、こればかりは自分でもよく分かりません。

管理者としての責任感や、前日まで笑顔で仕事を教えてくれていたにもかかわらず翌日からぱったり来なくなった昔の先輩たちへの怒りや意地、当時はいろいろなことを考えていた気がしますが、今となっては自分でもくだらないと思ってしまうことばかりです。

しかし、当時は決して「くだらないこと」ではありませんでした。

ここまで読んでいただいた方や、本気で会社を辞めたいと思っているのになかなか踏み切れないというような方には、この感情がなんとなくお分かりいただけるのではないかと思います。

会社を辞めるというのは、本来それほど難しいことではありません。

しかし、経済的状況や今後のこと、ご家族のこと、同じ環境で働いている仲間たちのことを考えすぎるあまり、なかなか決断できないこともあるでしょう。

時間的な猶予を持つことで、最低限正しい形で退職することが可能になります。

このあたりの考え方は人によって異なるかと思いますが、ご自身にとって有効的な手段であると感じた方は是非試してみてください。

辞め時確定の唯一のタイミングは「心と身体のSOS」

先ほど私は、辞めるタイミングは自分自身で決めるものだとお伝えしました。

その件について、少し補足させてください。

退職というのは基本的に自分で判断し、行動し、初めて可能になるものだと思います。

しかし、もしあなたが既に心身に不調を感じていたり、何かしらの健康トラブルを抱えていたりする場合は、その限りでありません。

どんなに冷静さや客観性を持っている方であっても、自分の事となると判断が鈍る方がほとんどであると思います。

そのため、周りの人があなたを心配する声や、久々に会った友人のリアクション、医師の判断には積極的に耳を傾けましょう。

例え自分では気がついていなくても、知らない間に身体や精神への悪影響が現れている可能性があります。

私自身、ブラック企業に勤務していた当時は友人たちから、「ガリガリすぎじゃない?」と、かなり心配されていました。

しかし自分自身はというと、「え?そんなに痩せた?ラッキー!」と言いながら、「(いやいや何言ってるんだ、全然太ってるでしょ)」と思っていたのです。

現在はおかげさまで元通り以上に取り戻してしまいましたが、鏡を見れば一目瞭然の事でさえ、本人はまったく理解できていませんでした。

他人から投げかけられる言葉は、つい聞き流してしまったり、鬱陶しく感じてしまったりすることもあるでしょう。

しかし、普段のあなたを良く知っている人だからこそ分かることもあるのです。

必ず耳を傾け、積極的に周囲へ相談してください。

そうして共有しておくことで、周囲の方もあなたの調子や働き方について気にかけてくれるようになります。

家族や友人に仕事の愚痴を言うようで気が進まない方もいるかもしれませんが、あなたの現状について知ってもらうための大切な情報の一部です。

会社の外で、あなたのことを心配して見守ってくれている方々がいることを忘れないようにしましょう。

そうして退職を決意することになった方が、新たな環境で明るい道を切り開くことができるよう祈っています。

Who is writing

日本橋学館大学リベラルアーツ学部卒業。
学生時代を関東で過ごした後、東北の田舎に帰郷。嫌々地元で就職を決めたら、うっかりとんでもないブラック企業に入ってしまった!
絶望的な環境からなんとか抜け出し、個人事業主として働き始めて早5年。現在は、ブラック企業撲滅を目標にライターとして活動中。
本当はお芝居や音楽、歴史が好き。